日記

2022-09-05 22:49:28

厥陰

 先日、手の疲労をほぐすために尺骨と橈骨の間にある手の平側の「厥陰心包経」の経脈をほぐして手の先までの流れを確保するのが重要、との言葉を書きました。これ以外の経脈だと「厥陰肝経」という経脈もあります。

 この「厥陰」という言葉、不思議な使われ方をしています。

 

 施術の一番初めにほぐし始める「太陽膀胱経」の経脈には、肺兪や心兪、肝兪、胃兪など臓腑の名前に愈が付いた経穴が多くありますが、この中に厥陰愈という経穴があります。

 肝兪は既にあるから心包愈なのかと思えば、厥陰愈はあっても心包愈は存在しません。また、少陰、太陰、あるいは陽明、太陽、少陽を冠した経穴も無いようです。厥陰だけが経穴名として使われているのは、何か特別な意味があるのでしょうか?

 

 厥陰は私が習った時は「けついん」、本によっては「けっちん」と呼ぶようです。

厥という字には、曲げる、くぼむ、ぬかづく、石を掘るなどの意味と、病名として使われる場合にはのぼせる、嘔吐する、などの意味があるようです。

 くぼんだ陰の部分、という意味合いを考えると、身体の深層に近い経絡の流れを指す言葉なのかと想像します。

 「厥陰病」という病状は衰弱して死に至るほど危険な状態と東洋医学系の本では説明されていますが、それほど人間の生命力に関わる重要な経脈が「厥陰系」なのであり、だからこそ太陽膀胱経の経穴群の中にも愈穴の一つとして設定されているのだろうと思います。

 

 厥陰とつく経脈の流れを促す為にどう施術するかが、東洋系の施術を考えるのに重要な事なのだと最近感じます。

2022-09-04 22:24:29

肩甲骨はがし?

 最近、他の整体院の前を通りかかると「肩甲骨はがし」というメニューを掲げているところを目にします。

私自身受けたことは無いのでどんな施術なのか興味がありますが、自分がいつも使っている似たような施術から想像してみます。

 

 先ず大前提として、腕は上にあげて後ろへ一周できるくらいの可動域、首は横へ倒しながら後ろへ回して背骨のあたりまでスムーズに回れる可動域を確保するのが大事だと思います。

 

 その上で、胸鎖乳突筋と僧帽筋の隙間を肩にぶつかるまでたどった部分にある「缺盆」という経穴をゆるめます。ここが緩んでいると、頭部方向から垂直に指が入る隙間ができるはずです。

更に、肩甲骨の中心位置にある「天宗」と、脇と肩甲骨の境目にある「肩貞」周辺の筋肉を解します。ここが硬直していると肩甲骨を動かすどころではないほど硬くて動かないからです。

 

 上記の前提をクリアしたうえで、うつ伏せ時に頭方向から軽く肩甲骨に手を乗せて、肋骨の上を滑らすイメージで柔らかく押さえ続けます。

 

 これで「缺盆」のあたりに出来た隙間から順に僧帽筋が肩甲骨ごと足方向へ動いていくかと思います。

 肩甲骨と肋骨の隙間が、筋肉の硬直と疲労物質の蓄積によって張り付いたように動かなくなり、僧帽筋ごと首方向に持ち上がってしまっている方に有効な施術なので、普段よく使う施術です。

 

 肩甲骨はがしとはこのような概念で良かったでしょうか?

2022-09-03 21:30:16

三焦と心包

 東洋医学を勉強していると避けられないのが三焦と心包という言葉です。

いわゆる五臓六腑という言葉の中に、三焦は腑として入りますが心包は入っていません。

 

 古代から現代にいたるまで、これは研究が続けられている分野の話で、いまだに明確にこうである、という答えは出ていませんので、あくまでも私が共感できる説を挙げたいと思います。

 

 三焦も心包も明確な臓器の存在しない臓器と呼ばれています。機能だけは確認できるものの、対応する臓器が無いと考えられていました。五行説においては小腸、心臓と同じ火に属するとされます。

 

 心包は心臓を包む膜が臓器のような機能を持っていると考えられてきました。古来、血液は神(精神)を運ぶ物質と考えられており、心臓は神の宿る臓器とされていました。そのため、血液を全身に送って受け止める機能と、精神そのものの行き来を管理する機能の二つに分けたものがこの心臓と心包の違いではないか?というのが私が共感する説です。

 また、精神(こころ)を配分して全身を調整するイメージから、現代でいうホルモンバランスの機能を言い当てたものではないか?という説もあるようです。

 

 三焦は腑に分類されていますが、上焦、中焦、下焦に分かれて全身を調節する機能と一応の説明がされていますが、ひとつの単語なのに三つに分かれて機能が説明されていることに疑問を抱く説があり、私もこれに共感します。

 もともと三焦という言葉そのものが焦という字を三つ合わせた一つの漢字なのではないか?という説です。

 中国では現代でも両替屋の看板に金を三つ合わせた漢字を用いる習慣がありますが、焦三つでできた漢字を簡易に書き記したものが三焦ではないかとの事です。

 ではれっきとした一つの臓器として考えられるものですが、該当する臓器はどれに当たるのか、といいますと「膵臓」ではないか?というのがこの説の結論です。

五臓六腑の五臓の中に膵臓が入っていないのは何故か?という答えが、腑としてすでに三焦という言葉で加わっていたとすると面白い説だと感じます。

2022-09-03 20:43:35

経絡の陰陽

東洋医学では、身体に表と裏があり、人類が四足動物であった時点で太陽が当たっていた部分を陽、影になっていた部分を陰と呼ぶ習慣があります。

人体においては背中側が陽、お腹側が陰になります。

陽は天から地に気が流れ、陰は地から天に気が昇るとされます。

病邪はまず背中から入り、悪化するとお腹側に上ってくると考えられていました。

 

何度かここで書いています経穴も、その陰陽に分かれて設定されています。

(陰)太陰、厥陰、少陰

(陽)陽明、少陽、太陽

それぞれ3つずつ、手足の表裏に存在し、合計12種類にわけられるのがいわゆる12経脈です。

これに督脈、任脈の二つを加えた14経脈までが、整体業で主によく使う経穴の種類になります。

 

知っているからといっても直ちに治療に生かせる知識ではないですが、例えば施術していてどの部分が特に硬直して血流が悪くなっている、と把握した時に、そこが陰陽のどちらであるか、どの経脈であるかが分かれば大まかにその人の現在の状態を推測する事が出来ると考えております。

 

古代に成立した知識である為、こうに違いないと頼り切る事はできませんが、大体の把握が最初に出来るというのは施術の際にかなり役立つと感じます。

2022-09-02 22:20:00

手の疲労

 普段整体の仕事をしていて、肩や首の不調を訴える方は多いのに比べ、腕や手の疲労を訴える方が少ないように感じます。

 また、いたとしても親指の付け根の痛みなど、かなり硬直して手首の動きにまで影響を与えるほどに疲労が蓄積してからの訴えが多いようです。

 

 首や心臓などの急所から離れているために、それだけ危機感覚が弱いのかもしれません。

 ただし、腕は尺骨と橈骨という二本の骨が割りばしのように並んでいる構造になっていますが、パソコン仕事や工作仕事など現代におけるほとんどのお仕事ではこれを内側にねじって使用しています。

 お仕事が長時間化した場合、このねじられた二本の骨の間には相当な量の疲労物質が蓄積していきますが、上記のような痛みが気になる頃には、それがかなり固まっている状態という事です。

 

 整体の技でこの蓄積した疲労物質を取り除く場合、手の平側の肘の内側から手の先までに設定してある「厥陰心包経」の経穴と、その逆側、肘から手の甲を通る「少陽三焦経」の経穴を用いる事が多いです。

 但し、肘と手首にある経穴は重要な脈や神経が通る急所であり、強い刺激が危険な部位でもありますので、ここでは主に尺骨橈骨の隙間部分のみを使用します。(それでも軽い力でおさえる事)

 

 肘のすぐ下あたりを、腕の表と裏両方から、尺骨と橈骨の間に置くように反対の手で軽く押さえ、手首を2~3回回転させます。

 そこから順番に、手首寸前までを1センチ間隔ぐらいで移動させながら、その都度手首の回転を加えます。

 手首まで到達してまだ疲労感が残るようでしたら、もう一度肘側に戻ります。

 このように、腕の骨の間を軽く押さえながら手首を回転していく事で、強い指圧を加える事なく、ご自身でも腕の痛みを和らげることが出来ます。

 

 腕に流れ道が出来れば、手に蓄積した疲労物質も自然に抜けていきます。