日記
陽明胃経の経穴
前にこちらで書いたのが太陽膀胱経の経穴が重要、というお話でしたが、もう一つ日常の施術でよく使うのが「陽明胃経の経穴」です。
姿勢矯正をしようとすると、前傾姿勢から来る鳩尾周辺の硬さを解さなければ脊柱をまっすぐ立てるのにうまくいきません。
お腹側にあるこれらの経穴は急所でもある為、通常強い指圧は出来ない箇所です。
その為鍼治療では重要視されますが、整体では手を出せないと判断されることが多いと思います。
先に足とお腹の筋肉の連動性を確保したうえで、お腹に手を乗せたまま足の動きで解す、という手段であれば整体の手技療法でも鳩尾周辺を解すことが出来る、というのが長年整体をやっていて見つけ出した手法です。
また、陽明胃経の経穴は、他に足の脛というこれも姿勢矯正にとって重要な箇所を通ります。
脛から足の甲までの硬直が取れていなければ、足先で前傾姿勢を押し返して真っすぐ身体を立てることが出来ないからです。
脛や足の甲は、事務仕事で足を引いた座り方をしていたり、力仕事などで踏み込み続けたり、或いは美容師さんなどは片足で踏み込んだまま身体をひねって姿勢を変えたり、という動作が多いので、通常の指圧を受け付けないほど硬い人が多いです。
正面から押せない場合は無理に押そうとせず、筋肉の横から指を転がすように解すのが有効なことが多いです。また、足首も稼働箇所なので強い指圧に弱く、少しずつ稼働させながら硬直を解除していくのが安全かと思います。
「胃経」という概念は通常の整体業でそこまで深く理解する必要は無いかもしれませんが、その経穴を指定している箇所は「姿勢矯正」というメニューを掲げている整体院にとってはかなり重要な意味があると考えています。
いつも最初に施術を始める箇所
東洋医学系の勉強を始めると、初期に習う知識の内、経穴に関するものは最初に暗記します。
長く現場で働いているうちに、その中でもよく使うもののみ頭に残るようになり、使う頻度の少ないものに関しては必要な都度教科書に戻る必要があります。
この中でも汎用性が一番高く、真っ先によく使うのが「太陽膀胱経」の縦の並びの経穴です。
背骨の真ん中の棘突起から外側の一寸五分の列にずらっと並んでおり、肺や心、肝や腎などの主要な臓の治療に用いられる重要な経穴が多いですが、実際に施術しているとこのラインに沿って筋肉が硬直している方が多いと感じます。
ほぐし方は円柔法や擦法など施術者によって様々ですが、まず真っ先にこのラインの緊張がほぐれていることで、姿勢矯正や全身ほぐしなどの、主要目的である他の施術に繋げやすくなりますので、大変重要な施術ポイントであると思います。
推拿施術時の目標
私が施術のベースにしている技術は、東洋医学の一つである「推拿(すいな)」という流派の技です。
ここに独自で日本国内の「姿勢矯正療法」を学んで融合して自分の技としておりますが、根本的な考え方は推拿に則っています。
この推拿の勉強を始める段階で最初の方で習う治病通則の一つですが、今でも指標にしている言葉があります。
※急性愁訴であれば証に重点を置く
※慢性愁訴であれば原因に対処する
この二点です。急な腰痛などが起きた場合はとにかく症状(東洋医学では証という字を用います)のある箇所を中心に施術を行い、証が慢性的なものであれば、その証が発生した原因を突き止めて施術する、というような意味です。
一整体師である以上、来店された方の全身を見て気になる部分はつい全体を施術したくなるものですが、それは痛みが慢性化してからゆっくりやる事にして、とにかく急な症状があるのであればそちらを優先しましょう、という考えてみればごく当たり前の内容ですが、日々施術に明け暮れているとつい忘れがちになる言葉でもあります。
時々原点に立ち返るのも大切な事だと最近よく考えます。
昭和初期と現代の仕事の共通点
先日も書きました、ただいま勉強中の昭和初期の本に関してですが、面白い項目を見つけました。
ミシンをやる女性の姿勢に関して、左の腿の外側が張っている人が多い、という記事です。
更には、東京の人に限っては男性でもそのような姿勢の人が見られるとの事で、長時間腰掛ける姿勢を続けることと人体力学的なつながりがあるのではないかと想像される、とあります。
何が面白いかというと、現代でも事務仕事の人に同じ張り方の人が多いと感じるからです。確かにパソコン仕事とミシン仕事、姿勢の特徴は似ている気がします。
片腕(主に右)を前に突き出し、ミシン仕事であれば布、パソコン仕事であればマウスを操ります。その間反対の腕は布を押さえるのに使ったり、手をキーボードに乗せたまま肘を机に当てて身体を支えていたりします。
なぜ左足にこの特徴が表れやすいかというと、利き腕が作業している間、身体の体制を支えるのに左足を引いて腰と足でこらえるのが作業しやすく感じるからです。ただし、姿勢にとって良いかというと片側に体重がかかり続けるので、長時間やると身体が歪む原因の一つになります。
姿勢の歪み方の特徴が似ているので、当然ながら施術の内容も似ています。
まったく別の方向から得た施術の知識が偶然に通っているのを発見できたことが面白く感じます。
頚椎を反る施術に関して
先日、テレビで美容院での洗髪の際に首を痛める事例が多いと放送されていました。
対策として、首が当たる部分にタオルを当てれば良いとの話でした。
整体院でも、身体全体の前傾姿勢を改善するための要として、首を反らせる施術をすることは多いかと思います。
当院で行う場合、気を付けていることは「事前にカウンセリングで確認する事」「必ず両手を添えて、支えながら」「当人の頭の重さを利用して施術する事」の3点です。
事故歴やヘルニア歴のないことを事前に確認するのは、トラブルを避けるために先ず肝心なところです。
仰向け時に、肘を固定しながら、両手で重さを支えて細心の動きで解していくのも、急激な動きで筋肉に緊張を走らせない為に重要です。
施術は当人の頭の重さをうまく利用しながら行い、決して自分の腕力を用いようとしない事、というのも大事なことです。
首やお腹などの急所が近い部分は、身体の警戒もそれだけ強く、強く押すような技は一切効果がありません。
ご本人の身体の重さを利用する事が最も安全な施術になると考えております。
