日記
足首の重要性
腰痛や膝の痛みなど、下半身に関する主訴が多い方の殆どに見られる共通する特徴が足首が硬い事にあると日頃感じます。
これだけの細い箇所で全身の重さを受け止めて、柔軟に方向を変えて体重移動の起点となっている部分ですから、ここが硬直しますと地面からの衝撃をそのまま身体に伝えてしまいます。
結果、膝や腰にダメージとして蓄積し、痛みが発生する原因となるケースが多いように見受けられます。
足首外側、腓骨の下端と踵骨を結ぶ踵腓靭帯、腓骨と距骨を結ぶ前距腓靭帯、腓骨と脛骨の間を結ぶ前脛腓靭帯など、踵と足首を構成する骨の間にはテープのように細かい靭帯が張り巡らされています。足首の内側にも脛骨と距骨を結ぶ三角靭帯が同じように骨の間を結んでいます。
また、脛骨下端の真下には太陰脾経の重要な経穴である「商丘」、腓骨下端の後ろ側に太陽膀胱経の「崑崙」下側に「申脈」などこれも重要な経穴が配置されています。
足首の硬直が気になる人は、これらの靭帯や経穴を緩めていくのが重要ですが、ポイントは分かってもどう対処していいかは中々わかりません。
人差し指と親指で足の甲の側から大まかにこの経穴の辺りを軽くつかみ、手の熱で周辺の硬直を溶かすようなイメージで力を加えずにそのままじっと押さえます。ゆっくり足首を動かしてみて引っ掛かりが無くスムーズに動くようになっていれば上記の組織が緩んだ状態です。
正確には靭帯は皮のベルトのような材質ですのでこれそのものが緩むわけではなく、周囲の筋肉組織が緩んでいるのですが、足首の可動がスムーズになりますと、膝や腰へのダメージが大幅に減りますので、痛みの発生を防ぐことが出来るかと思います。
膝の痛み
当院に見えられる方の主訴で膝の痛みを訴える方はとても多いです。
膝の皿の裏側には前十字靭帯、後十字靭帯という上体からかかる重さを制御する為の非常に重要な仕組みがありますが、そこを保護するために上から膝蓋骨(いわゆる膝の皿)で覆われています。
この膝蓋骨裏側のわずかな隙間には疲労物質などの老廃物が溜まりやすい他、中腰などの前傾姿勢が続いて過剰な負担がかかる場合には体液が溜まって膝にかかる負荷を減らす仕組みが働いたりします。(いわゆる水が溜まる状態)
膝の痛みはこの過剰に溜まった不純物が起こしていると思われがちですが、そもそもそれ以前にそれだけの痛みが出るほど負荷が大きかったから蓄積した不純物です。単純に外部から抜けばいいというものでは無いと思います。
膝の裏にクッションなどを挟み、井戸の取っ手を動かすようなイメージで足を上下に動かしますと、てこの原理で膝の前側の隙間を軽く開くことが出来ますので、蓄積している不純物を血流で流し、軽い状態にすることが出来ます。
厳密にはかかとなどの硬直も痛みの原因の一つですので、これですべてが解決するわけではありませんが、上記の動作をやる事で自力で多少の痛みの軽減をすることが出来るかと思います。
筋肉が硬直して炎症するような鋭い痛みがあるときは、このような大きな動作をしない方が良いこともありますので、疲労感をともなう鈍痛のような軽い痛みの症状の時に試してみて下さい。
骨盤矯正とは?
骨盤矯正を看板に掲げる整体院は多いと思います。
当院は「姿勢矯正」という言葉を掲げていますが、目指すところは似て非なるものだと考えます。
良くテレビや美容雑誌などで「骨盤が開く」、或いは「骨盤を締める」という文言が出てきます。
仙腸関節という背面仙骨周りの関節部分で、ほんのわずかに稼働はしますが、それは数ミリ程度です。背後に足を蹴り上げたりする動作をしやすくするにはこの仙腸関節の可動域は重要ではありますが、上記の骨盤が開くという文言には左程大きなかかわりが無いように感じます。
「骨盤が開くから外見上太く見えるのでこれを締めなければならない」といった趣旨で記載されている文言は、個人的にですが虚偽だと思っています。
骨盤前側は恥骨結合という軟骨組織で閉じられており、これが物理的に開くのは出産のときだけです。だから、産後にこの軟骨組織の再生を助けるために布で骨盤を締める、という動作をすることは理にかなっています。
昭和初期の姿勢療法の本でもこの「骨盤が開く」という文言を使用していますが、これは物理的に開く、というよりも前傾して角度が付いた時に骨盤の最も広く見える部分が前面に向くからこのように表現している、と解釈しています。
前傾姿勢が続くことで骨盤前の腸腰筋(大腰筋と腸骨筋の境目)が左右アンバランスに硬直するので、この為に「骨盤が前方や左右に歪む」。或いは、長時間座り姿勢が続いた為に足を引いてつま先を立てている時間が長くなり、脛の筋肉が硬直する事で歩くときに外側重心になり、大腿骨の上部にある「大転子」が外側に張り出して見える事が「骨盤が開いている」ように見える、という事を表現しているのかもしれません。
いずれにしろ、骨盤は確かに身体の中心であり、身体を立てるのに重要な物ではありますが、そこを歪ませる原因である「姿勢」をいかに矯正するか、という事の方が重要であると考えます。
拒按の状態
前に「拒按」という言葉を出しましたが、押圧すると激痛が走り、嫌がる状態の事です。
急性の炎症を起こしている状態や、手足が極端に疲労して張っている状態、或いは気圧や温度の変化で自律神経が極端に疲れている状態の時に、人に触れられることを嫌がる「拒按」という状態になることがあります。
この状態になっていることに無自覚でそのまま整体院に見えられる方もおられますが、施術者側が無造作に押して痛みを増してしまう危険性がある為注意が必要です。
軽い摩擦であれば急激に痛みが増すことは少ないので、先ずは丁寧にこの「拒按」の状態がどこかに無いか確認してみる事も重要だと考えます。
摩擦を使った治療法
東洋医学の一つである推拿という流派には、手の平による摩擦を使った治療法があります。
まず手の平を使用することによって、指先に対しての身体からの警戒する硬直を起こさせないので、「拒按」という押されることで強い刺激を感じて痛みが出る、という状態を軽減することが出来ます。
摩擦の摩の字を使った「摩法」、摩擦の擦の字を使った「擦法」の二つの手技がそれにあたります。
麻を寄るようなイメージで皮膚表面を手の平で軽く押さえながらずらすように動かしていくのが「摩法」、タオルの上から、タオルがよれないような圧でさするのが「擦法」です。
いずれも脳への警戒心を与えない種類の手技であることから、当院でも施術を組み立てる一番最初にこれから施術を始めますよ、という脳へのあいさつとして良く用いています。
全身の筋肉を解すという目的のみで絞ると、この摩法と擦法の二つだけでもある程度全体が解れてしまうため、非常に地味ですが実はとても重要な手技だと考えます。
