日記

2023-12-14 23:17:00

強い押圧の使い道

 当院では基本的に掌の平面圧を用いて、筋肉の硬直を解除するような技術を多用していますが、これは身体が押圧に反応して警戒し、逆に硬直してしまうのを防ぐためです。いわゆる「もみ返し」が発生しづらい施術を目指しています。

 では、強い押圧の技は全く使われないかというと実はそうではありません。

 平面圧で硬直を取り除く技を「瀉法」といいますが、これに対して一点を押圧する技を「補法」といいます。

 補法は、弱った臓器に対応する経穴を押して活性化させる為に使われることがほとんどです。

 「もみ返し」のような筋肉の拒否反応と同じ仕組みを逆手にとって上手く用いる事で、反応が弱った臓器に刺激を与えて活動しやすい状態に持っていく、というやや高度な技術になります。

 むやみに何処でも押せばいいものでもなく、「ここが弱っているから使用する」という目的意識が必ず必要になる技ですので、行ってみた整体屋さんで強く押されましたら、その目的を聞いてみるのも面白いと思います。

 上記はあくまでも東洋医学上の考え方ですので、もしかしたら他の流派では違う目的で強い押圧を使用していることもあるかもしれません。

2023-11-03 23:09:00

背中が張る時

 寒い日が来たかと思うと日中は暑くなったりと、温度の変化が激しいです。温度の変化を身体の中枢にある受容器が感じ取ると、肺などの臓器が冷やされないように肩や腰の筋肉を硬直させようとしますので、特に重いものを持つような激しい仕事や長時間の集中仕事などをしていなくても背骨横の「脊柱起立筋」が引っ張られて硬直しやすくなります。運動などで使用された張り方と違い、硬いゴムのような強烈な張り方になることが多いので、呼吸が苦しくなったり、首や腰が痛くなったり、全身が重だるくなる原因となります。

 この場合は張る原因が姿勢の歪みではないので、背骨の位置調整をするような施術だけでは簡単には緩まない事が多いです。

 胸椎と頚椎の境目辺りの棘突起が出っ張っているかどうか、或いは腰椎の棘突起に出っ張っているところは無いか、をまずは確認し、これが極端に出ているようなら温度変化に対応して身体に自動で力を入れさせている最中です。

 下手に力を入れて解そうとはせず、出っ張っているところを中心に掌を置いて温めつつ、首側は首と肩の境目辺りにある「缺盆」という経穴、腰側は骨盤と背骨の境目にある「大腸愈」という経穴を軽く押さえてそのままじっと待ちます。

 根気よくそのまま待ち、「温度変化に警戒する必要無し」と身体が判断してくれれば嘘のようにあっさり解れます。

 脊柱起立筋は上下の引っ張りさえ解除されれば、後は手の平で筋肉を押さえながら軽く圧縮して離す、を数回繰り返すと自然に解れていきます。

 自力では難しいので、お一人であれば上の2点が解れた後にヨガの運動の内、背中に関するものなどを取り入れれば同じように緩められるかと思います。

2023-10-24 17:16:00

昨日からダウンコートを着ています

朝晩の気温がかなり冷えてきています。つい先日まで日中暖かい日が続いていましたのでついつい油断していましたが、昨日あたりからはダウンコートが必要な気温になってきました。衣替えをためらっていましたが、そろそろ衣装ケースからネックウォーマーを取り出す必要があるかもしれません。

 

以前にも書きましたが、喉元の鎖骨中間部にある「天突」、首後ろの頚椎付け根の突起部分にある「腱紡錘」、そこから繋がるこめかみ周辺の自律神経の集合箇所などは特に冷気を感じ取って周辺の筋肉に硬直するよう指示を出す箇所です。出来るだけ早めに防寒具を付けるなどして、冷風を防いで下さい。

また、この時期は乾燥がひどくなっていきます。

 

東洋医学でいう「乾邪」と呼ばれる、体調不良の原因の一つがこの感想です。

乾燥からダメージを受けやすいのは「肺」とされており、薬膳学では「大根」が肺に良いとされています。

日本でも昔は乾燥して冷えてくる時期になると「大根のはちみつ漬け」を食べてしのいでいたとの事。(祖母より)

子供心には苦手な味でしたが、今考えると理にかなった健康法だったのかもしれませんね。 

2023-10-19 21:58:26

仕事中に息苦しさを感じるとき

 日中と夜中の温度変化が大きいです。気温の変化に対応するために各神経がずっと警戒中になっていますので、他の季節と同じように仕事していても筋肉が緊張しやすいです。

 特に腕を前に突き出したままの体勢が続く人は、腕の角度を維持するための筋肉がずっと張ったままになります。

 普段であればタオルなどをどこかに引っ掛けて両手で後ろへ引っ張る動作をすることで、前方に巻いた形で固まっている肩を元の位置に修正できるはずですが、筋肉の緊張が強すぎるとこれだけでは力みが抜けない事も多いです。

 

 腕を上下に上げ下げする動きを制御している三角筋と、腕の前横への動きを制御している大胸筋の境目辺りが異様に硬直している人が多いように見受けられます。この位置がここまで固まってしまうと胸部が開きづらく、呼吸がしづらく感じると思います。

 この硬くなっている部分の内側にはこの位置を固定するための小胸筋や、腕までつながる神経の束、動静脈など様々な重要な器官が走っていますので、痛みやしびれ、だるさの原因にもなります。

 重要な箇所ですので強く押す事は出来ませんが、軽く押さえて腕の動きだけで解すのが難しいほど強烈な硬さになっていることも多いです。

 無理に技を使って解そうとせず、硬直した筋肉の固まりを手で掴んで軽く前方へ引っ張り続けてみるのが良いかと思います。

 10秒引っ張って戻す、を3~4回繰り返すと、筋肉の束が緩んで圧迫が減り、血行が良くなって腕を動かしやすくなるかと思います。

 前方へ屈むお仕事が続いて胸部の圧迫感が強い、と感じるときなどに試してみて下さい。

2023-10-16 12:39:40

喉の乾燥に対処する経穴

 段々と空気が乾燥してくるこの時期、空気も冷えてきて部屋で暖房を使う事も多くなってきます。喉が乾燥でイガイガする、胸部の奥で気管が張り付いたような感覚がする、などの症状が出る方も多いかと思います。

 

 人体の60パーセント以上は水で出来ていると言われており、その水分が奪われていく「乾燥」は実は冷気や暑さ、湿気以上に生物にとっての脅威であると言っていいと思います。

 東洋医学が発展してきた時代の人たちからしてもそれは同じだったようで、乾燥に対処する経穴もいくつか書き記されています。その代表的なものは鎖骨の中間、喉元に位置する場所にある「天突」や、肘を曲げた時に親指側の筋肉の端に出来る窪みの辺りにある「尺沢」が有名かと思います。

 いづれも重要な神経や気管の上に設定されているので、強い刺激は避けたい部分です。個人での点圧はあまりお勧めしません。

 外出時に着るものをなるべく上記の経穴の辺りが隠れるようなものを選び、冷える事に注意する事、該当する箇所を軽く触れながら首や腕を軽く動かす体操を行う事、暖かいものを選んで飲むようにしてなるべく喉元の水分の固形化を防ぐ事、などの対処方法をお勧めいたします。

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