日記
骨盤矯正とは?
骨盤矯正を看板に掲げる整体院は多いと思います。
当院は「姿勢矯正」という言葉を掲げていますが、目指すところは似て非なるものだと考えます。
良くテレビや美容雑誌などで「骨盤が開く」、或いは「骨盤を締める」という文言が出てきます。
仙腸関節という背面仙骨周りの関節部分で、ほんのわずかに稼働はしますが、それは数ミリ程度です。背後に足を蹴り上げたりする動作をしやすくするにはこの仙腸関節の可動域は重要ではありますが、上記の骨盤が開くという文言には左程大きなかかわりが無いように感じます。
「骨盤が開くから外見上太く見えるのでこれを締めなければならない」といった趣旨で記載されている文言は、個人的にですが虚偽だと思っています。
骨盤前側は恥骨結合という軟骨組織で閉じられており、これが物理的に開くのは出産のときだけです。だから、産後にこの軟骨組織の再生を助けるために布で骨盤を締める、という動作をすることは理にかなっています。
昭和初期の姿勢療法の本でもこの「骨盤が開く」という文言を使用していますが、これは物理的に開く、というよりも前傾して角度が付いた時に骨盤の最も広く見える部分が前面に向くからこのように表現している、と解釈しています。
前傾姿勢が続くことで骨盤前の腸腰筋(大腰筋と腸骨筋の境目)が左右アンバランスに硬直するので、この為に「骨盤が前方や左右に歪む」。或いは、長時間座り姿勢が続いた為に足を引いてつま先を立てている時間が長くなり、脛の筋肉が硬直する事で歩くときに外側重心になり、大腿骨の上部にある「大転子」が外側に張り出して見える事が「骨盤が開いている」ように見える、という事を表現しているのかもしれません。
いずれにしろ、骨盤は確かに身体の中心であり、身体を立てるのに重要な物ではありますが、そこを歪ませる原因である「姿勢」をいかに矯正するか、という事の方が重要であると考えます。
拒按の状態
前に「拒按」という言葉を出しましたが、押圧すると激痛が走り、嫌がる状態の事です。
急性の炎症を起こしている状態や、手足が極端に疲労して張っている状態、或いは気圧や温度の変化で自律神経が極端に疲れている状態の時に、人に触れられることを嫌がる「拒按」という状態になることがあります。
この状態になっていることに無自覚でそのまま整体院に見えられる方もおられますが、施術者側が無造作に押して痛みを増してしまう危険性がある為注意が必要です。
軽い摩擦であれば急激に痛みが増すことは少ないので、先ずは丁寧にこの「拒按」の状態がどこかに無いか確認してみる事も重要だと考えます。
摩擦を使った治療法
東洋医学の一つである推拿という流派には、手の平による摩擦を使った治療法があります。
まず手の平を使用することによって、指先に対しての身体からの警戒する硬直を起こさせないので、「拒按」という押されることで強い刺激を感じて痛みが出る、という状態を軽減することが出来ます。
摩擦の摩の字を使った「摩法」、摩擦の擦の字を使った「擦法」の二つの手技がそれにあたります。
麻を寄るようなイメージで皮膚表面を手の平で軽く押さえながらずらすように動かしていくのが「摩法」、タオルの上から、タオルがよれないような圧でさするのが「擦法」です。
いずれも脳への警戒心を与えない種類の手技であることから、当院でも施術を組み立てる一番最初にこれから施術を始めますよ、という脳へのあいさつとして良く用いています。
全身の筋肉を解すという目的のみで絞ると、この摩法と擦法の二つだけでもある程度全体が解れてしまうため、非常に地味ですが実はとても重要な手技だと考えます。
腰痛と腸の経絡
腰痛で整体に見えられる方は多いかと思います。
経穴の中で腰痛に特に効果的とされているのが太陽膀胱経の中の「大腸愈」です。背骨横を辿って行って腰骨との境目辺りにある経穴です。
大腸、或いは小腸が他に設定されている経絡は何処かというと「陽明大腸経」が親指付け根の「合谷」や、肘の外側にある「曲池」という有名な経穴を含む、腕の前側にある経脈です。反対に「太陽小腸経」は手の甲小指側から肘の内側を通って背中側に通じます。
腰骨と背骨の境目に経穴があるのは何となく腰痛に効きそうな気がしますが、腕にも腰痛の特効ツボと同じ分類の「腸の経脈」が設定されているのは、腰痛と何か関わりがありそうです。
姿勢の方からこれを見ますと、大腸愈がある箇所が硬直するのは前傾姿勢による何かしらの作業を連続した時です。当然、鳩尾も腰の前側もこの時前方へ曲げられて圧迫されています。腸の周辺の筋肉への圧迫がある為にその周辺の筋肉が硬くなり、姿勢を前側に引き寄せ続けてしまうために大腸愈周辺の負担が増加して、硬くなって腰痛化する、という流れが想像できます。
この時大抵腕も前側に突き出して作業します。肘は内側に曲げて上下の高さを固定していることが多いです。
この、連続する前傾姿勢が「大腸愈」周辺への負担となる事と、腕が前に突き出されて疲労する事が同じ発生原因で同時に起こりやすいことから逆説的に、
腸に圧迫がある→腰痛になる→腕も披露しているから腕も腸と腰痛に関係がある、
という流れでこのような経絡の位置関係が設定されたのだと想像しますが実際はどうなんでしょうか。
滾法という基本技
「滾法(こんぽう)」という拳を軽く握って手を転がしていくという技があります。
東洋医学、特に推拿においてはまず真っ先に習う基本手技の一つであり、この習得だけで3か月近くひたすら練習するような重要な技術でもあります。
拳底を使えば背中や肩の裏側、腕や足に面打棒を転がしているような軽い刺激を与えることが出来、拳の表側を使えば足の付け根や肩の付け根などの柔らかくて強く押しづらい箇所でも解す刺激を送ることが出来ます。
但し、うまく力を抜く練習をしないと手首を使って拳を転がす性質上、手を痛める可能性が高いです。これが、推拿において最初に時間をかけて練習する理由です。
最初から施術部屋に面打棒のような道具を置いておけばいいじゃないかという声もありそうですが、基本的に手を様々な形に変えて、道具を模して使っていければ、道具を持ち帰る手間もなく常に対象の筋肉に最適な施術を行えるのでスムーズです。
整体に興味がある人にしか伝わらなそうな文章ではありますが、このような技術を使っています、という紹介でした。
