ごあいさつ

インフォメーション

2017-12-31 09:50:00

1次病院でも難しい手術を行うこともあり、場合によってはかなりの人手が必要になることもあるのですが、一般的に少なくとも何人いれば全身麻酔下での手術が安心かつ安全に行われるのか。これはあくまで個人のスキルは参考外です。中にはスーパードクターもおられますので。普通に考えると少なくとも3人は必要です。

執刀医、麻酔医この2人は獣医師です。もう1人は外回りの仕事をする人、これはベテランの看護師が望ましいですところですが、訓練を積めば新人でも、また看護師でなくとも可能なポジションです。執刀医は全身に滅菌されたもので覆われております。したがって滅菌されていないものに術中に触れることは不可能です。ということは滅菌していない物の扱いをする外回りの人間が必要となるわけです。当然麻酔医は持ち場を離れることは許されないポジションです。

私はどんな小規模のクリニックでも手術をするのなら最低3人は確保すべきだと考えております。しかし新規に開業をするとき、医院長が経営者としたら、獣医師1人と看護師1人を最初から雇うことは経費面から考えて大変になってきております。ならばどういう方法があるか、それは病院を継承していけば良いのです。以前は臨床に進む獣医師は皆開業していましたが、現在では病院が増えてきましたので、ある程度充実している病院を継承することこそ皆がウインウインに繋がるスマートな手段だと考えます。


2017-12-25 09:42:00

昨夜のセミナーはTRVA動物医療センターという世田谷区深沢にある救急病院、私たちが紹介利用させていただいているところですが、東大の先生を講師に招き開催されたセミナーです。最近、このセミナーのように、2次病院や救急病院が主催するセミナーが増えてきました。非常に実戦に役立つ内容で良いと思います。

最近はコンピューターが身近になったせいか、アップデートという言葉をやたらと耳にしたり目に入ってきたりします。その中で本当に自分が取り入れたい情報かどうかを見極める能力が重要になってきていると痛感します。私たちは文献で明らかになった情報をエビデンスがあると言いますが、エビデンスがあるからと言ってすぐに臨床に利用してよいのかというと、決してそんなことはございません。何年もたって、その情報を否定するエビデンスがでることなど普通にあるからです。しかし、今回のように実際に東大病院の最前線で診療なさっている先生が示される情報は経験と知識に裏付けされているので、それだけで私たちは受け入れやすいアップデイトということになると考えます。

さっそく今回教えていただいた治療や薬を私もアップデイトしようと思います。


2017-12-20 09:19:00
セミナー会場.JPG

昨夜のセミナーは世界的なレベルでの動物のワクチン接種時期に関するガイドラインで最も新しいバージョンをワクチンメーカーがかみ砕いて説明をするというものでした。この手のセミナーは今年、数多くありましたが、解釈の仕方で多少異なってくると感じました。とは言っても大きく異なることはございません。今後ワクチン接種のプログラムが大きく変わっていくと思いますので、獣医師と相談し、個々の状況に適したプログラムを選択されることがベストであると思います。

さて夜のセミナーには欠かせない弁当についてですが、噂では私のお知らせを薬品メーカーでもチェックを入れているらしいので、いい加減なコメントは直接身に降りかかってくる恐れがございますので、真面目にコメントさせていただきます。昨日のチョイスはまあまあです。マイセンの10采弁当。マイセン得意の揚げ物にこだわらず、私のような年寄りかつ糖尿患者にも気を使った内容でした。ただ一言、総理が言うように景気が本当に上向いているのなら、もう2ランク上のチョイスもありかなと思います。今回写真にも出しましたが、この格調高いセミナー会場は、私が最も好きな会場で、他に類を見ない大変すばらしい施設なのです。この会場に恥じない弁当をぜひ期待しております。参考までに、横浜市開港記念会館とくれば、和牛100%すき焼き弁当などは歴史も感じるしセンスもいいし、選んだ担当者は大いに賞賛されるでしょう。


2017-12-18 09:42:00

けやき臨床研究会が主催するセミナーで、友人の矢口獣医師が主要メンバーにもなっている会なので久しぶりに参加させていただきました。けやき、というと私たち臨床獣医師でも極めてマイナーな国公立大学出身者は、この会が府中のけやき並木に関係している、つまり東京農工大学出身者の会であることはすぐ察しがつきます。私の友人は私と同じ大阪府立大学出身ですが、卒業して就職した病院が、金重動物病院。この金重先生こそがけやきの会の創設者であり、東京農工大学出身者の重鎮で後に日本で初めての2次病院施設、高度動物医療センターの創設者なのです。ちなみにこの金重先生は私の修士論文の担当をされていた講師の先生と大学時代同級生であったという奇遇な関係でもあります。現在この会はわずか50人のメンバーではありますが、出身大学の枠を超えてメンバーを増やしているとのことです。私も金重先生には大変お世話になりましたので本日入会させていただきました。なお、本年、金重先生は65歳の若さで永眠されました。私たちにとって精神的な支柱を無くしたおもいではありますが、先生の残された数々の功績が無駄にならないように、またさらに大きな形に進化させていく責任があると受け止めております。

ちなみに白鷺といえば大阪府立大学を指すことになっておりますが関東方面では誰も知りません。関西では白鷺会なるものもございます。

さて、セミナーに戻ります。今回の講師の先生は日本人で、私は2度目の講演となるのですが、米国の大学を出られて、現在カリフォルニア大学のデイビス校にある動物救急センターの呼吸器科で働いておられるということで、とても実践的な講演で参考になりましたが、先生の病院は世界のトップレベルですが、心肺停止で運ばれてきた動物の58%が自己心拍が戻り、20分で32%、24時間で10%、生存退院率は5%だそうです。アメリカですので、蘇生中の安楽死という決断は日本よりかなり多いと聞いていますが、それにしても、最終的に5%ということは、我々のレベルでの生存退院率はおって知るべしです。今後この数字をアップさせるために家庭でできる初期治療を紹介していこうと考えております。


2017-12-15 14:14:00

私共のような1次病院では、あらゆる診療科を診ることが要求されます。私が都内で30年近く1次病院の獣医師をして思ったことは、産科の勉強が年々おろそかになってきていたということです。30年前は一般の家庭でのお産は犬でも猫でも普通にありました。そしてあまりトラブルもなく出産しておりましたが、時がたつにつれて、特に小型犬で出産時のトラブルが急速に増えてきたのです。そこで私たちもそのトラブルに対処するために積極的に講習会やセミナーに出て勉強をしてきました。そうこうしているうちに犬や猫は避妊、去勢をして飼うべきであるという考え方が一般的となり、お産はブリーダーのみが行うという考え方が定着してきました。そんなながれで一般家庭でのお産は極端に減り、もはやほとんどないに近い状態になってきたのです。もちろん地域性はありますし、ブリーダーと付き合うことを好む先生方はお産は大切な仕事の一つではあります。私はブリーダーとの付き合いは、現在の法の下では、とてもやっていけそうにもないので、全くありません。ということで数年前から産科は辞めることにしました。最近は特に勉強もしていないので皆様に御迷惑をかけるわけにはいきませんし、お産でありがちな緊急帝王切開など時間的に不可能な場合が考えられるのでなおさらです。むしろきっぱりとやっていないと宣言しておいた方が、皆様に御迷惑がかからないと考えております。

ここまでは一般的な話ですが、私のポリシーをふまえてお話しすると、一般家庭での繁殖行為には反対です。やるべきではないと考えております。毎年動物管理センターで多くの犬や猫が殺されていくことをすでに皆様は御存知だと思いますが、人が勝手に増やしておきながら一方では殺していくという矛盾に到底納得がいかないからです。家庭で3頭誕生したら、いずれ3頭別のところで殺されるというサイクルには協力できません。犬や猫は野生動物ではないのです。先ほど、現在の法の下では、と書きましたが、ブリーダーの監督をもっと厳しく国がすべきであると考えています。悪徳ブリーダーと結託している、金のためなら何でも言うことを聞いてしまうような道徳心のかけらもない獣医師も必要ないし、そんな獣医師を作りそうな加計学園もいらないというという、最後は言いがかりに近い落としどころになってしまいました。


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