ごあいさつ

インフォメーション

2017-12-15 14:14:00

私共のような1次病院では、あらゆる診療科を診ることが要求されます。私が都内で30年近く1次病院の獣医師をして思ったことは、産科の勉強が年々おろそかになってきていたということです。30年前は一般の家庭でのお産は犬でも猫でも普通にありました。そしてあまりトラブルもなく出産しておりましたが、時がたつにつれて、特に小型犬で出産時のトラブルが急速に増えてきたのです。そこで私たちもそのトラブルに対処するために積極的に講習会やセミナーに出て勉強をしてきました。そうこうしているうちに犬や猫は避妊、去勢をして飼うべきであるという考え方が一般的となり、お産はブリーダーのみが行うという考え方が定着してきました。そんなながれで一般家庭でのお産は極端に減り、もはやほとんどないに近い状態になってきたのです。もちろん地域性はありますし、ブリーダーと付き合うことを好む先生方はお産は大切な仕事の一つではあります。私はブリーダーとの付き合いは、現在の法の下では、とてもやっていけそうにもないので、全くありません。ということで数年前から産科は辞めることにしました。最近は特に勉強もしていないので皆様に御迷惑をかけるわけにはいきませんし、お産でありがちな緊急帝王切開など時間的に不可能な場合が考えられるのでなおさらです。むしろきっぱりとやっていないと宣言しておいた方が、皆様に御迷惑がかからないと考えております。

ここまでは一般的な話ですが、私のポリシーをふまえてお話しすると、一般家庭での繁殖行為には反対です。やるべきではないと考えております。毎年動物管理センターで多くの犬や猫が殺されていくことをすでに皆様は御存知だと思いますが、人が勝手に増やしておきながら一方では殺していくという矛盾に到底納得がいかないからです。家庭で3頭誕生したら、いずれ3頭別のところで殺されるというサイクルには協力できません。犬や猫は野生動物ではないのです。先ほど、現在の法の下では、と書きましたが、ブリーダーの監督をもっと厳しく国がすべきであると考えています。悪徳ブリーダーと結託している、金のためなら何でも言うことを聞いてしまうような道徳心のかけらもない獣医師も必要ないし、そんな獣医師を作りそうな加計学園もいらないというという、最後は言いがかりに近い落としどころになってしまいました。