ごあいさつ

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2018-12-14 17:33:00

手術室にて。

私はこんなにも手術の跡が瘢痕化している皮膚にメスを入れたことがなかった。一体君は何回この腹を開けているのだ。これで最後にしようね。

先生、ずーとお腹が痛かったから、痛みだけでもなくしてください。

もちろんだよ。悪いところを取って楽になろうね。

私はメスを通してそんなように感じていた。そして機械出しの看護師に新しいメッツエンバウム剪刀を用意するように命じた。とてもいつもの奴では切れない。やっと視野に腹腔内が現れた。案の定そこら中に癒着が見られる。ちょっと時間がかかりそうだと思った瞬間、それを悟ったように麻酔医がリスキーですから時間をかけないでくださいと声が飛んでくる。

ウインナーが繋がってるような膿が溜まっている子宮を助手に持ち上げてもらい、一気に止血とカットが同時にできる秘密兵器を使い、病巣を摘出した。決して器用ではない私でもハイテクを使えば器用になった気分でできるので助かる。そして、型通りの閉腹をし、腫瘍の摘出もして終了。相当つらかったのであろう、麻酔が覚めてもこの子は死んだように次の日まで眠っていた。目が覚めてからは痛みが引いてきたためか、多少目に力が出てきたかに見えたが、まだ心を持った生き物とは思えない状態であった。しかし食欲が出てきたことで、私たちは天にも昇るような気分になっていた。特にこの子を気にかけていた看護師のトミーは涙を浮かべて喜んでいた。

次の日、心が戻ってくることと、食欲がまるで正比例するような感じであった。結果この子の状態は良くなってきた。とりわけトミーには喜びの表情を見せるようになってきた。

 

そして、最終章に続きます。多少フィクションが入り、話を盛ってしまいました。最後は思わぬ展開が待っていました。乞うご期待。これから考えます。