ごあいさつ

インフォメーション

2018-12-03 10:18:00

はやりの治療法ですが、例を使い分かりやすく言うと、体内では多くの異形細胞、つまり癌になる細胞のことですが、毎日できております、しかし健康な人は自分の体内にある免疫系の細胞により、異形細胞を殺しているので、癌にはならないのですが、また違う例では体内でちょっとしたことで出血が起きていますが、それも大事に至らないように自分の力によって止血されているのです。というように、本来体は自分の力で治す能力はあるのですが、その力が及ばないと、癌になったり、出血多量になったりしてしまうのです。その理屈で考えると、もし、その治す力を他人から借りることが出来たら、大きな病気や怪我にも対応できるのではないかというのが細胞治療の発想です。

具体的には、血液中の免疫細胞を使用するものと、脂肪や骨髄由来の間葉系幹細胞を使用する方法があります。今回は後者で、健康な犬から脂肪組織を取り出し、体外で細胞培養し、病気の犬に投与するというものです。投与された、脂肪組織由来の間葉系幹細胞はサイトカインという生理活性物質を分泌します。サイトカインの働きには、免疫バランスの調整、抗炎症作用、組織の修復などがあります。

今回のセミナーでは犬の慢性腸症という病気にこの治療法を使った効果についてです。この病気は通常は食事、抗菌薬、免疫抑制剤による治療が標準治療ですが、これらでは治らないものが結構いて、厄介な病気の一つでしたが、まだ試しの段階とはいえ、どの治療にも反応しない症例で、半数以上に効果があったとの発表でした。まだまだ不完全な治療法ではありますが、今後の進歩を期待するものです。

ちょっと難しい話でしたが、興味がある方はクリニックに来られた時に、御質問してください。