ごあいさつ

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2018-09-26 08:58:00

富士フィルムモノリスという臨床検査センター主催のセミナー。題して第1回エアストガイド。エアストとはドイツ語で最先端という意味だそうで、健康診断でまだ症状が出ていない早期に病気を発見し、初期治療に入っていくというコンセプトです。考え方は非常に良いと思われるのですが、最先端というほどでもない内容でした。最近は一昔前と違い多くの獣医師向けセミナーがいつでもどこでも開催されております。大学の先生たちのアルバイトが多いのですが、ほとんど内容が同じものを使いまわしている場合もあり、そういう場合は無料の企業セミナーが多いのですが、そんなときは題目を変えずに、事前に講演内容がほぼ同じであることを示唆していただきたいと思います。

今回のコンセプトである健診から初期病変を発見し治療に至る考え方は大いに賛成です。また本来病気とはそういう考え方でよいのですが、特に内分泌疾患で症状がない動物に治療をすべきかどうかを判断する能力が一般開業医にあるのかどうかなど、まだまだ課題を含んでおります。というのも、薬の副反応、あるいは費用なども含めて、総合的に考えて治療の時期を決定する因子は検査値以外に多くあるからです。今回のセミナーは健診の値に重点を置いたものでしたが、確かにその点は重要ではありますが、本当に大切なことはいつから、どんな治療を開始するかの判断ではないかと痛感しております。

それにしても、最近の日本はどうなってしまうのでしょうか。貴乃花親方の会見を見たのですが、古い話で恐縮ですが、もう50年くらい前のことです。私の大好きな力士で天龍という人がいました。多くの方はプロレスラーの天龍源一郎といえばわかると思うのですが、彼が大関に最も近い力士と言われながら大相撲を引退した時のことを思いだすのです。その経緯は長くなるので省略しますが、彼のポリシーが相撲では貫けなかったので引退したのですが、その潔さは今回の親方と通じるものがあります。才能があるものをだめにしてしまう、まさにこの国のやり方です。体制に従わなくとも生きる道をつけてあげるのが、社会というものではないでしょうか。そうでないと気に入らないからといって力のないものが権力のあるものに潰されていくだけの面白みのない世界になってしまいます。