ごあいさつ

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2018-04-05 17:33:00

チャーハン。大好物でもないのですが、時々無性に食べたくなる時があります。特に初めて入る中華屋さんでは、必ずチャーハンを注文します。理由は調理人の鍋ふりのスキルと火の加減、簡単なスープでは出汁の繊細さがわかり、その店を評価するには十分だからです。

病気をしてから味覚が鈍くなってきた私が久しぶりに食べたいと感じた、武蔵新城の仙龍という古びた小さな極めて昭和風の中華飯屋のチャーハン。この店は名店ですがいつも空いています。調理人は御高齢の方、接客は多分息子。40代。名店でありながら、なぜか誰もいかない時間の空間に入り込んでしまったような店がたまにあります。こういう店は客が来なくても絶対に潰れません。

以前から週に1度は行く、お気に入りの店でしたが、今回チャーハンを食べてあらためて、この店の存在意義のようなものを感じました。

店に入ると客が1人、ビールを飲みながら餃子を食べて、たばこを吸い、スポーツ新聞をひろげて、昼のワイドショーを見ていました。そんな風景が似合うのが、この店です。私は何時ものようにカウンターに座りチャーハンを頼みました。調理人の姿は見えません。しかしカーテン越しに鍋の音が心地よく響いてきます。チャーハンって、こんなに多くの工程があったかな、と思いながら耳を側立てていると、結構時間がかかり出来上がってきました。いつものチャーハン。香りが素晴らしい。レンゲを湿らせようと、軽くネギで覆われたスープを一口。味はいつも通り、しかし私の感じかたが確かに違う、舌に受けた複雑なエキスの流れがいっきに全身を駆け巡る、ふやけた体の隅々にまで行き届いたエキスの恵みが、私の体をいっきに覚醒させてくれた。ついに戻った。次にスープがやや滴るくらいのレンゲに軽くチャーハンの一角をのせ素早く口のやや唇に近い部分に入れて口を閉じ、目を閉じ、鼻と舌と口腔粘膜に広がる、まさに名曲がいっきに盛り上がる瞬間のような感覚に私はこれ以上ない幸せを感じたのです。やはり戻った。

本日はちょっとやりすぎました。次回はほどほどに。