ごあいさつ

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2017-11-29 09:30:00

千寿製薬、この会社は昔から人の目薬では結構頑張っている会社ですが、最近そのノウハウを生かして動物専用の目薬に力を入れてきました。個人的には高く評価しておりますが、人の実績からの移行ではなく、海外の動物眼科専門医の実績を単純に利用していく方が日本の眼科獣医療には適しているように思うのが率直な感想です。それにしても国内のメーカーが積極的に動物用の製品開発をしていくことはありがたいことで、無駄に個人輸入に頼らなくて済むので助かります。お決まりの弁当ですが,和風懐石風弁当。悪いわけではないのですが、場所が横浜、馬車道付近を考えればもっと気の利いたチョイスもあるのではないでしょうか。どうしても選べないとおっしゃるのなら、最後の砦は崎陽軒ということですね。

さて、この会社は白内障用の点眼剤も出しております。メーカーも専門医も学者もすでに周知のことですが、白内障の白い部分を透明にできる目薬や飲み薬はございません。このことを大前提にお話しします。つまり、白内障には様々なパターンがありますが、いずれにせよ薬では治すことはできません。点眼薬の効果は白くなっていくスピードを多少なりともゆっくりとさせるということです。

そのうえで、どういった白内障にどの程度の進行抑制がみられるのでしょうか、具体的に言うと、初回の老齢性の白内障の15パーセントまでの白濁した症例に点眼を開始すれば進行はかなり抑えられるということです。専門医のなかには50%以内の白濁ならばそこそこ効果がみられるという方もおられるそうです。

ここで重要なポイントです。15パーセントの白濁とはどの程度の症状なのでしょうか。残念ですが、飼い主様の肉眼的な観察ではほぼわからない、というよりわかりません。つまり動物病院に飼い主様が、白内障みたいなので眼を診て欲しいと来院された段階で、白内障の点眼などまったく効果がない状態にまで進行してるのです。

ではなぜ動物病院で白内障の点眼薬を出しているところがあるのか。

ここから先を書いてしまうと長くなりますし、場合によっては社会的に不適切な表現を含みますので、踏み込まないようにします。

それでは、この白内障の点眼、悪徳獣医師の金儲けの道具と決めつけてよいのでしょうか。少しだけ踏み込みましたが。

そんなことは全くございません。この薬は大いに利用価値はあります。白内障の治療、有効な手段は人と同様手術のみです。しかし、動物の場合は人のように簡単にはいきません。手術自体も大変なうえ術者のスキル以外にもリスクが多く、さらに費用も莫大となります。しかし人と違い動物は寿命が短いので、有効に進行を遅らせることができたら、最後まで視力を失わない可能性も高いわけです。したがって、15パーセント以内の段階で白内障を正しく診断し、そのタイミングで点眼を始めておけば、たったこれだけで明るい未来をゲットできるのです。

それでは、どのクリニックに行けば正しい診断が可能でしょうか。これが問題です。決して誤解しないでいただきたいのですが、私たち1次病院は人のそれと異なり、あらゆる診療科を診ております。当然すべての分野でエキスパートになれるはずはございません。同時にすべての科目で完璧な設備など揃えることも不可能なわけです。

それらをふまえて、まずは、眼科のみを診ておられるクリニック。あるいは眼科のある2次病院。一般的な主治医のクリニックでも眼科の検診ができる先生のおられるクリニック。これらは正しい診断が可能と思われます。

ここでいう、眼科の検診とはどんな検査なのか、私の個人的な見解となるのですが、次の項目を参考としてください。

まずは血液検査のように数字で表すことができるもの、これはわかり易く比較もしやすいです。それは、涙がどの程度産生されているか測定する検査と眼圧を測定する検査です。次に角膜の表面を検査し、さらに瞳孔を目薬で開いて眼球の中まで診る検査をします。これらが一般的な眼科検査ではないでしょうか。簡単に書きましたが、眼科の検査には高価な検査機械が必要となりますので、1次病院でそこまで機械を取りそろえるのは大変なことです。したがって主治医としっかりと相談して進めていくことがベストだと思います。