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2023 / 07 / 29  05:00

中小企業が従業員満足度を向上させる方法について教えてください。

 

 

「優秀な人材がなかなか定着せず、従業員の生産性も上がりません。中小企業が従業員満足度を向上させる方法について教えてください」

回答

従業員満足度が高い企業(職場)には、次の五つの特徴が共通するといわれています

「企業のビジョン・経営理念への共感度が高い」

「人事制度・評価制度に対する信頼感がある」

「自身の仕事が与える影響が可視化されている」

「人間関係にストレスがない職場環境の整備に努めている」

「業務内容に応じた就業規則や福利厚生が整備されている」

まずはこの五つについて、自社の現状を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

従業員満足度向上への取り組みは、業績面にも好影響

ご存知の通り、近年、日本の労働力人口は減少傾向にあり、かつてのように「辞めたらまた雇えばいい」という考え方は通用しなくなりました。中でも各企業の推進力となるような優秀な人材の価値は日に日に高まっています。そのような人材が集まり、また長く定着してくれる企業になるには、従業員が満足できる職場環境を整えていく必要があるでしょう。従業員満足度が高い企業は、生産性や顧客対応への意欲も高いという傾向があり、業績面にもプラスに働くことがわかってきています。つまり、従業員満足度向上へ向けた取り組みは、人材面に課題を抱える企業だけでなく、どんな企業にとっても有効といえるでしょう。

そんな従業員満足度の高い企業に共通するのが、先に挙げた五つの特徴になります。の「企業のビジョン・経営理念への共感度」が高いほど、自分の仕事と自社に対する誇りや信頼度が高まり、能動的に行動する社員が育ちやすくなります。そのためには、経営層がビジョンや理念をわかりやすい言葉で発信し続けることが大切です。「人事制度・評価制度に対する信頼感」が高いと、「この会社で働いても大丈夫だ」という会社に対する信頼の獲得に直結します。役職と権限が適正に貸与され、自身の行動や成果に対する評価が納得できる制度は、従業員の労働意欲を高めるために必要な要素といえます。

「自身の仕事が与える影響の可視化」に関しては、会社に対する貢献度に加え、社会への影響などまで実感できるようになると、さらに従業員のモチベーションは高まります。また、「人間関係にストレスのない職場環境の整備」に努めることは、昨今の離職理由の一因として問題視されているハラスメントの抑止につながり、「業務内容に応じた就業規則や福利厚生の整備」が適切になされていることで、ワークライフバランスが達成しやすくなり、従業員の離職率低下、定着率向上が期待できるわけです。

繰り返しになりますが、まずはこのの現状を把握することが、従業員満足度の高い企業へのファーストステップとなるでしょう。

 

「報連相」「役職と職務」「責任と権限」の適正化を

当然、五つの現状を把握する中で見つかった課題に対処していくのが次のステップです。ただ、その課題解決に投入できる予算が限られている場合、新たな施策を追加するのではなく、従業員満足度を低下させている要因を排除することを考えるといいと思います。そのプロセスにおいて「報連相」「役職と職務」「責任と権限」という3点の適正化が欠かせません。

日本のビジネスシーンでよく耳にする「報連相」ですが、そもそもは、どんな社員でも容易に報告・連絡・相談が行える風通しの良い職場環境を作るための手段として考えられたものです。しかし現代の企業においては、このような本来の目的を離れ、部下を自分に従わせるための手段として使われているケースが目立つように思います。誤った方法での報連相の推進は、従業員満足度を低下させる要因になりかねません。そのような場合、本来の目的を達成する方法を再検討するか、あるいは「報連相」のルール自体の廃止も検討するべきでしょう。

また、役職が上だから、職歴が長いからといって、職務以外のことに干渉するのはハラスメントの温床になります。そのようなリスクを未然に防ぐためにも、役職と職務の責任を明確に定義した上で、適切な権限(裁量権)を与えることが大切です。権限は限定的なのに責任だけ重いようだと就業意欲は低下しますから、権限と責任のバランスの適正化に努めましょう。

まずはこのように施策の「追加ではなく排除」という対策からはじめ、その効果を確認しながら次の施策を検討していくのが効果的かもしれません。

情報取得が容易な時代に、従業員に選ばれる企業になるには

ここまで説明したようなステップを踏み、実際に従業員満足度の向上につなげた企業は多数あります。例えば、戦後まもなく創業したあるビル施設管理会社では、昭和の雰囲気を強く残す古き良き企業として500人ほどの社員数を抱えながらも、近年は「離職率の高さ」と「新卒・中途採用社員の定着率の悪さ」に悩まされていました。この状況を改善するため、社内の従業員満足度を低下させている要因を調査した結果、「社歴の長いベテラン社員の発言権が強いこと」「役職と職務、責任と権限が曖昧になっていること」「新卒・中途採用社員とベテランの間に業務感覚のズレが生じていること」といった課題が見つかりました。この課題解決に向け「交通費および少額経費精算をワークフロー化する」という具体的な施策を打ち出し、その承認ルートを整備するために「役職と職務」「責任と権限」を適正化したほか、それまでの「報連相」に代わってワークフローシステムに業務報告機能を追加しました。このような対策により、離職率は早くも低下傾向を見せ始めているといいます。今後はこのワークフローシステムに情報発信機能も追加し、企業のビジョンや経営理念も発信していくことで、さらなる従業員満足度の向上を図っていくとしています。

各種SNSや動画配信サイトなどによる情報発信が盛んな今の時代、従業員も手軽に多くの情報を取得できるようになり、他社と比較することも容易になりました。同業種・業態の中では、給与面に大きな差がないことについて従業員側も把握しています。そのような中で従業員に選ばれ続けるためには、「労働環境の充実による従業員満足度の向上」への取り組みは不可欠といえるでしょう。自社の業種・業態や業務構造、収益構造、取引先や顧客などの関係を正しく捉えた上で、まずはどんな企業でも取り組みやすい「従業員満足度を低下させている要因の排除」から始めてみる。そのようにして従業員満足度を高めていけば、離職率の低下や定着率の向上はもちろん、業績アップや企業価値の向上も期待できるのではないでしょうか。

2023 / 07 / 28  05:00

売上拡大、利益確保はできた!では次に取り組むべきことは?【船井総合研究所が解説】

 

 

 

 

事業が軌道に乗り、一定の売上と利益が上がるようになってくると、経営者は次の一手を考える必要があります。しかし「次の一手」と言われても、具体的に何をするべきなのかがわからない方も多いのではないでしょうか。

 

考えられる選択肢はいろいろありますが、まずやるべきこととして挙げられるのが「社員の待遇面や、会社の組織力をもう一段階上げていく活動」。人材が最大の資本となるサービス業では特に、ここに力を入れないと倒産につながってしまいます。

 

今回は、船井総合研究所の大道 賢作(おおみち けんさく)さんに、利益確保の次に取り組むべきことについて、具体的に伺いました。

 


 

· 売上拡大、利益確保の次なる一手は?考えられる選択肢

 

· 施策1.事業拡大&事業転換にトライ

 

· 施策2.次の危機に備える

 

· 施策3.働きやすい職場環境の整備や社員教育

 

· 施策4.借入を減らすなどの財務状況をよくする

 

· 施策5.固定資産への資金投入

 

中小企業が売上拡大、利益確保の次にまずやるべきことを教えてください。

 

社員の待遇面や会社の組織力をもう一段階上げていく活動を推進しましょう。

 

例えば、営業利益が2,000万円ぐらい残る会社があったとしましょう。このとき、平均年収1,000万円の社員が10名いる場合と、平均年収300万円の社員が10名いる場合では、同じ2,000万円の利益確保だとしても状況はまったく違います。

 

近年、最低賃金の値上げが全国各地で行われるようになり「優秀な人にはお金を出す」という風潮が、日本企業にも少しずつ浸透しはじめている状況です。そのため社員の待遇を改善しなければ、長く働いてもらえなくなる可能性が高いと考える必要があります。

 

特にサービス業などの場合、人材が最大の資本になりますから、重要度は高いです。労働集約型のビジネスモデルなので、人材がいなくなると売上や利益を確保できなくなり、倒産してしまいます。

 

例えば、美容師業界においては、30歳前後で退職される方が多い傾向にあります。低賃金が課題となっている業界のため、結婚や出産などを機に、別の業種へ転職する方が増えることが主な理由です。その結果、新しい人材を採用して、育成するためのコストが実は多く必要となり、これは大きな課題といえるでしょう。

 

したがって、中小企業は利益が確保できているときこそ、社員の待遇面を改善し、長期的に働いてもらえるようにすることが大切と考えてください。

 

上記以外でやるべきこととしては何が考えられますか?

 

事業拡大や事業転換に取り組むこと、次なる危機に備えることなどが考えられます。また、借金を減らすなどの財務状況を改善する施策や、固定資産への資金投入なども重要ですから、余力があるタイミングで取り組んでいきましょう。

 

 

 

今後も新たなウイルスや自然災害など、未知のトラブルに遭遇する可能性もあります。こうした危機に向けて、中小企業が備えておくべきことを教えてください。

 

今後も、どのような事態が発生するかは予測できません。対策として、拠点や展開エリア、展開している事業内容など、ビジネス資産をある程度分散させることから始めてください。

 

例えば将来、南海トラフ地震が起こった場合、太平洋側の拠点が全滅したとしても日本海側の拠点は無事というケースも想定されます。また、ウイルスの影響などで外出できなくなる場合には、オフラインとオンラインといった真逆のビジネスを準備しておくと、いざというときに有効でしょう。

 

現業がある程度安定してきた段階で、同じ事業だけで100%の収益を上げるのではなく、例えば30%は違う事業で収益を上げられるようにしておくことが、リスク分散の観点において重要なポイントと考えてください。ただし、実際にはどのようなトラブルが発生するかを完全に予測することはできないため、内部留保や緊急時に損害を最小限に抑え、事業継承や復旧を図るための事業継続計画(BCP)を推進することも必要でしょう。

 

 

 

会社の組織力をもう一段階上げていく活動として、具体的にどのようなことを実行すればよいでしょうか?

 

会社の目指す方向性に独自性を持たせることに取り組んでください。待遇面や福利厚生なども重要ですが、会社に対する帰属意識を高めないと、他に良い条件の同業が出てきた際には離職となり得る可能性が高いためです。

 

会社の独自性や経営理念に社員が共感していると「ちょっと給料は安いけど、やっぱりこの会社がいい」と考えるケースも多くなります。特にサービス業などは、どの会社も本質的な提供価値に大きな違いはありませんから、何を大切にし、今後どんな価値をお客さまに提供していく会社になっていくのかという将来像を明確化しておくことが、人材の採用や育成において非常に重要なポイントになります。

 

先日、ある美容室に取材した際に聞いた話ですが、昔は学生受けしそうな経営理念を打ち立てて、採用の母集団が非常に多い状況だったそうです。しかし、その美容室は人を育てるのに時間とお金を使った後に、一定数の離職が毎年発生してしまうことが課題でした。

 

その後、自社の経営理念を整理し、大切にしたい価値を可視化して採用活動を行うことによって、募集数は少なくなりましたが、今までと同程度の人数の理念に共感した方が入社してくれるようになりました。かつ、入社まで残ったメンバーの離職率低減を実現できたそうです。やはり、事業を次のステージに上げたいときには、採用する人材の質を向上させることが必要です。

 

また、評価制度を見直し、社員が「正しく評価されている」と感じるしくみを作ることが、長く継続して働いてもらえることにつながるのです。評価や給与制度の見直しも含め、人材への投資は不可欠と考えてください。

 

借入が多い企業は整理しておいたほうがよいと思いますが、具体的には何から始めるべきでしょうか?

 

借入が多くても計画的に返済ができていて、計画的に会社にキャッシュが溜まっていっていれば、大きな問題にはならないと思います。しかし、売上や利益が伸びているにもかかわらず、会社にお金が残らない状況の場合は、今の資金繰りを見直す必要もあるでしょう。借入の仕方、返済の計画、金利の条件などを見直したり、業績が伸びたりすることで金融機関からの格付けが上がり、現状に合わせた条件に変更してもらえる可能性もあります。また、そのような情報をしっかり整理するために、経営者自身がファイナンスの知識を高めておくことも大切です。

 

用車や開発機材などの設備投資を固定資産にすることによって、中小企業が得られるメリットを教えてください。

 

設備や機器などを固定資産化して減価償却することにより、手元に残るキャッシュが増える点はメリットとなります。また、会社の資産として残せることや、節税効果も期待できるでしょう。

 

社内の状況を的確に把握したうえで事業拡大や人材確保、リスク管理、財務状況の改善や固定資産への資産投入などの取り組みを続けることが企業成長につながります。積極的に動くことが成果を出す近道と考え、前向きに動くことを意識していきましょう!

 

 

2023 / 07 / 27  05:00

【インボイス制度】免税事業者から課税事業者になった場合、消費税の計算期間はいつから?計算方法は?適格請求書発行事業者の登録申請について税理士に聞いてみた

 

 

 

インボイス制度の影響を受け、免税事業者から課税事業者になると、今までなかった「消費税の申告・納付」が必要になります。では、いつからいつまでが消費税の計算期間なのか。それは「いつ課税事業者になったか」によって異なります。

インボイス制度が及ぼす影響、適格請求書発行事業者の登録申請をしたらいつから課税事業者になるのか、消費税の計算方法などを、未来会計FAMZ 代表の岡崎 純也さんに伺いました。

インボイス制度の影響を受け、免税事業者から課税事業者になった場合、いつからいつまでの消費税を計算・申告納付する必要があるのでしょうか。

2023101日から課税事業者となるなら、個人事業主の2023年分の消費税は2023101日~1231日の3か月分が計算期間になります。2024331日までにその3か月分の消費税の申告と納付をします。2024年以降は所得税と同じく消費税も11日~1231日が計算期間になります。法人は2023101日から期末までが計算期間です。期末の翌日から2か月以内に申告・納付を行います。

2023101日より後に課税事業者になる際は、通常どおり消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があります。このケースでは翌期から消費税が発生します。

2023930日までに登録申請すれば、消費税課税事業者選択届出書を提出しなくても2023101日から課税事業者になることができるのですが、逆に、この登録期間中に消費税課税事業者選択届出書を出すと、翌期から課税事業者となり消費税が発生します。

インボイス制度の適用を受けるために課税事業者になりたいが、できるだけ消費税の免税期間を長くしたいという方は、登録申請期間中に消費税課税事業者選択届出書を提出しないよう、注意してください。

消費税の課税方法には原則課税と簡易課税がありますが、新たに課税事業者になったらどちらで計算すればよいのでしょうか。

原則課税と簡易課税はどちらの選択をするかによって税額が変わるので、有利な税額になる方を選択するとよいです。これは実際に計算して、どちらが有利かを判断するしかありません。

原則課税は、預かった消費税と支払った消費税の差額を納付する方法なので、例えば1,100円が預かった消費税で600円が支払った消費税であれば、差額の500円を納付することになります。取引量が多くなればなるほど、計算量も多くなり手間がかかります。

簡易課税は、小規模な事業者(基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者)が「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することで、適用できます。業種ごとに仕入税額控除ができる割合が決まっていて、売上金額にその割合をかけて計算します。支払い分の消費税を計算しなくてもよいという点で簡易的な方法といえます。

ただし、仕入税額控除できる割合が業種ごとに区分されているといっても1つの会社について1つの業種と決まっているのではなく、1つの会社のこの取引は1の区分の業種、別の取引は3の区分の業種というように、取引ごとに業種が決まります。

例えば、中古車販売の会社があるとすると、車を購入して売ることになるわけですが、売る相手先が業者なのか個人なのかで区分が違います。さらに、自動車保険の代理店をやっていて手数料収入があるとなると、売る相手先により手数料収入も区分する必要があります。

このように取引の相手にさまざまな区分の業種があると、原則課税より簡易課税を選択する方が複雑になる可能性もあります。

通常は、消費税簡易課税制度選択届出書は、課税期間の始まる前日までに提出する必要があり、消費税の申告時に提出すると原則課税のままになってしまいますが、インボイス制度の開始時には特例があります。免税事業者が登録期間内に登録して課税事業者となる場合は、消費税簡易課税制度選択届出書をその課税期間中、つまり20231231日までに提出すれば、簡易課税制度を適用することができます。

初めて消費税の計算を行うのは大変そうですが、消費税計算のポイントや消費税申告の際の注意点を教えてください。

まず、会計ソフトを利用していない場合には、計算やチェックに非常に手間がかかりますので、おすすめできません。

そのうえで会計ソフトの入力時の注意点ですが、消費税の計算では仕訳の入力時に、消費税の対象かどうかを自分で判断しなければなりません。例えば接待交際費は、店で飲食をすると消費税の対象になりますが、お祝い金を現金で払うと消費税の対象にはなりません。消費税の対象となるかどうかの判断は、会計ソフトの勘定科目にひも付けられた自動入力だけでは完結しないので、自分で必ず確認しましょう

次に、消費税の納税についての注意点です。免税事業者が課税事業者になると、新たに消費税の納税義務が生じ、今までは必要なかった納税資金が必要になります。このことを念頭におかないと、いざ納税するときにお金が足りなくて困る、ということになりかねません。

例えば55万円の売上があったとして、今までは55万円の全額を収入として考えることができたわけですが、課税事業者になると5万円は預かった消費税のため、仮に仕入税額控除できる割合が50%だとすると、25,000円については納税資金と考える必要があります。この25,000円は、納税資金用の口座を作り預けるなどの方法で、消費税の納税に備えるとよいでしょう。

消費税の納税が遅れると、延滞税などのペナルティがかかります。どうしても遅れそうな場合には、事前に税理士に相談していただければ、税務署との交渉の場に付き添うことが可能です。

一度登録事業者になったものの、やはり消費税の納税が大変なので登録を取り消したいと思ったら、どうすればよいのでしょうか。

適格請求書発行事業者の登録を取り消す際は、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を税務署に提出することで、提出した日の翌課税期間から、登録事業者でなくなります。課税事業者から免税事業者になるためには「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出も必要です。

ただ、課税事業者のまま単に適格請求書の発行をしたくないだけであれば、その発行を行わなければよいだけなので、あえて登録を取り消す必要はないかと考えられますが、あまり想定されないパターンですね。

所得税の確定申告は自力で行い、消費税の申告だけ税理士に依頼することは可能でしょうか。

クラウドで会計ソフトを共有していたり、同じ会計ソフトを使っていてデータを見られる場合は、消費税コードのチェックや訂正などをすることはできます。しかし、所得税の計算は、消費税の計算があった上でのものです。既に所得税の計算が終わった後で消費税のチェックと訂正をすることはできず、消費税の集計だけを行うことは厳しいでしょう

2023 / 07 / 25  05:00

インボイス制度開始で免税事業者がとるべき対応とは?

 

 

2023101日より、「インボイス制度」が導入されます。インボイス制度は消費税の仕入税額控除に関わる制度ですが、消費税の申告義務がない免税事業者にも大きな影響を及ぼす可能性があります。ところが、免税事業者の中には、「インボイス制度によって何が変わるのかわからない」「インボイス制度開始までにどのような対応をとれば良いのだろうか」と、戸惑う方も少なくないことでしょう。
本記事では、インボイス制度が免税事業者に与える影響や、インボイス制度導入後に免税事業者のままでいるケースと課税事業者になるケースのメリット・デメリットについて解説。併せて、免税事業者が課税事業者になるために必要な手続きなどについてもご紹介します。

 

目次

そもそもインボイス制度とは?

インボイス導入で記載すべき7項目

消費税の免税事業者のままでいるメリット・デメリット

免税事業者が消費税の課税事業者になるメリット・デメリット

ンボイス制度導入後の経過措置

消費税の免税事業者が課税事業者になるために必要な手続き

簡易課税方式を選択すれば、納税の事務作業負担が軽減できる

弥生のクラウドアプリなら、無料でインボイス制度に対応

 

そもそもインボイス制度とは?

インボイス制度は正式名称を「適格請求書等保存方式」といい、請求書などの交付や保存に関する新たな制度です。インボイス制度が始まると、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、登録番号や適用税率、消費税額といった定められた項目が記載された適格請求書(インボイス)が必要になります。

仕入税額控除とは、売上にかかった消費税額から仕入にかかった消費税額を差し引いて、実際に納付する消費税額を求める仕組みのことです。例えば、年間の売上額が2,200万円(うち消費税200万円)、仕入額が1,100万円(うち消費税100万円)の企業があったとしましょう。この場合、仕入税額控除が適用されると、売上にかかる消費税額200万円から仕入にかかる消費税額100万円を引き、差額の100万円を申告・納付することになります。

仕入税額控除が受けられない条件

インボイス制度導入以降、課税事業者は仕入先からのインボイスがないと、原則としてこの仕入税額控除を受けられなくなります。そして、インボイスを交付できるのは、適格請求書発行事業者の登録を受けた課税事業者のみです。つまり、免税事業者は適格請求書発行事業者の登録ができず、インボイスも交付できないということになります。

自身が免税事業者で、取引先が課税事業者だった場合、インボイス制度が導入されると取引先は仕入税額控除が受けられなくなります(実際には段階的な経過措置がありますが、経過措置については後述します)。

仕入税額控除が受けられないため、免税事業者との取引は打ち切られる可能性が

前述の例でいえば、仕入税額控除が適用されると100万円だった消費税の納税額が200万円になり、その分利益が減少します。そのため、課税事業者(買手側)は、仕入先の事業者(売手側)にインボイスの交付を要請するでしょう。

ところが、仕入先の免税事業者は要請されてもインボイスを交付することができません。もし、取引先が仕入税額控除を重視するのであれば、他の課税事業者との取引に切り替える可能性があります。
インボイス制度が免税事業者に影響を与えるといわれているのが、まさにこの点です。課税事業者と取引のある免税事業者の多くは、インボイス制度導入後も免税事業者のままでいるか、インボイスを交付できる課税事業者になるか、検討と選択を行う必要があるでしょう。

インボイス導入で記載すべき7項目

課税事業者が仕入税額控除を受けるために必要なインボイスとは、どのようなものなのでしょうか。
インボイスは、従来の請求書に比べて記載しなければならない項目が増えます。インボイスに記載が必要な項目は、下記のとおりです。

インボイスに記載すべき項目

  • インボイス発行事業者の氏名または名称(1
  • 取引年月日(2
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)(3
  • 交付先の相手方(売上先)の氏名または名称)(4
  • 登録番号(5
  • 税抜価額または税込価額を税率ごとに区分した合計額及び適用税率(6
  • 税率ごとに区分して合計した消費税額等(7

 

 

 

消費税の免税事業者のままでいるメリット・デメリット

インボイス制度導入後も免税事業者のままでいると、どのような影響があるのでしょうか。メリットとデメリットに分けて考えてみましょう。

免税事業者のままでいるメリット

免税事業者のままでいれば、これまでと同様に消費税の納付が免除されます。消費税の確定申告を行う必要もありません。

免税事業者のままでいるデメリット

前述したとおり、インボイス制度導入後は、インボイスがないと原則として仕入税額控除を受けることができません。そのため、取引先が課税事業者の場合、インボイスを交付できない免税事業者は、取引金額の値下げを求められたり取引自体を打ち切られてしまったりする可能性があります(ただし、後述のとおり激変緩和の観点から、インボイス制度導入後の一定期間について、免税事業者からの課税仕入であっても一定割合を仕入税額控除できる経過措置が設けられています)。

商品などを販売する相手が一般消費者である場合や、取引先が免税事業者である場合は、売手側が免税事業者であっても取引に影響はありません。なぜなら、一般消費者や免税事業者は仕入税額控除を行わないので、インボイスがなくても問題ないからです。
また、買手側の取引先が課税事業者でも、簡易課税制度を選択して消費税の計算をしている場合は、インボイスがなくても仕入税額控除が受けられるため、取引に影響はないでしょう。

免税事業者が消費税の課税事業者になるメリット・デメリット

免税事業者が課税事業者になり、適格請求書発行事業者の登録を受けた場合には、次のようなメリットとデメリットが考えられます。

課税事業者になるメリット

免税事業者から課税事業者になり、インボイスを交付できるようになれば、課税事業者との取引が継続する可能性が高いでしょう。仕入先(売手側)からインボイスが交付されると、買手側は仕入税額控除が問題なく受けられます。ですから、インボイス制度が導入されたとしても、仕入先に値下げを求めたり取引自体を見直したりする必要がありません。場合によっては、適格請求書発行事業者になることで取引の拡大につながるかもしれません。

課税事業者になるデメリット

課税事業者になると、それまで納付を免除されていた消費税を納めなければならなくなります。そのため、消費税額を計算して確定申告をする手間や、納税の負担が発生します。また、従来の請求書に一定の記載項目が追加されたインボイスを作成して、取引先に交付しなければなりません。インボイス制度に対応した請求書発行システムの導入なども検討する必要があるでしょう。
なお、前述したとおり、販売先が一般消費者などの場合はインボイス制度による影響はありません。取引先の状況なども見極めた上で、課税事業者になるかどうかを決めるといいでしょう。

 

インボイス制度導入後の経過措置

インボイス制度導入後の6年間は、激変緩和の観点から、仕入税額控除についての段階的な経過措置があります。具体的には、2023101日~2026930日までは、免税事業者等からの課税仕入であっても、仕入税額相当額の80%、2026101日~2029930日までは50%の控除が可能です。
前述したメリットとデメリットを理解した上で、経過措置の間に課税事業者になるかどうかを検討するのも1つの方法です。

消費税の免税事業者が課税事業者になるために必要な手続き

免税事業者がインボイス制度に対応するには、課税事業者となるための「消費税課税事業者選択届出書」と、適格請求書発行事業者となるための「登録申請書」を、納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。ただし、2023101日から2029930日まで日の属する課税期間中に登録事業者として登録を受ける場合、免税事業者は、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要はなく、登録申請書のみで課税事業者となる経過措置が設けられています。

2023101日のインボイス制度開始から適格請求書発行事業者になりたい場合には、原則として2023331日までに届出をする必要があります。登録には、税務署の一定の審査期間を要するため、余裕を持って提出しましょう。

適格請求書発行事業者の登録申請書の提出

適格請求書発行事業者の登録を受けるには、適格請求書発行事業者の登録申請書を記入し、納税地を所轄する税務署に提出します。たとえ課税事業者であっても、税務署から適格請求書発行事業者の登録を受けなければインボイスの交付はできないので注意しましょう。
登録手続きは2021101日より既に開始されています。また、2023101日のインボイス制度開始から適格請求書発行事業者になるには、原則として2023331日までに適格請求書発行事業者の登録申請書の提出が必要です。

適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)

 

消費税課税事業者選択届出書の提出

消費税課税事業者選択届出書は、免税事業者が自らの意志で課税事業者になるときに提出する書類です。基本的には、適用を受けようとする課税期間の初日の前日(事業年度の最終日)までに、納税地を所轄する税務署長に提出します。

ただし、インボイス制度導入に伴い、2029930日までは、前述したとおり適格請求書発行事業者の登録申請書を提出した場合、消費税課税事業者選択届出書を提出しなくても自動的に課税事業者になります。また、2023331日までに適格請求書発行事業者の登録申請書を提出すれば、インボイス制度が開始される2023101日から課税事業者かつ適格請求書発行事業者として適用が受けられます。

なお、令和5年度税制改正大綱において、インボイス制度について、いくつかの見直しが示されております。
それにより、2023331日の期限を過ぎても、202341日から2023930日までの登録申請は、特に追記なしでインボイス制度開始の202310月1日を登録開始日として登録されます。
しかし、インボイス制度への対応には申請者の各種準備が必要となるほか、登録通知が届くまで一定の期間を要することに変わりはありません。そのため、インボイス制度への対応で登録判断をされた事業者の方は、お早めの申請をおすすめします。

また、税制改正大綱をもとに作成された税制改正法案の国会での可決・成立後に公布と施行となりますので、決定事項ではありませんので、ご注意ください。

なお、免税事業者から課税事業者に切り替えるには、消費税課税事業者選択届出書を提出して、自ら課税事業者になる場合か、あるいは基準期間または特定期間の課税売上高が1,000万円を超えて消費税の申告義務が発生する場合になります。なお、課税売上高に代えて、特定期間中に支払った給与等の金額により判定することもできますので、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等支払額が1,000万円を超えていなければ、給与等支払額により免税事業者と判定することができます。

ちなみに、基準期間とは前々年の事業年度(個人事業主は前々年の11日~1231日)、特定期間とは前年の事業年度開始の日以後6か月間(個人事業主は前年の11日~630日)を指します。
この場合は、消費税課税事業者届出書(基準期間用または特定期間用)を所轄の税務署長に速やかに提出し、課税事業者になる手続きを行わなくてはなりません。自ら課税事業者になる場合とは提出書類が異なるので注意が必要です。

消費税課税事業者選択届出書

 

 

簡易課税方式を選択すれば、納税の事務作業負担が軽減できる

基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、消費税の計算において「簡易課税方式」を選択することができます。簡易課税方式とは、課税売上高にかかる消費税額に業種ごとに定められた「みなし仕入率」を掛け、その金額を仕入などにかかった消費税額としみなして計算する方法です。売上にかかる消費税額を基礎として仕入にかかる消費税額を算出することができるので、納税にかかる事務作業を軽減できるというメリットがあります。

この簡易課税方式を選択するためには、原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに消費税簡易課税制度選択届出書を税務署に提出する必要があります。
ただし、2023101日から2029930日までに適格請求書発行事業者の登録を受けて免税事業者から課税事業者になった場合は、その課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、課税期間の開始と同時に簡易課税制度を適用することができます。

例えば、免税事業者である個人事業主が2023331日までに適格請求書発行事業者の登録申請書を提出して、2023101日のインボイス制度開始から課税事業者かつ適格請求書発行事業者になったとします。この場合は、課税期間末日である20231231日までに、2023年から適用する旨を記載した消費税簡易課税制度選択届出書を税務署に提出すれば、2023101日から簡易課税方式が適用されます。簡易課税方式を選択したいと考えている場合は、手続きを忘れないようにしましょう。

 

2023 / 07 / 24  05:00

無駄な会議をしていませんか?「ダメ会議」を「企業の成長につながる会議」に変える方法

 

 

 

「この会議って、参加する意味ある?」と社員が感じてしまうような会議をしていませんか?会議が単なる「報告会」や社長が一方的に話す「演説会」になっている場合、会議を良いものに改善する余地があります。

中小企業の場合は特に、質の高い会議を短時間で効率よく行うことが、企業成長の鍵です。そこで今回は、生産性を向上させる会議改善などを行う、株式会社CHEERFULの沖本 るり子さんに、中小企業における会議の生産性を向上するためのポイントなどについてお話を伺いました。


目次

· 当てはまると危険!生産性の低い「ダメ会議」とは

· そもそも会議とは何をするべき場?

· 会議の生産性を上げるために中小企業が取り組むべきこと

· 会議の在り方を見直す際の「?」を解決するFAQ

当てはまると危険!生産性の低い「ダメ会議」とは

 

「無駄な会議」とはよく聞きますが、生産性の低い会議とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

参加者のほとんどの方が、最初から駄目な会議だと思って参加していることが、生産性の低い会議の特徴です。しかし、実際には会議自体が駄目なのではなく、参加している方々が生産性を低下させているだけだと思います。自主性がなく、依存する形で参加しているため、結果的に良くない会議になるわけです。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

·    目的や目標のない会議

·    目上の人ばかり話す会議

·    意見を言うと駄目だしばかりされる会議

·    脱線ばかりする会議

·    時間管理がいいかげんな会議

会議とは、関係者が集まり議論し、今後の方針や課題に対する取り組み方を決める場であるはずなのに、駄目な会議を行っている参加者は「何のために自分が、今ここにいるのだろう……」と感じがちです。なんとなく参加して、終わったときにどうなっているのかが不明確な目的や目標のない会議を行っていると、そのように感じる参加者が多くなります。

また社長や上司、先輩など、目上の方ばかり話している場合は、他の参加者が黙って聞くだけの会議になることが多いでしょう。意見を言っても、否定されることが多くなると、参加者は「何か意見を言えというから言ったのに、駄目だしばかりされる。もう何も言わない」と考えるようになり、会議の質が低下します。また何かを提案した際、すべて自分に押し付けられるようになると「言った人が損をする」という雰囲気になるケースも多いでしょう。

そしてもう一つ陥りがちなのが、会議ではなくミーティングになってしまうケースです。ミーティングは会議とは違い、情報共有やアイデア出しなどを行う場となります。

なぜ、そのような事態に陥ってしまうかというと、全般的なルーズさが原因といえるでしょう。時間の管理がルーズな会議を行っていると、開始時間が遅れたり、参加者も遅れてきたりするため、終わりの時間もずるずる長引くケースが多いです。

このような会議では何も生まれないことが多く、生産性は非常に低いと言わざるを得ません。脱線が多く、本来決めるべきことが決まらないため、会議ではなくミーティングとなってしまうのです。

会議がダメになる原因や背景を教えてください。

会議のあり方ややり方を、そもそも間違えているケースが多いと感じています。正しい会議を知らないため、わからないまま何となく続けているケースが多いです。

上司が開催している会議になんとなく参加し、自分が上司になったときも同じような形式で開催することが多く「会議は無駄なもの」という考え方をそのまま継続することも、駄目な会議が多くなる背景にあると思います。

また会議の場において、参加者全員で生産性を上げる取り組みを行うのではなく、個々の参加者同士の戦いの場になっているケースも多いです。相手の意見より自分の意見のほうが正しいことを証明できると、評価が上がる企業もあります。そのような場合、ただ相手を蹴落とすだけの会議になりがちです。こうなってしまうと、会議で生産性を向上させることは、非常に難しい状況といえるでしょう。

そもそも会議とは何をするべき場?

 

会議とは本来何をするべき場なのでしょうか?

会議とは、本来企業の生産性を上げるためのツールです。したがって、効果が出るように有効活用するべきものです。

しかし有効活用できている企業は非常に少ないため、成果を出し続けられず、成長につながりません。

まずは会議が何を実現するためのツールであるかを理解し、参加者全員が有効活用できるようになることが重要と考えてください。

会議の生産性を上げるために中小企業が取り組むべきこと

 

会議の生産性を上げるために中小企業が取り組むべきことを、いくつか紹介してください。

中小企業は従業員数が少ないため、スピードが大切です。ゆっくりしている時間はないので、時間当たりの質を向上させるアプローチが必要になるのです。

そのためには、会議を実施する前に以下3つのチェックポイントを確認し「その会議は本当に必要かどうか」を判断しましょう。

·    会議の目的は明確か?

·    会議の目標は明確か?

·    会議以外の方法では駄目なのか?

具体的な流れは、どのようなものになるのでしょうか。

会議の実施が必要だと判断した場合、まず制限時間を設けます。制限時間を設定する際には会議の始まりと終わりだけでなく、議題ごとに分刻み、あるいは秒刻みにすることが重要です。

例えば年末の紅白歌合戦は、毎年2345分に必ず終わらせなくてはいけません。終盤には大物歌手が出てくるため、歌わせずに終わることは絶対に許されない状況です。

これは、会議も同様です。すべての議題について話しあうためには、時間配分を適切に行う必要があります。複数の議題がある場合は、時間を細かく刻んでタイムスケジュールを組みましょう。そして、その通りに進行することが非常に重要です。

次に「会議を参加者全員で動かす」という意識を持つことも必要です。そのために以下3つの役割を、参加者の持ち回りで担当します。

·    進行係

·    記録係(メモ係)

·    時間係

例えば、何時何分の項目についてはAさんが進行係、次の項目はBさんが記録係など、順番に割り振っていきましょう。そして11つの議題に対して、全員が意見を出すことも必須です。

すると、議題ごとに1人当たりの話せる時間が明確に決まるため、同じ人が長々と話せなくなります。制限時間になったら時間係が話を区切り、順番に回していけばよいのです。

記録係が議事録をリアルタイムに作成すれば、すべての意見が記録されるため、会議に参加する意義も高くなります。

最近はWeb会議を実施するケースも増えていますが、Web会議ならではの生産性を向上させる方法があれば教えてください。

Web会議では、チャット機能の使用を禁止しています。Web会議は「話す・聞く・見る」が基本です。チャット機能を使うと、見たり入力したりする手間が発生するため、集中力が分散されます。

また、無駄なオーバーアクションも必要ありません。例えば「Yesのときはこういうアクションをしましょう」といった、ルールを決めるケースもありますが、参加者が疲れるので実施しないほうがよいです。Web会議では「聞こえている・見えている・わかっている」を前提に考え、わからないときだけ質問をする形で進めましょう。

そして、Web会議ならではの「ミュート機能」を活用することも有効です。制限時間が来たら、ミュート機能で話者のマイクをオフにします。もちろん、事前に参加者へ伝えておくことが前提です。

最初は、違和感を覚える人もいるかもしれませんが、徐々に慣らしていけばいいのです。「時間内に話さないと自分の意見が反映されない」と、参加者に自覚してもらうことが大切と考えてください。Web会議で慣れておけば、リアルな会議でも同様のことが実施しやすくなるでしょう。Web会議を、会議の進め方を変えるチャンスと捉えることが重要です。

ここまでのお話もふまえ、中小企業が会議の生産性を上げるために、まず何から取り組むべきでしょうか?

先述のとおり、会議の生産性を向上させるためには、対面の会議もWeb会議も制限時間を決めることから始めてください。簡単なことのようですが、高い効果が期待できるので、おすすめです。限られた時間内に伝えたいことをすべて話せるように発言者も準備するようになりますし、聞く側の集中力もキープしやすくなります。

会議の在り方を見直す際の「?」を解決するFAQ

情報共有の場としての会議もよくあると思いますが、そもそも必要なのでしょうか?

必要か不要かと言われれば、必要です。ただし、他に方法がない場合に限ると考えてください。

情報共有は必要ですが、実施する方法は掲示板やメールなど、さまざまな手段がある時代ですから、効率化のために本当に会議をするべきか見極めることも重要です。

さまざまな方法を検討し、それでも全員で集まって情報共有をしなければいけない場合に、会議を実施するとよいでしょう。

「会議」を軸に考えるのではなく「効率化を図るために何をすべきか」を検討することで、より正しい判断ができるようになりますよ。

中小企業の会議では社長ばかり話しているケースも散見されますが、この問題を解決する方法はありますか?

まず社長に対して、事前に制限時間があることを伝えておくことが必要です。例えば「今回の制限時間は2分なので、時間になったら打ち切ります」と伝えておきましょう。事前に伝えず、話しているときに遮ってしまうのはNGです。

次に、制限時間を知らせる際には、音を鳴らすことも重要なポイントです。そのため、キッチンタイマーなどの使用をおすすめします。できるだけ、大きな音が鳴るものを選びましょう。

そして話が終わった後、全員で拍手喝采することが、話を早く終わらせる一番のコツです。拍手には「話の内容がすごくよかった」「時間が来たのでやめましょう」という2つの意味が含まれます。

拍手喝采されると、話している側も「もういいか」とやめる気持ちが強くなるため、全員で実施してください。

 

質の高い会議は、企業成長に大変有効です。自社で行っている会議は、実際にはどうでしょうか。社長が一方的に話すだけの会議や、資料を読み合わせるだけの会議が行われている場合は、その会議が本当に必要か、ぜひ見直してみてください。

 

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2024.04.25 Thursday