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【トップの視点】V字回復を果たしたドムドムハンバーガー社長に聞く!「思いやり経営」で結果を出す組織を作る
景気の停滞、人口減少――。さまざまな環境変化の中で、時代に合わせた事業展開をどのようにしていけばよいのか、頭を抱える経営者も多いのではないでしょうか。
今回は日本最古のバーガーチェーン店「ドムドムハンバーガー」をV字回復させた、ドムドムフードサービス社長 藤﨑 忍さんに、自身の経験から学んだ「結果を出す」経営術や、心がけている習慣、独自性のある企画を生み出すチームづくりについてお伺いしました。
39歳まで専業主婦だったという藤﨑さんが109のアパレルショップ店員、居酒屋の店主という異色の経歴を経て同社の社長に就任したのは2018年のこと。ユニークなアイデアで当時のドムドムのイメージを覆し、さまざまな施策で黒字化を実現しました。ぜひ、経営戦略や組織づくりの参考にしてみてください。
目次
経営における「リーダーとしての信条」を教えてください。
リーダーとして、具体的に行っていることを教えてください。
ドムドムハンバーガーをどのようにV字回復させたのでしょうか。
ドムドムハンバーガーでの経営手法について教えてください。
経営課題にはどのように対応すべきでしょうか。
コロナ禍を経て、改めてリーダーは何をすべきでしょうか。
経営における「リーダーとしての信条」を教えてください。
私はこれまでの経験から「和をもって事を運ぶ」「尊重と思いやり」を、経営における信条に掲げています。
2018年にドムドムハンバーガーの社長に就任しましたが、その前にSHIBUYA109のアパレル店に勤務していました。当時の私は39歳の元専業主婦。それまでの人生でかかわることのなかった、いわゆる「ギャル」と呼ばれるスタッフたちとコミュニケーションを取る中で、それぞれの捉え方や考えがあるということに気づかされたのです。
固定観念に捉われず、仕事へ対する思いや「渋谷のカルチャー」を担う彼女たちへのリスペクトを伝えていくにつれ、彼女たちもまた私を尊重してくれるようになり、チームで店づくりをしよう!と積極的に参加してくれるようになったのです。その結果、売上は大きく拡大しました。
この経験から、私は「良い組織であることが、どれほど重要か」を学んだのです。性別や年齢に捉われず相手を尊重する姿勢は、組織の大小にかかわらず非常に重要となります。
リーダーとして、具体的に行っていることを教えてください。
一人ひとりとのコミュニケ―ションを大切にしています。特に社長に就任した当初は、自分自身を従業員に理解してもらうために、各店舗に足を運び、何気ない会話を積み重ねました。些細なことでも互いに言い合える関係性を築けるだけでなく、各店のオペレーションなどの改善点も明確になるので、社員とのやり取りは重要なアプローチです。
現在でも、毎朝の雑談で相手の変化を察知したり、対面でない場合は、些細な内容のメールにも必ず返信したりと、小さな積み重ねを大切にしています。
ドムドムハンバーガーをどのようにV字回復させたのでしょうか。
「ドムドムハンバーガーとはどんな会社なのか」を明確に把握したうえで、これまでの概念とは異なるイメージを打ち出しました。声優やアパレルブランドとのコラボイベントを企画した際は、社内の各所から反対意見が相次ぎましたが、結果として企画は大成功しました。新しいチャレンジを繰り返し、新たな顧客層を獲得できたことが業績回復の直接的な要因として挙げられるのではないでしょうか。もちろん、ハンバーガー店として「おいしい」を原点に置き続けていますが、固定概念に捉われない取り組みが、今の「ドムドムハンバーガー」らしさを築いたのです。
帽子やバックパックだけでなく、ポロシャツやパーカーなども展開している
また、SNSを活用したことも大きいでしょう。ドムドムには、歴史あるハンバーガーショップとして愛着や期待を持っていただいているファンも多くいらっしゃるのですが、そういった方々とSNSを通してより親密になることで、ドムドムを一緒に作り上げていく動きが加速しました。結果として、お客さまに寄り添いながらブランドを育むことに成功し、さらなるファン獲得へとつながりました。
ドムドムハンバーガーの独創的なハンバーガーはもちろん、公式アカウントのアイコンでもある「どむぞうくん」が多くの方に愛されるようになったことには、驚きと嬉しさを感じました。現在では、企画立案は各担当者を中心に行いますが、固定概念に捉われない思考は、会社の文化として根付いています。互いを尊重し合い、従来の枠にはまらない思考を持つことこそが、売上拡大の核心にあると考えています。
ドムドムハンバーガーでの経営手法について教えてください。
ドムドムらしさを体現する柔軟な企画の数々は、各社員が担当していますが、文字通り各社員に裁量を委ねています。企画立案時に求める条件も、特に定めていません。大切なのは本質であり、企画者の熱量です。熱量があればより熟考しますから、自ずと責任感も強まりますし、説得力も増します。数字はその結果として後からついてくるものですから「考え抜いた企画がまったく売れないことはない」と、企画者を信じ抜くことが大切です。
もちろん、経営の視点では費用対効果を考慮する必要はありますが、当事者に対して売上至上主義を求めることはしません。会議においても、アイデアに異を唱えることはあっても、アイデアを出した人物を否定したり、頭ごなしに「却下」と伝えたりすることはありません。そのような環境があるからこそ、社員からは次々にやりたいこと、言いたいことが出てきます。柔軟性に富んだ企画が次から次へ出てくる企業文化を築くうえで、重要な経営手法といえるでしょう。
経営課題にはどのように対応すべきでしょうか。
そもそも、ドムドムでは「課題」という言葉は使いません。数字はもちろん、社員やお客さまの声、あらゆる事象を成功へのヒントと捉え、考察後その場で指針を決定し、スピード感を持って実行します。実際に行動する際は私の意見も伝えたうえで、最終的な意思決定を担当者に委ねています。結果が振るわなくても、それは失敗ではありません。スピード感を持って常に改善を続けていけば、その道中で得た知見やノウハウは必ずあり、その集積が次につながるのです。
コロナ禍を経て、改めてリーダーは何をすべきでしょうか。
今一度、自社がどんな会社なのか、自分に合う経営スタイルは何なのかを、立ち止まって考えてみる必要があると感じています。多様性の時代ですから、企業それぞれのスタイルやリーダー像があると思いますが、経営理念に反してさえいなければ、いろいろな取り組みを積極的に行ってみるのもいいでしょう。
最初から上手くはいかないかもしれませんが、事象に対して1つ1つ対策を打ち、社員を信頼して少しずつ前進してみてください。それこそが、前途洋々たる未来への近道です。きっと、できることはまだたくさんあります。1人で対応しようとせず、社員とその歩みを積み重ねていくことこそが、リーダーの在り方なのではないでしょうか。
今こそ押さえておきたい補助金<事業管理>のポイント
補助金に採択された事業の管理のポイントについて専門家が解説します。
補助金、助成金(経営Q&A) 補助金・助成金
Question
補助金に採択され喜んでいましたが、補助金事務局から渡された「補助事業の手引き」等の資料がとても多く、どのように事業を進めればよいか分からず、戸惑っています。
事業を進めるためのポイントを分かりやすくお教えいただけないでしょうか。
Answer
補助金の事業期間は長くないので、まずは事業を開始することも大切ですが、あわせて、事業の管理や事務局への報告手続などを着実に進める必要があります。
今回は、補助金に採択された事業の管理について、ポイントを説明させていただきます。
本コラムを参考に、事業内容の管理等を原則に則って丁寧に行っていただければ、事業実績報告はスムーズにできると思います。
採択された事業を通じて、企業の成長につながることを期待します。
はじめに
中小企業や小規模事業者の皆さまにおかれては、採択された補助金の事業計画における商品開発から補助金の清算など、本業の傍ら経営者自ら行うケースが多いことと思います。
さまざまな業務に追われながら、補助事業を進める必要があることから、定められた要件やルールが多く、補助金事務局による事業実績報告書のチェックが厳しいと感じる方も多いようです。事業期間中の帳票等の管理を丁寧に行い、補助事業を計画に沿って着実に実施していただければ、事業実績報告などの補助金清算の事務手続は、さほど難しいものではありません。
補助事業の管理のポイントを押さえ、本来行うべき計画を完遂し、スムーズな精算が行われ、新事業が日の目を見ることを願っております。
Point 1 「補助事業の手引き」等の事業管理指示書類の熟読
①「後からでもなんとかなる」は禁句
補助事業は、その事業期間に制限があります。時間が掛っても「実施さえすればよい」というものではありません。
購入を計画している部品や装置の入荷延期など外部の要因で、予定が遅れてしまうことがあるかと思います。しかし、事業期限は待ってくれません。「後からでもなんとかなる」という声を耳にすることがありますが、補助事業においては、禁句です。
②まずは「補助事業の手引き」を熟読
定められたルールに則した補助事業でないと最終的に補助金が支給されない場合があります。限られた期間内に補助事業を行うためにも、事業開始前に配布される「補助金事業の手引き」(補助金採択者向けの資料)は事業開始前に必ず読んでください。 ここでの“読む”とは、「ルール通りに補助事業を進められるように準備する」ということを意味します。
③「補助金事業の手引き」通りがコツ
手引きに記載のルールに従って、粛々と処理をしていくのがコツです。粛々と進めるために、次のような取組みも一案です。
・手引きでは、提出書類をファイリングする順番まで指示されることがあります。ファイリングの順番通りにクリアファイルなどで管理すると漏れがなくなります。“手引き通り”が、コツです!
・事業内容や帳票に漏れや遅れが無いように管理するためにチェックリストを作ることもお勧めです。
Point 2 事業管理や経費処理の流れを把握
補助事業の実施期間が気になり、認められた期間の開始前に事業を始めてしまうケースも多々あるようです。
展示会の申込など、例外が設けられているケースもありますが、しっかり確認して、はじめることが大切です。
① × 部品購入 :期間前に発注し、納品があり、支払も完了
② △ 展示会出展:期間前に申込(申込期限が、期間前)、出展料の支払と出展は期間内
※補助金によっては、補助対象にならない場合があります。
③ ○ 機械購入 :期間中に発注し、納品があって、支払も完了
④ × 人件費 :作業開始・給与締日は期間内、給与支払が、期間後
■不明点がある場合は、速やかに補助金事務局に相談を
補助金を減額されるのでは?と思い、不明点があっても事務局への相談を躊躇するケースが、多いようです。
相談自体は、貴社が事業にしっかり取り組んでいると事務局に示すことにもつながりますので、積極的に事務局に相談されることをお勧めします。
■採択された事業趣旨に反する内容・経費は補助事業外で
事業計画に入っていない業務の経費を計上してしまうケースがあるようです。
特に、恣意的な処理を行った場合、処罰の対象になります。
但し、採択時の事業内容に無かった内容でも、事務局との相談により認められるケースがありますので、自己判断せず、事務局に相談しましょう。
Point 3 経費処理のポイント
〇 補助事業経費の支払いは、従来業務の支払いと合算で支払ってはならない。
補助事業経費の支払いは、従来業務の支払先と同じでも、従来業務とは分けて支払ってください。また、同じ補助事業の経費でも、請求書毎に支払うことをお勧めします(合算振り込みを禁止している補助金もあるようです)。
× 注文書で、補助対象事業と従来業務のものを混在させて注文しても良い。
部品や機械等の注文に際しても、補助対象事業のものと従来業務のものとでは、注文書を分けて、別々に発注してください。もちろん、納品書や請求書も分けてもらえるように、発注先には説明して対応してもらってください。
〇 補助事業経費の支払いは、手形取引で行ってはならない。
補助事業に関係する経費は、手形での支払いは認められていません。手形で支払った場合、補助対象経費として認められず、補助金額が減額される場合もあるようです。
× 消費税は、補助対象経費に含めて良い。
補助金では、原則、消費税は補助対象にはなりません。消費税を除いた費用で計算してください。消費税が内税として含まれている電車運賃などは、計算式が定められている場合がありますので、注意が必要です。
また、知的財産権の取得に関係する印紙代(国内官庁分/外国官庁分)が、補助対象経費として認められるか否かは、補助金によって異なりますので、予め確認してください。
〇 源泉税は、補助対象経費に含めて良い。
専門家の費用には、源泉税を国税に支払う必要がある場合があります。多くの補助金では、源泉税分の金額は補助対象経費になるようですが、予め確認してください。補助対象経費になる場合、源泉税も事業期間内に納付する必要がありますので、納付方法や納付時期に注意してください。
× 銀行の振込手数料は、補助対象経費に含めて良い。(振込時、振込手数料を抜いて送金)
銀行振込で支払いを行う場合、振込手数料は、支払う側で負担することがほとんどですが、振込手数料は、補助対象経費に含めることはできません。計画との間でも微妙なずれを生じ、数百円のことで精算時に補助金事務局とトラブルになるケースがあるので注意が必要です。
△ 補助事業経費を、クレジットカードで支払っても良い。
クレジットカードでの支払いを認めている補助金はありますが、銀行口座からの引き落としが、補助事業実施期間の後にならないよう注意が必要です。期間後に引き落とされた経費は補助対象から外されます。また、補助対象以外の経費と混在しやすいので、精算処理が煩雑になる課題もあります。これらを鑑みると、たとえ制度上認められていても、クレジットカードでの支払いはお勧めしません。
△ 領収書をもらえば、補助事業経費を現金で支払っても良い。
「現金で支払って領収書を受領すれば大丈夫だ」そんな話を聞く時がありますが、現金払いを禁じている補助金があります。現金払いを求められ、どうしても現金払いをしなければいけない場合、現金が自社の銀行口座から出金されたお金である等を証明できるようにしておくことが重要です。
× 補助事業で入手した設備を、事業期間後に、自由に改造・破棄してよい。
補助事業で入手した設備は、勝手に改造や破棄できないのが原則です。補助事業実施期間後であっても、改造や破棄は禁止されています。設備の耐用年数を考えたときに、早期に改修が予想される場合、補助金自体の活用を再考する必要があるかもしれません。なお、使用目的の変更(例:開発のための設備→商品製造の設備として使用)が認められている補助金は少ないので、事前の確認が大切です。
△ 補助金は、返還する義務はない。
補助金の場合、要綱で補助金の返還の条件が定められています。大半のケースで、不正を行った場合のため、過度な心配は不要ですが、条件は必ず確認しましょう。
Point 4 事務処理のポイント
補助金の事務処理は、通常の業務とは異なる事務処理を求められます。
■購入品は、購入時の荷姿から写真撮影し、厳格な管理を
部品や材料を本当に購入したのか証明するように求められる場合があります。実際に入手した日に、荷姿段階から写真を撮っておきましょう。
写真を撮る際には、どの補助金の事業で購入したのか等を記載したプレート(紙等)と共に撮影しておくことをお勧めします。
設備の場合には、以下のようなラベル(シール等)を貼付するように求める補助金もあります。
補助金事務局の確認が完了するまで、説明書等の附属書類すら廃棄してはいけない場合もありますので、手引き等の指示に従ってください。
特に、消耗品のように、随時使用していくものは、いつ・どれだけの量を使用したのか、必ず記録に残して下さい。
下記のような在庫管理表が、事務局から様式として提示されている場合もあります。
■会議の光景や実験風景等も、徹底的に写真に残す
補助事業に関して行っていることは、徹底的に写真に残すなど徹底して記録しておきましょう。
詳細に写真を撮影しておくと、実績報告書の作成が効率的にできます。実績報告書には、積極的に写真を入れ、分かりやすい報告書にすることをお勧めします。
■補助事業専用の日報を用意し、活用しましょう
人件費が補助対象になっているか否かにかかわらず、補助事業専用の日報を作成し、作業の内容を記録することを強くお勧めします。
この記録(日報)が、事業の記録として、御社の財産になると思います。
事業計画と使った金額の乖離
補助事業に実際に費やした金額を事業計画と、完全に一致させることは困難ですが、計画と実績が、あまりにも乖離していると、「丼勘定だったのでは?」や「計画を、しっかり実施したのですか?」等の疑いの目で見られかねません。
許容範囲は、一般的に±20%
経済産業省は乖離の目安を、±20%としています。
これ以上の差が出た場合には、多い場合も少ない場合も、変更届や理由書等の提出といった対応が求められるのが一般的です。
この範囲を超えた、または超えることが予想される場合は、速やかに補助金事務局に相談して下さい。
なお、採択時に決定された補助金額よりも大きな金額は支給されませんし、採択時に決定された補助金額を下回った場合には、実績分までしか支給されません。
約束手形等の交付から満期日までの期間の短縮 2024年11月以降、下請法の運用ルールが変わります
2024年11月以降、下請法の運用ルールが変わります
中小企業庁では、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、約束手形、電子記録債権、一括決済方式による下請代金支払のサイト(交付から満期日までの期間※1)の短縮を推進してきました。2024年11月以降、下請法上の運用が変更され、サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は、行政指導の対象となります。
サイトの短縮は、下請法の適用対象とならない取引も含め、サプライチェーン全体で取り組むことが重要です。中小企業庁では、公正取引委員会と連名で、各事業者団体等に対する要請文を発出しました。
1.概要
中小企業庁及び公正取引委員会は、1966年以降、業界の商慣習、親事業者と下請事業者との取引関係や金融情勢等を総合的に勘案し、繊維業は90日、その他の業種は120日を超えるサイトの手形等※2を、下請法が規制する「割引困難な手形」等に該当するおそれのあるものとして指導してきました。
こうした長期の手形等が下請事業者の資金繰りの負担となっていることなどを踏まえ、中小企業庁では、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、手形等による支払期間の短縮を推進してきたところです。令和3年3月には、下請法の運用の見直しについて、検討を行うこととしていました。
そして今般、改めて各業界の商慣行、金融情勢等を総合的に勘案して、意見公募手続を経た上で、サイトが60日を超える手形等が、下請法上の「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして、指導の対象とする運用の見直しを、公正取引委員会が公表しました。
※1:一括決済方式の場合は、代金の支払期日から代金債権の額に相当する金銭を金融機関に支払う期日までの期間
※2:約束手形、電子記録債権、一括決済方式
2.新たな運用の適用開始時期
今後は、令和6年11月1日以降に交付された手形等について、新たな運用が適用されることとなります。
新たな運用のイメージは、以下をご覧ください。
3.各団体等への要請
事業者が手形等のサイトを短縮できない理由は、上位の取引先からの支払が手形等によるものであり、そのサイトが長いことであるとの声が多く聞かれます。下請法の対象とならない取引も含め、サプライチェーン全体でサイトを短縮化していくことが、中小企業の取引適正化のために必要です。
また、手形等のサイトの短縮に取り組む事業者の資金繰りへの影響にも配慮が必要です。
そこで、中小企業庁は、公正取引委員会と連名で、各産業の業界団体や、金融機関及びそれを監督する省庁等に対し、以下の内容の要請文を発出しました。
- サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とする運用が、令和6年11月1日から始まること。
- ファクタリング等の一括決済方式については、サイトを60日以内とすることに加え、引き続き、一括決済方式への加入は下請事業者の自由な意思によること並びに親事業者、下請事業者及び金融機関の間の三者契約によることを徹底すること。
- 下請法対象外の取引についても、手形等のサイトを60日以内に短縮する、代金の支払いをできる限り現金によるものとするなど、サプライチェーン全体での支払い手段の適正化に努めること。とりわけ、建設工事、大型機器の製造など発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、発注者は支払い手段の適正化とともに、前払い比率、期中払い比率をできる限り高めるなど支払条件の改善に努めること。
- 手形等のサイトの短縮に取り組む事業者からの資金繰り支援の相談に丁寧かつ親身に応じるとともに、事業者の業況や資金需要等を勘案し、事業者に寄り添った柔軟かつきめ細かな資金繰り支援に努めること。
事業再構築補助金 第12回公募の概要
jigyo_saikoutiku012.pdf (0.99MB)
事業再構築補助金とは
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。
基本要件
① 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
② 事業計画について金融機関等や認定経営革新等支援機関の確認を受けること
③ 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3~5%(事業類型 により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3 ~5%(事業類型により異なる)以上増加の達成
公募の全体像:
新型コロナ対策として造成された基金において、既存の事業類型を見直し、今なおコロナの影響を受ける事業者への支援及びポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援に重点化しています。
第11回公募までの成長枠、産業構造転換枠、グリーン成長枠、エントリー、スタンダード、物価高騰対策・回復再生応援枠、最低賃金枠、サプライチェーン強靱化枠を統廃合し、第12回では以下の枠が設けられています:
成長分野進出枠 (ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者を支援)
コロナ回復加速化枠 (今なおコロナの影響を受ける事業者を支援)
サプライチェーン強靭化枠
対象:
- ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者
- 国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者
- ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組をこれから行う事業者
- 今なおコロナの影響を受け、コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者や事業再生に取り組む事業者
- コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者
- ポストコロナに対応した、国内サプライチェーンの強靱化に資する取組をこれから行う事業者
補助額:
- 枠によって大きく異なりますので、添付PDFをご覧ください。
補助率:
- 中小企業: 2/3
- 中堅企業: 1/2
詳細な要件や申請手続きについては、PDFでご確認ください。
ご相談をお待ちしています。