インフォメーション
らくらくホン破綻 国産スマホ、ニッチ戦略限界 +我が国携帯電話市場の歴史
らくらくホンが民事再生を申請したと聞いてびっくり
老人のニーズを捉えて順調に拡大しているものとばかり思っていました
今回の破綻は記事の通りなんですが、我が国の携帯電話の歴史が詳細に記載されているのアップします。
スマートフォン出荷で国内3位のFCNT(神奈川県大和市)が東京地裁に民事再生法の適用を申請した。高齢者向け「らくらくホン」を主力製品としてきたが、海外スマホとの競争激化などで資金繰りが悪化した。FCNTの経営破綻によって国内でスマホ事業を手掛けるのはソニーグループとシャープだけになる。かつて世界に先駆けて独自進化を続けた「日の丸スマホ」はなぜ不振に陥ったのか。
「なんとか経営支援をお願いできないか」。22年12月、FCNT幹部が大手通信キャリア幹部の元を訪れ、頭を下げた。急速な円安によって海外から調達する部材価格が高騰して業績が悪化。資金繰りに行き詰まり、1200億円にのぼる負債の返済が難しくなっていた。「残念だが、体力の無い会社は買えない」。キャリア側から最後まで色よい返事を引き出せなかった。望みが絶たれたFCNTは経営破綻への道を歩むことになった。
FCNTは富士通の携帯端末事業が元で、2001年からシニア向け携帯電話「らくらくホン」を主力製品としてきた。スマホの使い方に不慣れな高齢者層にとって使い勝手がよい端末を目指した。
若年層よりもシニア層に便利な機能を増やした。小さな字が見えにくくなった高齢者に配慮し、通常のスマホよりも文字やアイコンを大きくし、ボタンを押しやすくした。着信や通話の音量を大きくできるようにし、相手の声を違和感なくゆっくりさせて聞きやすくする技術なども開発した。
使いやすさからシェアを高めたが、ニッチ戦略には限界があった。海外製で端末価格が安く、操作もしやすいアンドロイド端末が普及するなかで急速に存在感を失った。
1990年代〜2000年代初め、国内の携帯電話市場では日立製作所やNECなど大手電機を中心に10社を超える国内メーカーが競い合った。NTTドコモが1999年に始めた携帯端末を使ったネットサービス「iモード」を中心に、国内携帯電話はカメラやワンセグ視聴機能、「おサイフケータイ」など独自の機能を世界に先駆けて搭載。閉じられた国内市場で独自進化を続けた一方、世界市場では通用しなくなった。従来型の携帯電話は、特異な生態系を持つガラパゴス諸島になぞらえて、「ガラケー」と呼ばれるようになった。
米アップルが07年にiPhoneを発売すると、潮目が変わった。08年7月にソフトバンクモバイルが日本で販売を開始すると、消費者はガラケーからスマホへの乗り換えを始めた。ドコモも日本勢の開発を待たずに、サムスン電子や台湾HTCのスマホを大々的に売り始めた。
2010年代、国内スマホメーカーは産業構造の変化に適応できなくなった。ガラケー時代は開発から製造、ソフトウエアまでを1社で手掛ける垂直統合が主流だったが、スマホ時代には役割を分担する水平分業に移った。iPhoneは生産を台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に委託し、ソフトウエアやデザイン・設計に集中し、毎年のように目玉となる機能を打ち出した。
ハイエンド品でiPhoneがブランド力を高める一方で、割安なスマホ端末では中華系スマホが台頭した。海外スマホは世界販売を前提とし、大量生産によるコスト競争力で日本勢に勝った。13年にNECがスマホ事業を撤退、パナソニック(現パナソニックホールディングス)は国内の消費者向けスマホ事業から撤退した。
高価格帯と低価格帯の双方から国内市場を侵食されるなかで、国内メーカーは生き残りに向けた「ニッチ戦略」を打ち立てた。京セラは製品の耐久性や防水性で海外端末との違いを出そうとしたが、海外メーカーの製品の性能が向上。25年3月までに消費者向けから撤退することを決めた。21年11月に新規参入したバルミューダは独自のデザインで差異化しようとしたが、市場を切り開けずに撤退した。
FCNTの経営破綻によって、残る国内大手メーカーはソニーとシャープの2社となる。シャープは、スマホやパソコンを手掛けるICT部門が23年3月期に営業赤字に陥った。ソニーは日米欧での高機能品に製品を絞る。米調査会社のIDCによると、2022年の世界スマホ出荷台数の上位5社に日本勢の名前はない。
「ワークマン女子」 遊びのプロの声で革新
「常識破り」のワークマンは商品を愛用するユーチューバーの浜屋理沙氏㊧を社外取締役候補にした
「作業着の中身を変えず、アウトドア向けに衣替え」「女子向け店舗でレジ待ちの行列」――。1980年に職人の作業服・用品に特化して創業したワークマン。型破りの戦略で、ここ10年で急成長した衣料品ブランドだ。5月上旬、商品を愛用するユーチューバーを社外取締役の候補にすると公表し、新たな常識破りで世間を騒がせた。
候補者は「サリー」こと浜屋理沙氏。これまで自らのユーチューブチャンネルで、ワークマン商品に関する300本超の動画を配信し、100本以上のブログも書いてきた。利用者からの鋭い視点に土屋哲雄専務が食いつき、商品づくりに反映。19年にはアンバサダーとして認定し、同社の「知恵袋」となった。
今回の人事案についてはネット上で「社外取締役には経営の経験が必須」「ウケ狙いか」など、批判が高まった。確かにアンバサダーなので「時に経営側の意見に反対できるのか」という反論は一理ある。しかし、そもそも常識破りでのし上がってきたのがワークマンだ。大物の経営者を招くのもいいが、利用シーンに精通したユーザーをご意見番として役員にするのも「あり」だろう。
具体的にサリーさんはどんな提案をしてきたのか。そもそもキャンプ愛好家で「遊びのプロ」といえる。低価格の衣料や用品を探す中で、アウトドアやスポーツ向け衣料の業態店「ワークマンプラス」に出合う。高機能で安い商品を「女性が着てもかわいい」などと発信したのがきっかけだ。
こうした動画や記事が土屋専務に「あえて女性に焦点を当てる」という気づきを与え、女性向け新業態店「#ワークマン女子」に結びつく。
例えば溶接工向けのハーフジップパーカーについて、サリーさんは「これだと服をかぶるときに髪形が乱れる。下までチャックのあるフルジップが欲しい」と進言。また女性向け1号店の開業時に配っていた量販店らしい袋に対しては「さすがにNG」と苦言し、ファッショナブルなデザインに刷新した。
このほか「業務用エプロンに、たくさんのポケットを付けるとキャンプで使いやすい」など数多くのアイデアを提案し、31アイテムの商品開発に至った。一方で、学校の廃校を利用したキャンプ場作りには「ワークマンのブランドイメージから外れる」などと反対し、同社も撤回した。
こうした外部の声を商品に反映することを土屋専務は「ユーザーイノベーション」と位置づける。ファッションのプロとアマチュアの差は大きいが、キャンプのような趣味性の高い世界では「製品づくりのプロの企業より、ユーザーの方が潜在的なニーズに詳しい」(土屋専務)。確かに急勾配の山での遊びから開発に至ったマウンテンバイクはその最たるものだ。
日本企業の弱点は顧客本位のマーケティング力の不足だ。ビジネスパーソンはついユーザーよりも社内の方針や技術、上司の意向に目がいく。ちなみにワークマンの社是は「声のする方に、進化する」。顧客の声を聞き間違えないように。
メダカブーム
メダカと言えば、昔は自然に生息していたもので、こんなものにお金を出すことになるとは思ってもいなかった。
よく道の駅さんでも売っている。1匹2,000円くらいするメダカもいるしびっくりしている次第です。
ペットブームが続く中、メダカ飼育の人気が広がっている。品種改良されたカラフルなメダカの価格は、オス・メスのペアで2000~3000円以上が定着。かつては熱帯魚売り場の片隅で1匹数十円から100円程度で販売されていたのとは様変わりだ。人気の背景を探っていくと、自然に触れたくても住宅環境や世話の時間に余裕のない都会の消費者の姿が浮かび上がってくる。
住宅の立ち並ぶ東京都墨田区の一角。メダカを扱う「江戸目高」の無人販売店の軒先に並んだ容器の中で、ラメ入りや赤みがかったメダカが数匹ずつ泳いでいた。容器には2000円の値札がかかっている。店の裏には大型容器が並び、中には1匹1万円以上のものもある。足立区から仕事の合間に立ち寄ったという40代の男性は、「金魚はエサもガツガツ食べるようで苦手。のんびり観賞するのはメダカがいい」と話す。毎月のように訪れ数万円使うことも多く、この日も1万円以上を買っていった。
東京など都市部では、ここ2、3年、メダカ専門店の開業が相次いでいる。「江戸目高」は2021年の開業。代表の中村勝士さんはメダカ好きが高じて起業。趣味で飼育しているころから「市場があるのは分かっていたが実際に開業してみると、目当ての品種を求めて遠くから買いに来る方が多い」と話す。
かつては都市部の水辺に普通に生息していたメダカだが、環境の悪化で生息数が減り1999年には当時の環境庁が絶滅危惧種に指定した。ペットショップでは昔ながらの「ヒメダカ」を繁殖させ、観賞用や熱帯魚のエサ用に販売していた。
注目が集まり始めたのは2000年代の中ごろから。今では定番となった赤の「楊貴妃」や白く光る「幹之(みゆき)」など華麗な品種が登場。色、体形、ヒレの形、ラメの入り方など、改良された様々な品種が出回るようになった。微妙な姿の違いや希少性で価格が大きく変わる。有名ブリーダーのつくり出した品種はブランド化し高値がついた。
最初は熱心なファンが中心だったが、少しずつ市場が広がり始める。住宅のスペースや時間に余裕はないが、手軽にペットを飼いたいという人のニーズにぴったりとあった。大型のイヌはマンションなどで飼うのは難しく、ネコなどを外に出せば近隣とのトラブルになりかねない。熱帯魚や金魚ほど手間はかからない。
そこに新型コロナウイルス下で自宅で過ごす時間が増えペットブームに拍車がかかった。ペットフード協会(東京・千代田)の2022年調査ではペットを飼っている人は、イヌ(11.1%)がトップでネコ(9.6%)が2位。3位が金魚やカメを抑えメダカ(3.5%)だった。
繁殖が簡単なことも、ほかのペットにはない魅力だ。「産卵したら親に食べられないように別の水槽に移しておけば、基本的には繁殖できる」(中村さん)。寿命は1~3年だが、うまく育てれば長く楽しむことができる。
コロナ下の「副業」ブームでは繁殖に本格的に取り組む、にわかブリーダーも増えた。高値で買っても増やせば大きな利益が出る。「1万円以上のメダカを買っていくのは、まずは繁殖が目的」と言うのは東京都葛飾区にある「堀切めだか」店長の兵頭秀一さん。ネットオークションで1匹50万円、100万円で取引されることもある。メダカは春から秋にかけて1日20~30個の卵を産む。1シーズンで1000個産ませることも可能で「水槽だけで繁殖でき極めて効率がいい」と兵頭さんは話す。
17世紀オランダの「チューリップバブル」は品種改良が進み球根の取引が投機化。高騰後に一挙にはじけたといわれる。メダカブームにもどこか過熱感が漂い、高値を受け盗難や品種を偽る詐欺事件など危うさも見え隠れする。
それでも、現時点では「メダカは童謡や歌謡曲に歌われ学校教育にも取り入れられてきた身近な魚。一過性の流行で終わることはない」(情報サイトのめだかやドットコムを運営する青木崇浩さん)との声が多い。ファンの裾野は広がり、コロナが収束に向かっても人気に陰りは見えていない。
4月からの民法改正
近年、土地の所有者について調査を行っても特定できない、所有者の所在が分からない、などのケースが増加し、社会問題化していますが、令和3年の民法改正によって、現行民法の規律の一部が前述の背景を踏まえて、改正されました。
改正民法は令和5年4月1日から、既に適用されています。
所有者不明土地に関連する主な改正項目は、以下の4つです。
1. 相隣関係の見直し
2. 共有の見直し
3. 財産管理制度の見直し
4. 相続制度(遺産分割)の見直し
今回は第1弾として「相隣(そうりん)関係の見直し」について、要点を説明します。
○相隣関係とは?
隣接する不動産(土地・建物等)の所有者及び利用者の間で、通行・流水・排水・境界などの問題について、相互の土地利用を円滑にするために調整を行う関係が「相隣関係」です。
しかし、隣接する不動産の所有者が不明である場合、様々な調査や手続きが必要になるうえに、裁判で認められなければならないケースもあるため、当事者にとっては大きな負担となっていました。そのため、相隣関係について、以下の項目が改正されました。
(1)隣地使用権
【新民法209条】(一部を抜粋)
第1項:土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
1.境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
2.境界標の調査又は境界に関する測量
3.新民法第233条第3項の規定による枝の切取り
※隣地の所有者が敷地の使用を拒んで妨害をしているような場合、権利があるとはいえ、不用意に隣地へ立ち入る等の自力救済(法律の手続きによらず実力行使すること)は、一般的に禁止されているので注意が必要です。
(2)ライフラインの設備の設置・使用権
【新民法213条の2】(一部を抜粋)
第1項:土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
(3)越境した竹木(ちくぼく)の枝の切取り
【新民法233条】(一部を抜粋)
第1項:土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
第3項:第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
1.竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
2.竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
3.急迫の事情があるとき。
※「相当の期間内」とは、事案によるものの、基本的に2週間程度と考えられます。
※実害がないにも関わらず、むやみに隣地の枝を切り取ってしまうと、権利の濫用となる可能性があるほか、隣地との境界が曖昧な場合にトラブルになる可能性があるため、注意が必要です。
【 詳細はこちら 】
法務省公式ホームページ
〇民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について
https://www.moj.go.jp/content/001360820.pdf
メガ盛りの動向 地味に売れていますよ
売れているのかどうか、ずっと気になっていた。まるか食品(群馬県伊勢崎市)の即席焼きそば「ペヤング ソースやきそば超大盛」のことだ。ダイエット中の方なら容器に表示されている「エネルギー1081キロカロリー、炭水化物129.1グラム」という栄養成分をみて、ぞっとするだろう。
大手コンビニエンスストアに聞くと、「大きく売れているわけではない」とのことだが、超大盛りの商品を置くと売り場にメリハリができる。セブン―イレブン・ジャパンは「お得感があるほか、とがった商品の話題性を重視している」ためという。まるか食品にとっても売り場で目立ち、自社商品の購入増につなげられる。ちなみにペヤングには「超」が6つも付く約4000キロカロリーの大盛り商品が存在する。
メガ盛り系は近年、消費トレンドとして「増量」傾向にある。今年話題になったのはローソンのキャンペーン「盛りすぎ!チャレンジ」。価格据え置きで、デザートなど12品目の重量を既存商品より47%増やした。1月末に同社社員から聞いたときは「ベタな発想ですね」と適当に返答したが、こちらの想定を超えてメガ売れに。プレミアムロールケーキは通常の約4倍、生カスタードシュークリームが約9倍とハピろー!(ハッピーローソン)な結果だった。
一方、増量の元祖と主張するのはファミリーマートだ。2021年から約40%の増量企画を展開し、弁当、サンドイッチ、総菜、デザートと幅広い。やはり売上高は大きく伸びるという。コンビニでは期間限定の企画だけでなく、メガ盛りの商品ニーズは強い。
ファミマのPB(プライベートブランド)の大盛りカップ麺は前年比5割増の売れ行きだ。ローソンでは、日清食品の麺量が通常の1.8倍の「日清焼そばU.F.O.爆盛バーレル」(西日本限定)が人気。発売から約2カ月過ぎても、他の売れ筋の即席麺の1.7倍の販売を記録する。
健康志向や少子高齢化で、食品は少量化の流れが"常識"だ。小パックや一口サイズが増え、観光の土産物にも傾向が広がる。ところがメガ盛り系の食事が廃れることはない。身近な外食も同じ。今年の吉野家の牛丼の販売データをみると、特盛系の比率は10%前後で推移し、約10年前と変わらない。
支持される理由はいくつかある。物価高に伴う割安志向、SNS(交流サイト)での「写真映え」需要のほか、若者の変化も見逃せない。電通若者研究部の用丸雅也氏は「新型コロナで若い世代の食事を含めたライフスタイルが変わったことも大きい」とみる。例えば1日3食の常識が薄れ、1日1食のパターンも増えているという。このため、超・特盛で1日の食事を満たす需要が生まれているというわけだ。
これならコスパもタイパも満たされる。量以外にも辛さ、甘さなど味覚の「盛り」も顧客を引き付ける。日常にちょっとした「特別な体験」を演出して、常識を超え、消費者の気持ちを盛り上げることが市場ににぎわいを呼び込む。