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2023 / 05 / 31  05:00

らくらくホン破綻 国産スマホ、ニッチ戦略限界 +我が国携帯電話市場の歴史

 

 

らくらくホンが民事再生を申請したと聞いてびっくり

老人のニーズを捉えて順調に拡大しているものとばかり思っていました

今回の破綻は記事の通りなんですが、我が国の携帯電話の歴史が詳細に記載されているのアップします。

スマートフォン出荷で国内3位のFCNT(神奈川県大和市)が東京地裁に民事再生法の適用を申請した。高齢者向け「らくらくホン」を主力製品としてきたが、海外スマホとの競争激化などで資金繰りが悪化した。FCNTの経営破綻によって国内でスマホ事業を手掛けるのはソニーグループシャープだけになる。かつて世界に先駆けて独自進化を続けた「日の丸スマホ」はなぜ不振に陥ったのか。

「なんとか経営支援をお願いできないか」。2212月、FCNT幹部が大手通信キャリア幹部の元を訪れ、頭を下げた。急速な円安によって海外から調達する部材価格が高騰して業績が悪化。資金繰りに行き詰まり、1200億円にのぼる負債の返済が難しくなっていた。「残念だが、体力の無い会社は買えない」。キャリア側から最後まで色よい返事を引き出せなかった。望みが絶たれたFCNTは経営破綻への道を歩むことになった。

FCNT富士通の携帯端末事業が元で、2001年からシニア向け携帯電話「らくらくホン」を主力製品としてきた。スマホの使い方に不慣れな高齢者層にとって使い勝手がよい端末を目指した。

若年層よりもシニア層に便利な機能を増やした。小さな字が見えにくくなった高齢者に配慮し、通常のスマホよりも文字やアイコンを大きくし、ボタンを押しやすくした。着信や通話の音量を大きくできるようにし、相手の声を違和感なくゆっくりさせて聞きやすくする技術なども開発した。

使いやすさからシェアを高めたが、ニッチ戦略には限界があった。海外製で端末価格が安く、操作もしやすいアンドロイド端末が普及するなかで急速に存在感を失った。

1990年代〜2000年代初め、国内の携帯電話市場では日立製作所NECなど大手電機を中心に10社を超える国内メーカーが競い合った。NTTドコモが1999年に始めた携帯端末を使ったネットサービス「iモード」を中心に、国内携帯電話はカメラやワンセグ視聴機能、「おサイフケータイ」など独自の機能を世界に先駆けて搭載。閉じられた国内市場で独自進化を続けた一方、世界市場では通用しなくなった。従来型の携帯電話は、特異な生態系を持つガラパゴス諸島になぞらえて、「ガラケー」と呼ばれるようになった。

 

アップル07年にiPhoneを発売すると、潮目が変わった。087月にソフトバンクモバイルが日本で販売を開始すると、消費者はガラケーからスマホへの乗り換えを始めた。ドコモも日本勢の開発を待たずに、サムスン電子や台湾HTCのスマホを大々的に売り始めた。

2010年代、国内スマホメーカーは産業構造の変化に適応できなくなった。ガラケー時代は開発から製造、ソフトウエアまでを1社で手掛ける垂直統合が主流だったが、スマホ時代には役割を分担する水平分業に移った。iPhoneは生産を台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に委託し、ソフトウエアやデザイン・設計に集中し、毎年のように目玉となる機能を打ち出した。

ハイエンド品でiPhoneがブランド力を高める一方で、割安なスマホ端末では中華系スマホが台頭した。海外スマホは世界販売を前提とし、大量生産によるコスト競争力で日本勢に勝った。13年にNECがスマホ事業を撤退、パナソニック(現パナソニックホールディングス)は国内の消費者向けスマホ事業から撤退した。

高価格帯と低価格帯の双方から国内市場を侵食されるなかで、国内メーカーは生き残りに向けた「ニッチ戦略」を打ち立てた。京セラは製品の耐久性や防水性で海外端末との違いを出そうとしたが、海外メーカーの製品の性能が向上。253月までに消費者向けから撤退することを決めた。2111月に新規参入したバルミューダは独自のデザインで差異化しようとしたが、市場を切り開けずに撤退した。

FCNTの経営破綻によって、残る国内大手メーカーはソニーとシャープの2社となる。シャープは、スマホやパソコンを手掛けるICT部門が233月期に営業赤字に陥った。ソニーは日米欧での高機能品に製品を絞る。米調査会社のIDCによると、2022年の世界スマホ出荷台数の上位5社に日本勢の名前はない。

2024.04.20 Saturday