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2023 / 05 / 26  05:00

「ワークマン女子」 遊びのプロの声で革新

 

 

「常識破り」のワークマンは商品を愛用するユーチューバーの浜屋理沙氏㊧を社外取締役候補にした

「作業着の中身を変えず、アウトドア向けに衣替え」「女子向け店舗でレジ待ちの行列」――1980年に職人の作業服・用品に特化して創業したワークマン。型破りの戦略で、ここ10年で急成長した衣料品ブランドだ。5月上旬、商品を愛用するユーチューバーを社外取締役の候補にすると公表し、新たな常識破りで世間を騒がせた。

候補者は「サリー」こと浜屋理沙氏。これまで自らのユーチューブチャンネルで、ワークマン商品に関する300本超の動画を配信し、100本以上のブログも書いてきた。利用者からの鋭い視点に土屋哲雄専務が食いつき、商品づくりに反映。19年にはアンバサダーとして認定し、同社の「知恵袋」となった。

今回の人事案についてはネット上で「社外取締役には経営の経験が必須」「ウケ狙いか」など、批判が高まった。確かにアンバサダーなので「時に経営側の意見に反対できるのか」という反論は一理ある。しかし、そもそも常識破りでのし上がってきたのがワークマンだ。大物の経営者を招くのもいいが、利用シーンに精通したユーザーをご意見番として役員にするのも「あり」だろう。

具体的にサリーさんはどんな提案をしてきたのか。そもそもキャンプ愛好家で「遊びのプロ」といえる。低価格の衣料や用品を探す中で、アウトドアやスポーツ向け衣料の業態店「ワークマンプラス」に出合う。高機能で安い商品を「女性が着てもかわいい」などと発信したのがきっかけだ。

こうした動画や記事が土屋専務に「あえて女性に焦点を当てる」という気づきを与え、女性向け新業態店「#ワークマン女子」に結びつく。

例えば溶接工向けのハーフジップパーカーについて、サリーさんは「これだと服をかぶるときに髪形が乱れる。下までチャックのあるフルジップが欲しい」と進言。また女性向け1号店の開業時に配っていた量販店らしい袋に対しては「さすがにNG」と苦言し、ファッショナブルなデザインに刷新した。

このほか「業務用エプロンに、たくさんのポケットを付けるとキャンプで使いやすい」など数多くのアイデアを提案し、31アイテムの商品開発に至った。一方で、学校の廃校を利用したキャンプ場作りには「ワークマンのブランドイメージから外れる」などと反対し、同社も撤回した。

こうした外部の声を商品に反映することを土屋専務は「ユーザーイノベーション」と位置づける。ファッションのプロとアマチュアの差は大きいが、キャンプのような趣味性の高い世界では「製品づくりのプロの企業より、ユーザーの方が潜在的なニーズに詳しい」(土屋専務)。確かに急勾配の山での遊びから開発に至ったマウンテンバイクはその最たるものだ。

日本企業の弱点は顧客本位のマーケティング力の不足だ。ビジネスパーソンはついユーザーよりも社内の方針や技術、上司の意向に目がいく。ちなみにワークマンの社是は「声のする方に、進化する」。顧客の声を聞き間違えないように。

2024.04.27 Saturday