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2023 / 06 / 19  05:00

中小企業の「技術伝承」はなぜ進まない?ベテラン社員の技術を若手に引き継ぐ最適な方法とは

 

 

 

 

高齢化に悩む中小企業では、技術伝承問題に頭を悩ますところが多く見受けられます。技術を持っているベテラン従業員に若手への伝承をお願いしてもなぜかうまく伝わらなかったり、マニュアルがあってもまったく機能していなかったり……。そういった問題を解決し、技術伝承を進めるにはどうしたらよいのでしょうか?

 

技術伝承を上手く進めるには重要なポイントがあります。それは「技術の棚卸しを行い、ベテランの持つ暗黙知を可視化する」ことなのだそうです。

 

今回は、技術・技能伝承について支援プログラムを共同開発するなど、ひとづくり系・ものづくり系のコンサルティング支援に力を注いでいる株式会社ジェムコ日本経営の畑 和宏さんに、正しい技術伝承の方法について伺いました。

 

製造業の会社だけに限らず、バックオフィスなどあらゆる業務の引き継ぎにも役立つ内容になっています。

 


 

目次

 

· なぜ若手に伝わらない?技術伝承が難しい理由

 

· 大事なのは「技術の棚卸し」!技術伝承を行う方法や注意点

 

· 小さな会社が自社内で技術伝承を行うには?

 

なぜ若手に伝わらない?技術伝承が難しい理由

 

技術伝承を行っている会社では、どのような課題が発生していますか?

 

まず、自分が教わったやり方で教えようとする人が多いという課題があります。ベテランの人たちの若いころは「見て覚えろ」「やりながら学べ」と言われる時代だったんですが、今の若い人たちにはそのやり方では伝わりません。世代間の問題では、お互い何を教えたいのか、何が知りたい・聞きたいのかよくわからない、コミュニケーションがうまくいかないとの声もよく聞かれます。

 

そして、手順書は存在するものの内容が更新されておらず、今のやり方と乖離していることもありがちな課題です。それならばと手順書をメンテナンスしようとしても、一番詳しい従業員はだれなのかがわからず、手順書を作成した人を探すところから始めなければいけません。また、該当者が既に辞めている場合もよくありますので、メンテナンスは定期的に行うことが大事です。

 

技術伝承がうまくいかない・難しいのはなぜでしょう。

 

暗黙知が可視化されていないことが、技術伝承の難しさにつながっていると言えるでしょう。ベテランは経験豊富で、さまざまな知見を持っています。ただし、論拠を説明できなければ、そのやり方は説得力を持ちません。加えて、他の従業員がなぜそうする必要があるのかわからない技術は、たとえ引き継いだとしても、トラブルが発生したときに問題解決が難しくなります。そもそも理解に時間がかかるようでは、現場でタイムリーに活用することもできません。伝承する技術は、背景も含めてだれにでも理解できるものでないといけないのです。

 

技術伝承で困っている会社は、やはり製造業が多いのでしょうか。

 

製造業が多い印象です。少なくともジェムコのクライアントは、大半がものづくりの会社です。製造業、特に「町工場」と呼ばれるような会社が多くを占めています。

 

大事なのは「技術の棚卸し」!技術伝承を行う方法や注意点

 

技術伝承を始める際に、まず何をすればよいのでしょうか。

 

技術伝承に取り組む前に、伝承する内容を「作業標準」「技術標準」「管理標準」の3つに分類し、可視化することから始めてください。作業標準は、仕事の手順ややり方・方法を示すもので、作業手順書とも呼ばれています。技術標準は、各技術の原理・原則、根拠などをまとめた基準・規定類です。管理標準は、品質マニュアル・設計規定・DR要領・ISOをはじめとする管理規定類を指します。このうち、技術伝承において特に大切なのが作業標準・技術標準の2です。

 

作業標準・技術標準・管理標準の各種ノウハウがごちゃ混ぜになったマニュアルはわかりづらく、実践的な内容にはなりません。標準を3つに分類したうえで、どの工程でどんな対応が必要なのかといった3つの標準の「紐づけ」を行い、その関連性を明確にすると良いでしょう。3つの標準が分類・整理された状態で、初めて技術伝承の準備が整います。

 

実際の技術伝承はどのような流れで行うのでしょうか。

 

ジェムコでは、コンサルタントとテクニカルライターが下記の流れで共同作業します。

 

〈技術伝承を行う流れ〉

 

1.    技術・技能保有者に既存の手順書・マニュアル、ドキュメント、参考資料などの収集を依頼する

 

2.    技術・技能保有者に業務・作業の進め方・手順とその際の考え方、技術に関する知識・知見をヒアリングする

 

3.    ヒアリングした内容の整理

 

4.    フロー図や業務・作業手順書、イメージ図(ポンチ絵や図表など)の作成 5、業務・作業手順書などを技術・技能継承者が理解できるか、その場で確認しながら進行

 

ヒアリングで重要なのは「暗黙知」を引き出すことです。暗黙知とは、経験や勘に基づく知識・動作を言葉にできないまま個人が保有している潜在的なナレッジを指します。暗黙知である以上、本人がマニュアルを作るなどしてもその潜在的なナレッジが盛り込まれることはほぼ期待できません。また同時に、第三者の視点で、だれにでも同じように認識・理解できる情報、つまり「形式知」に変えていく必要があります。

 

形式知化する際は一部の人にしか伝わらないような、あいまいな表現を排除しましょう。フロー図や手順書、イメージ図(ポンチ絵や図用など)の作成段階では、文字で残すのはもちろん、画像や映像、音声を交えて、可能な限りわかりやすい見せ方を心がけてください。手順に変更があった場合は、すぐにメンテナンスできる体制を整えておくのも大切です。

 

技術伝承を進めるにあたって、注意点があれば教えてください。

 

最初にドキュメントを取集する段階で、伝承する技術の取捨選択、すなわち「技術の棚卸し」を行うようにしてください。残す技術が決まったら優先順位をつけて、優先度の高いものからヒアリングを開始します。

 

そして、手順書を作るときは細かな業務や作業ごとに情報をまとめていくより、まずは大まかな流れをフローにして進める全体感を掴むのがおすすめです。その後で、業務や作業の詳細など細かい部分を詰めるほうがやりやすいと思います。

 

小さな会社が自社内で技術伝承を行うには?

 

小さな会社が自力で技術伝承を完結させることは可能ですか?

 

技術伝承を行ううえで重要なヒアリングは、だれでもすぐにできるわけではなく、特に「暗黙知」を引き出すのは決して容易ではありません。やはりコンサルタントであるとか、プロがもたらす外部知識を入れると技術伝承がスムーズに進むのではないでしょうか。

 

そうはいっても技術伝承にはそれなりに時間がかかるため、取り組んでいる間ずっとコンサルタントに任せていると費用がかさみます。そこでおすすめしたいのが、技術伝承の担当者を選定して、ヒアリングやライティングのノウハウをコンサルタントから学んでもらうことです。ジェムコでは、指導だけでなく実践の場に同行し、その場でのアドバイスも行います。

 

技術伝承の担当者に適しているのは、3050代のいわゆる中堅社員です。伝承された技術を使いこなしていくという点では20代も同様ですが、入社間もない人に技術の網羅は難しいと考えています。いずれにしても、柔軟な対応を得意とする人が向いているでしょう。

 

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

 

技術伝承は、なるべく早く手を打てば現有の技術を維持できますし、伝承によって生み出された新たな技術でさらに厚みを加えること(技術力の強化・向上を図ること)も可能です。小さな会社で技術伝承の時間を作るのは大変ですが、ベテランの高齢化・退職などで対応が遅れると、技術力は時間の経過とともに低下の一途をたどり、技術力の後退や会社の弱体化につながると思われますので、早期に対応されることをおすすめします。

 

 

2023 / 06 / 12  05:00

このご時世に愛される接客スタッフ像とは?老舗和食店の女将の考え

 

 

 

通信販売・デリバリーサービスなどの拡充、ご近所や職場での付き合いの減少、核家族化などの影響で、実店舗経営はこれまで以上に接客サービスが重要視される場所となっています。悩みや疑問が生じたときに、インターネットで検索をすればそれなりに回答を得ることは可能です。ですがリアルに話をすることを求めている人は、実は想像以上に多いのです。そのため、近年特にカウンセリングや「悩み・愚痴聞きます」というような悩み相談サービスが大変な人気となっています。

こうした状況だからこそ「第三者に話を聞いてほしい」と、サービス業の店舗スタッフに相談相手を求めるケースも増えています。では、お客さまから愛される接客をするには、どのようにすればいいのでしょうか。今回は、そうした場面で心がけたい振る舞いと、注意が必要な言動について解説します。


目次

· 令和に求められるのは「話をじっくり聞ける人・相談できる人」

· 人との繋がりを求める一方で、個人情報に敏感なのも特徴

· 自分の中にある無意識の偏見に注意

· 令和の時代は「受け身になれること・人の痛みに敏感であること」が接客サービスの肝

近所付き合いや職場での飲み会の減少、核家族化、生活環境のデジタル化などの影響によりリアルでのコミュニケーションがぐっと減っている今、求められているのは「話をじっくり聞ける人」です。

現に雑談の相手をしてくれたり、ひたすら愚痴を聞いてくれるようなサービスは活況で、試しにインターネットで「話聞きサービス」と検索すると、選びきれないほど関連業者が出てきます。自分の話をだれかに聞いてほしい、相談したいといった需要は非常に大きく、実店舗でサービスを提供するスタッフがこの役を買って出ることができれば、お客さまに喜ばれることは間違いないでしょう。

当店にも、お一人さまを中心に、話をするのが好きなお客さまがちらほらいらっしゃいます。その日あった出来事や職場での悩み、趣味についてなど、スタッフにいろいろとお話ししてくださるのです。当店でも、客足の少ないタイミングを見計らい、お客さまの話は愚痴でもなんでもじっくり聞くようにしています。相槌を打ちながらひたすら話を聞くだけでも、仕事のストレスを抱えるビジネスパーソンや、人とのかかわりが薄れている高齢なお客さまに喜ばれているように思います。

私はまだまだ人生経験が少ないので、お客さまの相談に乗れる場面はそう多くはありません。とはいえ、夫婦関係や家族問題に関して尋ねられることがあるので、自分の経験を踏まえてお話しすることもあります。

対して私の夫は、先代から事業を継承して30年ほどになるベテランです。若い人からの経営の相談に乗ることも多く、そのためにわざわざ遠方から店を訪ねてくださることに、大きな喜びを感じているようです。

お客さまからの相談に応えるためには、日ごろから自分がどんなことを得意としていて、どんな相談なら乗りやすいのかを事前に棚卸しをし、情報を集めておくといいでしょう。いざというときに的確にアドバイスしやすくなります。成功体験が少ない場合は、恥ずかしがらずに、ありのままを伝えてみても良いでしょう。失敗談は、ときに相談者のためになります。

注意点としては、聞かれてもいないのに余計なアドバイスをしないこと、意見や価値観を押し付けないことが挙げられます。まずはお客さまの話をじっくり聞くことを心がけてみてください。

人との繋がりを求める一方で、個人情報に敏感なのも特徴

話を聞いてほしい、相談したいと感じる人が多い一方で、プライベートに土足で入り込んでほしくない、と感じる人が少なくないのも現代の特徴です。接客に力を入れているお店ほど、注意が必要となります。このバランスが大変難しいのです。

具体的にいうならば、まず1つ目は、お客さまのプライベートな情報は相手が開示してくれるまでこちらからは尋ねないことです。特に自宅の場所や会社名、職業などは、個人が特定できてしまう可能性のある情報なので要注意です。未婚か既婚か、子どもの有無なども、センシティブな質問なので避けたほうがよいでしょう。

2つ目は、サービスの提供に関係のない個人情報はスタッフ同士で共有しないことです。例えば飲食店において、お客さまが乳製品アレルギーだという情報をスタッフの1人が聞いたとしたら、次回の来店時にも気をつけられるように皆で共有するのは問題ありません。しかしサービスに関係のない、趣味や家族の話など個人的なものは、わざわざ共有する必要はないでしょう。個人が特定できてしまうような情報だったり、センシティブな内容であれば、なおさらです。スタッフAに話した内容がなぜかスタッフBまで知っているとなると、気持ち悪さを与えたり、個人情報の管理に疑問を感じさせてしまいます。

顧客ノートなるものを作成し、お客さまの情報を細かく記録しておいて次回の接客に活かしているお店がありますが、共有するのは自店の営業に直接かかわるものに限るようにしてくださいね。

3つ目は、店内でお客さまの名前を大きな声で呼ばないことです。何かしらのSNSを利用しているお客さまが多い時代です。名前がわかってしまうと、近くで聞いていた人が興味本位で検索をかけてアカウントを探し出したり、場合によってはネットストーキングに発展してしまう可能性もあります。医療のようなプライバシーにかかわるサービスや、人に話しにくいようなデリケートな商品を扱っている場合、個人が特定できてしまう情報の扱いには特に注意が必要です。

当店でも、傾向として若い人や女性は個人情報に敏感な方が多いので、大きな声で名前を呼ばない、できればあだ名にするなど工夫しています。また、信頼関係が構築できていない段階では、あれこれプライベートなことを聞き出さないように気をつけています。お客さまに寄り添いながらもプライバシーに一定の配慮ができることが、愛される接客の秘訣です。

自分の中にある無意識の偏見に注意

 

お客さまとざっくばらんに話をする間柄になったからといって、思ったことをなんでも口にすることが良いとは限りません。「アンコンシャスバイアス」という言葉を聞いたことはありますか?

アンコンシャスバイアスとは、人間の中にある無意識の偏見を意味するものです。例えば接客の際に、お客にこんな言葉をかけたことはないでしょうか。

·    日本語がお上手ですね

·    A型って几帳面ですよね

·    (子ども連れの父親に)奥さんはどうされたんですか?

·    あの年代の人たちはこうですからね

これらはすべて、無意識のうちに心の中に持ってしまった偏見です。例えば「日本語がお上手ですね」というフレーズは、見た目だけで外国人だと判断してしまったために発せられる言葉です。日本人相手に日本語が上手なことを褒める人はいませんよね。初めから外国人だと決めつけているのです。「A型って」「あの年代って」と特定のグループに属している人をひとまとめにしてこういう人だ、と決めつけるのも、一種の先入観といっていいでしょう。

昨今では「男は働きに出て、女は家事をするものだ」なんてわかりやすい差別をする人はいないと思いますが、子どもを連れている父親を見て「奥さんはどうしたんですか?」と言ってしまう人も、少なからずいます。頭の中に固定化された男女の役割分担が、思わず言葉となって表面化してしまうのはよくあるパターンですから、気をつけましょう。ちなみに当店はご夫婦やカップルで来店されるお客さまも多いので、お会計は男性が支払うもの、お酒を注ぐのは女性の仕事などと決めつけずに、その都度確認しています。ネット上にはアンコンシャスバイアスをテストできるWebサイトもあるので、一度チェックしてみてください。

無意識の偏見は、だれしもが多少なりとも持っています。それを100%取り除くことは難しいかもしれませんが、大切なのは、自分自身が偏見を持っていることを自覚し「この言葉に傷つく人はいないかな?」と想像力を働かせることなのです。

令和の時代は「受け身になれること・人の痛みに敏感であること」が接客サービスの肝

 

当店は10年ほど前から、それまで行なってきた「お客さまのことを知ろう・近づこう」といった接客スタイルから、先述のように注意を払うスタイルに段々と方針転換してきました。これだけが要因とは限りませんが、以前と比べて単に料理を食べるためだけでなく、私たちスタッフに会いに来てくださるお客さまが増えたと肌で感じています。

総じて現代は、受け身になれること・人の痛みに敏感であることが接客サービスの肝になります。これらを意識しながら、愛される接客サービスの提供を目指してみてください。

 

2023 / 06 / 10  08:23

 明日は我が身かも?損害賠償金を請求される・する場合の注意点 NO1

 

 

 

 

以前から、行き過ぎた悪ふざけや迷惑行為をSNSに投稿する人は問題視されてきました。近年も、寿司店の醤油差しを舐める動画などが世間を騒がせていますが、もし自社が当事者となったら、どのように対処すればよいのでしょうか?

 

いざという時に落ち着いて対処するためにも、まずは損害賠償請求について、基本的な知識や手続き方法、注意点について知っておきましょう。

 

今回は大谷・佐々木・棚田法律事務所の弁護士である棚田 章弘(たなだ あきひろ)さんに、損害賠償金の請求方法や、されたときの対策、リスクヘッジなどについてお話を伺いました。

 


 

· そもそも「損害賠償」とは?

 

· 任意交渉?法的解決?損害賠償請求の手続きと注意点

 

· 自社が損害賠償請求をされたときの対応

 

· 損害賠償請求を未然に防ぐために今からできること

 

損害賠償について、簡単に教えてください。

 

損害賠償とは、他人に損害を与えた場合に金銭で補償することです。損害賠償には2つのパターンがあります。

 

1つ目が「債務不履行責任」と呼ばれる、契約している相手方に対して迷惑をかけてしまった場合に、損害について金銭で解決するというものです。

 

2つ目は「不法行為責任」という、契約がない人との間で損害が発生した場合の損害賠償で、交通事故などがわかりやすい事例だといえるでしょう。

 

ただし、どちらの場合も、他人に損害を与えた場合に金銭で補償することに違いはありません。

 

債務不履行責任による損害賠償とは、どのようなものでしょうか?

 

債務不履行責任とは、契約で定められた内容に違反して、相手方に損害を与えた場合に発生する責任です。例えば売買契約で物を引き渡せなかったり、請負契約で期限内にものを作れなかったりした場合などが該当します。このような場合は、金銭で解決するのが一般的です。

 

債務不履行責任とは主たる目的だけではなく「付随義務」にも及びます。付随義務とは、契約の履行に必要な義務で、安全配慮義務や善管注意義務などがあります。例えば長時間労働など、従業員の健康管理を怠って死亡させたり、引越し業者が家具を傷つけたりした場合です。このような場合も、加害者側が損害賠償責任を負うことになります。

 

不法行為責任による損害賠償とは、どのようなものでしょうか?

 

不法行為責任とは、契約関係がない人に対して法律上の義務を違反して損害を与えた場合に発生する責任です。

 

例えば交通事故で他人の車や体を傷つけたり、従業員が詐欺でお客さまから金をだまし取ったりした場合です。また、建物が倒壊して歩行者に当たった、工作物の欠陥が原因で爆発した場合など、自分が所有する建物や工作物が他人に危害を及ぼした場合も不法行為責任に該当します。

 

 

 

実際に損害賠償請求を行う際には、どのような手続きが必要なのでしょうか?

 

損害賠償請求を実施する際の手続きには、大きく分けて2つあります。1つは、相手方と話し合って解決する「任意交渉」と呼ばれる方法です。もう1つは、裁判所を介して法的に解決する「法的解決」です。

 

任意交渉のメリットは費用がかからないことや、話がスムーズに進めば早く解決できることなどが挙げられます。ただし、話がまとまらなければ解決できません。また、相手方が協力しない場合に対処できないのがデメリットです。

 

法的解決のメリットは、相手方が協力しなくても強制的に手続きを進められることや、裁判官による公正な判断を受けられることです。一方、時間と費用がかかることや、自分の思い通りの判決が出ない可能性もあることはデメリットだといえます。

 

損害賠償請求できる内容は、基本的に相手方の行為によって生じた損害です。例えば、ケガをした場合は治療費や慰謝料を請求できますし、売買契約で物が届かなかった場合は代金や利益を請求できます。また納品が遅れた場合は、遅延損害金やその他の損害を請求することも可能です。ただし、あくまで関係性や因果関係があるものだけに限られます。

 

顧客や取引先に損害賠償請求をする際、注意すべき点を教えてください。

 

顧客や取引先に損害賠償請求をする際、注意すべき点は次のようなものが挙げられます。

 

·    損害の内容と額をきちんと把握しておくこと

 

·    相手方の身元や立場を確認しておくこと

 

損害賠償請求は、一度にまとめて行う必要があります。後から追加で請求することはできません。和解の場合は「この金額でお互いに全面解決ですね」という合意をとりますから、その後に新たな損害が発見されても請求できなくなります。そのため、まず損害状況を精査し、どの程度の被害を被ったのかについて正しく確認しておくことが重要です。

 

次に、相手方がわからない場合や間違っている場合は請求ができなくなるため、相手方がどのような人なのか必ず確認しておきましょう。例えば店舗で物を壊された場合は、犯人の身分証明書や連絡先を確保しておく必要があります。警察にも頼めますが、必ずしも協力してくれるとは限らないため、ご自身で確認を取るのがおすすめです。

 

例えば発注者が契約締結後に追加の要望を出した際に依頼された側が対応できない場合、債務不履行に該当するかと思われます。この場合の落としどころはどのように決着するものでしょうか?

 

まず、契約書や見積書などの書面があるかどうか確認しましょう。例えば工事の場合、そこに請負内容や作業範囲が明記されていれば、それ以外のものは追加工事として扱われます。そうなると、別途見積もりや契約をする必要があります。ただし、再契約しなくても債務不履行にはなりません。

 

しかし書面がなかったり、あいまいであったりする場合は別です。当初の約束や口頭でのやり取りを思いだすしかありませんが、それでも解決しなければ話し合いで落としどころを探すしかありません。その際には、自分の作業をきちんと請求しましょう。話し合いが難航した場合は、弁護士に相談するのも1つの方法です。弁護士は和解交渉の仲介役としてはもちろん、相手方にプレッシャーをかける存在としても効果が期待できますから、早めに相談するのが得策です。

 

損害賠償請求の準備をするために、経営者や従業員が時間をかけた場合、その分を請求できますか?

 

残念ながら、そのような時間に対する請求はほとんど認められません。経営者でも従業員でも同じです。

 

債務不履行による損害賠償を請求されたとき、どのような対応が必要なのか解説をお願いいたします。

 

債務不履行による損害賠償を請求された際には、まず自社の担当者と事実関係をチェックすることが必要です。請求書やメールなどの資料も用意し、担当者の証言と照らし合わせて確認しましょう。

 

もし証拠が不足している場合は、現場検証や写真撮影などを行って、作成できるものは作成しておく必要があります。特に、相手方の請求を否定できる証拠は優先的に確保しなくてはいけません。

 

相手方の請求内容と金額を把握することも必要です。書面で請求されている場合は、その内容が妥当かどうか確認します。損害内容や計算方法に疑問があれば、すぐに相手方に問い合わせましょう。

 

また、早期に弁護士や保険会社などの専門家に相談し、助言を求めることも大切です。その際、事実関係を時系列順にまとめた書面や資料を持参するとスムーズに手続きを進めることができます。

 

当事者同士で話し合って解決する場合は、必ず書面化しておきましょう。書面の内容を正確、かつ明確に記載することが重要です。その後、内容を弁護士にチェックしてもらうことも忘れてはいけません。

 

債務不履行による損害賠償請求をされた場合、金額の相場はいくらぐらいが想定されるでしょうか?

 

債務不履行による損害賠償請求をされたときの金額相場は、ケースバイケースです。

 

例えば物を壊した場合は、その物の価値が賠償額になります。ただし、物は経年劣化するため、購入費全額ではありません。

 

自動車を壊した場合などは、原則は修理費の金額になります。修理できないような場合には、中古車の価格が最大限度額ですので、同程度の物の中古価格が損害賠償額の相場といえるでしょう。

 

人に怪我をさせた場合は、治療費以外にも通院期間や入院期間に対する慰謝料が発生します。交通事故には算定事例がありますから、相場は把握しやすいです。

 

不法行為による損害賠償を請求されたとき、どのような対応が必要か解説をお願いいたします。

 

不法行為による損害賠償を請求されたときには、特に相手方に全く非がない事案の場合には、まず相手方の被害者意識を和らげるため、お詫びに行くことはしておいたほうがよいでしょう。被害者意識が強くなると、無茶な請求をされる可能性が高くなります。

 

例えば1万円相当の損害しか発生していないにもかかわらず、10万円以上の請求を行うようなケースです。こうした事態を未然に防ぐだけでなく、後になって「謝罪されていない」と言われないためにも、早めに謝罪したという形跡を残しておくことが重要です。これは相手方に受け入れられなかったとしても、しておいて損になることはないでしょう。

 

次に、事実関係の把握が必要です。債務不履行責任の際にお話ししたものと同じ方法で、確認してください。また、弁護士への相談も視野に入れましょう。特に不法行為では無茶な主張がされやすいため、弁護士が必要な場合が多いです。弁護士が理詰めで交渉することによって、相手方も納得しやすくなります。

 

裁判例や法律的根拠を参考にすることも大切です。相手方が怒ったり感情的になったりしても、ドライに対応してください。「これはルールです」という姿勢で話せば、相手方が納得する可能性も高くなるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

2023 / 06 / 09  05:00

ものづくり補助金事例 国内でも有数のシェアを誇る高い技術力・設備と仕組の両面による 有限会社高橋工業所

 

 

 

同社は、昭和32年に鋳造金型や機械設備の製造を目的に創業した。創業の数年後には、オイルシール金型と治工具の製造を開始し、それらは現在の主力製品(非常にシビアな精度の金型を月間100種類以上製造し、国内でも有数のシェアを誇る)となる。昭和367月には有限会社高橋工業所へ組織変更した。平成24年に事業承継を経て髙橋拓美氏が40歳で代表取締役に就任し、現在に至る。平成26年には福島市内に新工場(第二工場)を建設、更なる生産体制の強化を行っている。

 

IoTと最新機械の活用による効率的な生産計画の実現

 

同社は、ものづくり補助金を活用し、機械導入や社内ICTIoT環境を整備した。これにより設備の負荷状況(負荷オーバー状態や遊休状態)をオフィスPCや携帯電話・タブレット端末から一元的に把握でき、設備ごとの負荷状況を確認しながら融通性の高い生産計画の立案が可能となった。その上でICTIoT環境や高性能5軸加工機等の最新設備の効率的な活用を組み合わせることで、加工時間を従来の機械と比較して2/3まで短縮し、競合他社には実現不可能な低コスト、短納期を達成している。

 

計画的な多能工化教育による生産性向上

 

同社では、新入社員に対して社内の全工程を教育・指導し、1人の社員が一連の作業を行えるように訓練している。これら訓練後に担当部署に配属することで、社員の一人ひとりに製品の完成までのプロセス理解を促し、より効率の良い生産方法を自身で考えられる仕組みとしている。また配属先の作業現場では、1人の社員が複数台の機械を掛け持ちして高い生産性を維持できるよう、先輩社員と若手社員をペアにし、3年計画での多能工化・人材育成・職場定着を図る。

 

評価制度と多様な人材活用による意欲と技術の向上

 

同社は、能力主義の社員評価制度を採用しており、20代前半で役職に就いた社員もいる。実際の評価においては、難しい仕事ができることを最優先項目とせず、意欲(やる気)、協調性なども総合的に評価している。また、高齢者(熟練工)の雇用にも積極的に取組む。彼らの圧倒的な経験値や機械の知識は、機械トラブルへの対応などの場面で大きな力を発揮する。さらに彼らの高い技術(誤差0.1mm以下の高度な仕上げ技術等)を若手へ継承するため、前掲のICTを活用した可視化にも取組んでいる。

 

 

2023 / 06 / 08  05:00

ものづくり補助金事例 特殊技術によりオリジナルブランドを開発し国内全域で販売・補助金も活用し生産ラインの自動化に着手 株式会社ポテトかいつか

 

 

 

さつまいも卸問屋として営業を開始。プロの厳しい要求に答えるべく厳選したさつまいもを供給。茨城県鉾田市を中心に約400件の生産者からさつまいもを仕入れ、年間約17000トンを国内中心に販売している。品質向上と人手不足への対応として生産ラインの自動化に取り組むなど、「さつまいもの新しい価値を育む」をミッションに掲げたさつまいも業界のリーディングカンパニーである。

 

補助金を活用した生産ラインの自動化

 

当社は、衛生面を含めた商品品質の向上と人手不足への対応として、ものづくり補助金を活用して、AI技術を活用したさつまいもの生産ラインの自動化に努めている。加工品については、外注による製品製造から、自社生産体制強化を積極的に進め、内製化にも取組んでいる。

 

低温熟成技術により付加価値を高めた独自ブランドさつまいも「紅天使」

 

当社は、高品質で安心・安全なさつまいもを提供するため、仕入先である約400件の生産者と「共存共栄」のモットーのもと密接なネットワークを築いている。また、生産者からの生芋の仕入れだけでなく、苗や肥料等の資料の提供も開始し、生産者の安定生産に貢献している。仕入れ後には自社倉庫において最長で約1年間熟成可能なキュアリング技術により、糖度を最高47度まで高めたさつまいもを、オリジナルブランド「紅天使」として商標登録した。焼き芋や干し芋、大学芋やジェラートなどとして販売展開することで知名度を高め、同業他社とは差別化した高付加価値な主力商品としてブランド化を図っている。

 

オリジナルブランド芋「紅天使」の全国展開、直営販売事業の拡大

 

茨城県鉾田市を中心とした約400件の生産者からさつまいもを仕入れ、年間約17000トンのさつまいもを扱い、国内全域で販売している。国内では、量販店向けや食品メーカーを中心に卸売りしているが、平成24年からは、焼き芋専門店としての店舗事業や通信販売事業も開始するなど、直営販売事業も立ち上げている。また紅天使の生産技術の確立と品質安定のため、従来からの研究開発目的の新品種生産に加え、平成30年から本格的にさつまいもの自社生産を開始している。

2024.03.29 Friday