2023/07/07 05:00
従業員の介護離職を防ぐために、事前に対策できることを教えてください
少子高齢化の進行により、近い将来、介護離職を申し出てくる従業員が出てくることを心配していますが、自分自身に介護の経験がないため、何から始めればいいのかイメージがわきません。
1.介護離職は年間10万人
急速に高齢化が進む日本。企業経営にもさまざまな影響が及んでいますが、その一つに介護離職の問題があります。
「平成29年就業構造基本調査」(総務省)によると、家族の介護・看護を理由に離職した人は年間で約9万9千人、平成24年の同調査でも約10万1千人となっており、毎年10万人程度が介護離職していると推測されます(※1)。一方、要介護・要支援認定を受けている人は、令和2年3月末現在で669万人、平成12年の介護保険制度発足当初の256万人から約2.6倍に増加しており(※2)、今後も増加が見込まれます。
介護はある日突然やってくることも少なくありません。しかも、親の介護の担い手になっているのは、多くは企業の中核を担っている働き盛りの世代です。彼らが介護していることを言い出せずに思い悩み、心身の負担が限界を超えて離職してしまったら、本人にとって不幸であるばかりか、企業にとっても大きな痛手となります。
2.介護離職にはこう備える
このような事態を招かないために、企業は今のうちに以下のような取組をしておきましょう。
(1)「介護離職をさせない」という発信
まずは、企業が「介護が必要になっても辞めてはいけない」と発信することが大事です。それがあってこそ、従業員は、仕事を続けるという発想が持てるようになります。
(2)相談窓口の周知
(1)と併せ、従業員が介護に直面したときに、相談できる体制を整備し、それを案内しておきましょう。それがないと、冷静に考えることもできずに退職を決めてしまいかねません。従業員に、いざというときに思い出してもらえるよう、「相談できる場所がある」ことを継続的に知らせましょう。
(3)介護に関する制度の案内
(2)の相談窓口は、介護をしながら働き続けられる制度を案内しましょう。支援制度として、主に以下の2つがあげられます。
①介護休業制度
育児・介護休業法には、介護が必要な家族1人について、通算して93日まで、3回を上限として分割して休業できる制度が定められています。この期間は、企業は給与を支払う義務はありませんが、雇用保険の被保険者が介護休業をした場合、一定の要件を満たすと、雇用保険から介護休業給付の支給(賃金の約67%)が受けられます。
もっとも、介護期間の平均は4年7ヶ月(※3)、そして先の見通しも立ちにくいものです。そのため、介護休業は、介護に専念することを前提に取得するのではなく、介護サービス利用に向けた準備や調整のための休みと捉えましょう。通院の付添いは介護休暇(対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10日まで、1日または時間単位で取得可能)、夕方に見守りや手助けが必要な場合は短時間勤務等の制度や所定外労働を免除する制度などを活用すると良いでしょう。
②介護保険制度
介護をしながら働き続けるためには、一人で抱え込まずに、介護サービスを活用することも大切です。相談窓口では介護保険の利用を勧めましょう。介護保険とは、40歳以上が加入する公的な社会保険制度であり、65歳以上が主な制度利用対象者です。
介護保険を利用するには、市区町村に申請し、要介護認定を受ける必要があります。認定を受けたら、介護のコーディネータ役であるケアマネジャーと相談して作成したケアプランに基づき、サービスを受けることができます。
相談窓口では、サービスの詳細まで把握する必要はありませんが、従業員に、「地域包括支援センター」の存在は知らせておくことをお勧めします。地域包括支援センターとは、地域の高齢者などの相談対応や介護予防、サービスの連携・調整業務を行っている公的な相談機関のことを言います。
制度の詳細は、厚生労働省「介護休業制度 特設サイト」もご参照ください。
(4)実態把握調査の実施
介護は実態が見えにくいものです。「介護をしている従業員は我が社にはいない」と思っていても、実は人知れず介護をしている従業員がいるかもしれません。そのような従業員が本当にいないか、ぜひ調査をしてみてください。その調査そのものが「介護を打ち明けやすい雰囲気作り」に繋がるかもしれません。
実態把握調査の例は、厚生労働省「仕事と介護の両立支援実践マニュアル」に掲載があります。
3.「誰にも起こりうる」ことを認識しましょう
介護と仕事の両立に関する悩みは、いつ、誰が抱えることになるか分かりません。制約を持っても働き続けられると伝えていくことは、従業員に大きな安心感を与え、人材の流出を防ぎます。今から必要な制度を整え周知するとともに、困ったときに休みを申出しやすい職場風土を醸成していきましょう。
2023/06/29 05:00
顧客とコミュニケーションをとると、従業員のやる気が高まる
顧客と接点を持つことで、企業が得られるメリットは数多くある。製品の開発や改良に直接役立つアドバイスや要望が得られることは、イメージしやすいだろう。「従業員のモチベーションが上がる」と断言する経営者も多い。これは、自分が開発や製造にかかわった商品を愛用している顧客の姿を知ることで、自分の仕事にやりがいや誇りを感じるためだ。さらに、普段から顧客との信頼構築ができていれば、トラブルが発生したときにも理解を得やすいなど、リスク対策にもつながる。どのように顧客と接点を持つか——。その方法は様々だ。自社の事情に合わせた接点を確保してほしい。
顧客とコミュニケーションを取る方法
ポジティブな意見を従業員に伝えてもらう
アンケートなどで率直な意見を集めるSNSを活用して広く社会全体と接する
ポジティブな意見を従業員向けに伝えてもらう
顧客の声が現場に届くことで、現場のモチベーションが高まるケースがある。商品やサービスの評価が高くても、それを工場などで生産している人にはなかなか届かない。
そこで、経営者や営業担当者が社外の顧客からもらった感想を全従業員に伝える機会を意識して設けている企業は多い。中には、工場見学などを兼ねて、顧客から現場作業者に話をしてもらっている企業もある。
また、会社見学や工場見学を繰り返すことが従業員の自信につながる。外部の人が時間やお金を使って見にくる価値がある現場で働いているとはっきりと認識できるからだ。
聞き取りやアンケートなどで率直な意見を集める
顧客との接点を持つことによる一番分かりやすいメリットは、商品やサービスの反応を実際に購入した人から得られる点だ。実際に取引先に出向いて話を聞いたり、顧客が集まる場を設けて意見を聞いたりする方法が一般的だろう。
それ以外にも、様々な方法で顧客との接点を持つ企業がある。重要なのは、しっかりと本音を吸い上げる仕組みにできるかどうかだ。
カレー専門店「CoCo壱番屋」を全国展開する壱番屋の創業者も、顧客との接点を持ち続けていた。
店舗数が100店を超えたあとも、店舗で回収した顧客アンケートすべてに目を通し、必要に応じて店舗に改善などを直接指示していたという。いずれにしても、強い目的意識で顧客との接点を持ち続けると、顧客の声を生かしやすくなる。
SNSを活用して広く社会全体と接する
最近は、SNS(交流サイト)を活用する経営者も出てきている。顧客と直接つながることで、自分の知らないところで起きた様々な情報が寄せられるようになる。現場の不備に対する厳しい指摘もある一方で、社員の対応を褒めるものもある。会社に対する“忖度”のない意見を入手する一つの手段として活用できるというわけだ。また、不祥事の場合に、経営者自らの言葉で発信して理解を求めるといった使い方も可能だ。SNS活用で大事な点は、自社にとって都合のいい情報ばかりを発信しないこと。製品の紹介はするが、不具合が発生した場合はノーリアクションというのでは、顧客との信頼関係は構築できない。迷惑をかけたことに対する謝罪だけでなく、原因究明や再発防止策といった対応までしっかりと説明する。“隠し事をしない”姿勢を示していれば、顧客は簡単には見放さないはずだ。
2023/06/23 05:00
情報発信の意義と方法 メディアの関心事を理解して、上手に付き合う
自社の商品やサービスを広く伝える情報発信は大企業が取り組むべきもの、というイメージを持っている中小企業経営者がいたら、その考えを改めてほしい。中小企業こそ、情報発信によるメリットをより享受できる。
情報発信の手法として、まずは新聞や雑誌に広告を出したり、テレビコマーシャルを打ったりといった取り組みがあるが、十分な広告費をかけられない中小企業も少なくない。
コストをかけない情報発信にもいくつか手法はあるが、ここでは、メディアの取材を受けて放送・掲載されやすくなる方法について紹介する。
メディア取材による情報発信の基本となる3つの考え方
1. 実績のある商品・サービスをさらに伸ばすための手段である
- 商品・サービスのアピールをしてくれるインフルエンサーと捉える
- とにかく具体性のある資料をそろえ、地元メディアを最初に狙う
1.実績のある商品・サービスをさらに伸ばすための手段である
意識しなければいけないのは、メディア取材による情報発信は基本的に「既に実績がある商品・サービス」をさらに伸ばしていく、という観点だ。まったくの新商品をメディアが取り上げてくれるのは、それまでにヒット商品を出した実績があったり、企業・経営者自身の知名度が十分に高かったりする場合に限られる。
なぜなのか。メディア側もビジネスだからだ。テレビであれば視聴率、新聞や雑誌であれば発行部数や発売部数、ネットメディアなどであればページビューなどが狙えるコンテンツを取材して掲載したいと考えている。
従って、メディアが実績のある商品の紹介に偏ることは仕方のない面があり、この姿勢を批判しても始まらない。それよりも、メディアの掲載基準を知ったうえで、自社の商品やサービスをどう売り込んでいくかを考えていったほうがよい。
2.商品・サービスのアピールをしてくれるインフルエンサーと捉える
信頼性の高いテレビ番組や雑誌記事で取り上げられることによる露出によって、自社の商品やサービスの信用を高める効果が期待できる。食品などが典型だが、一部の人たちの間で話題になった商品などがテレビなどへの露出がきっかけでブームとなり、売り切れが続出する光景はよく起こる。スーパーマーケットなどの棚では、「テレビの〇〇で紹介されました」「雑誌の〇〇ランキングで1位」といった告知のついた商品が、消費者の目に留まりやすい場所で売られている。メディアを、「売れていない商品の後押しをしてくれる人たち」ではなく、「売れている商品をさらにアピールしてくれるインフルエンサー」と捉えて接するほうがよい結果を生む。
3.とにかく具体性のある資料をそろえ、地元メディアを最初に狙う
実際に訴求する際には、メディア側が気に留める要素をしっかりと記載することが重要だ。それは、販売個数や売上高のような実績や、その商品が類似品と成分や製法などで客観的に差異化できる点などだ。例えば「丁寧に熟成させた」ではなく「〇〇という製法で1カ月間熟成させた」、「材料を厳選した」ではなく「〇〇等級の原料のみを使用した」など、具体的・客観的に紹介できるようにしておけば、メディア側は興味を持ちやすくなる。
そして、繰り返し、メディアに発信することだ。メディアには大量の情報が寄せられる。1回だけ送っても、まず覚えてもらえない。手を替え品を替え、何度も送ることで目を引く可能性が高まる。メディアが考えている企画内容と合致するといった可能性も高まる。
中でも、広報活動を始めたばかりの企業では、経営者自らがメディアと接点を持つようにする。経営者が最も企業・商品の魅力や経営に関する数字について強いからだ。同時に、メディア側にとっても、経営者自らが対応してくれるのは、取材元として魅力的だ。
狙うメディアは地元の新聞を最初に考えたい。地方紙はエリアごとに担当記者がいて、地元の話題になる経営者や商品を紹介する企画を定期的に実施するため、常に取材先を探している。決して押し付けるのではなく、きちんと実績のある企業・商品であることを伝えておけば、取材につながる確率は全国紙などへの売り込みに比べて格段に高くなる。まずは客観的な資料の整備と、会社見学/工場見学を受け入れることで自社について知ってもらうことなどが有効だ。短期で無理やりメディア露出を図るのではなく、中期的な目線での対応がカギになる。
2023/06/22 05:00
従業員に数字を意識して働いてもらうには?教育方法や成功事例を紹介
売上・資金繰りなど、常に数字を追いかけている経営者の皆さん。従業員にも数字を意識して働いてほしいのに、全然そうならなかったり、あげくに嫌がられたり……。そんな経験はありませんか?
一般的には、目標である数字自体を伝えることが多いと思いますが、そもそも、その共有方法はあっているのでしょうか。
今回お話をお伺いした、ビジネスにおける数字を利用した人材育成コンサルティングなどを行う、BMコンサルティング株式会社 代表取締役の深沢 真太郎さんは「数字『で』従業員に何をしてほしいのかを伝えると、自然と数字の意識が芽生えてくる」と言います。
その他にも、従業員に数字を意識してもらうための方法や注意点、実際のオフィスでの成功事例などを伺いました。すぐに実践できる、わかりやすい対策ばかりです。ぜひ参考にしてください。
目次
· まずは「数字を会話に取り入れること」から!従業員に数字を意識して働いてもらう具体的な方法
数字を意識して働くことの意味や重要性とは?
そもそも「数字を意識して働く」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
数字を意識して働くというのは、確実な指標となる数字を活用して経営判断の基準にしたり、会社の変化に気づいたりする状態を指します。従業員の場合は、数字を見てプロセスを見直したり、実績を積み上げたりする働き方ですね。
つまり、数字1つ1つの統計や計算に囚われるのではなく、数字を活用して改善を図り、結果につなげる意識を持つということなんです。
従業員が数字を意識して働くメリットは何でしょうか?
自分の頑張りや成長を明確に示せるのが、数字を使うメリットです。しかし、ただ売上が増えたとか、業務を効率化できたとデータを示すだけではいけません。数字の結果を認めてもらい褒められたとき、人は初めて嬉しいと思えるようになります。子どもだろうが大人だろうが、人間は褒められると無条件に嬉しいんです。
逆に、数字を意識して働くことのデメリットは何でしょうか?
気を付けないといけないのが、数字には思考停止を生むリスクが存在する点です。例えば、ある学生の偏差値が10下がったとしましょう。もしかすると、家族に何か事情があったりして、勉強どころではなかったのかもしれません。にもかかわらず偏差値が下がったという事実だけで、その子は努力していないと短絡的に結論付けられる可能性があります。これが「数字が思考停止を生む」という意味であり、デメリットと言えるでしょう。
なぜ従業員は数字を意識しにくいのでしょうか。
実は経営者自身が、従業員には具体的な数字の話はあまりしたくないことが原因の場合があります。「来年は今年よりも売上を増やします」と「来年は1億円売上を増やします」では、後者のほうができた・できないがより明確になりますよね。一方で、明確ゆえに生じる問題も多いのではと考えたり、数字を説明すること自体が面倒くさいと思ったりする傾向があるんです。そうなると、従業員も同じ感覚になってしまう可能性が高いでしょう。
従業員にも、数字は面倒くさいものではなく自分にメリットをもたらすもので、それが会社の利益にもつながっていくのだと理解してもらうことが重要です。単に数字は大事なんだ、数字を見ろと伝える「べき論」では、現場に響きません。従業員にメリットを感じさせなければ、数字を意識してもらうことはできないと思います。
まずは「数字を会話に取り入れること」から!従業員に数字を意識して働いてもらう具体的な方法
従業員に数字を意識してもらうために、今すぐできることはありますか。
手っ取り早くできることは、数字を会話に取り入れることです。私はこれを「数会話」と呼んでいます。いきなり数値分析をしようとか、財務諸表を読みなさいといった話ではありません。日常の仕事での会話に、数字を交えて話すということです。例えば話を聞いてほしいときに「ちょっと時間をください」ではなく「1分だけ時間をください」にするのは簡単ですよね。数字で具体的に伝える会話を心がけてもらえるように指導して、従業員に実践してもらうのです。そうしていくうちに「数字を伝えたほうが反応がよい」「OKをもらいやすい」という感覚が従業員にも自然と備わっていくと思います。
従業員を育成する観点から、数字を意識してもらう具体的な方法はありますか。
まずはデータなどをしっかり活用し、成果を出した人をこれ以上ないほどわかりやすく褒めてください。社内報に、成果やインタビュー記事を載せるのもよいでしょう。そうすることで、数字を活用して良い思いをしたという成功体験が本人の記憶に残ります。
さらにそれを見た他の従業員が「〇〇さんの仕事の仕方は真似した方がいいかも」と影響を受け、自然に数字を意識し始めると理想的です。数字の話に限らず、従業員全員を同時に変化させるのは容易ではありません。しかし、1人をターゲットにして育成すると、刺激を受けた人が後からついてくる構造が作れます。小さな会社であればあるほど、波及効果が期待できるのではないでしょうか。
さらに、従業員に各自の変化を語らせるのもおすすめです。変化は増減や良し悪しで表現するしかないため、自動的に数字が用いられるようになります。全体ミーティングを活用すると、他の人の話も参考にできて一石二鳥です。
「数字で伝える」が大事。数字の話をする際のポイント
数字の話をする際のポイントや、注意点を教えてください。
一言で言うと「数字を伝える」ではなく「数字で伝える」ですね。数字そのものを押し付けるのはやめて、従業員に何をしてほしいのかを伝えるための手段と考えてください。
例えば「今月の売上目標は〇億円だから達成させよう」という経営者と、「接客の質を向上させて、商品を購入してくれるお客さまの割合を5%に上げよう」という経営者では、より多くの人を適切に動かし、売上が見込める会社は後者だと言えます。なぜなら、具体的に何をするかがメッセージに込められているからです。数値を単なる目標値と考えるのではなく、適切に動いてもらうためのツールと考えると、やがて会社の利益につながっていきます。
経営者は会社の数字をできる限り開示したほうがよいのでしょうか。
数字の開示が、必ずしもよいとは限りません。なぜかと言うと、従業員は特に求めていないからです。もし開示するとしたら、数字の変化と各部門の仕事がどうリンクしているのかわかりやすく示す必要があります。ただ数字を見せるより「〇〇部門のパフォーマンスが向上したからこの数字が上がっている」などと伝えると、従業員もメリットを感じて会社の数字が気になり始めるのではないでしょうか。「今月は効率化に力を入れたけど、数字はどうなったかな」と、従業員が自発的に数字を確かめる流れができるとベストです。
もし数字に変化がなかったり、マイナスの変化だったりした場合はどうしたらよいでしょうか?
褒めようがないときは、報告してくれたという事実を褒めたうえで「成果を出すには何が必要か一緒に考えよう」と伝えてみてはいかがでしょう。
ポイントは、相談後の対応に関して、結果を短いスパンで報告してもらうことです。そこでうまく行っていたらすごく褒めればよいし、ダメならまた考える。大切なのは、一緒に考えてくれる人がいる安心感です。数字は、そのためのコミュニケーションのツールだと捉えるとよいでしょう。
バックオフィスの貢献度まで数値化した事例
最後に、数字を意識したことによる成功例があれば教えてください。
ある経営者は営業出身ゆえに、とにかく営業が一番偉い、だって稼いでいるから、という考えを持った人でした。バックオフィスへの評価も低く、総務や人事は不満を感じていたんですね。何とか自分たちの頑張りを伝えたい、では数字で示そうと、まずは営業部への貢献度を数値化しました。それを基に、売上の〇%はバックオフィスのサポートによるものだと主張したんです。加えて、効率化による作業時間の短縮で、人件費が削減されたことも明らかにしました。これらの数字を合わせると、営業部よりも経営への貢献が大きいことがわかりました。さすがに経営者もハッとして、その後は態度が変わったそうです。
バックオフィスの皆さんに意見を聞くと、仕事がしやすくなったのはもちろん、社長が認めてくれたのが何より嬉しかったとの声が挙がりました。冒頭からお話しているように、褒められたり認められたりすると嬉しいのが人間なんです。だから数字を使うといっても、結局はハートへのアプローチであり、生身の人間を相手にしているんだという感覚を忘れないでください。
2023/06/20 05:00
【離職率低下の事例あり】小さな会社で働く従業員の健康管理に。置き型社食サービス「オフィスおかん」とは
経営者の皆さん、従業員の健康のことを考えていますか?近年「健康経営」の重要性が注目されています。健康経営とは、従業員の健康管理を個人に任せるのではなく、経営課題として捉える考え方です。中小企業では、1人でも休んだり辞めてしまったりするだけで大きな影響が出るため、健康経営はリスクマネジメントのカギとも言えるでしょう。
健康経営を始めるにあたり、会社が比較的取り入れやすい・続けやすいものが食に関する福利厚生です。「オフィスおかん」は、電子レンジとスペースさえあれば始められる置き型の社食サービス。1品100円で、従業員各自がいつでも好きな組み合わせで利用できます。しかも「オフィスおかん」は、管理栄養士がメニューを監修していて自宅への持ち帰りにも対応!
今回は、オフィスおかんのサービスを運営されている株式会社OKANの中村さんに、サービスの概要や健康経営のメリットについて伺いました。離職率の低下につながったという導入事例も交えながら紹介します。福利厚生が使われていないとお悩みの会社も、必見の内容です。
目次
· 1品100円!簡単に始められる「オフィスおかん」のシステム
健康経営とは?メリットや取り組み方について
そもそも「健康経営」とは何ですか?
健康経営とは、従業員の健康管理を個人に任せるのではなく、経営課題として捉える考え方です。経済産業省のページでは以下のように記載されています。
“「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
健康経営は、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つです。“
(引用)
健康経営|経済産業省
健康経営に取り組むと、企業にどんなメリットをもたらしますか?
「健康」は安心して働くための土台となりますから、人材の定着に役立つのは1つのメリットです。中小企業では、健康問題でだれか1人抜けただけでも影響が甚大です。その人の知識が失われ、顧客とのつながりがなくなるなどすれば、売上の低下を招くでしょう。健康経営によって、そういった事態に備えることも可能です。
健康経営はどのように取り入れると良いでしょうか?
さまざまな総務の方とお話ししていると、健康経営に基づいて福利厚生を実施する際は、非日常ではなく日常に寄った施策が長続きしやすいようです。例えば、ウォーキング大会を開いたとしても、健康を意識するきっかけには効果的ですが、継続するのはなかなか難しいですよね。運動であればラジオ体操のように簡単にできるものが継続しやすいですし、運動や食事など、だれにでも当てはまる領域も取り入れやすいのではないでしょうか。
1品100円!簡単に始められる「オフィスおかん」のシステム
オフィスおかんについて教えてください。
オフィスに冷蔵のお惣菜を設置するサービスです。お惣菜を保管する冷蔵庫をはじめ、容器の資材ボックス・料金箱はオフィスおかん側で用意します。利用される事業者さまは、電子レンジと設置スペースを準備するだけで大丈夫です。従業員の皆さんが食べたいお惣菜を各自で選び、召し上がっていただけます。
メニューは毎月約20種類で、旬の食材も意識し、こだわった品揃えです。主菜・副菜・ごはんを揃えて定食にしたり、持参したおにぎりに1品プラスしたりと利用シーンはさまざま。好きな時間に使えるため、朝食・間食や夜勤の人にも対応できます。
どのような会社が、オフィスおかんを利用していますか?
健康経営優良法人認定制度というものがありまして、その認定を目指すためにオフィスおかんを利用し始める会社もいます。健康経営優良法人認定制度は、経済産業省が優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。中小規模法人部門の上位法人「ブライト500」社のうち、約10社に1社がオフィスおかんを利用しています。
食事に関する福利厚生というと社員食堂がまず思い浮かびますが、導入のハードルは比較的高いです。一方、オフィスおかんは「ぎゅっと小さくした社員食堂」なので、企業が導入しやすいサービスを展開しています。
オフィスおかんの料金について教えてください。
料金は、会社の規模や利用人数に合わせて複数のプランを用意しています。お惣菜は1品100円で、こちらは購入した人が負担します。設置したお惣菜が足りなくなった場合は、追加が可能です。
オフィスおかんの特長・メリットを教えてください。
社外に出ずに購入でき、手軽に利用できることから、忙しさのあまり食事を抜いてしまうような方にも効果的ですし、欠食予防にもつながります。また管理栄養士がメニューを監修しているので、バランスの良い食事をとりやすく、強く意識しなくても健康に配慮できるしくみを構築できるのではないでしょうか。電子レンジを使っている間に他部署の人と交流するなど、コミュニケーションのハブになっているという声も聞かれました。
お惣菜には1か月以上日持ちする加工が施されており、持ち帰りも可能です。その分家庭の負担は減りますから、SDGs・女性活躍推進の一環として推奨している会社もありました。リモートワークの日に備えて、お惣菜をまとめ買いする人もいます。
つまり、メリットは食事環境の整備だけに留まりません。多様な課題にアプローチできますし、人材定着・生産性向上といった、企業価値の向上にもつながっていくでしょう。
離職率が改善したケースも!「オフィスおかん」の導入事例
小さな会社での導入事例を教えてください。
15名規模の会社で、導入後に離職率が大幅に改善した事例があります。こちらの会社では、以前は3人採用しても2人辞めてしまうという状況でした。やがて働く環境を重視する人が増えていると気付き、採用対策と従業員の食生活改善を兼ねて導入を決めたそうです。
その結果、離職率が低下しただけでなく、お惣菜をシェアすることで社内コミュニケーションも増えたとのことでした。従業員の結束力が強化されて、事業成長にもつながったとの意見をいただいています。
健康経営へ取り組む際に意識すべきポイント3つ
健康経営に取り組むにあたって、経営者が意識すべきことは何ですか?
健康経営に取り組む際は、3つの意識が大切です。
1つ目は、全体最適・部分最適の順に実施するということです。つまり、まず従業員全員に向けて福利厚生を用意してから、不足している対象を支援するようにします。
2つ目は、福利厚生の目的を明確にしたうえで、それを従業員に伝えてください。どうしてこの福利厚生を導入するのかという意図が伝わらないと、使う側も迷ってしまいます。
3つ目は、自社の状況に合わせた対策が重要という点です。他の会社でうまくいったものが、自社でもそうなるとは限りません。男女比や年齢層に合わせて施策を考えたり、ヒアリング・アンケートなどで現状を把握したりするのもよいでしょう。
健康経営に取り組むにあたって、読者へメッセージをお願いします。
冒頭でお伝えしたように、福利厚生は継続性が大切です。とはいえ、時代や会社の状況によって求められる内容は変わっていきます。現在はリモートワークが進んで出社しない従業員も増えています。また従業員が年齢を重ねていけば、以前とは異なる施策を講じなければならないかもしれません。随時見直しを行い、使われない福利厚生は廃止する決断も必要だと思います。
