インフォメーション
留守中も自動で「ちゅーる」 ネコ好きCTOが機械開発
ためになるかどうかわかりませんが、読んだら思わず笑えたのでアップします
あげチュール??
この製品以外にヒットするかもですね
留守中も自宅にいるネコにあのおやつを楽しんでもらいたい――。
業務帳票作成ソフトの開発を手掛けるウイングアーク1stの島澤甲最高技術責任者(CTO)はこのほど、愛猫のために「ちゅーるあげ機」を開発した。
スマートフォンのボタン1つでネコにペット用チューブ状おやつ「CIAO(チャオ)ちゅーる」をあげられる。全国の愛猫家垂ぜん、かもしれないマシンを見せてもらった。
「ティロリ、ティロリ、ティロリ……」。埼玉県にある島澤CTOの自宅。
某有名ファストフードチェーンのポテトが揚がる音が響くと、のんびりと寝そべっていたネコのおもち(4)が弾丸のように飛んできた。
駆け寄ったのはリビングで異様な存在感を放つ銀色のマシン。
赤色灯のように光るライトとウィーンという物々しい機械音とともに絞り出されたのは、ネコを夢中にさせるあのおやつ、いなばペットフード(静岡市)が販売するちゅーるだ。
「ちゅーるは最大8連発で出せる」。
島澤CTOは説明する。おもちをはじめとする島澤家のネコたちは大のちゅーる好き。
ドライフードが入れられる自動給餌器は市販されているが、ちゅーるに特化したタイプは見当たらず、自作に踏み切った。
製作には約2カ月を要した。あらゆるモノがネットにつながるIoTデバイスと連携し、それらの状況の数値データをリアルタイムで分かりやすく表示する自社ソフト「モーションボード」を使って開発。
専用サイトで「ちゅーるあげる」ボタンを押すと、装塡したちゅーるの包装の先端をマシンがカットし、アームで中身を押し出す。
ちゅーるあげ機はカメラとセンサーを搭載し、ネコがいなくなると自動で絞り出しが止まる。
ちゅーるが床に垂れ、汚れるのを防ぐ仕組みだ。
本体はアルミ製。愛猫がなめても劣化しにくいように「海岸線などでも使われるアルミを使っている」(島澤CTO)というこだわりようだ。
アルミを削る工作機械まで購入して開発にあたり、製作コストは約60万円に及んだ。
「初めてにしては悪くない出来」と自負する島澤CTOだが、家族からは「掃除のとき、重くて移動させるのが大変」と軽量化を望まれている。
「ちゅーるを押し出す機構に最大300キログラム持ち上げられるモーターを使ってしまった。
もっと小さく軽くすることは可能」(同)。今のところ市販する予定はないが、「もし希望があれば、作り方は公開できる」と話す。
思わぬ副次効果もあった。「自社ソフトの紹介のデモとして使うと喜んでもらえる」(島澤CTO)。これまでもモーションボードを使い、自動で洗車するマシンや400ヤード打つゴルフマシンを作ってきたが、女性にはあまり関心を持ってもらえなかった。
ネコがちゅーるをなめる様子は取引先の老若男女の心をとかす。仕事にもしっかり貢献するネコたち。ご褒美はもちろん、あのおやつだ。
身内辞退、買い手撤退…2度の後継危機克服した運送会社どうする事業承継
事業承継で、参考になる事例がありましたので紹介します。
超がつくほど高額のM&A会社を使わなくても、公的機関がある程度の仲介をしてくれる事例です。
正喜運送(東京都八王子市)は、大手リース会社を主要顧客に持つ運送会社だ。
精密機器のきめ細かな輸送ノウハウを強みに持つ。
事業承継では一度、後継者候補となった身内が辞退。
後継者不在となり、決まりかけた会社売却の話も流れ、廃業も頭によぎった。
国が設置する相談窓口の協力で新たな売却先を見つけることができた。
次男が後継を辞退
同社は1988年に駒井正一氏(71)がトラック1台で立ち上げた会社だ。
駒井氏は都内の大手自動車販売会社に自動車整備士として勤務。中央省庁幹部クラスが乗る公用車の整備を担当するほど腕を上げた。
独立後、ほどなくして大手リース会社の仕事に巡り合った。
1台2000万〜3000万円の高価な計測器やコンピューターなどの精密機器を取り扱う。損傷事故防止のため自ら製品ごとに運び方を研究した。従業員にも運び方を教え込み、配送先の顧客にも運んだ製品を動かすときの注意点について伝えるなど丁寧な仕事を徹底した。
独自の精密機器の配送方法は、他の運送会社にない強みとなった。
仕事ぶりが評価され、リース会社の都内の事業所内に自社の配送拠点を持つほどの信用を獲得した。
2010年代になり60歳を過ぎると、若い時より経営を担う体力、気力が落ちてきたと駒井氏は実感した。
トラック15台、従業員20人を抱えていた事業規模を徐々に小さくする「守りの経営」を迫られ、「会社の将来のためにも、65歳までには引退すべきだ」と考えるようになった。
そんな時、13年に自宅で同居している次男から「僕が継ごうか」と申し出があった。
駒井氏と次男は承継への道筋をつくろうと動いた。次男は、後継に向けた準備を整えて入社した。
しかし、16年に次男から「申し訳ないけど、後を継ぐのは無理だ」と打ち明けられた。
駒井氏は「運送業の経営環境の厳しさや、若いうちから運転手らベテラン従業員を管理することの難しさを実感したからではないか」と話す。次男はその後、別の職に転じた。
周りを見渡すとほかに後継者候補はいない。
長男はすでに別の会社に勤めていて、会社を継ぐ意思はない。
従業員は長年在籍する生え抜き運転手は多いが、経営がわかる人材はいなかったという。
やむなく第三者への売却による事業継続を考え始めた。
M&Aも白紙に
20年3月には、取引先金融機関のすすめで、東京都立川市の「東京都多摩地域事業引継ぎ支援センター(現東京都多摩地域事業承継・引継ぎ支援センター)」を訪ねた。
「当社には親族にも従業員にも後継者候補がいません。
事業を引き継いでくれる第三者の担い手はいないでしょうか」と切り出すと、担当者は「運送業は事業引き継ぎで引き合いの多い業種です。協力します」と支援を約束してくれた。
同年夏には同センターなどの紹介で、地方の同業他社のトップと顔を合わせた。配送する製品が同じ精密機器で、交渉は順調に進んで株式譲渡契約を結ぶのを待つだけになっていた。
ところが、同年12月、M&A(合併・買収)交渉の実務にあたった会社の担当者が八王子市の本社を訪れ「私も当惑しているが、今回の話はなかったことにしてもらいたい」と、突如交渉を打ち切られた。
決着しかけた事業承継が再び白紙に戻り、駒井氏はさすがに気を落とした。
「このまま後継者が決まらなければ、廃業もやむを得ない」という不安が頭をよぎった。センターの担当者に電話すると、引き続き支援を受けられることを告げられた。
新たな担い手に託す
「人材確保のため、同業で事業譲渡を希望しているところはありませんか」。
正喜運送の事業承継が宙に浮いた1カ月後の21年1月、同じ運送業で上高運輸(東京都瑞穂町)会長兼社長の上田政晴氏(75)は、正喜運送とは逆の立場でセンターを訪れていた。
上高運輸は小型の2トン車から大型の25トン車まで約100台のトラックを持つ中堅だ。
配送品は食料品が主力で引き合いも増えているが、従業員の高齢化で退職が増えて人手が不足し、事業拡大に支障を来していた。センターの担当者は「運送業では同じように人材確保で困っているところがよくあります」と、買い手としての登録を勧めた。
上高運輸の登録後、センターは、同社の事業規模が比較的大きいこと、配送品が異なり競合も起きにくいことなどから、正喜運送との引き合わせを考えた。
センターは3月に互いに名前を伏せたまま駒井、上田両氏に感触を打診。両氏とも関心を示したため、同年夏に立川市のセンター内で直接面談を実現させた。
駒井氏は大手リース会社の信用力維持のため、事業規模が自社を大きく上回る企業による事業引き受けを希望しており、「上高運輸の規模なら安心できる」と感じた。
上田氏は長男への後継が決まっているが、同世代として高齢でやむなく会社の売却を決めた経緯を語る駒井氏の胸の内をよく理解できた。
正喜運送は自社にはない精密機器配送の独自ノウハウを従業員が持っていることを知り、「社長は誠実な方で、いい人材もそろっている」と魅力を感じ初顔合わせで意気投合した。
売り手、買い手の本格交渉入りまでが役割のセンターは、両氏に株式譲渡契約に向けた手続きを仲介する支援会社を紹介し、交渉を軌道に乗せる役割を果たした。
22年5月に駒井氏と同氏夫人が持つ正喜運送の全株式を、上田氏が個人で取得する株式譲渡契約を締結。正喜運送は存続させ、上田氏が駒井氏の代わりに代表権を持った。
「契約ができて長年の懸案が解決し、ほっとしている。時間に余裕もできた」。
株式売却後社業の一線を離れ、趣味の釣りなどにも出かける駒井氏だが、上高運輸に意外なところで貢献をしている。
駒井氏は正喜運送設立後も整備士としてトラックの整備を自ら行い、軽トラックを電気自動車(EV)に改造できるほどの腕前だ。現在は上高運輸のトラックの整備にもあたっている。
上田氏は「(上高運輸は)整備担当者も不足気味だった。小型トラックの運用ノウハウも学べる」(上田氏)と歓迎している。
駒井氏は「整備にかかる経費を減らせた分、従業員の給与に反映できる。
どんな形でも応援したい」と話す。上田氏はそんな駒井氏に敬意を払い「肩書はなくなっても、今でも駒井社長と呼んでいる」という。
確定申告も瞬時に 子育てにマイナンバー活用
子育てにマイナンバー活用という記事がありました。
いろいろと批判の多いマイナンバーカードですが、一回持って、便利さを実感すると、もう後戻りはできない感じがします
国に情報管理されているという感覚はぬぐえませんが、基本的には、カードの所有にかかわらず税務当局は銀行への問い合わせ権限をもっていますし、医療情報などは、一つにまとまった方が万が一の時に適切な医療に活かせると思います
そんなマイナンバーカードですが、子育てにも使えるということなのでご参考まで
日本のマイナンバーは制度整備の遅れが目立ち、国民の理解も道半ばだ。
マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」の導入に伴い、現行の保険証が24年秋に廃止されることにはいまだに反発がある。
政府の経済財政諮問会議は22年12月、マイナンバーの利活用に向けた27年までの工程表をまとめた。
保育園に入る申請手続きなど子育て分野でもマイナンバーによるオンライン申請ができるようにする。
企業が従業員の給与情報を国税、地方税のそれぞれで提出する事務についても、規格をそろえ提出先を1つにすることを目指す。
日本で給付金に所得制限を設ける際は、住民税非課税世帯という単純な線引きになることが多い。
コロナ禍での支援では収入減の証明書類を個人が用意する必要があるなど手間も多かった。
諮問会議の民間議員の一人は「コロナ禍の記憶が残っているうちに、行政の効率化を進めるべきだ」と話す。
工程表には行政や事業者の事務を効率化するメニューが多く並ぶ。
東京財団政策研究所研究主幹の森信茂樹氏は「事務の効率化だけでなく、困っている個人に手を差し伸べるきめ細やかな社会保障につながる制度改革を実現すべきだ」と訴える。
先行する海外勢に日本が追いつくには、必要とする機関がマイナンバーをもとに所得や年金、家族構成といった情報を照会し、活用する仕組みをつくる必要がある。
番号制度を行政のインフラとして定着するには、一人ひとりの暮らしに役立つという実感が欠かせない。
なぜこんなにドラッグストアばかり開店するのか???
なぜこんなにドラッグストアばかり開店するのかと不思議に思っている方は多いと思う
なるほど、新規出店にかかる面積規制と、冷蔵設備金額がかかることでローコスト出店ができにくくなったことが要因であることがわかりました。
しかし湖北地域で人口もそれほど増えないのに、こんなに店ができて大丈夫なんでしょうかね?
昔からある、地域店はひとたまりもない感じがしますが、なんとか差別化して生き残って欲しいです
差別化するためには、いろんな補助金がありますので、またご相談を!!
22年の大型店新設届け出数の企業別ランキングは、九州地盤のドラッグストア、コスモス薬品が131件と最多だった。
2位のツルハ(38件)、3位のクスリのアオキ(37件)と上位21社のうちドラッグストアが9社入った。
コスモス薬品は、店舗面積が1000平方メートル超の大型店を中心に出店し、23年1月末の店舗数は1306店に達し、10年間で2倍以上に増やした。
出店地域も地盤の九州から、北関東などに拡大している。
売り上げの約6割を食品が占め、一般的なドラッグストアの約2割を上回る。
コスモス薬品の店舗面積は、一般的なドラッグストアと比べて広い。
この広い売り場を活用することで主力の医薬品や化粧品を充実させながら、食品の品ぞろえ拡大につなげた。
低価格販売にもこだわることで、幅広い消費者のニーズに対応している。
店舗の管理運営費を抑えることで、食品を低価格販売しても利益を出せるようにしている。
医薬品や化粧品、日用品が主力商品のドラッグストアで、食品の品ぞろえを広げる動きが広がっている。
ツルハは一部店舗で精肉を販売するほか、クスリのアオキも一部で野菜や鮮魚を取り扱っている。
新設届け出数、ドラッグストアがスーパー上回る
医薬品や日用品、食品をひとつの店舗でまとめて買い物できるドラッグストアのニーズは高まっている。
大型店新設届け出数に占めるドラッグストアの割合は45%と、食品スーパー(26%)を上回る。
企業別ランキングで12年に59件と首位だった家電量販店大手のヤマダ電機(現ヤマダデンキ)は、22年は8位(11件)だった。
家電量販店全体でも新設届け出数は12年に121件あったが、22年は35件だった。
家電量販店各社は電子商取引(EC)に注力しており、様々な商品を陳列する大型店の重要性が薄れているとみられる。
22年は食品などの値上げラッシュも本格化し、消費者の節約志向も高まっている。
企業別ランキングでは、低価格販売に強みを持つディスカウントストアも上位に入った。
4位のダイレックス(22件)は郊外のロードサイドを中心に大型店を展開し、食品や衣料品、家電製品など約2万5000品目の商品を低価格販売する。
2000年6月の大規模小売店舗立地法(大店立地法)施行以降、店舗面積1000平方メートル超の大型店新設の届け出が義務化された。
ストアジャパン社によると、新設建物の届け出数は07年の781件をピークに減少傾向にあり、22年は644件だった。
背景には、延べ床面積1万平方メートル超の大規模集客施設の郊外出店を規制する改正まちづくり3法が07年に全面施行されたことがある。
「大型ショッピングセンターの開業が減るなど、スーパーの出店余地も狭まっている」(ストアジャパン社)
12年に269件の新設届け出のあった食品スーパーは、22年は170件だった。
ストアジャパン社は「食品スーパーは冷蔵ケースなど設備投資の額が大きく、人材育成にも時間がかかるため急速な出店は難しい」と指摘する。
一方でドラッグストアは設備投資の負担が比較的軽いため、大型店の出店が容易な面もあるとみられる。
スーパーなどの小売店では、自治体への新設届け出が不要となる中小型店に注力する動きも広がっている。
都市部などでは、マンションなどビルの下層階に中小型店を開くスーパーも増えている。
チューハイ倍速開発 AI利用
AIでチューハイの風味付けをするという話
すぐに消費者嗜好が変わるので、それに合わせてスピード感をもって商品開発という意図
いわゆる、マーケットインの発想で教科書通りがレッドオーシャンの戦いで勝つための戦略
開発資金の数パーセントで良いので、プロダクトアウトの商品を開発してほしい
そういった商品が千三つだが、ブルーオーシャンも待っている
サッポロは「濃いめのレモンサワー」がチューハイ分野の主力商品だ
サッポロホールディングス(HD)が人工知能(AI)を使い缶チューハイのスピード開発に着手している。
原料やガス圧など味を決める要素が無数にあるなか、コンセプトを入力すると瞬時に100通りの配合を提示できるAIを開発。
企画から商品化決定までの時間を半分の2〜3カ月に短縮し、消費者が飲みたい「旬」の味をとらえた商品を投入する。
まず商品を企画するマーケッターが、開発したいチューハイのコンセプトを自由な文章でAIに入力する。
例えば「暑い季節に屋外で飲みたいサワー」などと打ち込み、「爽やか」「キレがある」「酸っぱい」といった香味キーワードを最大10個まで加える。
AIには同社が過去に試した1200種類の配合や、700種類の原料のデータを学習させ、それぞれ風味などの特徴情報を付与してある。
同義語辞書も組み込んでおり、自由な文章で入力したコンセプトの狙いを読み取って、関連性のあるデータを参照する。
次にサッポロが過去に発売したチューハイなど170種類の商品が表示され、その内の1つをベンチマークとして選ぶ。
どの程度似せるかを高中低の3段階で指定すると、AIが瞬時に原料や分量などを記載した配合表を100通り提案する。
各配合表と入力情報との「マッチング度」も最大100点で算出する。
「理論上は1兆を超える組み合わせパターンが出せる」と坂下聡一サッポロビール新価値開発部長は期待を寄せる。飲料大手ではキリンホールディングスがビールの配合を提案するAIを試験運用しているが、チューハイ分野では初めての試み。
味の決め手は無数にある原料の組み合わせで、AIとの相性はいい。
まず目指すのは商品開発の大幅なスピードアップだ。
市場分析、コンセプト立案、試作、さらに消費者調査や社内評価まで一般的に4〜6カ月はかかるという。
坂下部長は「仮説検証サイクルのスピードを2倍、ノウハウをためれば将来的には3倍にできる」と話す。
チューハイは「-(マイナス)196℃」のサントリー、「氷結」のキリンビールが2強。
サッポロはシェア5位だが、主力の「濃いめのレモンサワー」が2022年に前年比36%増の売り上げを達成しており、勢いをつけたいタイミングだ。
飲料業界は「千三つ(せんみつ)」、つまり1000種類を発売して3種類しかヒットしないといわれる。
新ブランドを育てるのは難しく、各社は既存の有力ブランドの風味を変えた派生商品を次々に投入する戦略にカジを切っている。
飲料総研によると、10年に72%だったメジャーブランドの寡占化率は、21年に77.2%まで高まった。
アルコール度数が高いストロング系、その逆のノンアル系など大きな流行に加え、フレーバーなど消費者の好みは多様化し短期間で変化する。
AIで開発期間を半減すれば、まさにそのときに売れる「旬」をとらえた派生商品を投入できる。
技術者が試行錯誤する従来の方式は時間がかかるだけでなく、コンセプトを実現できるかは経験と知識にかかっていた。技術承継の不安も、AIを使えば解決できる。
意外な「隠し味」も発案
AIは意外な発想力も併せ持つ。試作担当の滝沢隆一チーフイノベーションエキスパートは「人間が到底考えつかないような香辛料のカルダモンの採用を提案してきた。面白い配合を隠し味的に使えるかもしれない」と話す。
「飲みごたえのあるチューハイ」はウオッカをベースにすることが多いが、ビールをベースにした提案もあった。
チューハイの原料はレモンなどの果実や梅、お茶、スパイス、ハーブなど多岐にわたる。先入観がないAIなら、オレンジの果汁を使わずに人間が最もオレンジ味を感じる配合を作り出せる可能性もあるという。
究極の目標は「お客がつくるチューハイ」だ。
例えば消費者から企画やコンセプトを募集し、AIで配合を生み出して小ロットですぐに商品化する。
参加型の開発ができれば、従来とは違ったアプローチでブランド力を高められる。
「なによりもコンセプトに何を持ってくるかが大切だ」と坂下部長は話す。「『ヤバいチューハイ』というコンセプトでも『ヤバい』の意味は時代とともに変わる」。
人間の企画力を的確にAIに伝え、ヒット商品を共創していく。
「RTD」市場、10年で2.2倍に
缶チューハイなど、既に果汁などで割られてすぐ飲める酒類はRTD(レディー・トゥー・ドリンク)と呼ばれる。
サントリーによるとRTD市場は22年に2億7140万ケースで、前年比1%減となった。外食が回復し家飲みが減ったことが影響したが、12年比では2.2倍に膨らんでいる。
一時、各社は商品数を絞り込んでいた。「新型コロナウイルス禍を受けて投資を抑えた」(大手メーカー)ためだ。
日経POS(販売時点情報管理)情報によると、チューハイの商品数は20年後半から21年前半にかけて、前年同月比で10%前後減っている。
それにもかかわらず、予想を超える巣ごもり需要で21年のRTD市場は前年比7%増えた。各社は再び新商品の投入に動いており、23年1月時点での商品数は1118品と前年同月比4%増えている。
18年には日本コカ・コーラが「檸檬(れもん)堂」で参入し、ヒットを飛ばした。
ビール類市場が縮むなか、成長分野として各社とも譲れない。データを生かしニーズを捉える力も重要さを増している。