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2023 / 02 / 28  05:00

チューハイ倍速開発 AI利用

 

 

AIでチューハイの風味付けをするという話

すぐに消費者嗜好が変わるので、それに合わせてスピード感をもって商品開発という意図

いわゆる、マーケットインの発想で教科書通りがレッドオーシャンの戦いで勝つための戦略

開発資金の数パーセントで良いので、プロダクトアウトの商品を開発してほしい

そういった商品が千三つだが、ブルーオーシャンも待っている

 

 

 

 

サッポロは「濃いめのレモンサワー」がチューハイ分野の主力商品だ

 

サッポロホールディングスHD)が人工知能(AI)を使い缶チューハイのスピード開発に着手している。

 

原料やガス圧など味を決める要素が無数にあるなか、コンセプトを入力すると瞬時に100通りの配合を提示できるAIを開発。

 

企画から商品化決定までの時間を半分の23カ月に短縮し、消費者が飲みたい「旬」の味をとらえた商品を投入する。

 

まず商品を企画するマーケッターが、開発したいチューハイのコンセプトを自由な文章でAIに入力する。

 

例えば「暑い季節に屋外で飲みたいサワー」などと打ち込み、「爽やか」「キレがある」「酸っぱい」といった香味キーワードを最大10個まで加える。

 

AIには同社が過去に試した1200種類の配合や、700種類の原料のデータを学習させ、それぞれ風味などの特徴情報を付与してある。

 

同義語辞書も組み込んでおり、自由な文章で入力したコンセプトの狙いを読み取って、関連性のあるデータを参照する。

 

次にサッポロが過去に発売したチューハイなど170種類の商品が表示され、その内の1つをベンチマークとして選ぶ。

 

どの程度似せるかを高中低の3段階で指定すると、AIが瞬時に原料や分量などを記載した配合表を100通り提案する。

 

各配合表と入力情報との「マッチング度」も最大100点で算出する。

 

「理論上は1兆を超える組み合わせパターンが出せる」と坂下聡一サッポロビール新価値開発部長は期待を寄せる。飲料大手ではキリンホールディングスがビールの配合を提案するAIを試験運用しているが、チューハイ分野では初めての試み。

 

味の決め手は無数にある原料の組み合わせで、AIとの相性はいい。

 

 

 

まず目指すのは商品開発の大幅なスピードアップだ。

 

市場分析、コンセプト立案、試作、さらに消費者調査や社内評価まで一般的に46カ月はかかるという。

 

坂下部長は「仮説検証サイクルのスピードを2倍、ノウハウをためれば将来的には3倍にできる」と話す。

 

チューハイは「-(マイナス)196℃」のサントリー、「氷結」のキリンビールが2強。

 

サッポロはシェア5位だが、主力の「濃いめのレモンサワー」が2022年に前年比36%増の売り上げを達成しており、勢いをつけたいタイミングだ。

 

飲料業界は「千三つ(せんみつ)」、つまり1000種類を発売して3種類しかヒットしないといわれる。

 

新ブランドを育てるのは難しく、各社は既存の有力ブランドの風味を変えた派生商品を次々に投入する戦略にカジを切っている。

 

飲料総研によると、10年に72%だったメジャーブランドの寡占化率は、21年に77.2%まで高まった。

 

アルコール度数が高いストロング系、その逆のノンアル系など大きな流行に加え、フレーバーなど消費者の好みは多様化し短期間で変化する。

 

AIで開発期間を半減すれば、まさにそのときに売れる「旬」をとらえた派生商品を投入できる。

 

技術者が試行錯誤する従来の方式は時間がかかるだけでなく、コンセプトを実現できるかは経験と知識にかかっていた。技術承継の不安も、AIを使えば解決できる。

 

意外な「隠し味」も発案

 

AIは意外な発想力も併せ持つ。試作担当の滝沢隆一チーフイノベーションエキスパートは「人間が到底考えつかないような香辛料のカルダモンの採用を提案してきた。面白い配合を隠し味的に使えるかもしれない」と話す。

 

「飲みごたえのあるチューハイ」はウオッカをベースにすることが多いが、ビールをベースにした提案もあった。

 

チューハイの原料はレモンなどの果実や梅、お茶、スパイス、ハーブなど多岐にわたる。先入観がないAIなら、オレンジの果汁を使わずに人間が最もオレンジ味を感じる配合を作り出せる可能性もあるという。

 

究極の目標は「お客がつくるチューハイ」だ。

 

例えば消費者から企画やコンセプトを募集し、AIで配合を生み出して小ロットですぐに商品化する。

 

参加型の開発ができれば、従来とは違ったアプローチでブランド力を高められる。

 

「なによりもコンセプトに何を持ってくるかが大切だ」と坂下部長は話す。「『ヤバいチューハイ』というコンセプトでも『ヤバい』の意味は時代とともに変わる」。

 

人間の企画力を的確にAIに伝え、ヒット商品を共創していく。

 

RTD」市場、10年で2.2倍に

 

缶チューハイなど、既に果汁などで割られてすぐ飲める酒類はRTD(レディー・トゥー・ドリンク)と呼ばれる。

 

サントリーによるとRTD市場は22年に27140万ケースで、前年比1%減となった。外食が回復し家飲みが減ったことが影響したが、12年比では2.2倍に膨らんでいる。

 

 

 

一時、各社は商品数を絞り込んでいた。「新型コロナウイルス禍を受けて投資を抑えた」(大手メーカー)ためだ。

 

日経POS(販売時点情報管理)情報によると、チューハイの商品数は20年後半から21年前半にかけて、前年同月比で10%前後減っている。

それにもかかわらず、予想を超える巣ごもり需要で21年のRTD市場は前年比7%増えた。各社は再び新商品の投入に動いており、231月時点での商品数は1118品と前年同月比4%増えている。

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年には日本コカ・コーラが「檸檬(れもん)堂」で参入し、ヒットを飛ばした。

 

ビール類市場が縮むなか、成長分野として各社とも譲れない。データを生かしニーズを捉える力も重要さを増している。

2024.05.07 Tuesday