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2023 / 05 / 12  05:00

金利上昇にも備えを 

 

消費者物価の前年比上昇率は、振れの大きい生鮮食品およびエネルギーを除くと、3月に3.8%41年ぶりの高さになった。上昇の勢いは衰えておらず4月は4%台に乗るとみられる。この物価上昇率に関する日銀2023年度の見通しは、1月時点の1.8%から4月時点では2.5%に大きく上方修正された。この数字も今のインフレを過小評価しており、次の7月も上方修正は必至だろう。

 

 

 

この間「物価に負けない賃上げ」を求める政府や財界の声もあり、23年春季労使交渉では30年ぶりの高い賃上げが実現した。サービス業を中心に人件費の増加が次の価格上昇につながる兆しもあり、日銀が目指してきた「賃金上昇を伴う2%インフレ」が実現する可能性が出てきている。

 

一方で、30年近く続いた低インフレの時代が簡単に終わるとも考えにくい。景気動向についても海外を中心に不確実性が大きい。2%目標の持続的・安定的な達成は現時点で確率が高いとまでは言えず、金融緩和の手を緩めない日銀の姿勢は理解できる。

 

それでも、2%目標の実現の可能性が「ある」状態になったのは大きな変化だ。市場や国民は今後、2%インフレが定着して日銀が金利を引き上げていくシナリオA、そうはならずに低金利が続くシナリオB、の2つの可能性を意識しなければならない。

 

実際にどちらのシナリオになるのかは、当の日銀も含めて誰も事前にはわからない。「今後の金利がどうなるか教えてほしい」と日銀に聞くのは無理な話である。経済や物価は予測できない様々な要因に支配され、金融政策はそれに対する受動的な反応にすぎない部分が大きいからだ。

 

日銀が金利を上げるのは、2%程度のインフレが日本社会に定着しそうな場合である。そうなるかどうかの見極めで重要なのは賃上げの持続性であり、24年春季労使交渉は大いに注目される。その強さに確信が持てる状態になれば、結果判明の前でも日銀は利上げに動き始めるだろう。いずれにせよ、それまでにまだ時間はある。

 

ただし、物価動向次第では、ひとたび利上げが始まった後の利上げペースが意外に速くなる可能性には、注意が必要だ。今の日銀は、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)という異例の手法により、本来は市場が決める長期金利まで人為的に抑え込んでいる。また、日銀にとって2%目標の実現は悲願であり、植田和男新総裁の発言からは「このチャンスは絶対に逃せない」という気持ちが伝わってくる。

 

そこまで2%目標にこだわるべきなのかも本当は問われるべきだが、今の日銀は2%目標への思いが強いので、ぎりぎりまで緩和を続けるだろう。すると、いざ2%目標が実現するという段になった時、短期・長期両方の金利を一気に引き上げざるをえなくなるというリスクがある。

 

米欧でも22年から23年にかけ、予想外のインフレの強さに驚いた中央銀行が異例の速さで金利を引き上げ、金融不安の一因にもなった。日本で同じことは起きないと信じたいが、過信は禁物だ。

2024.04.19 Friday