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2023 / 01 / 30 05:00
国防が問う国債発行余力 国家安保戦略に「財政」
「経済・金融・財政の基盤の強化に不断に取り組む」。1カ月ほど前に決まった国家安全保障戦略にこんな宣言がある。
国防に関する文書になぜ「財政」が入るのか。
永田町では「どうせ財政規律至上主義の財務省の仕業だ」との声が挙がったが、実は違う。
「財政の強化」をうたうのは戦後の国防の基本方針、国家安保戦略を通じて初めてとなる。
防衛費の大幅増や反撃能力の保有、能動的サイバー防御などの陰に隠れ、目立った議論なく盛り込まれた。
第二次大戦前に、東条英機内閣の大蔵大臣が議会で次のように発言した。
「私は、国債が増大するほど日本が戦争に勝つ可能性が高くなると思う。国債を出させないような状態は敗戦の傾向だ」と
まとめると、
・日本が負けたら、国債の元利支払いなど問題にもならない
・財政を気にして国債を発行しなくて日本が負けたら元も子もない
・よって危機には無制限に国債を刷る
しかし日本は戦争に負けた。
戦後の財政当局はこういった議論をとらず、「公債なくして戦争計画」は不可能と言い切っている。
その後日本はどうなったきたかはご存じの通り。
財政法の例外規定を使って国債は激増してしまった。
毎年のように「増税より国債発行」を繰り返してきた結果こうなってしまった。
現在岸田政権では、勇気をもって「増税」を訴えている。
増税は嫌だが、総論としては正しいのではないかと思う。