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議会質問&会派取組

2009-11-30 14:18:00

◆人権行政の一層の推進に向けて・障がい者雇用について・防犯対策について

 

◎南野敬介議員
 お許しをいただきましたので、質問させていただきます。
 吉道市長が40年間の市長生活最後の一般質問となるこの本会議に質問させていただくことは、光栄であります。私は今年40歳となりました。そう思いますと、私が生まれた年から既に市長をされているということになり、若輩の私が言うのもなんですが、本当に長い間重責を担われてこられたことに改めて敬意をあらわしたいと思います。
 早速質問に入りますが、第1点目の人権行政の一層の推進に向けて、1つ目の土地調査会社による差別調査事件についてお尋ねいたします。
 大阪市内に事務所を置く複数の調査会社が、数十社の広告代理店、ディベロッパー等からの土地調査の依頼の中で、同和地区の所在地や同和地区を含む校区、外国籍住民の集落、朝鮮学校の有無など、差別につながるおそれのある情報を収集、報告・提供していた事実が明らかになっています。
 ディベロッパーが土地の購入やマンションの販売計画を立案する際、当然のように同和地区の所在地や同和地区を含む校区などの情報を広告代理店などを通じて収集、報告させています。広告代理店は、不動産広告の仕事を得るための営業活動として、土地調査会社にこうした調査を依頼しています。何も特別なことではなく、多くのディベロッパーや広告代理店が当たり前のように実施しております。
 私どもが入手したレポートには、地域性、エリア特性、立地特性、地域評価といった調査項目があり、その中で、問題地域、問題あるエリア、地域下位地域、地域性が大きく劣るといった間接的な表現で同和地区の所在が報告されていました。中には「同和の人が住む地区」と直接表現しているレポートもありました。
 また、校区評価という調査項目では具体的な地名を挙げて、問題ある地域が一緒になるため総じて評判はよくない、学区人気は高くない、学区人気の低い中学校区、どこどこ中学校は評価は市内でも低位ポジションなどの表現で、校区に同和地区が含まれることを示唆しているレポートもありました。
 この貝塚の地でも、福田のライオンズマンションについて、立地環境の欄に「国道26号線の反対側は下位エリア」と表記され、販売状況の欄には「立地エリアも市内では下位ポジションということもあり、当初から売れ行きは低調であった」と表記されています。
 この記述は何を意味しているのか。このマンションの26号線の反対側は、私も住む、いわゆる同和地区と言われている地域であり、この調査の表現では下位エリアとされています。貝塚市では具体的な地名など表記されていませんが、隣の泉佐野市では具体的な町の名前を挙げて「問題のあるエリア」と表現されています。
 広告代理店はマンションなどの不動産の広告業務を受注するため、営業活動の一環として、ディベロッパーにこうした土地調査レポートを提供しており、マンションや一戸建住宅の建設、販売にかかわって膨大な数の土地調査レポートが作成されています。
 深刻なのは、こうした土地調査会社の情報源が、国土交通大臣や都道府県知事が免許を交付更新している地域の宅地建物取引業者であるという事実です。
 2005年に実施した大阪府民の意識調査でも、4割を超える府民が同和地区にある物件を避けるという結果が出ています。調査会社の情報がこうした意識と重なった場合、どのような問題が生じるのかは火を見るよりも明らかです。
 また、一部では同和地区はなくなったという考えがあるようにも思うのですが、2002年の地域改善対策特別措置法終了後、特別対策としての同和対策事業の対象地域はありませんが、就職や結婚など、差別を受ける対象となる同和地区は間違いなく存在しています。
 これまでの国・府・市のさまざまな取組みの中で、同和問題に理解を示す方も多くなってきたのも事実でありますが、今なお根強い差別意識は残っていると言わざるを得ません。特に、結婚に際しての問題では、結婚を前提におつき合いもし、子どもも授かりましたが、直前になって、同和地区出身者であるがゆえに結婚が破談となり、認知すらしてもらえず、現在1人で子育てをしている私の後輩もいます。また、お互いが強い意志で部落差別を乗り越え、結婚はできたものの、子どもができるまで相手方の両親から許しを得られなかった青年も現実にいます。
 人生の中で大転換期とも言える就職や結婚において、まだまだ根強い意識が残っていることは現実として起こっています。
 そこで、以下の問題について質問いたします。
 まず、調査会社による部落差別調査事件についての見解と、事件解決に向けどのようにお考えなのかをお尋ねいたします。
 また、貝塚市として同和問題解決に向けてどのように取り組むことが大事とお考えなのかを、改めてお尋ねいたします。
 次に、障がい者雇用についてお尋ねいたします。
 大阪府の橋下知事は、11月に「法定雇用率未達成企業とは取引しないということを府のメッセージとしたい」と述べ、1.8%の法定雇用率を満たさない企業に対して厳しい姿勢で臨むことを明らかにしました。同時に、大阪府を「障がい者雇用日本一を目指す」とも述べられました。
 大阪府は法定雇用率に満たない企業に対して雇用計画の提出なども求め、専門家を派遣したり、人材情報を提供するなどして雇用促進をサポートし、努力の形跡が見られない場合は事業所名の公表などに踏み切ると仄聞いたしました。その上で、府発注の公共事業や物品購入の契約から一定期間排除といった措置もとる方針を固めたと報道されています。大阪府では、法定雇用率を満たす企業は府内で42.8%にとどまり、全国43位となっています。
 そこでお尋ねいたしますが、貝塚市で法定雇用率を満たす企業はどれくらいあるのでしょうか。また、貝塚市でも、企業育成の視点、障がい者雇用に取り組むという視点から、法定雇用率を達成していない事業所に対する指導や府の意向を踏まえて、貝塚市としての今後の取組みについてお伺いいたします。
 次に、2つ目の防犯対策についてお尋ねいたします。
 昨今、凶悪犯罪やごみの不法投棄など、社会問題化しています。事件解決に向けて、コンビニやスーパーの防犯カメラが証拠となり、事件の解決に向け役立っていることはニュースなどでも明らかになっています。
 一方、逆に防犯カメラは、プライバシーの侵害の危険もあると認識されることも多いと思います。プライベートな時間が監視の目にさらされ、録画映像がどのように使われているかわからない状態では、犯罪の抑止とプライバシーの保護、どちらを優先すべきか難しい問題も残っています。
 そうした双方の意見はあるとの前提の話になるのですが、この貝塚市でもこあらメールが1日何件も送られてくる状況や不法投棄などの問題も数多く発生し、私も本当にひどい状況にあるところについては防犯カメラなどを設置してでも問題事案は解決すべきだと訴えてまいりました。
 そんな中で、防犯カメラを設置するにはお金もかかるし、順次設置して解決していくとの答弁もいただいておりますが、やはり時間もお金もかかるとの回答でございました。
 私自身も、何かよい方法はないかといろいろ調べましたところ、例えば民間企業とタイアップしてICタグやGPSを活用し感染性廃棄物の追跡管理システムを開始し、都内の5病院で活用され、不法投棄防止対策に取り組んでいる行政もありますし、飲料水の自動販売機を設置することにより、その光熱費だけを捻出すれば無料で防犯カメラを設置する取組みを行っている企業も出てきており、民間企業・自治会・行政などで取り組まれています。
 リーマンショック以来の大不況と言われるこの時期に、貝塚市の財政も大変厳しい状態になっているのは周知のとおりであります。
 そうした厳しい時代だからこそ民間活力も活用しながら、安全・安心のまちを目指すべきと考えますがいかがでしょうか。お尋ねいたします。
 以上、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

 

◎吉道勇市長
 南野敬介議員の年齢は、私の市長在任の期間と全く同じと、こういうお話でございます。私が昭和45年2月に市長に就任をいたしましてから、同和対策事業初年度の取組みは、実は昭和45年の予算であります。と申しますのは、前の年、国の同和対策審議会の答申を受けて、同和対策事業特別措置法が公布、施行されましたのは昭和44年7月10日でございます。13年後にこの法律は失効し、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が時限立法として成立をいたしました。あわせまして今日、40年になろうかという中で、なおかつあなたが質問をされておりますような調査会社のこのような調査というのは、そういうリサーチをかける企業等が被差別部落というものを調査することが、みずからの会社の営業利益につながるという、何とも何十年とかけながらこのような差別がなおかつ続いておるということが歴然としておるわけでありまして、御質問の土地調査会社による調査の悪質かつ重大な差別行為であって、市民の差別意識や偏見を助長するものと認識をしております。
 現在、府におきましては、関連業界や土地調査にかかわる企業などへのアンケート調査、ヒアリング調査を通じた実態解明を踏まえ、宅地建物取引業免許時の条件付与などについて、実効ある方策の検討を行っているところであります。本市におきましても、これまでの人権啓発の取組みを継続強化するなど、さらに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、同和問題の解決に向けてどのように取り組む考えかということでございますけれども、平成14年3月に、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は失効し、特別措置による同和対策事業は既に終了をいたしております。
 本市といたしましては、貝塚市人権擁護に関する条例や貝塚市人権行政基本方針並びに平成13年9月の大阪府同和対策審議会答申に基づき、同和問題を含め、女性や障がい者の人権等について広く人権尊重という観点に立ち、すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を目指して、人権行政を推進しているところであります。また、人生において大きな転換期にあたる結婚や就職などにおいて、今なおこのような差別事象が発生していること自体許されるべきものではありません。部落差別ある限り同和行政を進めるとうたった同和対策審議会答申の精神にのっとり、今後も、人権行政の中で部落差別の解消に向けた施策を推進することが重要であると考えております。
 人権行政の推進にあたって、広報紙での人権啓発記事の掲載や、講演会の開催、さらにはじんけんセミナーなどを開催し、市民が人権を身近なものとしてとらえることができるよう、あらゆる機会を通じて人権啓発を行っているところであります。
 今後におきましても、一人ひとりがかけがえのない存在として、互いに人権が尊重される差別のない明るい貝塚市の実現に向け、諸施策を進めてまいりたいと考えております。
 次に、障がい者雇用についてでございますが、本市と岸和田市を管轄とするハローワーク岸和田管内での法定雇用率を満たす企業数については、障がい者を雇用する義務のある対象事業所は、本年6月1日現在86事業所で、うち55事業所が法定雇用率を満たしております。率で申し上げて63.95%であります。また、管内の雇用率は1.80%で、法定雇用率を満たしており、全国平均の1.59%を上回っている状況にあります。
 なお、法定雇用率を達成していない事業所に対して、大阪府は、一定の期間内にその達成に向けた努力を行わない事業主に対してペナルティーを課すなど、厳しい姿勢で臨むことなど、府、事業主、事業団体、府民がそれぞれの責務と役割を自覚し、障がい者雇用に積極的に取り組むことを趣旨とする大阪府障害者の雇用の促進等と就労の支援に関する条例を制定、平成22年4月1日から施行するところであります。
 また、本市の取組みにつきましては、ハローワークや商工会議所、泉州中障害者就業・生活支援センター等と連携を図りながら、市内企業に対する障がい者雇用の啓発とその促進に引き続き努めてまいります。
 次に、防犯カメラの問題でございます。本市における防犯カメラの設置状況及び犯罪などの抑止効果につきましては、平成20年9月の第3回定例会におきまして御答弁申し上げたところでございます。とりわけ不法投棄の防止対策に有効であることから、今年度は、不法投棄対策強化の一環として、二色産業団地内の不法投棄多発箇所3箇所に、ソーラー式高性能監視カメラの年内設置に向け、現在、カメラ設置用のポール立込工事を行っており、その後、本体等の設置を行い、監視及び抑止力の強化に努めてまいりたいと考えております。
 議員御指摘の民間活力を利用しての防犯カメラの設置につきましては、先進事例として、大阪市では、自転車駐輪場に防犯カメラ付自動販売機45台を設置する業者を公募により本年9月に選定したと仄聞しております。
 本市におきましても、今後は、自動販売機設置業者を公募する際に、機能として防犯カメラの仕様を含めることも視野に入れながら検討したいと考えておりますが、防犯カメラの性能、画像データの保存方法など研究していく必要があります。
 また、自動販売機をネットワークでつないだ場合、機器の維持管理費用等、どれぐらいの台数で採算がとれるのかも含めて民間の動向を調査の上、安全・安心な環境整備に努めてまいりたいと考えております。
 以上であります。