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議会質問&会派取組

2012-08-07 09:37:00

新政クラブ 福岡県福岡市、熊本県菊池市視察報告書


 報告 1 福岡県福岡市生活交通条例について」


 平成24年8月7日9時50分最初の目的地、福岡県福岡市中央区天神一丁目8番1号の福岡市役所に到着。福岡市議会事務局調査法制課 係長 酒見 幸男氏、同 書記 佐々田 智弘氏より「生活交通条例制定」について、レクチャーを受け、また、住宅都市局 都市計画部 交通施策推進課 公共交通係長 橋詰 信吾氏より「福岡都市圏における公共交通機関に関する調査」について、同 公共交通係 尾崎 心平氏より「福岡市議会における政策立案機能の強化」について説明を受けた。その活用と結果の報告を受け、質疑応答に入り、その成り立ちと現状を充分にお伺いする事ができた。


公共交通空白地等及び移動制約者に係る生活交通の確保に関する条例(生活交通条例)
生活交通条例の背景及び概要
全国的な背景(面的視点)
 バス利用者数が著しく減少したため、平成14年の道路運送法改正によりバス路線の休廃止が増加し、公共交通空白地・不便地が発生し、都市周辺部の公共交通の衰退が現れる。


全国的な背景(人的視点)
 移動弱者に対する支援の必要性があり、コミュニティーバス、乗合タクシー、デマンド交通などの新しい交通サービスへの期待感が高まり始める。


福岡市の現状(面的視点)
 西日本鉄道株式会社等によりバス路線網が充実していた。しかし、平成22年に25バス路線が休廃止され、公共交通空白や不便地が発生する。
 休廃止の動きがある地域に対する路線存続のための働きがけ(差額補助)及び代替交通の運行に向けた調査や地元協議が必要とされる。また住民からの要望のある公共交通不便地に対する対応の必要性も問われている。


福岡市の現状(人的支援)福祉有償運送
 道路運送法上の登録業者(平成22年に4業者)で、会員名簿記載の移動制約者に限定して送迎サービス等を行う事業者を認可。移動制約者の生活交通確保のため極めて重要である。しかし課題として、ボランティア運転手の確保、県外で行われていた運転手向けの国の認定講習、運営協議会への提出書類の負担等がある。


目的
※市民及び市民団体の権利と役割、市及び公共交通業者の役割を明らかにする。
※市の生活交通の確保に関する施策を定める。
※市民、市民団体及び公共事業者による主体的な取組を促進する。
全ての市民に健康で文化的な最低限の生活を営むために必要な移動を保障し、活力ある地域社会の再生を目指す。(公共交通空白地等及び移動制約者に係る生活交通を確保する)


条例制定による効果
※市が主体的に生活交通の確保に関する施策に取り組むことを条例化を通して市民に対して宣言する。
※市民等の権利と役割、市及び公共交通事業者の役割を明らかにし、3者が協働して生活交通の確保に関する施策を推進する。


公共交通空白地等
※現在行っている公共交通空白地における代替交通確保対策の根拠規定となる。
※要望のある公共交通不便地や丘陵地などを想定した、不便地に準ずると市長が認める地域に対する支援の根拠規定となる。
※公共交通空白地などの地域になる恐れのある地域に対する支援の根拠規定になる。
※生活交通特別対策区域を指定し、重点的に施策を行う。


移動制約者
※福祉有償運送事業者に対する支援の根拠規定になる。
※ボランティア運転手向け国の認定講習を本市で実施するため委託関係経費を負担する。


議員提案による制定の意義
※生活交通の確保という市民生活に密接した課題について、より市民に身近な存在である議員が条例提案したこと。
※複数所管にまたがり調整も困難な政策について、議員が迅速に対応し、条例を制定したこと。

 

 


報告 2 熊本県菊池市「交通コミュニティ対策事業について」

 平成24年8月8日 9時50分 視察の目的地である熊本県聞菊池市隈府888番地の菊池市役所に到着、菊池市議会事務局 局長 城 主一氏の歓迎の挨拶の後、本日の議題の「交通コミュニティ対策事業」について菊池市 総務企画部 企画振興課企画振興係 松永 哲也氏よりレクチャーを受けた。「交通コミュニティ対策事業」の制定に至る経緯について説明を受け、ついでその活用と結果について報告を受け、質疑応答に入り、その成り立ちと現状をお伺い知ることができた。

1. 交通体系の見直し
市街地における交通網の整備
菊池市では、市街地に直線的に進入してくる路線バスが放射線状にあり、環状線のような市街地をめぐる交通網がなかったため、市街地を巡回するコミニュティバス「菊池べんりカー」の運行を提唱する。


路線バスの見直し
 市街地から中山間・山間地域へ向けた郊外地域行きの路線バスは、平均乗車密度が2名を割り込み、路線のよっては、0.6名と、1名を割り込んでいる路線があり、市は年間2,600万円の補助金を支出していたが、当時の行政地域住民には全く問題意識がなかった。またこうした補助金運行の路線バスと重複、重複どころか先の方ではスクールバスの方が枝分かれしてくまなく運行していた。当時、スクールバス関連の支出は2,600万円であった。
(郊外向けの補助金運行の路線バスを廃止し、スクールバスを一般向けに開放すれば、路線バスの補助金とスクールバスの経費を合わせて5,200万円の市の負担が半分ですむのでは・・・・・・)


菊池市の新しい交通体系の誕生
市街地を巡回バス「べんりカー」を運行し、郊外をあいのりタクシーを運行する。

 
《平成22年「菊池市の交通体系」に関する取り組みが顕著であるとして、国土交通大臣表彰を受賞》


他自治体等への助言
※バス事業者やタクシー事業者との調整には、時間がかかる。
※新たな交通体系の構築にあたって、国の許認可が必要となるが、大きなポイントとなるのは乗合バス事業者の意向である。(現行の道路運送法は、貸切やタクシー事業と比べ、乗合バス事業に重きが置かれている。乗合バスが優先、次にタクシーや貸切事業者の順であることを、様々な関係者が知る必要がある。
※その自治体の地域の事情に見合った、交通体系を構築する。
※広範囲なエリアや複数のエリアを対象とせず、小さなエリアで実証し、内容の良し悪しを確認し、担当者や事業者の経験を積ませること。


自治体が陥りやすい落とし穴
※行政が係ると、政治的な影響を受けやすい、運行を開始したときには、運行させることが目的になってします。(利用してもらえないバスができやすい)
※他の自治体の事例や近隣の市町村の実例に影響を受けやすい。
※事業の目的をはっきりさせること。莫大な財政負担がのしかかり、持続可能な交通体系を構築できない。(生活交通の確保)


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