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議会質問&会派取組

2009-09-01 11:06:00

◆地球温暖化の対策について

 

◎阪口芳弘議員
 お許しをいただきましたので、通告順に従い質問させていただきます。
 今、地球上では温暖化が想像以上のスピードで進んでいます。その温暖化対策として合意されたのが、京都議定書であります。昨年の洞爺湖サミットにおいて地球温暖化や環境問題が討議され、国は議定書締結から、エネルギー供給の適切な管理を通した効率的な利用を促進しております。
 また、先月25日に大阪管区気象台は、近畿、中国・四国地方の平均気温が過去100年間で1.54度上がったと発表いたしました。また、ヒートアイランド現象の影響を受ける近畿地方の都市部を含めた数値は1.74度の上昇幅であり、このまま上昇が続けば、今世紀中には20世紀末と比べ年平均気温が、2度から3度上昇し、大阪の平均気温が現在の鹿児島県の屋久島並みになると予測されております。
 その温暖化がもたらす異常気象、すなわち過去30年間に起こらなかった気候変動とは、北極圏の氷が融解し、海流などにも異変が起き、生物の生息域が変化してしまう例やゲリラ豪雨や干ばつ、台風の巨大化や竜巻、ハリケーンの増加等が挙げられます。
 その中でも最近、新聞やテレビ等で報じられているゲリラ豪雨のように発生場所が予測できない異常気象による被害を阻止するには、どれほどの防災対策が必要とされるかはかり知れません。
 そこで、異常気象を引き起こす地球温暖化の原因である大気中のCO2や温室効果ガスを削減するために、本市としてどのような対策を考えておられるのか質問いたします。
 1番目に、公共施設や防犯灯の電力消費削減についてお伺いいたします。
 日本で排出される二酸化炭素の4割近くは火力発電の際に発生します。私たちは化石燃料を使うことを前提とした産業構造や生活スタイルをどう変えていくか、問われております。
 いろいろな電力削減の中で、比較的簡単に取り込むことができるのは、市内の公共施設や防犯灯を、蛍光灯からLED照明に切りかえることではないでしょうか。
 本市には6,200基の防犯灯があります。すべてLEDに交換すれば、年間27万キロワットの電力の削減になり、電気代が約半分になるため、市や町会などの負担も軽減されます。また、CO2は15万kgの削減になり、これは1万本以上のスギの木のCO2吸収量に値します。
 LEDの寿命は5万時間あり、10年間は取りかえる必要もありません。また光に近づく害虫なども大幅に減少します。水銀を含まないので環境に優しく、またガラスではなくプラスチックでできているため、地震や事故でも割れる心配がありません。そのため96%のリサイクルが可能であります。まさに循環型社会システムの優等生と言っても過言ではないわけであります。
 大阪府においても、本年7月、府が管理する公園の外灯や、府所管の国道、府道の街路灯など合計2万4,000本の照明を、すべてLEDに切りかえる方針を明らかにしました。将来的に、市町村と連携して生活道路もLEDにし、環境先進都市・大阪をアピールすると報道されました。
 本市も公共施設や防犯灯に積極的にLED照明を採用されてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
 その第一歩として、本市において青色LEDを一部の地域に導入してはと考えます。昨年、JR西日本は阪和線の踏切22箇所に試験的に青色LEDを導入しました。結果、飛込自殺などの死亡事故は設置後ゼロになったとのことであります。また、青色LEDは平成17年に奈良県等の一部の自治体で採用され、痴漢等の犯罪が大幅に減少したと報告されております。
 青色には鎮静作用があり、人の副交感神経に作用して、気分を落ちつかせたり、本能的な衝動が抑えられる効果があると考えられております。
 また、青色照明は遠くからでも視認でき、一目瞭然にまちの変化がわかり、市民に対し「環境に優しいまち貝塚」のアピールにもつながります。低炭素社会構築の市民意識の変革を図るためにも、過去に痴漢等の犯罪があった場所や危険箇所の防犯灯を青色LED照明に変更することを提案しますがいかがでしょうか。
 2番目の質問といたしまして、本市の公共施設や学校校舎の暑さ対策についてお伺いいたします。
 地球温暖化に伴い、教室の気温は以前にも増して高くなってきております。子どもたちはこの暑さの中で勉強に励んでおります。この暑さの中では大人でも集中力がなくなることでしょう。本市として集中力を持続して、勉強できる学校環境づくりを考えなければなりません。予算特別委員会のときにも申し上げましたが、姉妹都市の小学生が本市の小学校を見学されました。その際、教室が余りに暑く、泣き出し、クーラーのきいた保健室から出てこない生徒がいたそうであります。エアコンを導入すればよいわけでございますが、前述の低炭素社会の構築と逆行してしまうのであります。
 そこで、暑さの要因である、窓から入る太陽光を和らげるため、紫外線、赤外線、熱線などを遮断するコーティングを塗布してはどうかと考えます。最近は利用することも少なくなりましたが、夏場のNTT公衆電話の暑さ対策としてこのコーティング剤が開発されたそうです。
 このコーティング剤は紫外線を96%カットし、皮膚がん、しみなどを防ぎます。また近赤外線を70%カットします。近赤外線とは人間が一番熱いと感じる光線であります。日射が強いほど、窓の開口部が大きいほど機能を発揮し、室内温度の上昇を防ぎます。直射日光の当たる窓付近は、室内のほかの部分より10度程度、温度が高くなります。この温度の上昇を防ぐことにより、窓際の席も快適になります。冬は室中の熱を外に出さないという効果もあり、暖房費の節約にもなります。逆に、可視光線は80%以上通しますので、暗く感じることはありません。ガラス面に塗布後、1週間程度で固い皮膜が形成されます。気候変化による変質もなく、掃除による傷もつかないそうであります。保証は10年だそうですが、恐らく20年以上もつと考えられています。
 このたび、中央小学校の1年5組に試験的にコーティングしていただきました。7月1日の午前9時、この教室の直射日光が当たる窓際で温度を測定いたしましたところ、30度でありました。隣の同条件の6組は38度であり、8度下がったことになります。この実験結果から、コーティングの大きな効果が実証されました。子どもたちに勉強しやすい環境を提供し、これによって子どもたちがエコ意識を高めることは、将来大きなプラスとなります。そして、学校校舎はもとより、市立病院や市庁舎等の施設にこのコーティングを採用すれば、冷暖房の効果を高め、省エネをより進めることになり、大幅な電気代の削減になります。結果、低炭素社会の構築に大きく寄与すると考えますが、いかがでしょうか。
 3番目の質問といたしまして、ソーラー発電の補助金システムについてお伺いいたします。
 本市には、例えば三洋電機という大きな企業があるにもかかわらず、現在ソーラー発電の補助金システムがありません。大阪府内では、大阪市を含め8市に太陽光発電の補助金があります。例えば近隣の市である泉大津市では住宅に新たに太陽光発電を設置する場合に1キロワット当たり3万円の補助金が受けられ、和泉市では1キロワット当たり5万円の補助金が受けられる制度があります。このように多くの市が補助金制度を定め太陽光発電を推奨しています。
 本市においても、この補助金システムを設けることにより、ソーラー発電を促し、省エネとCO2削減を推進しながら、地元の企業の支援にもつながると考えますがいかがでしょうか。
 また、役所や駅などの、市民の目につくところにソーラー発電システムを取りつけ、市民に普及を図るのもよいと考えますがいかがでしょうか。
 最後の質問といたしまして、低炭素社会の構築や、温室効果ガスの削減のためには、国の施策や産業界の技術革新などさまざまな取組みを総合的に活用し、市民に意識の変革を働きかけるとともに、市民と共有できる施策が最大の要素になります。そのためにも、前述以外の行政による先駆的な施策の推進を行う必要があると考えております。行政としては、具体的にどのような施策をお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

◎吉道勇市長答弁
 阪口芳弘議員の地球温暖化の原因である大気中のCO2や温室効果ガスの削減による低炭素社会の構築に向けた市の取組みについて、4点から成る質問がございました。以下、順次御答弁を申し上げます。
 公共施設の照明や防犯灯のLED化について、本庁舎周辺の施設で、照明設備の改修にあわせて、40W蛍光灯を32Wの高効率インバータ蛍光灯に交換しています。防犯灯につきましては、現在、20Wの蛍光灯を、電気料金はほぼ同額で約2倍の明るさの性能を持つ、32Wの高周波(インバータ)点灯方式の蛍光灯を使用したものに一部切りかえています。
 また、防犯灯の維持管理につきましては、町会等で行っており、市ではその電気料金の半額を助成しているところであります。
 議員御指摘のとおり、LEDの利点は蛍光灯と比較して、消費電力が少ないことや寿命が長い点などがあります。しかしながらLEDは、現在の蛍光灯よりまだまだ高価であり、場合によっては、防犯灯設備そのものを交換する必要が出てくるなど、町会等に大きな負担が生じてまいります。
 今後におきましては、LEDの低価格化や製品開発が進むと思われますので、その時点をとらえて町会連合会等と協議をした上で、推奨してまいりたいと考えております。
 また、蛍光灯20Wにかわる、青色LEDにつきましては、省エネ以外にも、防犯や市民に対し、省エネをアピールでき、意識変革につながる効果が検証できるのであれば、検討してまいりたいと思います。
 次に、公共施設の窓から入る紫外線、近赤外線をカットするコーティング剤の塗布につきましては、遮熱フィルムを市役所本館1階の窓部に張りつけいたしております。遮熱フィルムは、熱線や紫外線を遮断することで空調効率が高まるばかりでなく、窓ガラスが割れた場合の飛散防止にも役立ちます。今後は、コーティング剤、遮熱フィルム含めて研究してまいります。
 次に太陽光発電の補助金制度については、太陽光発電導入量の飛躍的な拡大のために、国は一般住宅への太陽光発電システム設置を支援し、平成20年度より「住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金」を実施しています。
 本市独自の補助制度導入については、近隣各市の取組状況を参考にしながら、検討してまいります。
 また、市施設への設置については、第五中学校や西小学校に設置をしており、東山小学校につきましては本年度設置を予定しています。また他の施設については適時検討してまいります。
 次に低炭素社会構築のための今後の施策展開でございますが、現在策定している「貝塚市地球温暖化対策実行計画」及び「貝塚市地域省エネルギービジョン」の中で推進しているところであります。
 具体的には、市施設の地球温暖化対策として、全課での省エネの取組みを推進しています。また、市民福祉センターの省エネ改修や、改修後の施設には改修内容を示したパネル等を設け、市民への省エネ啓発を行う予定であります。また、市民・事業者に対する地球温暖化対策として、省エネ行動を示したパンフレットの全戸配布、コスモス市民講座や小学校での環境学習等による学習機会の提供を図ってまいります。
 なお、市全体の地球温暖化対策に向けての取組みといたしましては、「どこから」、「何を」、「どのような方法」で、実施していくべきかについては、貝塚市地球温暖化対策推進委員会等で研究・検証をしながら進めてまいります。
 以上です。