講師(宗夜)ブログ

2024-03-25 10:26:00

●生徒さまの進級

生徒さまの進級は、講師にとっては何にも代え難い喜びでございます。

本月も複数の生徒さまがご進級なさいました。

どなた様も一生懸命に茶道に励んでくださり、その証としてお許状をご取得なさいました。

責任世代の50代でございますから、順調に茶道ばかりに力を注げたわけではありません。

ご家族の都合などにより数ヶ月のお休みを余儀なくされ、ブランクを乗り越えてのお許状ご取得でした。

ご苦労を見せず、言い訳もせず、粛々と努力を積み重ねるお姿に、人として尊敬の念を抱きます。

本当におめでとうございます😌🤲

 

人生という長い旅路において、同じ空間で同じ時を過ごし、同じ道を並んで歩めることに幸せを感じます。

以前は出来なかったことが、一つひとつ出来るようになって、背筋をピンと伸ばし、輝く笑顔を浮かべていらっしゃる。素晴らしいと思います。

輝ける方には共通する美徳をお持ちでいらっしゃいます。

 

●言い訳をしない

 

何かつらい状況に遭ったとしてもそれを感じさせません。

練習できずに不足点を注意されたとしても、

『はい』と黙って受け止めていらっしゃいます。

まことに大人の女性の素養を感じます。

 

同門・社中とはよく言ったもので、そのDNAは後輩の生徒さまにも受け継がれていきます。

ご入門されて2年となる、ある生徒様は左利きでいらっしゃいます。

最初はご苦労の連続でした。

柄杓で水を汲むのに手が震え、こわごわとお茶碗に運んでいた姿を今でも覚えております。

しかしこの生徒さま、ただの一度も言い訳をされたことがありません。

2年経ち、今では滑らかに柄杓を扱われます。

今や左利きと気付く方はおられないでしょう。

 

また、別の生徒さまも柄杓の扱いの際に、音が鳴っておられました。

その時は静かに置くようにと工藤は注意をしたのでした。が、後日に工藤自身が柄杓の扱いに音を鳴らしてしまう経験をしました。

重い荷物を持った際に手を痛め、力が入らなくなったためでした。

数日でその痛みは引きましたが、もしかしたらその生徒さまも手を痛めていらっしゃるのかもしれないと気付きました。

そしてこちらの生徒さまも、言い訳を一切せずに静かに注意を受け止めて、只々お点前を続けていらっしゃるのでした。

次第に音は鳴らなくなり、手の動きも美しくなっていかれました。

 

言い訳をしないという美徳。

文字で書くのは簡単ですが、よほど修練を積んでいないと身につかない美徳でございます。

普通は注意をされれば悔しい、悲しい。

自分のせいではないと言いたい気持ちにもなる。

でも、言わない。

その時にその方の本来の力が湧き上がるのかもしれません。

瞳の輝きがより強くなられました。

とても素敵です。

2024-03-24 20:12:00

●進化し続けることだけが幸せになる唯一の道

進化は大事だなぁと思います。

進化し続けることだけが幸せになる唯一の道だと、最近になって思うのです。

 

『そんなことない。大体、進化って何よ!』

15年前くらいの自分だったらこう思いました。

機械が苦手で、子育てに夢中だったこともあり、進化とは無縁でした。

自転車が主な移動手段。

家から2km以内が生活圏でした。

Suica?なにそれ、切符で十分でしょ。

そもそも電車に乗らないし。

スマホ?要らない、要らない。

ガラケーのショートメールで十分。

インターネットはパソコンで見るから。

 

だけど世の中はどんどん進んでいって、気が付いたら自分は何にも分からなくなっていました。

しまった。こんなことになろうとは。

その後、世の中からだいぶ遅れてスマホ📱を持ち、その便利さに驚きました。

そうかぁ、こんなにもスピードが違うのか。

 

スマホだけで生活をしていた時に、宗嘉先生から

『自分用のパソコンを持つべきだ』

とアドバイスされました。

当時は家族と共有のパソコンで、私はそれで十分だと思っていました。

『その感覚おかしい。ちゃんと自分用のパソコンを持ち、自分で管理していくべきだ。簡単なプログラミングぐらい出来ないと、この先仕事にならないよ』

(そ、そうなの…?)

と思いつつも、自分でも知識の乏しさを痛感していたので頑張って自分用のパソコンを購入。

『頑張って』という表現もおかしいのですが、当時は未知の世界に踏み込むような気持ちでした。

OA機器の売り場に行くのに恐怖心すら抱いていました。

初期化やセキュリティなどを何とか済ませて使えるようになった、ちょうどその頃にコロナのパンデミックが起きました。

危なかった💦

また世の中から置いていかれるところだった。

 

しかし購入後もパソコンのことはよく分からず。

雑誌を見てもイマイチ分からず。

色々調べているうちに、リモートで学べるパソコン教室を見つけました。

 

先日の講義は『サポート詐欺対策』でした。

・どんな事例があるか?

・何をしたら詐欺の画面が出てくるのか?

・その画面を消す方法には何があるのか?

具体的に細かく教えてくださいました。

講義にて先生の仰る言葉が印象に残りました。

。。。。。。。。。。。。

詐欺の話などをすると、人によっては

『怖いからもうパソコンは使わない』

と言われることがあるのですが、これは良くないです。

世の中の進化に遅れると、その分余計に詐欺に遭いやすくなります。

大事なのは対処法を知ることです。

相手はどんどん進化していきます。

その分自分もどんどん進化していきましょう。

裏のカラクリさえ知ってしまえば無闇に怖がる必要もないのです。

。。。。。。。。。。。。

進化かぁ。大事だよなぁ。

ここが差のつくポイントなのでしょう。

 

それを感じるのが朝ドラ『ブギウギ』です。

今放送の時代設定は昭和31年だそう。

太平洋戦争からたった10余年の、昭和31年。

都市のほとんどが空襲に遭い、戦争で誰もがたくさんの財産を失ったはず。

それなのに、終戦10年で人によって大きな経済格差がついてしまっています。

混乱から落ち着くとその差は際立つようです。

先週は刑事がスズ子さんのお家の家具などを触りつつ『芸能人は良い暮らしをしてるんですねぇ』と嫉妬めいたセリフを口にしていました。

心からの本音に聞こえました。

 

これが進化のスピードの差と思われます。

進化しようとする行動の支えとなっているのが『明日への希望』かもしれません。

戦後日本の大発明と言われる『新幹線』は、設計者たちによって戦時中の防空壕の中で構想が練られていたと聞きます。

自身の身も危ない状況で、すでに戦後の繁栄の構想を練っていたとは。

驚きを超えて畏れすら抱きます。

どれほどの費用と時間と労力が掛かるかを詳細に計画していたからこそ、戦後18年にて世界的な発明を成し遂げられたのだろうと思います。

 

戦後のモーレツ時代と、今の時代とを単純に比べることは出来ません。

精神性も何もかもが違います。

けれども世の中の進化するスピードに自分も合わせていく努力は、いつの世にも共通して必要な感覚だろうと思います。

2024-03-24 17:11:00

●困った時の神頼み

宗嘉先生に聞いてみました。

🔴『困った時の神頼みってありますけど、効果あるんでしょうか?』

🟦『ないね!ダメだ、そんなの💢』

ややお怒りのご様子。

 

🟦『調子良すぎるでしょう。困った時だけ頼って。信頼関係というものがあるんだ、神様との間にも。人間に信頼されない人は神様にも信頼されないよ。』

🔴『では、神頼みに行く前に何かやることがあるとすれば…』

🟦『まずは部屋の掃除ですね。運気の上がらない人は住居が汚れていたり散らかっていることが多い。遠くの神様に拝む前に、自分の家の神様を大事にしなさいと言いたい。』

🔴『確かに掃除は大事ですよね。部屋が散らかっていると集中出来ないですものね。』

🟦『住居は常に綺麗にしておく。住居が綺麗ということは常に脳がアイドリング状態で居られるということ。そうすると情報に敏感になり、判断力も付き、すぐに行動できるんだ』

 

🔴『ところで…。子供の頃《バチが当たるよ》などの表現をよく耳にしましたが、《バチ》って本当にあるのですか?』

🟦『ある』

🔴『どんな時にバチが当たるのですか?』

🟦『怠けた時』

🔴『努力をしない人はダメですか』

🟦『ダメ。他力本願はダメ。中途半端もダメ。本来持っている力を出さないということは、時間やチャンスをムダにしているということだから。』

🔴『結局は生活習慣をきちんとせよ、ということなんですね。』

🟦『そう。近道はない』

 

🔴『では、掃除をきちんとして、生活習慣も見直して自分を修正していくと、具体的にどうなるのですか?』

🟦『綺麗になる』

🔴『綺麗になる?外見が?』

🟦『そう、外見が。住居の状態は外見に出る。家が綺麗なら自分も綺麗になる』

🔴『そのほかには?』

🟦『静かになる。無駄口が減る。空間のムダや、時間のムダ。それらが減ってくると言動のムダも少なくなる』

🔴『様々なムダを減らせるのですね。そうすると…』

🟦『人から好かれる』

🔴『人から好かれる、ということは…』

🟦『神様からも好かれる』

 

🔴『そこに落ち着きましたか。まずは掃除、掃除と😊』

 

春を迎えて暖かくなってきました🌸☘️

掃除をするにも良い季節ですね😊🧹

新たなチャレンジをするために、まずは住居などの環境を整えて参りましょう✨

2024-03-18 14:18:00

●人のこころを掴む技術

奈良の東大寺南大門の金剛力士像を見ていた時、中学校の修学旅行生を引き連れていたガイドさんを見かけました。

反抗期真っ盛りの中学3年生ですが、ガイドさんは上手にコミュニケーションを取っていて感心しました。

 

南大門に生徒を集めて、金剛力士像の説明をしようとしていますが、生徒が三々五々に散らばり1箇所に集まりません。

生徒の方は集まらなきゃいけないことは、本当は分かっています。

でも普通に声を掛けられてもウザいだけ。

そこでガイドさん笑顔でこう言いました。

 

『はーい、そこの5名さん。いらっしゃーい😀』

そばにいた生徒たちも後に続きます。

👶👦👧『いらっしゃーい!』

『はーい、そこの8名さんもいらっしゃーい😄』

👶👦👧『いらっしゃーい!』

『みんな揃たね。ほな説明するよー😃。これが、かの有名な…』

👦『おっ、風神雷神』

『そ!風神雷神。てっ、ちゃうわ❗️』

👶👦👧『ガハハハ‼️』

 

上手いなぁ〜、ひとの心を掴むのが。

観察すると、ガイドさんの周りには味方となってくれそうな生徒たちが数名おりました。

ガイドさんの優しく朗らかな人柄に生徒たちは魅了されているようでした。

そして全体を動かすために、彼らの力を上手く借りている感じに見えました。

誰もが楽しそうな雰囲気でWin-Winの関係を築いていました。

 

集団を動かすには方程式が存在する。

そう言えば、世界的なマエストロ小澤征爾さんもそのようなことを仰っていました。

『8割を味方にするように努力する。まぁ、7割でも良いけどね』

何かの対談で仰っていました。

『100%は目指さないんですか?』

アナウンサーが問うと、

『100%はありえないでしょ。不自然だもん。7割から8割が良いんだよ。』

厳しそうな顔がふわっと緩んで笑顔になる。

最後の最後はガツガツしないで人間味がある。

こういうところに人はホロっとくるのかなと思いました。

2024-03-18 10:32:00

●美のカタチは一つではない

こちらは書道の先生からよく掛けられるお言葉です。

最初は真意が分かりませんでした。

一つの文字の美しい形を真似するのがやっとでしたので、混乱の嵐が吹き荒れるばかり。

『色々あると言われましても…。どれか一つに決めてくださいよ💦』

と泣きたい気持ちになりました。

 

しかしお稽古を積むと、先生のお言葉が少しずつ霧の中から浮かび上がってきました。

『躍動せよ!』

そんな風に聞こえます。

美しい形にこだわるあまり、ガチガチに体を強張らせて、見本と睨めっこして一喜一憂していてはダメなんだ。

文字だって生きているんだよ。

 

例えば基本的なセオリーとしては、

・中心を揃えて

・漢字は大きく

・平仮名は小さく

というものがあります。

その中でも画数の多い漢字はより大きくします。

セオリーを守れば何となく全体的に美しく見えるのですが、魅力的な書にはなりません。

何となく綺麗なんだけど、物足りないのよね…、となります。

その裏に人格が見えてこないからでしょうか。

 

じゃあセオリーなんて無視して、好きなようにやってみようとすると、もうごちゃごちゃ🌀

やっぱり『型』は必要なんだな、と実感します。

 

この美的感覚は一朝一夕では身につかない。

ほんのちょっと傾けたり、字と字との隔たりをずらしたり、トライ&エラーを繰り返して数年掛けて築いていく技術なのでしょう。

この経験こそがゆくゆくは『自分らしさ』となるのかもしれません。

 

ところで…

 

●美のカタチは一つではない

 

この言葉を初めて聞いた時に、ふと頭に浮かんだのが奈良東大寺南大門の『金剛力士像』でした。

運慶・快慶で有名な慶派が作り上げた奈良の金剛力士像は、当初はセンセーショナルな存在であったようです。

筋肉ムキムキであまりにも写実的すぎると。

当初は院派や円派が主流で、この両派は京都の朝廷と関わりが深かったとのこと。

それに対し、慶派は奈良仏師の小さな集団であったそうです。

しかしこの筋肉ムキムキが武士のwantsと合致。

『力こそ全て』を象徴するような美のカタチが、武士の台頭と共に、慶派の地位をも上げていったとのことでした。

そしてまた、納期が異常に早かったとのこと。

この巨大な像を69日で作り上げたそう。

寄木造(よせぎづくり)で3000パーツにも分かれるそうですが、一体どうやって作成を可能にしたのか…。

木は筋目に沿って膨張と収縮を繰り返すと聞きますので、木を知り尽くし、技術を極め、何代にも渡って準備を進めていたのでしょう。

『んまっ、お下品な!』

と最初は難色を示した人々も、

『でもカッコいいかも…』

と、徐々にファンを増やしていったそうです。

 

この躍動感。

私も奈良で実際に目にした時には驚きました。

美のヒントをひとつ示してくれているように思いました。