講師(宗夜)ブログ

2025-02-24 18:55:00

●着物茶会(名古屋帯編)

2025年2月23日(日)

よし庵にて着物茶会(名古屋帯編)が催されました。

開催前から皆さまとても楽しみにしてくださいました。

当日も早くにお集まりくださいましたので、皆さまがお揃いになられたところでスタート👘

 

ウェルカムドリンクにはハーブティのジュース割り(レモンジンジャーティ+ざくろジュース)をお出ししました。

喉を潤していただきながら、ゆる〜く自己紹介。

自己紹介が一巡したところでデモンストレーション開始。

 

皆さまに帯の型紙をプレゼントしました。

今回は名古屋帯です。

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写真はたれの長さを測って、小さなピンチで帯に印をつけているところです。

名古屋帯のたれの長さは8cm

動かないようにピンチで止めています。

次にお太鼓の長さも測ってピンチで印を付けます。

お太鼓の長さは26cm

 

その後に工藤考案の『秘密の紐』を皆さまの目の前で作成しました。

外側からは一切見えない立役者のため『秘密の紐』と名づけました。

ネーミングセンスはちょっと…

ですが、とにかく頼りになる存在なのです。

 

作成後に皆さまにお渡しして実際に手に取ってご覧いただきました。

『確かにこの紐なら体と帯が隙間なく密着しますね』

『ちょうど良いしなり具合』

とご納得のご様子。

 

着付けでは『秘密の紐』を2本使って帯を目の前で作っていきます。

帯枕と帯揚げも用意して、大きなピンチを2つ使い、帯を形造り背負うだけの状態まで仕上げました。

 

『あー、この時点でここまで作っちゃうんだぁ』

『これなら帯の模様をじっくり吟味できますね』

 

そして皆さまに帯をお回しして、実際にご自身で形を作っていただきました。

『えぇ〜っと、どうやるんだっけ?』

わいのわいのと盛り上がっている間に、工藤は次の準備に移ります。

一旦自分の帯を解いて、帯締めのデモンストレーションの用意です。

帯を解いたところで、生徒さんからの熱い視線に気付きました。

帯の下がどうなっているのか気になるご様子でした。

 

生徒さん:おはしょりを真っ直ぐにするにはどうしていますか?

工藤:ここにはですねぇ

おはしょり芯を仕組んでいるんですよ。

一同:おはしょり芯??

工藤:あ、見ます?これです↓

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一同:こんなのあるんだぁ

工藤:これすごく良いですよ。

安いし。(約600円)

一同:へぇぇー

 

その後にコーリンベルト

ここは特に反応なし。

コーリンベルトを付けたら背中のシワを伸ばします。

。。。。。。。。。

①背中心を下に引く

②背中心から左右10cm離れたところを下に引く

③左手は背中心に戻り下に引きつつ、右手の人差し指で背中心から右脇腹までシワを伸ばす

④今度は右手が背中心に戻り下に引きつつ、左手の人差し指で背中心から左脇腹までシワを伸ばす

⑤そして次がシワ伸ばし最大のコツ❗️

身八つ口の小さな穴を脇の下から探し出し、その穴に左右の手の人差し指を入れる。

そして親指で扇子🪭型にしごいてシワを伸ばしたら親指と人差し指で布を掴んで下に静かに引く。

(文章ではわかりづらいので後日に動画にまとめます🎥)

。。。。。。。。。。

⑤の動作をした後、皆さまの視線に再び熱が入り

(おお〜。そうやっていたのか)

と静かな声が上がりました。

 

そして次に胸紐です。

このコーリンベルトの襟の位置を動かさないように無駄のない動きを心がけます。

紐は予めちょうど良い長さに調整しており、中心には赤い糸で印を付けています。

この印により、毎回必ず中心が取れるようになります。

胸紐をかけたら、また背中のシワ伸ばし。

コーリンベルト直後にした動きを同じように繰り返します。

 

そしてすずろベルトでしっかりと空気を抜いて上半身をきれいに固定。

 

次におはしょりの長さを調整します。

おはしょり芯が入っていても、そのままでは斜めになっています。真一文字に下線を揃えて柔らかい紐で固定します。

(そういうことかぁ!)

 

この辺り、着付けの本にはあまり載っておりません。

工藤も苦労しました。

 

そしてメインの名古屋帯のデモンストレーション。

デモンストレーションの様子は動画やインスタに順次アップしていきます。どうぞお楽しみに😊

 

そして宗嘉先生の懐石料理ランチです。

体に優しいお料理の数々。

こちらも動画やインスタにアップいたします😋

 

ランチ中には(いつものことですが)時間が足りないくらいにおしゃべりに夢中になりました。

前世の話とか、

旅行の話とか、

乗用車の自動運転の話とか

最後に趣味の話になりドカンと大盛り上がり🤣🌸

皆さま多才でいらして、いつもながら刺激をいただきます。

そうこうしているうちに、宗嘉先生が痺れを切らしてお茶室に上がっていらして

(そろそろ、良い?)

と控えめな圧を…。

優しい笑顔で…。

 

『あっ、いまちょっと💦』

(すっごい面白いところなんですけど…)と言葉を呑み込むと、

(じゃぁ、あとちょっとだけね)

と無言でお許しくださいました。

 

ところが一向に話は切れず、何度も大盛り上がりするので

(さすがにそろそろ…)と

『お菓子を皆さまに配って』

とのお言葉が入りました。

 

お菓子は『チョコレート月餅』

宗嘉先生のオリジナルです。

この美味しさといったら…

で、また趣味の話が再燃😆🌸

もー、私たちは本当に

幸せなんだなぁ🌺🌼🌷

みんなすごく真面目なんだけれども、ガツガツしていない。

陽キャのガリ勉

 

宗嘉先生によれば

この感じがすごく波動の高い状態

とのことです。

この感じのときに無理しなくともスルスルと情報が頭や体に入ってくるそうで、幼い子供が泥遊びに夢中になっているような状態だとおっしゃいます。

 

美味しいランチと上品な和菓子の後に、もう一つのメイン。

宗嘉先生による薄茶点前

 

炭を起こして炉に焚べると、先ほどまでの陽気な熱がするすると下がっていきました。

パチパチと時折りに爆ぜる炭が陽を吸い込んでいるようでした。

誰もが口をつぐんで、黒い炭の塊が赤々と熱を放出するさまを見つめます。

いつもの茶道のお稽古のような

静かで少し冷んやりとしたお茶室に形相が変わりました。

 

陽から陰へ

 

無理なく静かに美しく

波動が高いから出来る業(わざ)

 

空気が整ったところで

宗嘉先生による幻のお点前

『鶯の谷渡り』

が始まりました。

 

美しい舞のようなお点前

常識を覆す不思議なお点前

ラビリンスに迷い込んだ子どもみたいな気持ちになります。

 

芸術性が極めて高く、神事にも似た厳かさを内包しております。

私どもにとりましても特別なお点前でございますため、軽々しく扱うことは控えており、目で見て心で味わっていただいております。

 

宗嘉先生の手作り干菓子と、心の込もったお薄をお召し上がりいただき、静謐な雰囲気のままお点前が締められました。

 

着付けと

ランチと

お喋りと

お菓子と

薄茶点前と

 

だれもがニコニコと機嫌よく

盛りだくさんの一日でした😊

皆さまお越しいただきありがとうございました😌🤲

2025-02-01 20:22:00

●初釜茶事

2025年1月末

よし庵にて初釜茶事が催されました。

華やかなお着物姿での集いに、誰もが心ウキウキ💖

皆さまのお着物姿を見渡しプロカメラマンの太田さまが一言

『本日はどなたも色が被っていませんね!』

『ああ、本当だ!』

『おお〜〜❗️』

と謎の盛り上がり。

 

色合いは実に様々…

鶯色、黄金色、濃紫色、薄桃色、空色、薄紫色、梅色

春🌸がひと足先に訪れたかのようでした。

 

この日は気持ちの良い青天が広がっていて、それが一層私たちの心を軽くするのでした。

『いいお天気ね』

と声が上がった後に、

『ちょっとだけ風が強いよね』

という声も出て

『あー、ごめんなさい。私の抑えきれないヤル気が風を吹かしたみたいで🌪️』

と初炭手前の生徒さま。

でも腰掛け待合に移る頃には風が止んで

『あれ、止まったね』

と言うと

『止めときましたー』

と太田さま。

『さっすが〜❗️』

とまた盛り上がって腰掛け待合へ。

 

作法通りに亭主との無言のご挨拶を経て、お茶室へ…

亭主とお客様の問答を終えたら初炭手前です。

 

ご担当の生徒さま、素晴らしい初炭手前をご披露くださいました。

前日までお稽古を積み、その後もご自宅で練習を続けてくれたそうです。

『練習しすぎて筋肉痛を起こした。こんな筈ではなかった』と、

笑い🤣の渦を作りつつ、しっかりとお役を果たしてくださいました。

その御姿を認めた皆さまの優しい拍手👏

この温かい空気がよし庵なのです。

 

そして宗嘉先生の心尽くしの茶懐石料理

初釜茶事.JPEG

。。。。。。。。。。。。

向附:鯛の昆布じめ いくら

御飯:一文字飯

汁椀:白味噌汁 里芋 結び昆布

椀物:鶏の温綿椀 しめじ

焼物:鰤のつけ焼き

預鉢:なめこと金柑のみぞれ和え

進肴:長芋かん

八寸:蓮根の白煮

牡蠣のうま煮

箸洗い:クコの実

湯斗

香の物:沢庵 赤かぶ きゅうり

主菓子:椿もち

干菓子:玄米と胡麻のおこし

。。。。。。。。。。。。

 

初釜でのお料理も素晴らしいものでございました。

 

●鯛の昆布しめ いくら

鯛に昆布の香りと旨みがうつって芳醇な味わいに。

まるで真珠貝のような盛り付け。

イクラと共にお箸で無理なく召し上がっていただけます。

 

●白味噌汁 里芋 結び昆布

白味噌汁の中央に鎮座するのは六角形の里芋。

その上に巻物のような結び昆布と黄金色のからし。

六角形は正三角形の集合体で、永遠を意味する吉祥模様。

 

●鶏の温綿椀 しめじ

蓋を開ければフワリと広がるいい香り。

『わぁぁ…』

自然と笑みが溢れます。

鶏のお団子をとろける白い薄餅が覆い、柚子の皮と人参で彩りが添えられています。

箸を入れれば驚くほどの柔らかさ。

旨みたっぷり。それでいて後味さっぱり。

 

●鰤のつけ焼き

こんがり&ふっくらの鰤のつけ焼き。

絶妙な火の入り加減に皆さま驚愕。

こんな風に私も作りたい…

それにしても美味しいわね😊

と箸が進むのでした。

 

●なめこと金柑のみぞれ和え

さっぱりとした小鉢。

金柑はよし庵の茶庭の恵み。

梅色の小鉢に白と黄金色の金柑がよく映えます。

おろし大根が消化を助けてくれます。

 

●長芋かん

雪のように真白の長芋の寒天。

山吹色のウニと若緑色のオクラでお化粧されています。

長芋の寒天寄せは、私も含めてどなたもが初めていただきました。

宗嘉先生が何度も何度も試して仕上げた爽やかな一品です。

つるり、シャキシャキ…

優しいお出汁でいただきます。

 

●蓮根の白煮 牡蠣のうま煮

白さ際立つ蓮根の菊

こっくり艶やかな牡蠣のうま煮

山がちで海の近い私たちの国土を表現したような八寸。

 

●クコの実の箸洗い

一連の盛り上がりを徐々に鎮めるような、箸洗い。

ごく薄い昆布の旨みを舌で追いつつ…

名残を惜しみつつ…

 

●湯斗 香の物

そう、やっぱり美味しいの。

千々にちぎれた白い米粒が乳白色のお湯に踊る、湯斗。

そしてやさしい塩味の香の物。

どちらも奥の方に甘味がある。

それを静かに探っていく喜び。

 

●主菓子

椿もち

生気あふれる深緑色の椿の葉に挟まれたお餅。

道明寺粉にシナモンパウダーを混ぜた生地で粒あんを包み、椿の葉で挟んでいます。

口当たりの柔らかさを追い求め、道明寺粉の粒の細かさにこだわっております。

日本で昔から愛されるお菓子、椿もち。

ふと古人に想いを馳せます。

 

 

そして続きお薄のお点前。

担当する生徒さまも、お稽古を重ねてこの日に臨んでくださいました。

穏やかな空気が茶室から流れてきます。

繰り返し繰り返しご亭主に臨んでくださり、その度に少しずつ自信を身に纏ってくださる。

少しずつというところが大事なようです。

少しずつだからこそ確実に前進されておられます。

 

皆さまのお陰で、よし庵の初釜茶事は素晴らしいものとなりました。

巳年にふさわしい飛躍の先駆けを感じる一日でございました。

 

ご亭主の皆さま

ご参加のお客様

カメラマンの太田さま

誠にありがとうございました。

2024-12-01 15:08:00

●口切りの茶事 其の一

霜月の最終日曜日

よし庵にて令和6年の口切りの茶事が催されました。

 

茶壺のお茶に、本年の収穫の感謝を表し、来年の豊作への祈りを捧げるお茶事です。

平和であるからこそ持つことのできる特別な時間。

ご参加くださったお客様は、ほぼ社中の生徒さんです。

皆さま一年前からご予約くださり、この日をとても楽しみにお待ちいただいておりました。

 

お正客から

『どうぞお茶壺の拝見を』

とのご所望を受け、亭主が床に向かいます。

網を外して口緒も取ります。

口緒をぐるりと反時計回りに取るさまは、まるで時を巻き戻しているかのよう。

いにしへの茶事に想いを馳せます。

亭主は一度水屋に戻り、『お茶壺日記』を持ち出します。

 

お茶壺日記には茶壺に収められたお茶名が記されています。

・濃茶三種

・薄茶一種(詰茶)

 

日記を貼り付けている板は、茶壺を守っていた木箱の蓋。

この蓋に毎年貼り足して貼り足して重ねていきます。

年々お教室の歴史を刻む大事な板となっていくことでしょう。

 

その後に亭主は葉茶上戸を持ち出し、封印を確かめてから、小刀で封を切っていきます。

しっかりと封をされているためか、合口は固い様子。

2巡目でようやく口が開きました。

蓋を外すとふぅわりと葉の瑞々しい香りが広がりました。

『いずれの茶を差し上げましょうか?』

との亭主の問いに

『では大宗匠お好みの、松雲の昔を』

とお正客がお答えになりました。

 

作法に則って濃茶の袋を取り出し、詰茶と共に挽屋に入れて、再び封をして亭主の印を押し、壺を拝見に出します。

 

宗嘉先生の美しい手捌きと、一年に一度しか目にしない茶道具や作法を、皆さまは真剣にご覧になられていました。

 

この後に、初炭手前・懐石料理・続き薄茶、となります。

 

お茶壺の拝見が、心躍るお茶事の幕開けとなりました😊🏺🍃

2024-10-31 12:50:00

●真之茶事

10月末の日曜日『真之茶事』がよし庵にて催され、社中の生徒さん5名さまがご参加くださいました。

『真之茶事は初めてなんです💦』

ドキドキしながらお集まりくださった皆さま。

『大丈夫ですよ。身内の催しですから😊』

とご案内しました。

最初はぎこちない自己紹介からスタートしました。

社中の仲間とは言え全員が顔見知りというわけではありません。

お稽古曜日ごとにメンバーがそれとなく決まっているのでした。

しかし、よし庵の生徒さん達の社交性はさすがであります。

しばらく言葉を交わすうちにすっかり打ち解けました。

 

この時に話題に上ったのが

『日本の伝統文化をいかに後世に繋いでいくか』

雑談は熱を帯び…

。。。。。。。。。

●多少は形が変わっても良い。

●時代と共に文化の形態が変わるのが恒である。

●どんな形でも良いからとにかく文化を繋いで行きたい。

●次世代の中には真髄を知りたいと思う方もおられるだろう。

●そのような方に難解なものを継承できればいい。

。。。。。。。。。

と全員の気持ちがひとつなったところで、宗嘉先生の精進料理が運ばれてきました。

 

ところで前回の6月の真之茶事では本筋に則って開催しました。

。。。。。。。。

真之炭手前

菓子七種

真之行台子

一の膳(精進料理)

二の膳(懐石料理)

薄茶

。。。。。。。。

しかし余りにも時間が掛かり過ぎ、ご参加の皆さまも、開催者側も、疲労困憊したのでありました。

疲れてしまっては後味もよろしくなく、何のために開催したのか、お集まりいただいのか、その意味がぼやけてしまいました。

 

厳かな雰囲気を保ちつつも、時代に合わせた形に変える必要があるだろう、と宗嘉先生と相談して今回は正午の茶事形式を取り入れたのでした。

 

結果は大成功!

前回よりも時間が短縮されたことで双方の負担が減り、ご参加の皆さまも最後までにこやかでいらっしゃいました。

 

それにしても、やはり伝統文化は素晴らしいと改めて思うのでした。

着物や茶道を始めたのは30代の初め。

カッコ良さそうだから始めた

お菓子が食べられるから始めた

その程度。

始めてみたら難しくて驚きました。

 

なかなか覚えられなくて

下手で

恥をかいて

たまに嫌になって

でも辞めたいとは思わなくて

いつの間にか生活の一部となって

 

そして気が付いたら次世代に継承する立場になっていました。

私たちはプロもアマも関係なく、この文化が無くなって欲しくないと真剣に思っています。

誰かに強制されて伝統を繋いで行こうとしているのではありません。

なぜだか理由は分からないけれども、心の底から突き動かされるような自発性を持って、周りと協力しながら繋いで行きたいと切に願っています。

単なる趣味ではここまで気持ちが入らないでしょう。

伝統文化だからこそ、ここまで熱が入るのだと思われます。

そしてここまで熱が入った人だけが『自分のものに出来た』と言えるのではないでしょうか。

 

この日

私たちは同じ気持ちを持ちながら、とても心地の良い時間を過ごしたのでした。

宗嘉先生のお料理はどれも身体に優しく美味しいものでした。

。。。。。。。。。

 

(一の膳)

向附・・粟麩のみぞれ和え 甘長唐辛子

汁椀・・八丁みそ仕立て 里芋 オクラ

煮物椀・・蓮根しんじょ椀 湯葉 三つ葉

焼物・・大根の香味焼き

強肴・・胡麻豆腐

湯斗・・らっきょう茶漬け えごまの葉 あおさ 梅肉 ぶぶあられ 

香の物・・沢庵 なす 赤かぶ

 

(二の膳)

向附・・まぐろと鯛の平造り

椀盛・・いかの印籠煮 焼き豆腐 ほうれん草

焼物・・ぶりの海老みそ焼き アスパラ しいたけ

強肴・・しめじの海苔酢

箸洗い・・梨

八寸・・たたみいわしのクリームチーズ挟み焼き かぼちゃ素揚げ

二の膳八寸・・たたみいわし.JPEG  二の膳八寸・・かぼちゃの素揚げ.JPEG

 

菓子(七種)

◆練り切り「すずめ」

◆蒸し菓子「栗とラム酒の浮島」

◆蒸し菓子「薯蕷まんじゅう(松茸)」

◆「栗きんとん」

◆冷やし菓子「金時羊かん」

◆干菓子「栗の押しもの」

◆果物「梨」

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。。。。。。。。。。。

 

●粟麩のみぞれ和え

一の膳向附・・粟麩のみぞれ和え.jpeg

もっちり、時々つぶつぶの粟麩が大根おろしと共に和えられています。両面が香ばしく焼かれて満足感のある一品

 

●蓮根しんじょ椀

一の膳煮物椀・・蓮根しんじょ椀.JPEG

まるでつくねのような味わい。

これが蓮根とは!

もっちり、時々サクサク。

すりおろした蓮根と、賽の目切りの蓮根の共演です。

 

●胡麻豆腐

一の膳強肴・・胡麻豆腐.JPEG

宗嘉先生の手作りの胡麻豆腐。

わさびを添えて。

胡麻がたっっっぷり。

葛粉でもっっっちり。

身体を温めてくれる女性の味方。

 

●らっきょう茶漬け

一の膳湯斗・・らっきょう茶漬け.JPEG

らっきょうも宗嘉先生の手作り。

さっぱりと口が濯がれます。

 

●まぐろと鯛の平造り

二の膳向附・・まぐろと鯛の平造り.JPEG

当日の朝に宗嘉先生がさばいてくださった新鮮なお造り。

丁寧に臭みを取り除き、旨みが凝縮されています。

 

 

一口々々、皆さまは本当に喜んで味わってくださいました。

美味しい

楽しい

嬉しい

このような言葉が出る場に神様がいらっしゃるに違いありません。

お椀を手に取るごとにふわりふわりと皆さまは優しい笑顔を浮かべておられました。

 

その後…

宗嘉先生のお点前。

魂の込められた厳かな時間。

はっきりと道を照らしてくれる師が世に何人存在するでしょうか?

稀有な存在に巡り会えた幸せを、皆さまと共に温かく胸に抱きつつ…

神無月の真之茶事が締めくくられたのでありました。

2024-09-27 20:50:00

●実りの秋茶会と自己ブランド化

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9月の第4日曜日

よし庵にて実りの秋茶会が開かれました。

この日も気温は31℃。

湿気もたっぷりで、湘南は朝からむぅ〜っとした空気に包まれておりました。

無理なく薄物をお召しくださいとお伝えし、私自身も絽を纏いました。

定刻には皆さま爽やかな笑顔でお集まりくださいました。

様々なお色のお召し物。

薄物でありながら初秋を思わせるお色味…

さすがであります😉⭐️

 

カジュアルな茶会ですので、ざっくばらんに様々な話題で盛り上がりました😆😊😄

途中でふと

『あー!大人って楽しい!』

という話になり、

。。。。。。。。。

・本当に楽しい

・大人がこんなに楽しいなんて20代の頃には想像もしなかった

・若い頃よりも今の方が精神的に自由

・むしろ今の方が夢がある

・現実が見えてきたから無駄な緊張がなくなった

。。。。。。。。。

と虹色のシャボン玉のように次々と言葉が弾けました。

 

なんだろう…

なんで今の方がこんなに楽しいんだろう…

あ!おしゃれだ!

年齢を重ねた大人のおしゃれを私たちは知ったからだ!

着物のおかげで。

と、私の中で答えが出たのでした。

画家のバルデュスは

『日本人女性の身体は着物が似合うように出来ている』

と断言し、節子夫人にはスイスでも着物の装いを求めたそうです。

骨格の作りや、筋肉の付き方、動き方が日本人に合っていると画家はプロの目で分析していたのでした。

合っているものに出会えるか、出会えないかで人生の味わいが変わってしまう。

出会えた私たちは幸運だと思いました。

 

そんなことを思いながら帰宅後にYouTubeで動画を眺めていたところ、

『プラダを着た悪魔』

がピョコッと出て来ました。

ああ、見た見た。

アン・ハサウェイ可愛いかったなぁ。

2006年か。

もう18年も前か。

懐かしくなって紹介動画をいくつか眺めていました。

すると、公開当時とは自分の目線が全く異なることに気付いたのでした。

公開当時は私は30代前半。

精神的に20代を引き摺っていて、アン・ハサウェイ演じるアンドレアに共感しました。

(いじめられて可哀想)

メリル・ストリープ演じるミランダには興味も持てず、『ひどいわぁ』とアンドレアに同情していました。

 

それが、アラフィフになるとガラリと変わってミランダの視線になりました。

確かにデビルかもしれない。

けれどもどうだろう…

このカッコ良さ!

アンドレアが面倒見の良い先輩ナイジェルに泣きつくシーン。

ナイジェルはアンドレアを突き放します。

『目を覚ませ、サイズ6ちゃん。彼女は自分の仕事をしているだけだ』

30代前半にはその真意が分かりませんでした。

ミランダの仕事とは…

美を生み出すこと。

独りよがりの美ではなく

確実に売れる美を生み出すこと。

つまり雇用を生み出すこと。

利益を出して社員のお給料をきちんと支払うこと。

彼女がGoサインを出せば、売り上げを待つ前に何億という金が先に動いて、一斉に生産ラインがスタートする。

失敗は許されない。

その重みが分かるかい?

ナイジェルの台詞が、今の私にはこのように響きます。

 

年齢を重ねた女性の持つ美しさと品格。

コートとバッグをぼーんとデスクに投げるのは例外です。あれは良くないです。

ファッションを愛する人のすることではない。

それでもつい惹かれてしまうのが最初の登場シーン。

ミランダが来るとなると、和やかな雰囲気が一変して戦闘モードに。

ドタバタとスタッフが緊張してデスクを片付けたり、ヒールの靴に履き替えたり。

大変だ、大変だ💦

だけど、もしミランダがいなかったら?

ダラダラと時間の区切りがなくなり、スタッフの服装はダサくなり、誰も憧れなくなり、売り上げも急降下。

どの業界も社員のブランド化に社運が掛かっているのかもしれません。

つまり、ミランダは守護神。

憤怒の明王と言えます。

明王はたいてい炎を背に怒っている。

怠けないように怒っている。

そんな風に思いました。

 

そしてもう一つ。

20代や30代の先頭に立ってリーダーであり続ける難しさも、今の私には理解できます。

20代・30代(40代前半も?)は、アラフィフから見ると視野が狭く感じられます。

その年代、その年代に特徴があって成長段階がありますから、それで良いのです。

でも、それこそ50代になったら全体の利益・不利益に考えが及ばないと仕事で成功することは出来ません。

それを言葉ではなく、外見と風格で相手に納得させているのがミランダです。

垣間見れる日々の努力。

若い女性でも疲れるヒールを事もなげに履いています。

徹底した体重の管理と筋肉を落とさないエクササイズがその姿を可能にしています。

本当は足が痛いはず。

疲労もあるはず。

でも微塵も弱みを周囲に感じさせない。

ここが格好良い。

 

私たちにとってミランダに代わる存在が、着物です。

着物で生活していた時代には、ミランダのようなビシッとした女性が多かったのではないかと想像します。

着物は、重い・暑い・苦しい・難しい・そして美しい。

制約も多いけれど、やはり美しい。

着物自体が美しいので、人間の方が努力して着物に合わせて行動します。

よし庵には

『よっこらしょ・どっこいしょ』

などと声を上げる女性は一人もおられません。

 

しかし、もし私が着物に出会っていなければどうだろうかと想像しました。

茶道にも出会っていないし、そうなると『どっこらしょ』と声が出ていたかもしれません。

太りやすい体質なので今よりも大きなお尻になっていたかもしれません。

着物を着て毎日正座をするから、嫌でも自分の体重を意識します。

着物と茶道のおかげで自己ブランド化の日々を過ごせています。

 

『水は低きに流れる』

という諺があります。

楽な方に流れるのは簡単だという意味の諺です。

本当にその通りだろうと思うのです。

 

ただ、ストイックになり過ぎるのも避けたいところ。

人間性が失われては本来の魅力も半減してしまいます。

そんな時は『お喋り』時間を設けて元気をチャージ!

 

よし庵ではこれからお茶会の開催日を増設する予定です。

女性の5つのお愉しみを満たすお茶会を目指しています。

・おしゃれ

・おしゃべり

・ランチ

・スイーツ

・抹茶

 

今回のお茶会も、宗嘉先生のお料理は身体にじんわりと優しく美味しいお献立でした。

。。。。。。。。。

《実りの秋茶会献立》

さわらのしば漬けあん添え

バターナッツかぼちゃのすり流し

ほたての黄身酢がけ

お茶漬け

主菓子:小萩

。。。。。。。。。

残暑厳しき折ではありましたが、味覚から秋を感じたひと時でございました。

 

今後もより多くの皆さまと愉しい時間を持てましたら誠に幸いに存じます。

12月初旬にクリスマス茶会を開催予定です。

宗嘉先生のクリスマス創作料理をどうぞお楽しみになさってくださいませ🎅🎄