講師(宗夜)ブログ
●掛け軸を筆ペンで臨書① 『松風塵外心』 しょうふうじんがいのこころ
掛け軸
ずっと気になっていた床の主役。
筆者は何を伝えたいのか。
掛け軸の、何が・どう素晴らしいのか。
いつか自分の身体で体験したい。
書道を始めた理由のひとつが、お軸への憧れでした。
ところが始めてみてもなかなか分かるようになりません。
私の専門は仮名と呼ばれる和様の書。
お軸の元は唐様の書。
和と唐とは様々に異なります。
こんなに違うとは…
書の道も深い。
けれども道は閉ざされてはいない。
書道史や中国書法にも勉強の範囲を広げて数年経ち、なんとなく感じが掴めてきました。
私は中国書法を筆ペンで勉強しています。
人工毛と天然毛の違い
再生紙と半紙の違い
埋め難い大きな溝があることは承知の上で、それでも筆ペンから得られることは多々あります。
高僧の卓越した身体能力。
関節の柔らかさ。
可動域の広さ。
文字の配置から分かる空間認知能力。
目の前のベールが剥がされたようでした。
この五つの文字のうち
ひときわ魅力的な『風』
向かい風に長いストレートヘアを靡かせて凛とした立ち姿。
先を見る眼の力は強い。
松は男性的
たっぷりと墨を含み
筆を傾け、幅いっぱいに引かれた横線
紙に押し付けるようにゆっくり書かれた旁
風は女性的
松で墨を使った分、やや枯れ気味で始まる一画目。蔵鋒、直筆。
魅力全開の二画目、三画目。
珍しい切り替えし方。
潤渇の具合も絶妙。
終筆まとまった毛先は悶絶もの。
その昔、武士が見れば、筆者がいかに心身共に鍛錬を積んだ人物であるか、すぐに分かったのではないかと思います。
静かな茶室に掲げられた動的なお軸。
ここから私に聞こえてくる声は
『鍛えろ』『鍛え続けろ』
でありました。
時代がいかに変わっても人の営みは変わらない。
動いている中に『美』があるのだ。
10月のアーカイブ筆講座で、今回のお軸の臨書を取り上げたいと思います。
解説動画と共に書き進めていただくと、いかに優れたお筆であるか実感していただけると思います。
ペンてるのつみ穂をご用意の上、ご覧いただけると幸いです。
お軸が分かれば茶道がもっと愉しくなります。
どうぞお楽しみに😊🤲

