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個人事業主を含むスモールビジネス事業者や、中小企業が設備投資をする際に申請できる補助金・助成金制度は、大きく2種類に分類されます。経済産業省の外局である中小企業庁管轄の補助金と、厚生労働省管轄の助成金です。
設備投資を行う目的とそれによって得られる成果、規模などによって、利用できる補助金は異なります。行おうとしている設備投資の内容に照らして、利用できそうな補助金・助成金を探しましょう。
ここでは、2023年9月時点で応募可能な各補助金・助成金について、対象の広さや申請のしやすさなどからスモールビジネス事業者が使いやすいと考えられる順に解説します。
IT導入補助金
中小企業庁のIT導入補助金は、スモールビジネス事業者や中小企業がソフトウェアなどのITツールを導入する際、経費の一部を補助するものです。会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフトなどのソフトウェアの購入費のほか、クラウド利用料、導入関連費などが対象になります。
IT導入補助金のWebサイトから自社の事業に不足しているものを確認しながら、導入すべきITツールを選択し、補助金の申請を行います。どんな設備投資が必要か、申請の手続きをしながら確認できる仕組みです。なお、交付申請には、インターネットで「GビズIDプライム」のアカウント取得が必要なので注意してください。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、スモールビジネス事業者(個人事業主を含む)の販路開拓や生産性向上、持続的発展を支援する中小企業庁管轄の補助金です。
機械装置などの費用やWebサイト関連費、広報費などが補助の対象で、補助率は経費の3分の2程度。作成した経営計画にもとづき、商工会議所や商工会の支援を受けながら販路開拓などを行う「通常枠」の場合、補助上限は50万円となっています。
補助金の額は比較的小さいものの、対象となる経費の幅が広いこともあり、スモールビジネス事業者に利用しやすい補助金といえます。
ものづくり補助金
中小企業庁のものづくり補助金は、中小事業者が革新的サービスの開発や生産プロセスの改善のために行う設備投資を支援する補助金です。小規模設備投資でも利用できるため、スモールビジネス事業者にとっても使いやすい補助金といえます。
補助の対象は、機械やシステムの導入費用に限らず、専門家からコンサルティングを受けるための費用やクラウドサービス利用料など、設備投資に伴う経費も含まれます。
最も利用しやすい「通常枠」の場合、従業員6人以上20人以下のスモールビジネス事業者(個人事業主を含む)では、経費の3分の2が対象で、補助金額は100万~1,000万円です。IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金に比べて支給金額も大きくなるので、手続きの難度はやや上がります。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小事業者が業態転換や新規事業などを行う際、必要な設備投資の経費を補助する中小企業庁の補助金です。
例えば、食品卸売業を営む事業者が新規事業として飲食店事業を始める際、機器の購入や店舗の改修などに活用できます。従業員20人以下のスモールビジネス事業者が補助されるのは、事業の再構築にかかった経費の2分の1(大規模な賃上げを行う場合は3分の2)で、上限は2,000万円です。
業務改善助成金
厚生労働省管轄の業務改善助成金は、正式には「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金」といいます。この助成金を使った設備投資によって生産性を高め、従業員の賃金を一定以上引き上げた場合、設備投資にかかった費用の一部が助成されます。
つまり、業務改善助成金は、従業員を雇用しているスモールビジネス事業者や個人事業主が対象です。
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、従業員を雇用しているスモールビジネス事業者や個人事業主が対象の厚生労働省の助成金です。
労働時間の管理を目的としている助成金なので、設備投資によって生産性を高め、労働時間の短縮や年次有給休暇・特別休暇の取得促進を行う企業に、設備投資の費用の一部が助成されます。
事業承継・引継ぎ補助金
中小企業庁の補助金である事業承継・引継ぎ補助金も、設備投資に活用できます。事業承継・引継ぎ補助金は「経営革新事業」「専門家活用事業」「廃業・再チャレンジ事業」の3コース構成です。このうち、スモールビジネス事業者が該当しそうなのは、経営革新事業です。
経営革新事業を選び、事業承継やM&A(事業再編・事業統合など)をきっかけとしたチャレンジを行う事業者に対しては、設備投資などにかかる経費の3分の2または2分の1が補助され、最大600万円が支給されます。