2023/03/12 05:00
温泉水でトマト栽培、異分野へ挑戦 苦難の旅館を支える
以下は事業承継の話なのですが、事業のリスク分散の話でもあります。
どんな好調な企業でも、一本足打法では、どこかで限界が来ます
なので、柱となる事業を3つは持ちたいです
そう簡単に勝てません
個人が勝てるのは、長期分散投資ということ結論に至りました
さておき、下記参考になります。
静岡県焼津市にある創業70年超の温泉旅館「蓬来荘(ほうらいそう)」の4代目さんの事業承継の話です
他の仕事を経験してから家業を継ぐつもりでしたが、私が大学3年生の夏に母が体調不良に。
1999年の大学卒業後、実家に戻りました。
東日本大震災や台風、新型コロナウイルス禍などで本業は何度も苦難にあっています。
今も昨秋の台風被害で休館中ですが、今年の夏ごろの再開へ準備しています。
コロナ禍で経営を支えてくれたのはトマト栽培など、異分野の事業でした。
もともとは地元の港で水揚げされた天然ミナミマグロなどの魚介や温泉を楽しむ旅館として代々、親しまれてきました。
しかし新しい価値も必要です。
まずは利き酒師など日本酒関連の資格を取得。
地元の蔵元と「地魚と地酒」のマリアージュを提案したり、インターネットでの宣伝に力を入れたりしました。
大きな転機は2011年3月の東日本大震災でした。
レジャー自粛の雰囲気もあり、5月の大型連休まで客足がぱったりと途絶え、「また同じようなことが起きるかも」と不安が募りました。
経営リスクを分散するために新規事業を模索。
温泉を使って野菜を育てられそうだと分かり、静岡大学農学部の協力を得て、事業化に奔走します。
旅館で働きながら、静岡大の研究棟で試作の栽培を続けました。
温泉水を吸わせると糖度が高く、甘くなることが判明。試行錯誤の末、「温泉美人トマト」という商品を開発します。
新規就農に必要な資格もとりました。
農地を借りることに苦労しましたが、何とか生産場所を見つけることができました。17年から温泉水を使って生産と販売を始め、現在は年間約15トンのトマトを出荷しています。
規格外のトマトについてはジャムやソースに加工し、販売しています。
ほかには動物病院からの協力があり、ペット向けの温泉水のスプレー商品も発売しました。
一方で本業の旅館は困難だらけです。
19年秋の台風による床上浸水で休業に。
新型コロナで建築資材や人手が集まらず、復旧工事は大幅に遅れます。
21年春にようやく再開しましたが、新型コロナで客足は不安定で、感染防止対策に必死でした。22年秋にはまた台風の被害を受け、今は休業中です。
移住や農業、温泉などに興味のある人たちの交流の場になるような新業態にして、旅館を再開したいと考えています。
振り返ると、震災を機に挑んできた新規事業がその後の危機を救ってくれました。
農業やペット向け商品の事業のおかげで、宿泊業が厳しくても経営を継続できています。
日々、会社の価値を高め続けることが重要だと考えています。トマトの生産を拡大し、地域の発展のために行政などとも協業していきたいです。