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こういう事業承継もあります。第3者に託せば、伝統は続きます
事業承継・酒蔵に新たな視点
池島酒造4代目 池嶋英哲氏
4代目の池嶋氏は日本酒造りへの知識、愛着のある第三者を選び、事業を譲渡した
1993年に父が経営していた栃木県大田原市にある池島酒造の4代目になり、2021年に事業承継・引継ぎ支援センターを通じ、酒類の小売店を営む経営者に事業を譲渡しました。
創業は1907年で、初代が地元を流れる箒川(ほうきがわ)の水の良さに魅了されて、酒造りを始めたのがきっかけです。
家訓は「主人自ら蔵に入るべし」です。
主力の「池錦」ブランドをつくり、65年ごろには年間10万本を生産して完売。
原料の米を冷たい水で手洗いするなど、機械をあまり使わずに醸造する点が特徴です。
生産量は多くないですが、地域限定で販売し、人気を得ていました。
正月も含めて休みなしで働いていましたが、焼酎などの人気が高まり、次第に日本酒の市場が伸び悩みました。
大学時代はレスリングで鍛え、体力には人一倍の自信がありましたが50歳を過ぎると、体が悲鳴を上げました。
事業承継のきっかけは、2016年に杜氏(とうじ)が病に倒れたことです。
酒造りの責任者で、良いお酒を仕込むには杜氏が培ってきた経験が大切です。
救急車で運ばれる事態になり、110年続いた生産を一時的に停止しました。
地域の酒蔵の支援を得て、何とか生産を再開しましたが、杜氏の現場復帰は難しい状況でした。
杜氏は私より10歳ほど若く、当時は後継者選びをほとんど考えていない中での危機でした。
長男は公務員で、重労働の家業を継がせまいと思い、第三者への事業承継を決心しました。
すぐに承継先を見つけるため、金融機関に紹介してもらった経営者と何度か面談し、事業譲渡を決定。
引っ越しの準備をしている時、その経営者から急きょ、「(事業承継は)なかったことにしてほしい」と。
時間や労力が徒労となり、しっかりとした企業や経営者に継承すべきだったと痛感しました。
その後「興味がある」「酒造りをしてみたい」などと複数の引き合いがありましたが、琴線に触れません。
難航のなか、紹介を受けたのが栃木県鹿沼市で地酒などを売る小林酒店の2代目でした。
大学時代に醸造に関する勉強をしており、酒蔵に日本酒の製造を委託して独自銘柄も製造していました。
豊富な知識に加えて、日本酒に向き合ってきた実績や愛着をみて、21年に譲渡を決めました。
歴史ある家業を終わらせるより、第三者に形を変えてでも事業を継続してもらうことが大事です。
興味や関心だけでなく、具体的な計画や知識、情熱を持ち、挑戦する人にこそ、安心して譲渡できます。
小売店ならではの視点を醸造に生かすことも期待しています。
上記内容であるが、家業を手放すというのは、創業者、ご先祖様にも申し訳ないという気持ちと、このままダラダラ受けついでもいずれ廃業するという、ことを総合的に考えて、第3者に託されたと思う。
同じような悩みをもっていらっしゃる企業さんもおられる。
民間会社に依頼するととんでもない費用を請求されるが、県や商工団体が斡旋する仲介機関であれば費用は安い。
スピード感や、情報量は劣るかもしれないが、時間があるなら、そういった機関に相談するのも良いと思います。
後継者不在のお悩みを第三者承継(M&A)で支援|滋賀県事業承継・引継ぎ支援センター (shiga-hikitsugi.jp)