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2011-05-19 21:41:00

 サラリーマン時代の先輩から、佐渡のヤマウドをいただきました。早速19日より、少し伸びかけた芽や皮をむいた茎の白い部分だけでなく、皮もキンピラにして揚げました。捨てるところは何もありません。

 きめの細かな歯ざわり、みずみずしさ、野趣豊かな風味、かすかに口に残る苦味を、一本のヤマウドで幾通りもの天ぷらにして味わうのも、ツツジが咲く季節ならではの楽しみです。

 江戸時代に著された「佐渡志」(1816年)に、ヤマウドの記述があります。「土当帰 方言うど 山中にありて 採て食品とす 笹川村拾八枚村(旧真野町笹川)金山より出るものは殊に美味なり」。土当帰はウドの漢名です。佐渡の人々にとって、ウドはワラビ、ゼンマイと並んで、古くから欠かせない山菜でした。

 ヤマウドの独特の香気は、茎などに含んでいる精油のせいだと「山菜記」(片岡博、東京書房社)にあります。それは、一足早く出回った栽培もののウドにはない、新緑の山の精気なのでしょう。

 汗ばむような日が続いています。冷たい小千谷そばと一緒に、熱々の衣に包まれたヤマウドをご賞味してみませんか。佐渡の野山のにおいと一緒に、さわやかな潮風を感じていただければ幸いです。