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2023 / 06 / 10  08:23

 明日は我が身かも?損害賠償金を請求される・する場合の注意点 NO1

 

 

 

 

以前から、行き過ぎた悪ふざけや迷惑行為をSNSに投稿する人は問題視されてきました。近年も、寿司店の醤油差しを舐める動画などが世間を騒がせていますが、もし自社が当事者となったら、どのように対処すればよいのでしょうか?

 

いざという時に落ち着いて対処するためにも、まずは損害賠償請求について、基本的な知識や手続き方法、注意点について知っておきましょう。

 

今回は大谷・佐々木・棚田法律事務所の弁護士である棚田 章弘(たなだ あきひろ)さんに、損害賠償金の請求方法や、されたときの対策、リスクヘッジなどについてお話を伺いました。

 


 

· そもそも「損害賠償」とは?

 

· 任意交渉?法的解決?損害賠償請求の手続きと注意点

 

· 自社が損害賠償請求をされたときの対応

 

· 損害賠償請求を未然に防ぐために今からできること

 

損害賠償について、簡単に教えてください。

 

損害賠償とは、他人に損害を与えた場合に金銭で補償することです。損害賠償には2つのパターンがあります。

 

1つ目が「債務不履行責任」と呼ばれる、契約している相手方に対して迷惑をかけてしまった場合に、損害について金銭で解決するというものです。

 

2つ目は「不法行為責任」という、契約がない人との間で損害が発生した場合の損害賠償で、交通事故などがわかりやすい事例だといえるでしょう。

 

ただし、どちらの場合も、他人に損害を与えた場合に金銭で補償することに違いはありません。

 

債務不履行責任による損害賠償とは、どのようなものでしょうか?

 

債務不履行責任とは、契約で定められた内容に違反して、相手方に損害を与えた場合に発生する責任です。例えば売買契約で物を引き渡せなかったり、請負契約で期限内にものを作れなかったりした場合などが該当します。このような場合は、金銭で解決するのが一般的です。

 

債務不履行責任とは主たる目的だけではなく「付随義務」にも及びます。付随義務とは、契約の履行に必要な義務で、安全配慮義務や善管注意義務などがあります。例えば長時間労働など、従業員の健康管理を怠って死亡させたり、引越し業者が家具を傷つけたりした場合です。このような場合も、加害者側が損害賠償責任を負うことになります。

 

不法行為責任による損害賠償とは、どのようなものでしょうか?

 

不法行為責任とは、契約関係がない人に対して法律上の義務を違反して損害を与えた場合に発生する責任です。

 

例えば交通事故で他人の車や体を傷つけたり、従業員が詐欺でお客さまから金をだまし取ったりした場合です。また、建物が倒壊して歩行者に当たった、工作物の欠陥が原因で爆発した場合など、自分が所有する建物や工作物が他人に危害を及ぼした場合も不法行為責任に該当します。

 

 

 

実際に損害賠償請求を行う際には、どのような手続きが必要なのでしょうか?

 

損害賠償請求を実施する際の手続きには、大きく分けて2つあります。1つは、相手方と話し合って解決する「任意交渉」と呼ばれる方法です。もう1つは、裁判所を介して法的に解決する「法的解決」です。

 

任意交渉のメリットは費用がかからないことや、話がスムーズに進めば早く解決できることなどが挙げられます。ただし、話がまとまらなければ解決できません。また、相手方が協力しない場合に対処できないのがデメリットです。

 

法的解決のメリットは、相手方が協力しなくても強制的に手続きを進められることや、裁判官による公正な判断を受けられることです。一方、時間と費用がかかることや、自分の思い通りの判決が出ない可能性もあることはデメリットだといえます。

 

損害賠償請求できる内容は、基本的に相手方の行為によって生じた損害です。例えば、ケガをした場合は治療費や慰謝料を請求できますし、売買契約で物が届かなかった場合は代金や利益を請求できます。また納品が遅れた場合は、遅延損害金やその他の損害を請求することも可能です。ただし、あくまで関係性や因果関係があるものだけに限られます。

 

顧客や取引先に損害賠償請求をする際、注意すべき点を教えてください。

 

顧客や取引先に損害賠償請求をする際、注意すべき点は次のようなものが挙げられます。

 

·    損害の内容と額をきちんと把握しておくこと

 

·    相手方の身元や立場を確認しておくこと

 

損害賠償請求は、一度にまとめて行う必要があります。後から追加で請求することはできません。和解の場合は「この金額でお互いに全面解決ですね」という合意をとりますから、その後に新たな損害が発見されても請求できなくなります。そのため、まず損害状況を精査し、どの程度の被害を被ったのかについて正しく確認しておくことが重要です。

 

次に、相手方がわからない場合や間違っている場合は請求ができなくなるため、相手方がどのような人なのか必ず確認しておきましょう。例えば店舗で物を壊された場合は、犯人の身分証明書や連絡先を確保しておく必要があります。警察にも頼めますが、必ずしも協力してくれるとは限らないため、ご自身で確認を取るのがおすすめです。

 

例えば発注者が契約締結後に追加の要望を出した際に依頼された側が対応できない場合、債務不履行に該当するかと思われます。この場合の落としどころはどのように決着するものでしょうか?

 

まず、契約書や見積書などの書面があるかどうか確認しましょう。例えば工事の場合、そこに請負内容や作業範囲が明記されていれば、それ以外のものは追加工事として扱われます。そうなると、別途見積もりや契約をする必要があります。ただし、再契約しなくても債務不履行にはなりません。

 

しかし書面がなかったり、あいまいであったりする場合は別です。当初の約束や口頭でのやり取りを思いだすしかありませんが、それでも解決しなければ話し合いで落としどころを探すしかありません。その際には、自分の作業をきちんと請求しましょう。話し合いが難航した場合は、弁護士に相談するのも1つの方法です。弁護士は和解交渉の仲介役としてはもちろん、相手方にプレッシャーをかける存在としても効果が期待できますから、早めに相談するのが得策です。

 

損害賠償請求の準備をするために、経営者や従業員が時間をかけた場合、その分を請求できますか?

 

残念ながら、そのような時間に対する請求はほとんど認められません。経営者でも従業員でも同じです。

 

債務不履行による損害賠償を請求されたとき、どのような対応が必要なのか解説をお願いいたします。

 

債務不履行による損害賠償を請求された際には、まず自社の担当者と事実関係をチェックすることが必要です。請求書やメールなどの資料も用意し、担当者の証言と照らし合わせて確認しましょう。

 

もし証拠が不足している場合は、現場検証や写真撮影などを行って、作成できるものは作成しておく必要があります。特に、相手方の請求を否定できる証拠は優先的に確保しなくてはいけません。

 

相手方の請求内容と金額を把握することも必要です。書面で請求されている場合は、その内容が妥当かどうか確認します。損害内容や計算方法に疑問があれば、すぐに相手方に問い合わせましょう。

 

また、早期に弁護士や保険会社などの専門家に相談し、助言を求めることも大切です。その際、事実関係を時系列順にまとめた書面や資料を持参するとスムーズに手続きを進めることができます。

 

当事者同士で話し合って解決する場合は、必ず書面化しておきましょう。書面の内容を正確、かつ明確に記載することが重要です。その後、内容を弁護士にチェックしてもらうことも忘れてはいけません。

 

債務不履行による損害賠償請求をされた場合、金額の相場はいくらぐらいが想定されるでしょうか?

 

債務不履行による損害賠償請求をされたときの金額相場は、ケースバイケースです。

 

例えば物を壊した場合は、その物の価値が賠償額になります。ただし、物は経年劣化するため、購入費全額ではありません。

 

自動車を壊した場合などは、原則は修理費の金額になります。修理できないような場合には、中古車の価格が最大限度額ですので、同程度の物の中古価格が損害賠償額の相場といえるでしょう。

 

人に怪我をさせた場合は、治療費以外にも通院期間や入院期間に対する慰謝料が発生します。交通事故には算定事例がありますから、相場は把握しやすいです。

 

不法行為による損害賠償を請求されたとき、どのような対応が必要か解説をお願いいたします。

 

不法行為による損害賠償を請求されたときには、特に相手方に全く非がない事案の場合には、まず相手方の被害者意識を和らげるため、お詫びに行くことはしておいたほうがよいでしょう。被害者意識が強くなると、無茶な請求をされる可能性が高くなります。

 

例えば1万円相当の損害しか発生していないにもかかわらず、10万円以上の請求を行うようなケースです。こうした事態を未然に防ぐだけでなく、後になって「謝罪されていない」と言われないためにも、早めに謝罪したという形跡を残しておくことが重要です。これは相手方に受け入れられなかったとしても、しておいて損になることはないでしょう。

 

次に、事実関係の把握が必要です。債務不履行責任の際にお話ししたものと同じ方法で、確認してください。また、弁護士への相談も視野に入れましょう。特に不法行為では無茶な主張がされやすいため、弁護士が必要な場合が多いです。弁護士が理詰めで交渉することによって、相手方も納得しやすくなります。

 

裁判例や法律的根拠を参考にすることも大切です。相手方が怒ったり感情的になったりしても、ドライに対応してください。「これはルールです」という姿勢で話せば、相手方が納得する可能性も高くなるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

2024.04.29 Monday