講師(宗夜)ブログ
●帛紗の手入れ シャンプー&トリートメント
帛紗のお手入れ、皆さまどのようになさっておられますか?
海外にお住まいの生徒さまから、どのような手入れをすれば良いか質問されました。
お道具屋さんがなく、そう簡単に帛紗が手に入るわけではないので切実な悩みです。
私はお稽古用の帛紗に関しては洗っています🫧
以前は埃落としのブラシで表面を擦っていました。
乾いたお茶であればブラシで綺麗になるのですが、たまにべっとりと湿ったお茶がついてしまうことがあり、そうなるとお手上げです。
時間が経つと黒ずんでしまいます。
お道具屋さんにお手入れ方法を聞くと、
『帛紗は洗っちゃいけませんよぉ〜』
と含みがちに言われます。
(え?じゃあ、じゃあ、汚れた時には…?)
『新しく購入してくださいね〜😁♪』
誰に聞いても同じことを言われて、
(そうか、それが茶道なのか…)
と思って最初のうちは汚れるたびに新しく買っていました。
当然ながら帛紗の数がどんどん増えていきました。汚れた帛紗の束。
これを皆さまどうしていらっしゃるのだろう?
もしかして、捨てていらっしゃる?
捨てるのぉ?まだ使えるのにぃ?
もっっったいなくな〜い⤴️❓
と、いうわけで洗ってみることにしました。
帛紗の材質は絹。
動物性タンパク質
私だって動物性タンパク質
シャンプーで優しく洗ってトリートメントまでしてあげれば大丈夫なんじゃないかな。
縮むのは乾く時だから、縮み止めのために高温でアイロン掛けしてプレスしてみたらどうだろう?
やってみたら…大成功!
以下に方法を記してみます☺️
※皆さまに強くお勧めしているわけではありません。恐れ入りますが、お試しの際は自己責任にてお願いいたします😌🙏
《帛紗を洗う方法》
●必要なもの
・洗面器
・シャンプー
・トリートメント(リンスでも良い)
・不要なタオル
・アイロン台
・アイロン
・ハンガー
●注意点
・染料が出るので汚れても構わない服装での作業をお勧めします。(驚くほど出ます!)
・お風呂場での作業をお勧めします。
・アイロン台にも色が移るので覚悟の上で行ってください。
・アイロン台が多少傷みます。
・洗濯後、帛紗に多少の縮みや歪みが見受けられます。
・茶事用や奥伝用は避け、普通お稽古用の帛紗にてお試しください。
《では実践!》
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《この帛紗を洗います😊🧼》
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①洗面器にお水(夏の季節)、またはごく低い温度のぬるま湯(冬の季節)を張り、シャンプー1回分を溶かして泡立てる。
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②帛紗を広げて入れて押し洗いする。
上から優しく手のひらで押す。
水の対流で汚れを落とすイメージ。
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③すすぐ。洗面器の水を落として、新しい水に変え、何度かまた押し洗い。水の対流を利用して泡が出なくなるまですすぐ。
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④洗面器にお水(夏の季節)または、ごく低い温度のぬるま湯(冬の季節)を張り、トリートメント(リンスでも良い)1回分を溶かす。
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⑤洗面器に帛紗を再び入れてトリートメントが行き渡るように押し洗い。その後、1〜2回すすぐ。
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⑥出したら、即タオルドライ。
不要なタオルで一旦水分を吸い取らせる。
この時に染料が移るので必ず不要なタオルにて!
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⑦別の不要なタオルをアイロン台に敷き、その上に水分の残ったままの帛紗を置く。
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⑧そして高温(スチームの域)でプレス。
四隅から行く。最初に真ん中からプレスすると歪みの原因となるため。
じゅぅぅ〜〜〜💨💨
ココ、私の一番好きなところ😆👍
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⑨何となく表面が平らになってきたかなぁ…、
というところでストップ。
まだべちゃべちゃに濡れているけれどOK。
わさを手前にして二つ折りにし、ハンガーで陰干し。直射日光はイカンですよー☀️😎
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⑩綺麗になりました✨
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いかがでしたでしょうか?
すごく綺麗になるわけではないのですが、気分よくさっぱりとします。トリートメントされているので肌触りも滑らかです✨
お稽古用の帛紗のお手入れ法として、試してみてもよろしいかと思います😊🤲
●明治生まれの女性
私の朝ごはんを食べる時間が、BSでの朝の連ドラとの放送時間と重なり、何となく『らんまん』を見ています。
最初は天気予報をチェックするためにテレビをつけていました。
天気予報を待つまでの間、ちょこちょことチャンネルを変えて『らんまん』をうっすらうっすら見ていたのでした。
ですが、寿恵子さんがあまりにも可愛らしくて、ここのところ毎朝の寿恵子さんチェックが日課となりました。
先日唐突に『吉也(きちや)』という名が飛び出しました。
(ふーん、寿恵子さんのお父さんかな?)
なんて思っていたけど、どうも話が繋がらない。
『夢のようなおなごが…』
(ん?おなご?)
『うちのおっかさん、芸者のてっぺんまで登り詰めて…』
(ああ、寿恵子さんのお母さんか。吉也は源氏名なのね。)
この時代、高級料亭や花柳界が隆盛を極めていたとドラマでも紹介がありました。
そして夜の蝶として注目を浴びる芸妓は、政財界で活躍する英傑たちの本妻や妾となることが度々あったとのこと。
このような人気芸妓さんたち…。
意外にも出自が武家であることも多かったと別の番組で歴史学者たちが論じていました。
武家社会は掟が厳しく、栄枯盛衰も激しかったようです。
時代を読み切れずに政策に失敗して失脚とか、
藩内の政治抗争に負けてお家没収とか…。
または『らんまん』の時代ですと、戊辰戦争の際に新政府側につくか、旧幕府側につくかで、藩ごと勝負がついてしまうこともあります。
そんな没落の状況下では、家族も家来も離散となり、武家の子女が花柳界へと送られたとのこと。
もしも『らんまん』の中の佑一郎くんに姉や妹がいたら、同じような境遇を辿っていたかもしれません。
しかしさすが武家出身だけあって、そのような女性たちは花柳界でも一目置かれる存在へと成長することが多かったそうです。
出自がきちんとしているから、それなりの格の置屋に送られて仕込まれることもあるのでしょう。
置屋での教育は相当に厳しいようですが、没落するつらさが骨身に沁みている人間は、引き換えにどんなことでも耐えて前を向く強さを持つのかもしれません。
こういう強い女性、どこかで出会ったような…。
『きもの』幸田文/著 でした。
この本の中で登場する『清村その』さんが、そのひと。主人公るつ子の父親が愛した女性です。
予期せぬ形で偶然に出逢い、鮮烈な印象を残した女性。その下りは、以前のブログ(●ご挨拶は手をついてから)に書かせていただいております。
もう二度と出会うことはないだろうと思っていたのに、関東大震災(1923年9月1日)またもや偶然にも再会します。
群衆の大きな雪崩の中に、ちらりと白い手拭いを見つけ、るつ子は直感で『あのひとだ!』と飛び込んでいきます。はっしとその手首を掴み、父と兄と祖母のいるところまで引っ張っていくのです。
父は『やぁ、無事で良かったな』と声を掛け、何とも言えないギクシャクとした空気が漂います。
そして寄るべのない不安な気持ちで一塊りになって朝を待つのです。
翌朝、少し離れたところで父と女性が立ち話をしていました。双方ともに真面目な顔をして、これからのことを話している様子。
炊き出しがあるらしいと伝わりますが、それを待たず手拭い一本持って女性はさっさと人浪に消えて行きました。
………………….
万が一住居が焼けていなければ仕合せだし、焼けていれば跡を囲って焼けトタンをよせてでも住む場所をつくる、という。
………………….
この本を読んだ時、なんて強い女性なんだと感心しました。
普通の女性ならば父を頼るだろう。
こんな状況だからしばらく身を寄せさせてくれとか、頼み込むのが普通だろう。
非常時だから誰も拒否できない。
だけど女性はそれをしない。
未曾有の混乱事態なのに、綺麗な女性が一人でいたら、どんな酷い目に遭うかもしれない。
それが、振り返りもせずにさっさと一人で群衆に逆らって消えていく。この強さ。
この強さは、いったいどういう育ち方をして身につけたのだろう…と不思議に思っていました。
女性はお唄のお師匠さんとのことなので、もしかしたら吉也さんと同じような境遇だったのかもしれない、と今では想像します。
また、るつ子を育てた『おばあさん』も、この女性たちと似たような気質があります。
竹を割ったようにさっぱりとしていて、頭脳明晰で弁も立つ。出しゃばりではないけれども、自らの判断力に揺るぎない自信を持っている。
前半生に相当な苦労を経験したのかもしれない。
世を恨んだり、親を憎んだりしたこともあったろうけれども、そのうちに生きるということの深さを悟ったのかもしれない。
るつ子自身はそこまでの強さはまだ身につけてはいません。けれども姉から
『着付け』にこき使われているうちに、技術を身につけ、更に技術を磨く面白さに目覚めてゆきます。
我儘な姉たち、複雑な家庭環境、余裕のない家計。
おばあさんから知恵を授けてもらいながら、切り抜ける逞しさをも備えつつあります。
るつ子の自我が少しずつ形成されてゆくさまを眺めることは、私も仕事をする上で色々と気付きをもらえました。
少し前を歩いていた女性たちから、まだまだ学べることがありそうです。
●大人女性の言葉 タメ口は棚上げ
リモートで副業をしてみたい。
趣味を広げて仕事に繋げたい。
成果を上げる秘訣を教えてほしい。
そんなお声をいただくことが多くなりました。
仕事の核となる専門技術を既にお持ちであるなら、次に大切なのが言葉づかいです。
言葉づかいは、お互いの距離を測るバロメーターです。私たち人間は、毛繕いをしなくなった代わりに、言葉や目線でお互いの立ち位置や距離感を把握するのです。
仲良くしたい。
自分のことを早く知ってほしい。
距離を縮めたい。
そのような気持ちで敢えて敬語を使わず、タメ口で話す方をお見かけすることがあります。
相手の懐に入り込むように接するのです。
しかし、大人同士の関係や、代金が介在するビジネスの場では常に敬語を心掛ける方が無難です。
タメ口は棚上げし、どんな場でも敬語が自然に口から出るように訓練しておくと、心象が良くなり評価も成果も上がりやすくなります。
以前、ビジネス英語を習っていました。
仕事の現場では、参考書や教科書で習ったような英語表現は通用しませんでした。カジュアル過ぎたり、逆に学術的過ぎたりしました。
会話の途中で、度々顔をしかめられることがあったので、思い切って受講したのでした。
講座の先生は、大手自動車メーカーに長年勤務された方でした。海外に長く赴任し、最終的には人材育成に携わっていたそうです。
その会社では、数十年前グローバリゼーションが叫ばれていた時代に、帰国子女を中心として人事採用を行っていた時期がありました。
ビジネス文書の迅速な作成が、帰国子女たちに託された使命でした。
ところが…
………………………………………
彼らはビジネス文書が作れなかったんですよ。
日常会話は何の問題もなく話せる。
だから当然、何もかも出来ると会社側は思ったんでしょうね…
『今話したことをきちんとした敬語に直して、ビジネス文書に翻訳してください』
と指示してもビジネス現場で通用する表現がわからないみたいでした。
結局、採用方針を従来に戻しました。
その経験を経て思ったことは、まず母国語での敬語表現を身につけることが肝要ということでした。
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大人としての言葉づかい。
どの国に住んでいてもこの言語のセンスを身につけることは簡単ではないようです。
ではどうしたら、敬語表現を主としたビジネスセンスを身につけることができるのか。
一つには、
『優れた人となるべく多く接すること』
ではないかと思います。
まずは静かにしてみましょう。
一人静かにできる時間を持ってみましょう。
それから自分に有益と思われる言葉だけを自分の中に入れていきます。
日ごろ静かにしていると、優れた人の言葉を聞き分けられるようになってきます。
また自分の好きなことを掘り下げてみることも、大人表現の獲得に役立ちます。
私は最近になって自然科学の分野がすごく好きであることに気が付きました。
そう言えば、
子ども時代から何となく好きでした。
天文学とか、地学とか、何となく好きでした。
大人になって心が落ち着いてきたら、また興味が湧いてきたのです。
自分の好きな分野がハッキリしてくると、その都度の適切な表現が身についてくるようです。
サイエンス系の番組を視聴しているうちに、そのナレーション法は自分が仕事をする上でとても参考になっていることに気がつきました。
・声の出し方
・間合いの取り方
・発音の仕方
・敬語表現
・難解な表現をどこまで簡易にするかの塩梅
このような事を、知らず知らずに気にしていました。
言語能力は訓練すれば必ず向上します。
タメ口は思い切って棚上げしてみましょう。
それだけで大人としてのふさわしい表現を考えるきっかけとなり、借り物ではない大人の言葉が内側から作られていきます。
●クドウ感動!着付けお助けグッズ
美しい着付けを助けてくれるグッズをご紹介いたします。
そろそろ足袋を買い足さなきゃと思い、ネットサーフィンを楽しんでいたところ…
着付け便利グッズを発見!
『おはしょり芯』
あったら良いなぁと思っていたけど、やっぱりあったんだ。
《おはしょり芯》
2種類ありました。
(上)メッシュタイプ
(下)合成ゴムタイプ
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2種類とも購入し、試してみました!
それぞれに良さがありました。
(上)メッシュタイプ 600円程度
●メリット
・蒸れない
・周りを縁取りしてあるので直線の形をキープしやすい
●デメリット
・短い
(下)合成ゴムタイプ 300円程度
●メリット
・長さがちょうど良い
・柔らかいので身体にフィットする
●デメリット
・やや蒸れる
・柔らかすぎて頼りないと感じる人もいるかも…
試した結果、二つとも大正解でした。
どちらかと言えばメッシュを推したい気持ち。
だけど、ちょっと短いのよね💦
メッシュ素材のまま、もう少し長ければ💯満点でした。
おはしょり芯は、丈の短い着物の時に、とても役に立ちます。
着物は裾から壊れることが多いので、どうしても修繕していくうちに短くなります。
『丈が短くなりますけど、良いですか?』
と呉服屋さんに問われ
『良いです(嫌だけど)』
と仕方なく答える方も多いことでしょう。
短い着物だと分かっていても、おはしょりが無いとどうも格好がつかない。
後から引っ張っても上手く整わない。
そんな時におはしょり芯があれば、ほんのちょっと腰紐に乗っかる分があるだけで綺麗に見えます。
安いし、おススメです!
そしてもう一つのおススメ!
《あづま姿メッシュ変形衿芯》
これはすごい。
クドウ、感動しました。
2年ほど前から、夏着物の着付けにある悩みを抱えていました。
着物が薄くなればなるほど、襦袢の襟が『ぐにゃり』と内側に曲がってしまうのでした。
袷では曲がらないのに、単衣→薄物と、生地が薄くなればなるほど『ぐにゃり』となってしまう…。
土台となる襦袢の生地が薄くなると衿芯の重みを支えきれずに曲がるのです。背中や胸前のシワを伸ばそうと力を加えるとこの現象が起きます。
衿芯の長さを半分にしてみたり、自分で色々と工夫しましたが根本的な解決になりませんでした。
その悩みをこの変形衿芯は見事に解決してくれたのです!従来品と見比べてみましょう。
《メッシュ衿芯》
(上)従来品:幅が一定 4.5cm
(下)変形タイプ:首と肩のカーブに合わせた波状
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(上)従来品
幅が一定であるため、力の分散が均一になると思われます。袷の季節は従来品にて問題なく綺麗に着られます。
しかし、生地が薄い季節を迎えると、肩の部分で、衿芯が縦に立っている状態から横に寝かされる状態に変化するため、負荷が掛かり過ぎて背中側でダブつきます。
(下)変形タイプ
首と肩のカーブに合わせた波状となり、肩に掛かる部分で一度くびれています。このくびれにより、外から見えない部分で負荷を吸収。
見える部分にシワを作らず綺麗をkeep!
クドウ、本当に感動しました。
しかも安いっ!
はい、300万円🤠💰
あ、ごめんなさい、ほぼ300円です。
着付けには答えがなくて、悩みも様々です。
そんな中で、このような優秀グッズを見つけると
『みんな同じ悩みを持っていたんだなぁ』
と共感を得られて心強い気持ちになります。
お役立ちグッズを見つけましたら、また報告いたします☺️🤲
●地球の歩き方🌏 くつ編・足袋編
先日のzoomプライベートお稽古にて、足の運びについて生徒さまにアドバイス申し上げました。
どなた様にも役に立ちそうなので、ブログでも紹介いたします。
生徒さまをふと見ると、踵(かかと)から着地されていました。踵から着地し、親指に力が抜けていく歩き方でした。
これは屋外のウォーキングやランニングで推奨される型の一つによく似ていました。
『ヒールストライク』と呼ばれているようです。
靴を履いた状態での美しい歩き方を研究すると、このような『ヒールストライク』になるのかも知れません。
この歩き方をされている方々は、男女ともに体型がスリムで身なりもきちんとされています。
私見ですが、仕事のデキるタイプがこの歩き方を身につけているように感じます。
美的センスが高いのだな、と見かける度に思います。まっすぐに前を向き颯爽と歩く姿は、男性にしろ女性にしろ、街中に映えて素敵です。
ただ、畳の上では『摺り足:すりあし』となります。足袋を履き、畳の上を歩くときの美しい歩き方となります。
摺り足は、足音が優しいのです。
シュッ、シュッ…と響きます。
足袋の布と畳の井草が擦られて音が鳴ります。
ほんの少しの湿り気を帯びた音。
高い集中力を有した時にこの音が出てきます。
…………………………………………..
《美しい歩き方》
・足は爪先から、畳を擦りながら前に進める。
・爪先〜足の半ばまでを擦らせる感じ。
・踵は常に1cm浮かせておく。
・一直線上を歩く。足の親指と人差し指の間に一直線が通る感じ。
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いかがでしょう。
靴を履いた時の歩き方とはだいぶ違いますね。
土地の気候の差が、このような歩き方の違いを生み出しているように私は思います。
靴での歩き方は、乾燥した平らな土地での都市部で映えます。
大地を蹴って前に進む、推進力を感じます。
足袋での歩き方は、日本独特の湿った気候と、沼地の多い土地柄で生まれたのではないかと思っています。
沼地では上から垂直に足を下ろすと危険です。
ズブズブと身体が沈んでしまいます。
田んぼでも同じことが言えると思います。
摺り足で探りながら足を進め、足裏全体で大地を感じ、農作業を行うのだと思います。
昔の水田は、今よりももっと深かったそうですので、足の進め方一つでも、場合によっては命に関わったのではないでしょうか。
そして畳の起源を紐解けば、もとは稲の茎を編んでいたとのこと。
必要な時に、数枚を重ねてクッション性を持ち、不要な時には畳んで仕舞う。
畳むという動詞から『畳:たたみ』という名称が生まれたそうです。
摺り足とは、田んぼの神様や稲の神様に敬意を表するための、一種の儀式かも知れません。
だから摺り足は丁寧でとても優しい感じがするのですね。日本人の体型と気質に合っているように思います。
ぜひ皆さまの日常の生活でも、美しい摺り足を取り入れていただきたいと思います。