製品は教科書でできている!?

2022-05-04 08:50:00

平均

小学5年生で「平均」という概念を習います。

ここでいう平均とはちょっと難しい言葉で「相加平均」を指していて、いくつかの数または量の和を

それらの個数で割って得られる値を中間の値を持つ数量として求めます。

 

ところが、この平均値では物事の実態を正しく理解できないことも多いんです。

例えば、30人いるあるクラスでテストを行ったところ、テストの点の平均が100点満点中50点だった

とします。このことでわかる事実は何でしょうか?

50点くらいの点数を取った人が一番多いのでしょうか?

実はこの文章からわかる事実は、クラスの人数が30人ということと、全員のテストの点の合計が1500点

であるということしかわからないんです。

なぜなら、15人が100点で、残りの15人が0点だったとしても、平均点は50点になりますよね。

 

また、中学生になると期末テストの点も気になり、よく5科目の平均点がいくつだったという話題も出てき

ます。でもこれもまた正直なところ意味がある内容ではないんです。平均点70点だったとしても高得点だっ

た得意科目の成績が、悪い点数だった苦手科目に加点されることはありませんよね。

 

この平均はあくまでも同じ内容のものを比べない限り、意味がないんです。例えば毎回練習で100m走を

走った個人成績のタイムの平均時間だったら、自分のレベルを把握するうえで意味がありますよね。

 

レーザ加工機の出力を示す数値で、平均出力というものがあります。これもこの値だけではどのような熱の

かけ方をしているのかはわからないんです。

平均出力の求め方は、ピーク出力に対して周波数で求められる1パルス当たりの光のオンの時間の割合(デューティ)

をかけて求めます。

例えば下図のようにピーク出力が2000Wで、デューティが20%だったとすると、平均出力は

平均出力=2000W x 0.2(20%)=400W

ということになります。

平均出力.png

ところが、この1パルス時間がどれくらいかということで、400Wの意味が変わってくるんです。

1パルス時間は1秒を周波数で割った値で求めます。そのため周波数が低いと1パルス時間は長くなり、

周波数が高いと1パルス時間は短くなります。つまり、周波数が低い場合は、光の出ていないパルス

オフの時間も長くなりますので、冷却効果が期待できるのですが、周波数が高いとオフ時間が短くなる

ので冷却効果は期待できません。

 

平均で得られた値をもとに判断する場合は、与えられた条件をよく考えないといけないんです。

 

ところで、アルバイトの時給が平均1,000円のところと、平均1,500円のところがあった場合、どちら

で働いたほうが実際の時給はいいと思いますか?

2022-03-20 08:51:00

はじきの法則(道のり=はやさ x 時間)

小学生の算数で、はじきの法則を学習します。

はじき.jpg

道のり=はやさ x 時間の公式です。

この公式、実はボール盤という機械にドリルを取付け、穴をあけるときに意外と役立ちます。

ドリルの直径が小さいものと大きいものとでは、回転数を変える必要があります。正しくは

それぞれに適切な回転数に合わせる必要があるのですが、小さい径のドリルは高速で回転させ、

大きい径の回転数は低速にします。

初心者のころは、これがどっちがどっちだったっけ?ということがよくあります。

 

これを覚えるのにこの公式が利用できるんです。

ドリルで鉄などに穴をあける場合、ドリルの刃先が鉄を削るのですが、1分間に削れる適切な量(距離)

は決まっています。

この距離が一定ということで、次のような図を考えます。

はやさ.png

直径が10のドリルと直径が5のドリルを考えてみます。削る量が一定の場合、

刃先が1回転する長さで割ってあげると、回転数がでますよね。

図でもわかるように小さい直径のほうが、回転数が多くなります。

直線で見ると刃先自体は同じ速さで、同じ時間移動しています。

これは周速一定という考え方を示しています。

 

 

 

 

2022-02-20 13:50:00

てこの原理

てこの原理は、力点に力を加え、支点を中心とした回転運動により、作用点に大き

な力を加えることができる原理です。また、支点と力点の間の距離が長くなると力

点に加える力は小さくて済みます。

 

板金加工では、汎用のV型を用いて鋼板を曲げています。

V曲げ1.jpg

それぞれの関係を図にすると上図のようになります。

薄い板を曲げるには金型のV幅の小さなものを利用し、厚い板の場合は大きなV幅の

ものを使用します。

V曲げ3.jpg

 

2022-01-23 14:19:00

冬の大三角

冬の夜空で有名な星座と言えば、オリオン座が有名です。このオリオン座の

ベテルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスを結ぶ三角形

を冬の大三角と言います。

astro01.jpg

Yahhoo!きっず図鑑より

ベテルギウスは赤っぽく、シリウスは青白く光っています。これは星の表面

温度の違いによるもので、高温になるほど青白く光ります。

 

一見、この知識は板金加工と無関係のように思いますが、実はレーザ加工機

で重要な焦点の位置を求める焦点出しの作業に役に立ちます。

焦点出しの方法はほかにもあるのですが、弊社ではアシストガスに窒素やエ

アーを用いて、小出力のレーザ光を出しながら、ステンレス板の上でZ軸を

上下させて求める方法で行っています。

まず光を出しながら、Z軸を下ろしていきます。そうすると光を当てている

ステンレス表面から、オレンジ色の光が出てくるのですが、そのうちに青白

く光るようになります。まずこのポイントを覚えておきます。

次に数ミリ下げたところから、今度は徐々にZ軸を上げていきます。

同様にオレンジ色の光から青白い光に切り替わります。

焦点.jpg

最初に切り替わったポイントと、次に切り替わったポイントの距離の半分

のところが、焦点になります。

 

レーザ光は指向性がよく、単一波長の光なので、レンズを通ったあとの収束

性がよく、この焦点付近では金属を溶かすに十分な超高温状態を作り出すこ

とができるのです。

 

 

 

 

 

2021-11-28 13:12:00

アルゴン

溶接では、溶けた金属と空気とが接触しないように、高温の溶融金属と反応しない

ガスをシールドとして流します。このガスがないと、溶接したところにブローホー

ルと呼ばれる空洞ができてしまい、不良品になってしまいます。

このシールドガスの中で、一番一般的なものがアルゴンと呼ばれるガスです。

 

ものの本によると、空気が窒素と酸素の混合物ということは1780年ごろ、日本

でいうと江戸時代にはわかっていたそうです。

ところが、19世紀末にあらかじめ空気から酸素を除き、窒素だけにしたはずが、

化学的に生成した窒素よりも密度がほんの僅か小さいことがわかりました。

その後、このガスの中から、いろいろな物質に結び付けようとしても結びつかな

い気体が見つかりました。このガスが空気中に窒素、酸素に次いで多いアルゴン

です。

このアルゴンは、どの物質にも結びつかない。つまり働かないということで、

「働く」を意味するギリシャ語 ergon に 否定語 anがついた「働かない」とか

「なまけもの」という意味のアルゴンと名付けられたそうです。

 

しっかりと溶接するために重要な働きをする気体に対して、実に失礼な名前が

付けられたものです。

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