製品は教科書でできている!?

2021-10-31 16:53:00

摩擦

触れ合っている物体を接した状態のまま一方を動かそうとすると、その動きと反対

の方向に抵抗しようとする力が働きます。この力を摩擦力と言い、この力が働く現

象のことを摩擦と言います。

この摩擦がない状態では、世の中のすべての製品は作ることができません。

 

ところで、私の父は完全なアナログ人間で、最初にCADCAMを導入しようとしたとき

はそれこそ猛反対でした。CADCAMの価格は数百万円するのに対し、父はカレンダー

の裏にマジックで展開図を描き、電卓で展開寸法を計算していましたので、「そんな

高価なものを買っても、計算通りにできるか!」というのがその理由でした。

 

例えば、同じ材質板厚で、曲げの寸法も同じで一方はテーパーになった製品を作りた

いとします。

モデル.jpg

この二つの製品を展開すると、次のようになります。

展開.jpg

これを同じように曲げると、左側のものは寸法がでても、右側のものは同じ位置で

曲げようとすると、ほんのわずかですが寸法がずれてしまいます。父は経験として

知っているので、手配書として上のような図を出すことが嫌いだったんです。

では、なぜ寸法がずれるのでしょうか?

それは金型と材料との接地する長さが左側のものは同じですが、右側のものは長さ

が異なりますので、抵抗の差が生じるため曲げ加工の最中に材料がずれることが原因

になります。

ずれの原因.jpg

実際の曲げ時には、このずれの分を考慮して補正してあげる必要があります。

 

ところで、あれだけ反対していたCADCAMですが、実際に導入すると複雑な形状

も正確に早く展開し、加工データも作成することができるので、一番喜んだのは

面倒な展開作業をせずに済んだ父でした。

 

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