製品は教科書でできている!?
2021-11-28 13:12:00
アルゴン
溶接では、溶けた金属と空気とが接触しないように、高温の溶融金属と反応しない
ガスをシールドとして流します。このガスがないと、溶接したところにブローホー
ルと呼ばれる空洞ができてしまい、不良品になってしまいます。
このシールドガスの中で、一番一般的なものがアルゴンと呼ばれるガスです。
ものの本によると、空気が窒素と酸素の混合物ということは1780年ごろ、日本
でいうと江戸時代にはわかっていたそうです。
ところが、19世紀末にあらかじめ空気から酸素を除き、窒素だけにしたはずが、
化学的に生成した窒素よりも密度がほんの僅か小さいことがわかりました。
その後、このガスの中から、いろいろな物質に結び付けようとしても結びつかな
い気体が見つかりました。このガスが空気中に窒素、酸素に次いで多いアルゴン
です。
このアルゴンは、どの物質にも結びつかない。つまり働かないということで、
「働く」を意味するギリシャ語 ergon に 否定語 anがついた「働かない」とか
「なまけもの」という意味のアルゴンと名付けられたそうです。
しっかりと溶接するために重要な働きをする気体に対して、実に失礼な名前が
付けられたものです。