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議会質問&会派取組

2008-06-12 10:55:00

◆小・中学校の体育館及び校舎の耐震化について

 

◎阪口芳弘議員
 お許しをいただきましたので、昨年9月の一般質問の中でもお尋ねいたしましたが、本市の小・中学校の体育館及び校舎の耐震化について質問をさせていただきます。
 さて、既に御承知のとおり、去る5月12日、ちょうど1箇月前、中国南西部四川省で発生したマグニチュード8の大地震は、日本の震度7に相当する激しい揺れが広い範囲を襲い、死者は6万人を超し、行方不明者は3万人以上とされ、その震源地に至っては被害状況すらすぐには判明しないという悲惨な状況でありました。
 5月22日の新聞各紙のその生々しい報道の中で一番私たちの心を揺さぶるものは、約7,000棟もの学校が崩壊し、授業中の子どもたちが大勢亡くなったという悲しい事実であります。皆様もごらんになられましたか、あの黒板の書きかけのチョークの文字を。教室でその瞬間まで勉強していた子どもたちの断末魔の悲痛な叫びが、遠く離れた私たちにさえ届きそうな気がしました。
 もしこのようなことが日本で、我々の住むこの地域で起こったならどうなるのかと、すべての方が少なからず憂慮されたはずであります。確かに、中国の住宅事情は宅地の土台がにわかづくりの不安定なものであり、地域性もあり、石積みの家屋も多かったと聞きます。しかし、倒壊建物の種別としては学校が断然多いということであります。報道により痛感いたしましたが、彼らの悲しみは、自分たちの住居やまちの崩壊はもとより、何をおいても、将来を担う子どもたちが大勢命を落としたことがその悲しみを一層深くしているのではないかと心を痛めるのであります。
 考慮するに、私たち日本人は、過去に数々の大地震を経験しております。しかし、子どもたちが学校の授業中に大地震に遭遇したという経験が、実はほとんどありません。大勢の犠牲者を出した近年の大地震を見てみますと、阪神・淡路大震災は午前5時46分の発生でありました。04年の中越地震は土曜日の夕方で、07年の中越沖地震は祝日でありました。また、死者10万5,000人を数えた関東大震災は1923年9月1日の午前11時58分の発生でありましたが、当日、東京の学校は始業式にあたり、子どもたちは授業もなく早々に下校しておりました。実際には、日本人である私たちの多くは、大地震の発生時に学校の子どもたちを一度に大勢失うといったことを実は経験していないのであります。
 四川大地震は極端な例を示したわけですが、中国の建築事情は何とお粗末なことかと、他人事のように錯覚してしまう大きな落とし穴になっていると考えられるのであります。前述いたしました書きかけの黒板に象徴されるような、日本人の知らない授業中の被災がこれほどの犠牲を生んでしまうのか、四川大地震は私たちに警鐘を鳴らしていると思わざるを得ないのであります。学校で子どもたちが被災した経験が乏しいだけに、教員の地震に対する危機意識の低さはもとより、そのような意識のもとで指導を受けた子どもたちの危機感も、おのずから低くなることは申し上げるまでもございません。
 近畿地方で考えてみますと、御承知のように上町断層があり、学識者たちによりますと、そう遠くない将来、必ず東南海・南海地震は起きると予測されております。上町断層とは、豊中市から上町台地の西の端を通り、岸和田市にまで続く、長さ約40kmの断層で、断層の東側が西側に乗り上げることによって千里丘陵や上町台地を形づくったものであります。これは1つの断層ではなく、本体のほかに、北に佛念寺山断層、南に長居断層、和泉市や岸和田市にかけて坂本断層、久米田池断層等があり、府内でも広範囲に及んでおります。
 本年2月に開かれた内閣府の中央防災会議によりますと、この上町断層で阪神・淡路大震災を超えるマグニチュード7.6の地震が起きた場合、それぞれ最大で死者4万2,000人、避難者550万人、帰宅困難者200万人、被害額74兆円と見積もられております。
 そのような中、自民党の公立学校施設耐震化等整備促進議員連盟が5月21日に示した地震防災対策特別措置法の改正案には、1)現在は原則2分の1としている耐震補強の国庫補助率を3分の2に引き上げる、2)耐震診断の実施と結果の公表を各自治体に義務づけるなどが盛り込まれています。その後、27日、自民、公明、民主3党の実務者レベルで協議され、自治体負担分は東海地震の対象地域と同程度の約1割となるよう交付税措置は抑えられることになりそうでありますが、各自治体の負担割合は現行の約30%よりも大きく軽減されるものと思われます。
 これを機に、私たちは子どもたちのためにも、本格的な耐震化の取組みという正しい決断を迫られています。このようなニュースはいち早く世間に伝わり、貝塚市民の中でも、小・中学校の耐震はどうなのかという疑問がわいてくるのは当然であります。そして、そのような声を実際、耳にいたしております。
 小・中学校の体育館及び校舎の耐震化について以前お伺いいたしましたところ、教育長から、小学校における耐震化率は校舎が40.5%、屋内運動場が70%となり、中学校においては校舎が40.9%、屋内運動場が60%まで耐震化が進んでいるとのお答えでありました。全体の進捗状況は承知いたしましたが、建造物個々についての耐震性については市民に何ら公表されておりません。貝塚市のどの建物が、どの施設がどれだけ耐震性を備えているか広く知らしめることは必要不可欠なことであると考える次第であります。
 さて、もし地震が起きたとき、学校で勉強をしている生徒たちを前に教師はどうすればいいのでしょうか。この校舎は耐震対策が十分なされているから外に出る必要はないと子どもたちを安心させることができるのか、それとも、一刻も早く校舎の外に避難するよう誘導する必要があるのか。それが子どもたちの運命を分けるとしたら、少なくともそれぐらいの認知は必要なことではないでしょうか。
 何も知らされていない一般市民が、公共の建物だから安心だと送り出した学校で、授業を受けていた子どもたちが最大の被害者だとしたら、私たちは地域の、そして日本の将来を担う大切な子どもの命を失ってしまうことになるのであります。今こそ、個々の建造物の耐震性を公表した上で、これからの耐震化を加速すべく、あらゆる対策を早急に進めるべきであると考えます。
 貝塚市は、耐震化にどれだけの予算を組めるのか、国からの補助が引き上げられる今、この機に検討すべきであります。市民が必要だと認識し、ぜひとも子どもたちの未来のために耐震化をでき得る限り進めてほしいと切望すれば、市民と行政が協力し合えるのではないでしょうか。場合によっては、市サイドから一般市民に寄附を募ることも一つの手段となるでしょう。また、本市に設置されている貝塚市安心安全なまちづくり基金のさらなる活用とともに、支援していただけるであろう企業などと腹を割った協議も必要となるでありましょう。よって、貝塚市の耐震化進捗状況の現実を市民に公表すべきであり、市としてどれだけのことができるのかを明確にし、これからの計画案を示すことが市民の信頼につながると確信する次第であります。
 ここで、具体的に3点について質問をさせていただきます。
 1つ目に、昨年9月の一般質問以降の貝塚市における小・中学校の耐震化の進捗状況についてお伺いいたします。
 2つ目に、本市を含め、この地域は東南海・南海地震が起こる可能性が高いと考えられています。ならば、他の地域よりも耐震化を優先的に進める必要があるのではないでしょうか。その意味でも、積極的に国に働きかけることはあってしかるべきではないかと考えます。そこで、今後の小・中学校の耐震化計画はどのように進められる予定なのでしょうか。そしてまた、それらの状況を市民にどこまで、どのように公表される予定でしょうか、お伺いいたします。
 3つ目に、子どもたちと教員の地震に対する認識や危機意識の向上を目指す目的で、例えば、小・中学校の教育の一環として模擬地震体感の機会を設けるなどといった具体案は検討されているのでしょうか、お尋ねいたします。
 そう遠くない将来に大地震が起きても、安心・安全なまち貝塚の子どもたちが、また元気よく学校に通う姿を夢に見て、私の質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。

 

◎教育長答弁
 阪口議員の本市の小・中学校の体育館及び校舎の耐震化についての御質問にお答え申し上げます。
 小・中学校における屋内運動場や校舎の耐震化の重要性につきましては、十分に認識いたしております。
 御質問の1点目でありますが、昨年の9月議会以降の耐震化の進捗状況を申し上げますと、東小学校における屋内運動場の耐震補強工事が完了し、現在は西小学校の屋内運動場の改築工事に取り組んでおります。また、本年度において、第二中学校屋内運動場の耐震補強工事のための実施設計を行い、来年度において補強工事を実施してまいりたいと考えております。
 また、校舎の耐震化につきましては、まず校舎の耐震性を把握するための耐震一次診断を平成18年度に小学校校舎で既に実施しております。また、引き続き平成19年度において中学校校舎についても実施をいたしました。
 2点目の今後の耐震化計画でありますが、議員の御指摘のように、政府・与党において、公立小・中学校の耐震化を促進するための法案が今国会に提出され、6月11日、昨日でございます、参議院本会議において可決されましたので、今後はこうした国の補助制度の活用を図りながら、でき得る限り早急に耐震化を進めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、まずどういう補強工事が効率的で有効な補強となるかを調査する必要がありますことから、建築基準法の昭和56年6月1日施行の新耐震基準以前に建設された校舎の耐震二次診断の早期実施に努めてまいります。
 また、診断結果について公表することが義務づけられるというふうに仄聞しておりますが、これにつきましても、国の動向に注視しながら慎重に対応してまいりたいと考えております。
 3点目についてであります。各学校においては、従前から地震を想定した避難訓練やビデオ教材等を活用した防災教育を行い、子どもたち及び教員の地震に対する認識を深めるとともに、危機意識の向上に努めてまいりました。また、浜手の小学校においては津波に対しての訓練も行っております。なお、平成19年度に小学校5校、中学校2校が「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」や「泉佐野市防災学習センター」の施設を訪問し、模擬体験等を通して防災意識を高めているところであります。
 今後とも、先進的な取組みを参考にし、各校において避難訓練や防災教育の充実を図り、子どもたち及び教員の危機意識の向上に取り組んでまいりたいと考えております。