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議会質問&会派取組

2016-06-09 10:24:00

≪災害時の業務継続計画(BCP)について≫

◆松波謙太議員

 

 議長のお許しをいただきましたので、通告順に従い一括質問式で質問させていただきます。

 

 まず、さきの平成28年熊本地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福と被災された皆様方が早期に復旧されることを謹んでお祈り申し上げます。

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 それでは、質問番号1、災害時の業務継続計画(BCP)について質問させていただきます。

 

 阪神・淡路大震災以降、いつどこで起きてもおかしくない災害に対し、各自治体の備えが重視されています。住民の命や財産を災害から保護するため、時代に即した地域防災計画が打ち出されつつありますが、地域防災計画には、やるべきことは書かれていても、どのようにやるかについては地域防災計画では決まっておらず、災害時に実行できない例が多いと言われています。

 

 自治体は大規模災害による膨大な災害時対応を迫られながらも、これを職員や庁舎、ライフラインなどの必要資源が被災した状況下で、被災地域の住民の命、財産、生活、社会経済活動への支援を図ることが求められています。

 

 そこで、このような事態を打開するための手法として、これら膨大な業務の中から優先すべき業務を特定し、これを遂行するため、必要資源を準備しておくことによって業務を効果的に遂行し、さまざまな支障をできる限り軽減することが必要となってきます。

 

 このことは、地域防災計画の機能を補充する意味でも重要であります。

 

 しかし、現況において、災害が発生した際に地域住民の避難誘導や救援に自治体の職員がどう対応するかを定める業務継続計画(BCP)が未整備な市区が66%もあることが、本年3月19日の日本経済新聞社の調査でわかりました。

 

 市、区のBCPの策定のおくれは、人手不足や対象分野が多岐にわたり、策定に時間がかかることから、これを受け政府は自治体向けのBCPの簡略版を作成し、優先すべき6要点を抽出し、負担を減らした自治体への業務継続計画(BCP)の早期策定を促しています。

 

 1番目に首長不在時の職務代行順位と職員の参集体制、2番目に本庁舎被災に備えた代替庁舎のリスト、3番目に非常用発電機の燃料、水、食料の確保、4番目に防災無線や衛星電話の準備、5番目に戸籍など重要データのバックアップ、6番目に災害発生後、1週間までの優先業務の整備となっています。

 

 先日の熊本地震においては、熊本県益城町や宇土市など、県内5市町で庁舎が使えなくなりましたが、益城町や宇土市はBCPを策定されておらず、被災者への対応のおくれが目立っています。

 

 一方、2014年にBCPを策定した大津町では被災後、別の場所などで発行業務を継続できたと5月18日の読売新聞に掲載されていました。

 

 本市が自然災害や大火災、その他の大災害に陥った場合に、そこでこうむる被害を最小限に抑えつつ、事業を継続し、早急に復旧するために、日ごろ行う行動や、緊急時の行動をまとめた事業継続計画(BCP)の策定を急ぐべきかと考えますが、本市のご見解をお聞かせください。

 

 また、市立貝塚病院についての医療継続計画についてもお尋ねします。

 

 病院が被災し、停電や薬の不足で患者が亡くなった東日本大震災の教訓をもとに、厚生労働省が整備を促しています。

 

 被災時に医療を中断させないために自家発電の燃料や薬を優先的に供給してもらうための取決めなど、対外的な調整、通信手段の確保、医療スタッフが不足した場合の応援要請や受入態勢の整備など、被災時の医療継続計画をどう進めていくのかについてもお尋ねいたします。

 


≪学校の避難所機能整備状況について≫

 

 次に、学校の避難所機能、整備状況についてお尋ねいたします。

 

 災害時に地域住民の避難所として使われる公立学校の施設整備が各地で進んでいます。

 

 国は南海トラフ地震対策として、3日分は自治体や家庭の備蓄で対処すべきと言われている中、全国的に非常食などを蓄えた備蓄倉庫を置く学校が昨年度初めて避難所指定の5割を超えました。

 

 国立教育政策研究所が2011年から続けている調査によると、避難所となっている学校を設備別で見ると、避難住民が過ごすことの多い体育館にトイレがある学校は82.3%、屋外トイレも70.6%と高率でありました。非常食や防寒具などを蓄える備蓄倉庫は2011年には35.2%あったのが2015年には51.5%と初めて半数を超えました。学校周辺の民間施設も合わせると63.7%に上り、災害への備えが進んでいる様子がうかがえます。

 

 一方、断水時でも飲料水を提供できる貯水槽や浄水装置などがある避難所、指定校は2011年の29.7%に対し、2015年は37.7%ふえたとはいえ、6割以上の学校がまだ未設備です。プライバシーに配慮したスペースを備えている指定校は47.5%、自家発電装置がある学校は43.9%となっています。

 

 避難所整備に関しては建設や維持管理に係る財源確保や、学校が持つどの機能を優先して整備するかは、自治体により異なり、市町村の判断に任されています。

 

 行政として、本市、学校避難所の整備状況及び整備計画についてお尋ねいたします。

 

 ≪災害発生時の寺社との災害協定・協力関係について≫

 

 次に、災害発生時の寺社との災害協定、協力関係についてお尋ねいたします。

 

 東日本大震災で既存の避難所が不足し、多くの被災者が自宅近くの寺社で避難生活を送ったことから、神社や寺などと災害協定を結ぶ自治体がふえてきています。

 

 大阪大学の稲場圭信准教授が実施したアンケートによると、昭和40年ごろから平成26年7月までに少なくとも31都道府県の95自治体が寺社や教会と災害協定を結んでいます。

 

 締結先の宗教施設約399のうち、震災があった平成23年3月11日以降に協定を交わした施設が167を占め、増加傾向が明らかであります。

 

 これとは別に、正式文書は交わしていないものの、208自治体、2,002施設が協力関係にあると回答しています。

 

 協定・協力の内容は避難所としての使用が9割以上と最も多く、帰宅困難者の滞在施設等として利用するケースもありました。

 

 宗教施設との災害協定、協力関係の主な内容として、災害時の避難所、帰宅困難者の滞在施設、飲料水の供給協力、ボランティア支援活動のための駐車場利用、ライフライン事業者の復旧対策活動拠点、一時安置所であります。

 

 広域災害時には公共の避難所数には限界があり、地域に根づいた寺社を活用するメリットは大きいと思われます。

 

 東日本大震災には多くの施設が避難者の受け皿となっていたことから、いざというときに原則を気にせずスムーズに連携できる寺社との災害協定、協力関係を進めるべきと考えますが、本市としてのご意見をお聞かせください。

 

≪消火設備へのLED点滅灯設置について≫

 

 次に、本市消火設備へのLED点滅灯設置についてお尋ねいたします。

 

 栃木県壬生町は、町内にある消火栓と防火貯水槽の標識1,018箇所全てに、発光ダイオードの赤色点滅灯を設置しています。

 

 これは、出火出動時に消火栓、防火貯水槽を見つけやすくするために、4年間かけて整備されたもので、町総務課消防防災係では、夜間の消化活動では絶大な効果を発揮すると期待されています。

 

 町内には、772の消火栓と219の公設防火水槽、27の公設耐震性貯水槽が設置されていますが、火事の際、特に街路灯などがない郊外では、消火栓を見つけるのに時間を要するケースがあったようです。

 

 一分一秒を争う火事出動時の迅速な消防水利の確保と初期活動につながるとして、LED赤色点滅灯の導入を決定し、2012年から順次進め、15年5月中旬に完備されました。赤色点滅灯の大きさは高さ幅とも約11センチメートルで1個約3,000円で、設置は全て消防団員が担当されました。

 

 太陽光発電を利用した夜間だけ点滅するシステムです。消火栓の位置は地元消防団によっては把握されておられるようですが、夜の応援などでは探すのに時間を要することもしばしばあり、点滅灯の設置はすぐに消火栓を見つけることができるので画期的なことだと歓迎されています。

 

 本市においても、消火栓、防火水槽からの利水がすぐに確保でき、迅速な消火と初期消火による被害の減少へつながる消火設備へのLED点滅灯設置を、どのようにお考えかお聞かせください。

 

≪自治体の孫育て手引書発行について≫

 

 次に、自治体の孫育て手引書発行についてお尋ねいたします。

 

 祖父母向けの孫育ての手引書が、自治体から相次いで発行されています。

 

 シニア世代が孫育てに参加してくれることは、特に共稼ぎの夫婦の多くにとってはとても心強いことであり、急用時、私用時においても、依頼でき頼みやすい存在であることは確かであります。

 

 ただ、祖父母世代に子育ての経験があるといっても時代の変化とともに育児の常識も変化していることを知らずに、過去に子育てをしていた私のような、イクジイ、イクバアへの不満を、私の娘や子育て中のご両親から聞かされることがあります。

 

 熱い食べ物を冷ましたり、柔らかくするために口移しによる虫歯菌の感染、ベビーパウダー使用による汗腺への影響など、我々の時代では当たり前であった育児法が変化していることをお孫さんの父や母と話し合い、孫育てをしていくのがよいのですが、祖父母が義理であったりすると、なかなか言い出せないという不満のお声もしばしばお聞きしております。

 

 祖父母とご両親、互いに言い出せないことでも、孫育て手引書があれば今どきの子育ての事情への理解が進み、孫との接し方やパパ・ママとのつき合い方等、孫育てに役立つものと考えます。また、祖父母の人生経験を生かした地域の子育ての育成や見守り等への協力や参加へもつながっていくものと思われます。自治体による孫育て手引書について本市のお考えをお聞かせください。

 

 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

 

 

 

◎都市政策部長

 

 松波謙太議員の質問番号1番から3番について、私からご答弁させていただきます。

 

 なお、質問番号1番のうち市立貝塚病院の部分につきましては、後ほど病院事務局から答弁させていただきます。

 

 それでは、質問番号の1、災害時業務継続計画(BCP)につきまして、本市におきましては、現在のところ、業務継続計画(BCP)の策定には至っておりませんが、本年2月に内閣府が策定いたしました大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引きなどを活用いたしましてBCPの策定に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 続きまして、質問番号の2、学校の避難所機能整備状況につきまして、小・中学校の校舎・体育館につきましては、昨年度中に耐震改修は完了しており、また、食料及びボトル飲料水、これらの各小・中学校への分散備蓄についても、昨年度より開始しております。

 

 次に、避難所となる体育館のトイレ設置状況につきましては、小・中学校16校のうち、校舎と体育館が一体型になっている東山小学校を含む全校について、体育館にトイレが設置されております。

 

 また、避難者の生活用水を確保するため、各校に5,000リットルの水を貯留できるウオーターバルーンを備えております。

 

 さらに、本年度実施する防災行政無線デジタル化整備事業におきまして、双方向通信が可能な屋外子局を各小・中学校に設置することといたしております。

 

 続きまして、質問番号の3、災害発生時の寺社との災害協定締結など協力関係の構築につきましては、とりわけ南海貝塚駅周辺の寺社については、帰宅困難者の一時滞在場所の確保などにも有効と考えられますが、そのような形での施設利用は可能かどうかも含めまして、貝塚市仏教会や神社などに働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 

 

 

◎病院事務局長

 

 私から松波議員の質問番号1の市立貝塚病院の部分につきましてご答弁申し上げます。

 

 市立貝塚病院におきましては、本市防災計画における災害医療センターとしての機能を発揮するため、地震などの大規模災害時に患者及び職員の安全と施設、医療設備の機能を確保することを目的に、平成25年8月に市立貝塚病院大規模災害対応マニュアルを策定しております。

 

 また、災害発生時の停電に際しては、非常用発電機2台及びコージェネレーション2台により、停電2分後には必要な電源が復旧し、ガス停止に際してはLPガスへの切替えなどの対応を行います。

 

 また、通信手段としましては、災害時優先電話を3回線設置しており、薬剤等に関しましては、仕入れ薬品販売会社等の緊急時優先供給体制を整えております。

 

 さらに、医療スタッフの不足に関しては、自治体病院協議会等における協力体制のもと、災害医療派遣チームを受け入れるなど災害医療センターとして診療機能の継続を図ることとしております。

 

 今後におきましても、不測の事態に対する備えとして、大規模災害対応訓練の実施に加え、BCPの考えを含めたマニュアルの見直し等を進めてまいりたいと考えております。

 

 

 

◎消防長

 

 私から松波謙太議員の質問番号4、消火設備へのLED点滅灯設置についてご答弁いたします。

 

 ご指摘の栃木県壬生町は、町域面積が約61平方キロメートルと関東平野北部のほぼ平坦で広い地形に消火栓等の消防水利が1,018箇所散在し、夜間に消防水利を探すことが困難という地域特性を踏まえた取組みと推察いたします。

 

 一方、本市は市域面積約44平方キロメートルに消防水利が1,855箇所あり、探すことが困難な状況にはありません。また、住宅等建築物が密集する地域に標識ポールを設置すると、人や車の通行に支障となることが考えられます。

 

 したがいまして、本市としましては、今後も路面への黄色塗装により消防水利の標示を行ってまいります。

 

 以上でございます。

 

 

 

◎健康福祉部長

 

 私から松波謙太議員の質問番号5、自治体の孫育て手引書の発行についてご答弁申し上げます。

 

 子育ての常識は昔と今では随分と相違があることを認識しております。手引書の作成につきましては、先進事例を研究してまいります。

 

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 ご答弁、簡潔でありがとうございました。

 

 自席からではございますが、再質問させていただきます。

 

 質問番号1の市立貝塚病院の災害時医療継続計画について、2点ほど質問させていただきますが、病院としまして災害時に備えた災害医療訓練や、先ほど答弁いただきました市立貝塚病院大規模災害対応のマニュアルの作成・策定、またはDMAT(災害派遣医療チーム)による支援体制の強化がされつつありますが、その辺のところで我々市民として心強く思っております。

 

 しかし、病院というのは一般的な業務と違いまして、途中中断ができない、患者の命を預かるものでございますので、医療継続は率先して取り組むべきものであると思っております。

 

 医師、看護師の確保はもちろんのことですが、災害時でも停電による医療機器や院内環境、照明を一時停止させることなく持続させることが病院に求められております。

 

 以前、非常用発電機により3時間近くの電力供給は可能だとお聞きしたことがあるのですが、大災害時は長期停電もあり得ることを考えたときに、燃料確保、そして搬入について協定などもあると思うのですが、その辺のところはどう対処していくのかお尋ねしたいことと、もう1点、また国からは大規模災害に備えて数日分の水、食料の備蓄を呼びかけられていますが、市立貝塚病院も病院において数日間の食事提供は可能なのか、その点についてもお尋ねいたします。

 

 

 

◎病院事務局長

 

 ご答弁申し上げます。

 

 医療継続のためには電源の確保が重要であり、現在、当院では非常用発電機及びコージェネレーションをLPガスに切り替えたとして約2時間半の電源を確保しております。

 

 また、災害時における各種燃料につきましては、本市と貝塚石油ブロック会との災害時における石油類燃料の供給協力に関する協定及び大阪府LPガス協会貝塚支部との災害時におけるLPガス供給協力に関する協定に基づき、直ちに緊急要請を行い燃料の確保に努めてまいります。

 

 また、食料につきましては、患者用として3日分の備蓄を行っておりますが、医療継続を行うためには医療従事者等の食料などについてもマニュアルの見直しに合わせて検討してまいります。

 

 以上です。