Heart-up 通信 Vol16
【事例紹介】
「同一労働同一賃金」調査対応
顧問先企業に対し、パートタイム・有期雇用労働法第18条に基づく行政の調査が行われました。いわゆる「パ・有法」に基づく確認ですが、実務的には同一労働同一賃金の観点からのチェックといえます。
同一労働同一賃金とは、「正社員であるか、パートタイム労働者・有期雇用労働者であるかにかかわらず、同一の仕事をしていれば同一の賃金を支給する」という考え方であり、不合理な待遇差の解消を目的とするものです。
事前のヒアリング票では、業務内容、責任の程度、異動や配置転換の範囲、基本給や賞与の支給基準、各種手当、福利厚生などについて確認が行われ、その回答をもとに調査が進められました。
今回、指摘を受けたのは次の2点です。
① 通勤手当について、正社員は非課税限度額内で実費支給としている一方、短時間労働者のうち短日数勤務者には一律5,000円としていた点。
② 有期契約の外国人実習生に皆勤手当を支給していなかった点。
通勤手当については、勤務日数が少ないことを理由に一律額としていましたが、結果として正社員より下回る支給設計となっていることが判明しました。
また皆勤手当については、会社としては業務上の責任や代替性の違いを基準とした待遇差の考えでした。しかし実際の支給基準は欠勤・遅刻・早退の有無によるものであり、制度趣旨との整合性を説明することが困難と判断。外国人実習生にも支給する形に是正し、行政へ報告しました。
実務では条文の理解も重要ですが、それ以上に「この待遇差をきちんと説明できるか」が問われます。制度設計と運用が一致しているかどうか—そこが同一労働同一賃金対応の本質であると改めて実感した事例でした。
ちょっとひと息 ~チョコ🍫と思い出~
机の上に、チョコレート。
この時期は、バレンタインとホワイトデーに挟まれて、なんだか少し特別なチョコも並ぶ季節ですね。💕
ココナッツ。オレンジソース。ビタークランチ。
ひと口で、少し気持ちが緩みます。チョコにはリラックス効果があるそうですね。
でも、私にとっては特別な意味があります。ふと、亡き日舞の先生を思い出すことがあります。
舞台の前、「力出るよ!」と楽屋でよくチョコをくださいました。
そして舞台袖では、必ずお清めの塩。「頑張って。」そう言って、背中をぽん、と叩いてくださいました。
練習はとても厳しかったです。でも終わったあとは—仮に失敗があっても、何も言わず、ただ褒めてくださいました。
たまに夢に見ることがあるくらい、今でも思い出します。
あの頃から今でも、ひと口のチョコは私の小さな習慣です。ちょっとひと息つきたい時、ついチョコに手が伸びます。
そして、今は舞台ではなく講演の前に。
なんでしょう・・・私にとっては“お守り”に近いのかもしれません。チョコを口に入れると、「大丈夫」と思えるのです。
PS:私はビターチョコにオレンジソースがお気に入りです。♪
Heart-up 通信 Vol15
第三者行為災害の“一事例”
「従業員が一時預かり中の犬に噛まれた場合はどうなりますか?」
ペットは、多くのご家庭で大切に育てられています。
ここでは、万一事故が発生した場合の制度上の取り扱いを、第三者行為災害という観点から整理します。
🐶 一時預かり中の犬に噛まれた場合
犬が店舗の管理下にある状態(ペットショップ・トリミングサロン・一時預かり中など)で、従業員が業務中に噛まれた場合は、通常業務災害として労災保険の対象になります。
この場合、犬は店舗の管理下にあるため、外部の「第三者」が加害者となる構造には通常なりません。
つまり、
・労災保険が給付を行う
・外部への求償(第三者への請求)は通常発生しない
という整理になります。
🐕 営業中に、散歩中の犬に噛まれた場合
一方で、営業活動中や通勤途中などに、外部の飼い主が管理する犬に噛まれた場合は構造が変わります。
民法第718条では、原則として、動物の占有者(通常は飼い主)が、その動物によって他人に生じた損害について賠償責任を負うと定められています。
このように、外部に法律上の責任を負う第三者がいる場合には、労災保険法第12条の4に基づき、
・国がいったん労災保険給付を行い
・その給付額の範囲で
・被災労働者が有していた損害賠償請求権を取得する
これが第三者行為災害における求償の仕組みです。
◇制度の整理の考え方
制度は、誰に法律上の責任があるのか、第三者に損害賠償義務があるのかという観点で整理されます。
これは「ペットが悪い」「飼い主が悪い」という話ではありません。
制度は、まず補償を行い、法律上の責任の所在に応じて調整する仕組みです。
この構造を知っておくことで、事故が起きた際にも慌てず、感情的な対立を生まず、適切な手続きを進めることができます。
※健康保険の場合
なお、健康保険でも同様に、第三者に賠償責任がある場合には、保険者がその範囲で求償を行う仕組みとなっています。
素敵な言葉をありがとう🍀
先日ある会社の役員さんから、こんな言葉をいただきました。
「あなたの仕事って、良い仕事だよね。AIには変えられないよね。」その言葉を聞いたとき、胸の奥がとても温かくなりました。
私は人が好きです。だから労務の仕事は、きっと私にとって天職。
でも知識不足に落ち込む日もあるし、もっと丁寧にできたと反省することもあります。
だからこそ慎重に。だからこそ丁寧に。
ふと思いました。
誰かの支えになること。人の心に感動を届けること。学びを伝え、成長を見守ること。
医療や福祉、教育や芸術、ものづくり、そしてエンターテインメント――
人の心に触れる仕事は、AIに助けられながらも、最後に向き合うのはやはり人なのかもしれません。
だからこそ私も、正しい情報を届け、その人の未来の質を少し良くできたら・・・。
よりよい日へ。よりよい選択へ。
日常の中で、こんな出来事があると、
嬉しいね。ますます頑張りたくなっちゃう。💪
こういう日々を、これからも重ねていきたい。その先に何があるのかは分からないけれど。
でもね、ちょっとワクワクするのです。✨
PS:隣の家の梅の花が咲きました。春が近づいてきましたね。毎朝見るのが楽しみです。💕
Heart-up 通信 Vol14
【事例紹介】
会社が負担した資格取得費用は返還してもらえるか?
ある会社からの相談です。
昨年、社員が資格を取得し、その際、取得費用約30万円について金銭消費貸借契約(貸付契約)を締結。「資格取得後3年以内に退職した場合は返還する」と定める一方、「満3年を超えて継続勤務した場合には返済を全額免除する」との規定があります。ところが取得から数か月で退職の申出がありました。事業主としては「全額でなくても、せめて半分は返してもらえないか」とのことです。
結論から申し上げますと、半額請求であっても、内容次第です。
ポイントは、労働基準法第16条(違約金の禁止)に違反しないかどうかです。同条は、退職を理由とする違約金や損害賠償予定を禁じています。したがって、実質的に「退職ペナルティ」と評価される場合は無効となります。
一方で、資格取得費用が実質的に「会社から従業員への貸付」であり、一定期間勤務すれば返還義務を免除するという仕組みであれば、直ちに違法とはなりません。
判断のポイントは主に2点です。
① 従業員が自主的に制度を利用したか
② 取得した資格に汎用性があるか(他社でも活用できるか)
会社命令で取得させた場合や、自社専用性の高い資格である場合には、会社負担と評価される可能性が高くなります。その場合、金額の多寡にかかわらず、返還請求は困難と考えられます。
契約内容、取得経緯、資格の性質を総合的に確認した上で、請求の可否を慎重に判断することが重要です。
京都の空気が、少し凛として感じられた今週末。「京都年金大学」講座に参加してきました。
1日目:年金改正編
法改正の内容を具体的に学びました。
在職老齢年金制度の見直し、標準報酬月額上限の段階的引上げ、短時間労働者の適用拡大、子にかかる加算の整理など。
なかでも、2028年4月施行予定の遺族年金改正は、特に複雑に感じました。
どれも実務に直結する重要な内容ばかり。改正ポイントを一つひとつ丁寧に整理してくださる、とても分かりやすい講義でした。
2日目:障害年金編(事例研究)
事例は、関節リウマチ、網膜色素変性症、知的障害。
特に印象に残ったのは、手続きを断念してしまった事例です。
「初診日の証明が取れない」「医師に実態が伝わらない」など
障害のある方が一人では整理できず、制度の壁の前で立ち止まってしまう現実。
そこで社労士が関われること。
「丁寧に実態を聴き出す」そして「これまでの経験を踏まえ、ご本人やご家族とともに書類を整えていく」
ただ書類を作るのではなく、生活の実態を丁寧に書類に落とし込んでいく仕事です。
その先に、“適正な認定への扉”が開かれるのだと学びました。
お恥ずかしながら、まだまだ素人の私には、この2日間は学びが山盛りで、頭がパンクしそうです💦
でも、せっかく得た知識。きちんと咀嚼して、実務で生かせる力にしていきます。
【追伸】
1日目の夜。お声掛けくださった先輩社労士の先生方と、ディナーをご一緒しました。
勉強になるお話と、美味しいお料理。贅沢であたたかな時間に、心から感謝です。🍀
Heart-up 通信 Vol13
先日、顧問先様ではない企業様から、こんなお問い合わせがありました。
「労働基準監督署から是正勧告を受け、是正報告書の提出を求められました。どのように対応すればよいでしょうか。」
是正勧告と聞くと、
「何をどう直せばいいのか分からない」
「一度にたくさん指摘されて頭が真っ白になる」
そんなお気持ちになる方も多いと思います。まずは、是正内容を一つずつ確認しました。
◇指摘されていた主な内容
・36協定(時間外・休日労働協定届)で定めた上限を超える残業があった
・労働条件通知書に、絶対的記載事項の記載漏れがあった
・年5日の年次有給休暇が取得できていない従業員がいる
・賃金から会費を控除しているが、賃金控除協定書が締結されていない
このほかにも、いくつか細かな指摘がありました。一度に複数の指摘を受けると驚きますが、一つずつ整理しながら対応していくことがポイントです。
◇実際の対応内容
① 36協定の見直し
実態を確認したところ、月70時間弱の時間外労働が発生している月がありました。そのため、特別条項付き36協定を締結し、
1か月の上限:75時間、年6回までとする内容に見直しました。
② 労働条件通知書の整備
厚生労働省のモデル労働条件通知書を基に、当該企業様の就業実態に合わせて、見本として1名分を作成し、提供しました。
③ 年次有給休暇への対応
年5日の取得が困難な従業員については、会社と従業員で話し合っていただき、次の付与日までに取得する5日分の取得日を決定しました。
④ 賃金控除協定書の締結
賃金から控除できるのは、法律で定められた社会保険料や税金が原則です。
労働基準法24条(賃金全額払いの原則)により、たとえ、社宅費、会社の立替金、会費であっても、労使協定なしに給与から控除することはできません。そのため、賃金控除協定書を新たに締結しました。
◇是正報告書の提出
すべての指摘事項について、必要書類を添付したうえで是正報告書を提出。無事に、労働基準監督署への報告が完了しました。
是正勧告は、決して「特別な会社だけ」が受けるものではありません。日々の業務の中での「うっかり」「昔からの慣習」が積み重なり、指摘につながることも多くあります。まずは、どの法律の、どの部分に抵触しているのかを理解し、一つずつ是正していくことが大切です。
是正勧告を受けてお困りの際は、ぜひ専門家に相談してみてくださいね。
冬季オリンピックが始まりましたね。
団体フィギュア予選の美しくダイナミックな演技、スノーボード・ビッグエアの金と銀、女子スキージャンプの銅メダル。好スタートで、画面越しでも伝わってくる緊張感と高揚感に、思わず引き込まれてしまいます。
一方で、結果が出なかったときの悔し涙には、こちらも胸が詰まる思いになります。
この日のために、諦めたことや後回しにしてきたことも、きっと数えきれないほどあるのでしょう。背景は見えなくても、そこに至るまでの積み重ねを、つい想像してしまいます。
ビッグエアの解説で、パーフェクトなジャンプに対して「メンタルの鬼」という言葉が使われていました。
でもその強さは、特別な才能ではなく、弱さや怖さと向き合いながら、日々積み重ねてきた結果なのだと思います。
そんな背景に思いを馳せると、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのTEAM JAPAN公式応援ソング「結唱」という曲が、心に浮かびました。
泣きたい夜や揺れそうな心から逃げずに向き合ってきた時間の分、強さへと変わっていくのだと。
そのメッセージは、競技者だけでなく、私たちの日常にも重なるものだと感じます。
なるべく競技をオンタイムで観たいので、この時期だけはお昼寝時間を設けて、書類作成を夜にシフトしようと思っていたのですが……。
いざ競技が始まると、完全に手が止まってしまう(笑)。困ったものです。
感動しかない✨、この2週間あまり。
挑み続けるすべての選手に、エールを送ります。👏
Heart-up 通信 Vol12
社員面談と学び ~4年目の会社~
ある企業様では、今回で4年目となる社員面談を、今週から約2週間かけて行います。
全社員様と面談を予定しており、今年もお声掛けいただき、とてもありがたく思っています。
4年目ともなると、新入社員の方を除き、お互いの人となりが少しずつ見えてきて、構えすぎることなく話ができるようになります。
成長を実感している人。
今、不安を抱えている人。
自分の進む(キャリアの)方向性が、まだ見えない人。
立場や状況はそれぞれですが、まずは心の中に溜まっている思いを、遠慮なく話してもらうこと。
結論を急がず、評価を挟まず、ただ「聴く」ことに集中します。
会社の体制で改善できることがあれば整理し、会社へ報告します。
そうして心が緩んだあとに、前向きな言葉や、これからの話が自然と出てくることもあります。
でも、それは目的ではなく、結果。無理に引き出すものではありません。そんな面談を目指しています。
「疲れませんか?」と気遣っていただくこともありますが、たぶん私は、人の話を聞くのが好きなのだと思います。
自分の中にはなかった視点に出会えることは、私にとっても学びの多い時間です。
また、目に光を宿し、目標に向かって進んでいる話を聞けると、私まで嬉しくなり、逆に力をもらうこともあります。
※なお、当然ながら守秘義務は厳守しております。
会社への報告書には個人の意見は記載せず、総合的な会社の状態や改善ポイントについてのみ報告しています。
社員面談のことを考えていたとき、ふと、先日美術館で印象に残った三澤亮介氏の絵を思い出しました。
数百種類もの色が使われているのに、不思議と調和がとれている一枚の絵。
どの色も消されることなく、それぞれがそこに在りながら、全体としてまとまっています。
(きっとどの色も必要な色なのでしょう)
人の集まる職場も、同じ。
考え方も、感じ方も、歩幅も違う。
それぞれを尊重しながら調和し、同じ職場にいるからこそ、チームとして前に進んでいく。
今回もまずは「傾聴」を大切に、一人一人と丁寧に向き合っていきたいと思っています。








