Heart-up 通信 Vol17
【事例紹介】
受注に対する人員不足でも有給休暇は断れない?「時季変更権」の実務事例
「人員不足でも、有給休暇申請は断れないのでしょうか。」
顧問先企業様から、このような相談を受けることがあります。
先日、ある運送会社でこんなケースがありました。
従業員から有給休暇の申請があったのですが、その日はどうしても外せない運行業務が入っていました。
その業務はトレーラーの運転です。
しかし、この車両を運転できる従業員は限られており、もう一人の運転手はすでに別の運行業務に従事することが決まっていました。
そのため、申請した従業員が休んでしまうと、その日の配送業務が実施できなくなり、取引先との契約履行にも影響が出る可能性がある状況でした。
このような場合に関係するのが「時季変更権」です。
これは労働基準法第39条で定められており、
事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社が有給休暇の取得日を変更できる制度です。
ただし注意したいのは、単に「人員不足」という理由だけでは、この権利は認められないという点です。
例えば今回のように、特定の資格や技能を持つ従業員しか対応できず、その業務が止まることで契約上の業務が履行できなくなるなど、事業運営に具体的な支障が生じる場合に検討されるものです。
また会社としても、代替要員の確認や業務日程の調整など、可能な対応を検討したうえで判断することが重要になります。
今回のケースでも、有給休暇そのものを否定するのではなく、取得日を別の日に変更する形で調整することになりました。
有給休暇は労働者の大切な権利です。
一方で、会社には事業を継続する責任もあります。
制度の条文だけで判断するのではなく、実際の業務状況も踏まえながら調整していくことが、実務ではとても重要です。
~心に残ったことば~🍀「いい母ちゃんやったんや・・・」
仕事をしていると、時々、忘れられない出来事に出会うことがあります。
先日、ある方の個人のお手続きの相談をお受けしました。
普段は企業の顧問業務が中心なので、個人のご相談を直接お受けすることは多くありません。
その日はご依頼があり、書類の確認や整理を一緒に進めていました。
ひと通り整い、最後の確認をしていたときでした。
その方が、ぽつりとおっしゃいました。
「急に亡くなったんや…」奥様のことでした。
「そうですか…お淋しいですね」とお伝えすると、
「4か月前までなんともなかったんや。」
少し間をおいて、私は言いました。
「もっと一緒にいたかったですね」
すると、その方は静かに
「あと4、5年は一緒にいたかったなあ」
そうおっしゃるご主人は、80代の方でした。
「いい母ちゃんやったんや・・・」
その言葉のあと、ご主人は声を詰まらせました。
私も「そうですか」と言いながら、思わずもらい泣き。
手続きをしている小さな机のまわりだけ、まるで別の時間が流れているようでした。
初対面の方でした。
それでも時々、こんなふうに思い出や、寂しさや、これまでの人生の話をぽつぽつと話してくださる方がいます。
少しだけでも気持ちを置いていってもらえたのなら、それでよかったのかな、と思います。
それにしても、
あの「いい母ちゃんやったんや」という言葉。1週間たった今でも、ふとしたときに思い出してしまいます。
とても素敵なご夫婦だったのだと思いました。長年共に積み重ねてこられた時間が、見えるような気がしました。
人の人生に、ほんの少しだけ触れるこの仕事。そんな時間も、大切にしたいと思います。
