Heart-up 通信 Vol7
~お客様の言葉が教えてくれたこと~
ちょっとした行き違いをきっかけに、ある会社の50代の男性社員(部長クラス)が退職を申し出ました。
中小企業では、部長といえば“オールラウンダー”。社内の状況を把握し、報告やフォロー、急な欠員が出れば現場に入ることもある、会社を横断的に支える存在です。
人材確保が容易ではない時代に、そのポジションの退職は大きな痛手です。
社長も、以前は待遇面で退職を切り出された際、懸命に引き止めた経験があるそうです。 しかし今回は、退職届を受理されました。
私は思わず尋ねました。「引き止めなくて、よかったのですか?」
社長は少し苦笑いしながら、こう話されました。 「50代ならまだ再就職の道がある。彼が次に進めるうちに、手を離すことも会社の役目だと思ってね。」
その言葉を聞いて、私は次の言葉が出ませんでした。ただ、心の中で「すごいな」と思うばかりでした。
会社を守る視点と、一人の人生を思う視点。どちらも大切で、その両方を抱えたまま出された判断に、静かな強さを感じました。
私は社労士として、労使双方が納得できる形を模索し続けたいと考えていますが、現実には、簡単に答えが出ない場面も少なくありません。それでも、「社員一人ひとりの人生を尊重する姿勢」に触れると、自然と背筋が伸びる思いがします。 今月の事例紹介は、そんな“お客様の言葉”からいただいた学びです。
誰かの背中をそっと押すような判断が、会社にも、従業員にも、そしてその家族にとっても、前に進める未来へつながっていくことを願っています。
ひと息のむこうがわ☕ ~私と娘、そしてそれぞれの場所で~
昨年の秋、娘はロシアへバレエ留学に旅立ちました。 最初の2ヶ月程は、泣きながら何度も電話をかけてきた娘も、今ではすっかりたくましくなり、今年入学した留学生の通訳や、生活面のサポートまでしているそうです。
その成長が嬉しく、努力を重ねる姿には、母として思わず脱帽してしまいます。
私と娘が似ている点は、とにかく「食べることが好き」なところ。(笑)
似ていないけれど、不思議と方向性が同じところもあります。
私は、石橋を叩かずに渡って落ちて、そこから這い上がるタイプ。 娘は、石橋を叩きすぎて割ってしまい、気づけば遠回りしているタイプ。どちらも人より時間はかかりますが、 最後まで諦めることを知らないところは、やはり似ているのかもしれません。
そんな娘が、正月休みに一時帰国します。 食べたいものを聞くと、 手巻き寿司、しゃぶしゃぶ、チョコもち、油淋鶏、豆腐ハンバーグ、 パスタ、親子丼、焼きそば、 おでん、肉じゃが、卵かけご飯、焼肉…… まだまだ続くらしく、 バレエダンサーを目指す人がそんなに食べて大丈夫?と思いながらも、つい笑ってしまいました。正月は仕事を少しだけ休んで、 娘のために、そして自分のためにも、 久しぶりにゆっくり台所に立とうと思います。
自分の場所でコツコツと、でも確かに、夢や目標に向かって頑張っている人がいる。 そんなことを、いくつもの出会いの中で、今年あらためて教えてもらった気がします。
今年一年も、大変お世話になりありがとうございました。 どうぞ良いお年をお迎えください。
Heart-up 通信 Vol6
男性の育児休業取得と会社の対応
福井県では令和5年度より、男性従業員が連続5日以上または通算15日以上の育児休業を取得した場合、企業に対し最大600万円の奨励金を支給する制度を設け、取得に取り組む企業を支援しています。
福井県の有効求人倍率は全国トップ水準で推移しており、人材確保が容易ではない状況の中、少人数体制で事業を支えている企業も少なくありません。こうした状況の中、「男性の育児休業取得を推進するのは理想だが、実務的には簡単ではない」という声も多く聞かれます。
今回ご紹介するのは、まさにそのような環境下にある企業様の事例です。男性従業員から育児休業取得の希望がありましたが、少人数の職場では他の従業員への負担増が懸念され、手放しで「OK」と言える状況ではありませんでした。
そこで、業務内容の洗い出し、棚卸を行い、代替方法を検討、引継ぎを受ける従業員の負担が過度にならないよう配慮しました。電話の自動受付導入や勤怠管理のクラウド化など、業務の効率化も同時に進め、属人化していた業務の見直しを実施し、取得しやすい職場の環境作りに取り組まれました。
こうした取組みを進める中で、厚生労働省の両立支援助成金や福井県奨励金の支給を受けることとなり、結果として業務のシステム化にかかる費用補助の一助となりました。
育児休業を取得しやすい環境を整えた事業主の判断と、その方針のもと協力した従業員の存在があってこそ実現した好事例と言えるでしょう。
ちょっとひと息☕ 〜美術館にて〜
ふと、静かな時間がほしくなって、越前ふくい美術館へ行ってきました。
外観はミントグリーン、室内は濃紺を基調とした空間です。「ぼーっとしたい」「頭を整理したい」そんな気分のときに、自然と足が向きます。
展示室に入る前、壁に刻まれた言葉があります。
PAX INTRANTIBVS SALVS EXEVNTIBVS 『訪れる人に安らぎを、去り行く人にしあわせを』
思わず足を止めてしまう、そんな言葉です。
今は、歌川広重の「東海道五十三次」が展示されています。
素人ながら、どの作品も構図がとても面白く、また一枚一枚、色づけのポイントが違うことに惹かれました。
「ここを見てほしい」そんな広重の視線やメッセージが、伝わってくるように感じます。
そして、私の本来の目的は、東山魁夷の『白馬のみえる風景』です。
作者の意図はそれぞれにあるのだと思いますが、私には、これらの作品に描かれた白馬が、何故か「希望」にみえます。
けれどこの日は、『山嶺湧雲』の前から動けなくなってしまいました。雲の中に紛れて、そのまま溶け込んでしまいたくなるような、不思議な感覚。ソファに腰を下ろしたまま、しばらく立ち上がれませんでした。
「このままだと、心が少し迷子になりそう」そう感じて席を立ち、『白馬のみえる風景』へ。
「うん。このまま進める。」そう確信できた瞬間、頭の中がすっとクリアになりました。
展示を堪能したあとは、併設カフェ「リンデン」へ。
楽しみにしていたバスクチーズケーキと、リンデンフラワーティー。やはりこのお店のチーズケーキは格別です。
甘さと温かさにほっとして。「また明日から頑張れそうだな」そんな気持ちになりました。
Heart-up 通信 Vol5
監督署の調査対応について(報告)
会社には、ときどき監督署や年金事務所などから調査の通知が届きます。そのたびに、「どうしよう…」と不安そうなお声をいただくこともあります。
でも、だいたいの場合は大丈夫。「一緒に確認しましょうね」とお伝えしながら、必要な書類を一つずつ整えていきます。
今回は、監督署から顧問先様に「働きすぎ防止に関する調査」の通知が届きました。労働時間がきちんと管理されているか、長時間労働がないかを確認する調査です。
通知書には、出勤簿や賃金台帳、協定書、就業規則など、15点ほどの書類が指定されていました。
事前にチェックしてみると、いくつか気になる点が見つかります。
まず、タイムカードの前年分が見当たらないこと。労働関係書類は3年、賃金関係は5年の保管が必要です。ここは正直に伝えるしかありません。
また、労働条件通知書には2024年4月の改正項目が抜けていたため、新しい様式をご案内しました。さらに、賃金控除協定書の控えが会社に残っていなかったので、こちらで保管していた分を共有し、改めて締結してもらいました。
80時間超えの長時間労働もなく、年休取得や健康診断の医師の意見も問題なし。普段から丁寧に管理されている会社さんなので、全体としては安心できる状態でした。
迎えた調査当日。
タイムカードの点だけは指摘を受けましたが、その他の運用がしっかりしていたおかげで、調査は無事に終了。是正勧告も指導もなし。
調査後、「無事終わりました」と安堵の声が届き、こちらもほっとしました。
ちょっとひと息☕ 〜私のとっておきの気分転換方法〜
年末も押し迫ってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はと言えば、この時期は、給与計算を受託させていただいているお客様の“年末調整”に追われる日々です。
社労士の仕事は「人の問題の専門家」と言われますが、実際の業務は、労働基準法や社会保険関係など、さまざまな法律に基づく手続きや給与計算などの事務手続きが中心。扱う分野が広い分、とてもやりがいがあります。
とはいえ、この時期はさすがに書類に少し埋もれ気味でして、先日はうっかり寝坊してしまいました。
そんな私の日常の小さな切り替えが、日本舞踊です。長く続いたご縁もあり、今は地域で少しお稽古をしていますが、賑やかな皆さんと笑いながら体を動かす時間が、私にとって楽しみのひとつになっています。
本来であれば、私が所属する流派の古典舞踊をお伝えするのが筋なのでしょうが、カラオケがお好きな奥様方は、いつも「先生、この曲で振り付けて」と好きな歌を持ってきてくださいます。
五木ひろしさんや美空ひばりさんなど、たくさんの曲をよくご存じで、「色っぽく踊りたい」「粋に」「かっこよく」などのご要望も盛りだくさん。ただ、そのリクエストに合わせて、仕事の合間に振り付けを考える時間も、私には良いリフレッシュになります。
そして何より、知っている曲だからこそ皆さん振り覚えが早く、その集中力と熱心さには毎回驚かされます。
お稽古の休憩時間に、皆さんとお菓子をつまみながら他愛ないおしゃべりをするひとときが、自然と気持ちをゆるめてくれます。その和やかな空気感をつくってくださる皆さんのおかげで、この時間が私にとって特別なものになっています。





