2026-03-23 00:00:00

Heart-up 通信 Vol19

~ 退職対応の現場で感じた変化 ~

顧問先からのご相談で、社員の退職対応をしていると、最近ふと感じることがあります。
それは、「就業規則を守る」という概念が、少しずつ薄れてきているのではないか、ということです。

例えば、退職の申し出は1カ月前までと定めていても、「翌日から欠勤し、そのまま退職に至る」ケースも見られます。
すでに業務の予定が入っていても、そのまま出社しない状況となることもあります。
また、退職代行を利用して、会社と直接やり取りをしないまま手続きが進むケースも、珍しくなくなりました。

もちろん、法律上のルールはあります。
民法では、退職の意思表示から一定期間で契約が終了するという考え方があり(民法627条)、有期契約であれば、原則として期間満了までの拘束(民法628条)もあります。

ただ、現実の現場ではどうでしょうか。
ルールを持ち出したとしても、無理に引き止めることは難しく、結果として退職を認めざるを得ないケースがほとんどです。
就業規則違反に対しては、けん責や減給といった懲戒処分が定められていますが、実際の運用においては、その適用には慎重な判断が求められます。
また、引継ぎが十分に行われないまま退職に至るケースであっても、退職金の減額については、個別事情や相当性を踏まえた対応が必要となります。

世の中は、以前よりもルールに厳しくなっているはずなのに、その受け止め方や行動の選び方は、少しずつ変わってきているように感じます。
ルールに対する意識は高まっている一方で、実際の行動においては、その時々の事情や状況が判断に影響する場面も増えているように思います。

では、何が変わったのでしょうか。

私は、「ルールが軽くなった」のではなく、「ルールだけでは人は動かなくなった」のだと思います。
転職が当たり前になり、働き方の選択肢も増えた今、会社にとどまる理由は“義務”ではなく“納得”に変わってきています。
そう考えると、これから会社に求められるのは、ルールを強くすることではなく、仕組みや関係性を整えることなのかもしれません。
引き継ぎがスムーズに進む体制や、誰か一人に業務が偏らない仕組み。そして、普段からの信頼関係。
そうした積み重ねが、結果として組織を守ることにつながるのだと感じています。

これからは、「ルールで縛る時代」から「構造で守る時代」へ。
そんな変化の中にいるのかもしれません。
その変化の中で、顧問先のためにできることを、これからも考えていきたいと思います。🌱