更年期の症状が出る原因
1. 女性ホルモン「エストロゲン」の減少
女性の卵巣は、思春期以降、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」を分泌して月経周期をコントロールし、妊娠・出産の準備を行っています。特にエストロゲンは、女性の体や心の健康に深く関わっており、以下のような働きがあります。
・子宮や乳腺の発育を促す
・骨の健康を保つ
・血管をしなやかに保つ
・脳の働きや感情の安定に関与する
・肌や髪のハリ・ツヤを保つ
ところが、40代後半になると卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が不安定になり、やがて大きく減少していきます。この急激なホルモンの変化に、脳や身体がうまく対応できないことが原因で、様々な症状が現れるのです。
2. 自律神経の乱れ
エストロゲンは、脳の視床下部という場所にある「自律神経の中枢」に働きかけ、体温調節・発汗・睡眠・感情などをコントロールしています。エストロゲンが減少すると、この視床下部の働きが不安定になり、自律神経が乱れます。
その結果、
・急にほてる(ホットフラッシュ)
・汗が止まらない
・寒気がする
・不眠になる
・心臓がドキドキする(動悸)
などの「自律神経失調症に似た症状」が現れます。
3. 心理的・社会的ストレス
更年期は、身体だけでなく心理的・社会的にも変化の多い時期です。たとえば、
・子どもの独立や反抗期
・親の介護や看取り
・夫婦関係の変化(定年、別居など)
・仕事上の責任増加や退職
など、人生の転機が重なることが多く、心理的なストレスが積み重なりやすくなります。このストレスが更年期症状を悪化させる一因となります。
4. 個人差と体質
更年期症状の現れ方は人によって大きく異なります。全く症状を感じない人もいれば、生活に支障をきたすほど重い症状に悩まされる人もいます。これは遺伝的体質、性格、生活習慣、社会的背景などが複雑に関係しているためです。
