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2024-11-12 13:55:00

【免疫力】風邪をひいてしまったら?寒気、頭痛、のどの痛みなど症状に合わせた対処法

秋から冬にかけて、季節の変わり目はかぜをひきやすい時期です。気温の変化にカラダがうまく対応できず、自律神経が乱れて体調を崩しやすくなります。寒気・のどの痛み・くしゃみ・鼻水など、かぜのひき始めのサインが見られたら早めの対処がとても大切です。今回は漢方の視点から、かぜの種類・対処法・予防法についてご紹介します。

漢方で考えるかぜの種類とは

かぜの種類には大きく分けて「風寒(ふうかん)」「風熱(ふうねつ)」の2つのタイプがあると考えられています。

■ 風寒のかぜ

寒気のあるタイプのかぜで、ひきはじめに背中や首がゾクゾクする寒気(悪寒)、発熱、頭痛などの症状が挙げられます。このタイプのかぜは、かぜの原因がカラダの表面(背中)に取りつき、こじれたときは奥まで侵入すると考えられ、「寒いかぜ」とも呼ばれています。

かぜをひくと、かぜの原因となるウイルスを排除するために免疫細胞を活性化しようとします。さらにかぜの症状が進むと、ウイルスが増えるのを抑えるために体温設定を引き上げるスイッチが入ります。このスイッチによって、脳からカラダに「カラダを震わせて熱を生み出し、熱を逃がさないよう血管を収縮する」という指令が出されます。この体温調整が、風寒のかぜの特徴である、寒気(悪寒)や震えの症状につながります。また、発熱などでエネルギーが消費するため、倦怠感や筋肉痛・関節痛などの全身症状もあらわれやすくなります。

風邪の原因

■ 風熱のかぜ

のどの痛みがあるタイプのかぜで、発熱、のどの痛み・黄色く粘っこい痰、咳などの症状が挙げられます。このタイプのかぜは、かぜの原因が鼻やのどの粘膜から肺へ侵入し、肺の水分を減少させると考えられ、「暑いかぜ」とも呼ばれています。

かぜの原因となるウイルスが鼻やのどから侵入し、咽頭(いんとう)や口の奥の左右両側にある扁桃(へんとう)に炎症を起こすと、のどの痛みの症状としてあらわれ、唾を飲み込むときにも痛みを感じる場合があります。また、肺や気管などの呼吸器を守るために、異物であるウイルスを気道から取り除こうとして生体防御反応=咳が起こります。
気道の粘液(分泌物)がウイルスをからめたものが粘り気や色のついた痰となり、咳などによってカラダの外に出されます。白血球と細菌が戦った残骸が混じると、痰が黄色くなります。風邪が長引くと、小さな刺激に反応して痰を伴わない乾いた咳(空咳)が続くこともあります。

風熱の原因<漢方のミニ知識>
漢方では、病気の原因を6つの邪気(じゃき)=六淫(りくいん)で分類しています。
邪気の2つ、風邪(ふうじゃ)と寒邪(かんじゃ)が合わさったものが風寒、風邪と熱邪(ねつじゃ)が合わさったものが風熱です。

 

※6つの邪気の特徴は、「漢方の基礎知識(病因病機とは①六淫・七情)」を参考にしてください。

かぜをひいてしまったら?症状別対処法と漢方薬

かぜは症状やタイミングによって対処法が異なります。
かぜのひき始めには、寒気・のどの痛みといった症状から始まり、症状が進むにつれ発熱・くしゃみ・鼻水・咳・痰が出るといった症状が現れます。さらに、かぜをこじらせると、微熱・食欲不振・倦怠感・しつこい咳などの症状が現れます。
ご自分の症状とタイミングに合わせて対処をしましょう。

【風寒:寒気のあるタイプのかぜ】

風寒の症状(寒気・発熱・頭痛など)が出始めたら、カラダを温めましょう。体温の上昇を助けるよう、部屋や衣服を暖かくし、カラダを温める食べ物を摂ることを心がけてください。カラダを温める食材には、にんにく・ねぎ・しょうがなどがあります。

風寒タイプのかぜのひきはじめには、麻黄湯(まおうとう)・葛根湯(かっこんとう)、かぜがこじれた場合は柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)が向いています。

麻黄湯(まおうとう)
かぜのひきはじめで、強い寒気・発熱、ふしぶしの痛みがある方に向いている漢方薬です。強い寒気により、毛穴が閉じ、汗がでずに、発熱や頭痛、ふしぶしの痛み等が起こります。麻黄湯はカラダを温めて発汗を促すことにより、かぜのひきはじめによる症状の改善が期待できます。

葛根湯(かっこんとう)
かぜのひきはじめで、発熱や寒気のある方や、頭痛や肩こりがある方に向いている漢方薬です。ウイルスに感染すると免疫力を活性化させるために、脳の体温を調整する機能が作用して、体温を上げようとします。しかし、体力を消耗するうえに、寒気や頭痛、肩こりなどの症状があらわれます。葛根湯はカラダを温め、カラダ本来の免疫機能をサポートし、風邪の症状を緩和させていきます。

□なぜ葛根湯で「かぜ抵抗力」が上がるの?
葛根湯は、古くから体を温めて風邪の初期症状や鼻風邪、鼻炎、頭痛などに効果がある漢方薬として使われてきました。では、なぜ葛根湯で「かぜ抵抗力」が上がるのでしょうか?以下の4つの作用で風邪に効果を発揮します。

1. 自然免疫の活性化
葛根湯を服用すると体温が上がり、体が温まります。これにより自然免疫が活性化し、ウイルスの増殖を抑えることができます。体温が上がると血行が良くなり、免疫細胞がウイルスの感染場所にすぐに駆けつけ、マクロファージがウイルスを貪食する能力も高まります。

2. 過剰な炎症を抑える
風邪の症状が進行すると、のどの痛みや鼻づまり、発熱などが現れます。これは免疫細胞がウイルスと戦うために炎症を引き起こす物質を過剰に作るからです。葛根湯はこの過剰な炎症を抑え、症状を和らげます。

3. 交感神経の刺激
風邪が進行すると、脳の視床下部が体温を上げる指令を出します。これにより交感神経が刺激され、体を震わせて熱を作り出し、血管を収縮させて熱を逃がさないようにします。葛根湯には交感神経を刺激する成分が含まれており、速やかな発熱を促します。

出典:感染症資料

4. 発汗促進・血流改善
体温が上がった後は、体の負担を減らすために速やかに体温を下げる必要があります。葛根湯は発汗を促進し、血流を改善することで速やかな解熱を促し、体力の消耗を防ぎます。

このように、葛根湯は風邪の段階に応じてさまざまな作用をもたらし、体がウイルスを撃退できるようにサポートします。

■柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
かぜをこじらせ、微熱があり、吐き気や食欲不振、寒気などの症状がある方に向いている漢方薬です。感染した時の体調などにより、食欲不振や下痢など胃腸の症状が出ます。柴胡桂枝湯はカラダの中の熱や炎症を鎮めながら、胃腸を元気にして体力を補うようにして、風邪の症状を緩和させていきます。

【風熱:のどの痛みがあるタイプ】

風熱の症状(発熱、のどの痛み・黄色く粘っこい痰、咳など)が出始めたら、カラダの熱を発散させましょう。アルコール、刺激物、熱い飲み物などの摂取は控え、カラダの熱を抑える食材を摂ることを心がけてください。カラダの熱を抑える食材には、サニーレタスやれんこん・きゅうりなどがあります。

風熱タイプのかぜのひき始めには、銀翹散(ぎんぎょうさん)が向いています。のどの症状に合わせて、五虎湯(ごことう)、桔梗石膏(ききょうせっこう)を利用することもあります。かぜがこじれた場合は竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)、竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)が向いています。

■銀翹散(ぎんぎょうさん)
かぜのひきはじめで、のどの痛みや口(のど)の渇き、咳、頭痛がある方に向いている漢方薬です。ウイルスや細菌などの感染により呼吸器(のど、気管、気管支)に炎症が起こることで、のどの痛みを生じます。銀翹散はのどや体表の炎症を抑えながら、かぜによるのどの痛みを改善します。

■五虎湯(ごことう)
激しい咳が出るときや、黄色の粘っこい痰がのどに絡む方に向いている漢方薬です。呼吸器にある異物を排出しようとして咳が出たり、呼吸器に強い炎症が生じることで黄色い痰が絡む症状を起こします。五虎湯はのどや気管、気管支の炎症を抑えることで、痰の量を減少し、咳を鎮めるため、呼吸が楽になります。

■桔梗石膏(ききょうせっこう)
のどの腫れや痛みがある場合や、のどに痰が絡む方に向いている生薬製剤です。のどの乾燥などによって、のどについたウイルスや細菌が増殖し、のどに炎症を起こし痰や膿がたまります。桔梗石膏はのどの炎症を鎮めて、痰や膿をのぞく働きがあります。かぜ症状の中でも炎症が強く、痰や膿が認められるときにご利用ください。

■竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)
かぜをこじらせ、微熱があり、咳が出る方に向いている漢方薬です。かぜがこじれて微熱が続くと、体内の水分が徐々に失われ、のどの乾燥などによって、咳が出やすくなります。竹葉石膏湯はかぜの熱感を鎮めて、体内の不足した水分を補い、のどを潤すことで、咳を鎮める効果が期待できます。

■竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)
かぜ症状や微熱が長引き、痰をともなう咳が出る方に向いている漢方薬です。かぜが長引いたことで胃腸の機能が低下し、水分代謝が悪化することで咳や痰などの症状が生じます。竹茹温胆湯は、消化吸収機能の働きを助けると共に余分な水分を排出することで、症状を改善します。また、せきやたんを抑えることで、安眠を助けます。

かぜが長引く原因と対処法

かぜの症状が長引く主な原因は、免疫力の低下とされています。「風寒」「風熱」どちらのタイプも、睡眠を十分にとり、栄養バランスを考えた食事をし、安静にすることを心がけましょう。また、気(エネルギー)をおぎなうために、胃腸の機能を整えることをおすすめします。気をおぎなう食材には、さつまいも・カボチャなどの芋類や、とうもろこし・大豆などの豆類などがあります。

かぜの症状は、発症2~3日目をピークとして、1週間~10日ほどで回復することがほとんどです。症状が長引く場合は他の病気が隠れている可能性がありますので、医療機関に相談するようにしましょう。

かぜをひきやすいのはどうして?かぜの予防対策

かぜのひき始めに起こる風寒・風熱の症状は、どちらも正気と邪気が戦っている状態です。正気とは、人間がもともと持っている生命力・自然治癒力を意味します。正気を正常に働かせるためには気血水のバランスを整えることが大切です。例えば、気虚の人は、気(エネルギー)をおぎなう食事をし、睡眠をしっかり取りましょう。かぜの場合、正気が満たされていれば、風邪・寒邪・熱邪などの邪気がカラダに入り込んでもかぜをひきにくくなります。

ただし、正気が満たされていても、邪気のパワーが強ければかぜにかかってしまう場合があります。かぜをひかないようにするためには、人間がもともともっている生命力・自然治癒力を強くすることが大切です。

※正気の働きについては、「漢方の基礎知識(扶正袪邪とは)」を参考にしてください。

かぜをひきやすい方は、普段の生活習慣や食事を見直してみてください。
かぜを予防する方法には次のものがあります。

・カラダを温める
カラダの冷えを改善させるためには、首・手首・足首の3つを温めることが大切です。この3つの首にはいずれも太い血管が通っているため、血行がよくなり、全身を効率よく温めることができます。マフラー・手袋・靴下などを利用しましょう。

・ウイルスや細菌を体内に侵入させない
かぜをひかないようにするには、ウイルスや細菌を体内に侵入させないことが大切です。かぜをひきやすい季節は、マスクを着用し、外から帰ってきたら、うがい・手洗いをしましょう。

・感染しにくい環境
乾燥した場所や人混みを避けましょう。部屋の温度や湿度をコントロールも大切です。乾燥しやすい季節は、部屋を加湿しましょう。2時間ごとなど時間を決めて換気をするのもおすすめです。

・バランスの良い食事
カラダの調子を整えるためには、食事も大切です。バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜をそろえることです。主食はご飯・パンなどエネルギーの元となるもの、主菜は肉・魚などたんぱく質を含むもの、副菜は野菜・海藻などビタミン・ミネラルなどを含むものです。

・抗酸化作用のある食品
ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEが含まれている抗酸化作用のある栄養素を摂ることも大切です。抗酸化作用のある食材は、免疫力を上げる効果が期待できます。

・睡眠時間の確保
睡眠不足による疲れやストレスは、自律神経の乱れだけでなく、免疫力を低下させる原因となります。睡眠は、疲れを回復させるだけでなく、免疫機能を保つ効果もあります。

・水分補給
かぜを予防するためには、こまめな水分補給も大切です。水分をとることによって喉を乾燥から守り、ウイルスが侵入するのを防ぐことができます。

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