おしらせ

2017-09-18 10:25:00

連帯保証人と、民法改正(※民法改正の施行は2020年前半の予定です)

相変わらず連帯保証人をめぐる「悲劇的な」相談が、多く寄せられます。

詳しい内容は守秘義務の観点から言えないんですが、それにしても・・・という話が多すぎます。

 

色々と思うのですが、一つは、連帯「保証」という言葉が悪いんじゃないかと。連帯保証というのは、仮に本人がお金を払える力を持っていても、連帯保証人は(請求されたら)全額を直ちに払わなくてはいけないわけで、実際には本人と一緒に債務を支払う義務を負うことと変わりありません。違うのは、「債務」じゃなくて「保証」という言葉を使うことくらい。。。

もちろん、債権者からしてみれば連帯保証という制度は大変ありがたい制度です。ですから、保証人になる人が連帯保証の意味を理解した上で保証人になるのであれば、お互いが合意して話が成り立っている以上、自由主義で自己責任の日本の中では特に問題とすべきではないんでしょう。

 

ただ実際にはそうそう理屈通りには世の中は回らないわけで、「保証」という言葉のイメージから、「本人が払えない時だけ責任を負えばいい」と勘違いして連帯保証人になる人がきわめて多いのも事実です。

 

いっそのこと「連帯保証」という言葉を使えないようにして、全部「連帯債務」とかいった、連帯して「債務」を負うことがはっきりわかる言葉の方に統一すればいいのに・・・と思わなくもありません。連帯保証も連帯債務も法律的にはほとんど差がないのに、あえて「保証」という言葉をつかって契約を結ぼうとするのは、実は、軽~い詐欺じゃないかとすら思ってしまいます。ただそこまではっきりやってしまうと、連帯保証人になる人が減ってしまい、人的保証の制度に頼りきった日本の金融界や、融資を受けたい人が困ってしまうことになるという問題もあるでしょう。

 

ちなみに、今年の5月に成立した民法改正では、保証についてもいろいろと議論をされたようで、「事業用の」融資の保証について第三者が保証する場合は、「公正証書」で契約書を作らないといけなくなりました。(十分だとは到底思えませんが)こういった制度で、少しでも勘違いして保証人になる人が減ればと、願ってやみません。

なお、民法改正が実際に施行されるのは2020年前半の予定で、それ以降に行われた契約について、この改正民法の規定が適用されることになっています。詳しくは、こちら↓

 

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2017-09-05 21:14:00

ほのぼの法務事務所の、新キャラクターが出来ました。

 ほのぼの法務事務所の、新キャラクターが出来ました。

 

 頭にある「ほ」は、「ほのぼの」と「ほうりつ(法律)」をかけています。

 決して完璧な優等生ではないのですが、それでも一生懸命法律の勉強をして、何とか社会の役に立ちたいと頑張っている、「ほの君」です。

 どうぞよろしく、お願いいたします。

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2017-09-03 11:03:00

親の面倒をみてきた人と、そうでない人との間で、相続分は平等でいいのか?

例えば、ご長男一家が長年にわたり、父親の面倒をみてきた一方、次男はまったく関与してこなかった。それでも、父親の相続の際に、長男と次男は相続では全く平等になるのでしょうか?

 

この点、法律の構造では、例えそういった事情があったとしても、原則として平等です。

 

ただ、この場合の事情を全く考慮しないかというとそうでもなく、「寄与分」(民法904条の2)という制度があります。

これは、

1:共同相続人による寄与行為であること

2:寄与行為が特別の寄与であること

3:被相続人の財産の維持または増加があり、寄与行為との間に因果関係があること

という3つの条件を満たせば、「寄与」をした相続人に、特別に多く財産を分配してあげよう。という制度です。

 

しかし、残念なことに、この「寄与分」というのは、実務の運用の中で、あまり簡単に認められるものではありません。(よっぽど腕利きの弁護士に頼まないと、なかなか獲得できないと思います。)

というのも、上記2の条件にあるとおり、寄与分というのは単なる「寄与」があっただけでは認められません。「特別の」寄与というものが必要なのです。そして、「特別の」寄与というからには、世の中の平均的な家庭で行われている程度の両親の介護やお世話ではなかなか難しく、例えば「無償」で「専属的」に介護し続けたとか、「普通の家族ではそこまではやらないよね」くらいまでいかないと裁判所で「特別の」寄与として認めてもらえないからです。しかも、その金銭的評価も、介護系の「寄与」では、裁判所で認定された介護の日数×ヘルパーさんの日当相当分くらいなので、何千万という金額が動くことがある相続の場面では、えてして「ほんのちょっとにしかならなかった。」というイメージで終わってしまうこともたくさんあります。

 

この点については、色々な意見があるかと思います。家族が家族の面倒を見るのが当たり前だという価値観で考えれば、今の裁判所の態度もうなずけなくもありません。

ただ、本当に今の社会の中で、その裁判所の価値観が、社会一般の「常識」なのか。。。

実際には、やっぱり家族とはいえ、しっかりと面倒みた人には、その分きちんと多く分配するような制度にした方が、かえって相続がうまくいくのではないか。。。

そんな気がしてならない今日この頃です。

2017-08-24 08:39:00

商業登記の法定期限は、2週間です。

商業登記の法定期限は、「変更が生じてから」2週間です。(会社法第915条1項)

それを過ぎると、100万円以下の範囲で、過料(罰金)が科せられます(会社法第976条第1項第1号等)

 

もっとも、条文上はそうなっていますが、現在の登記の実務では、1年以上過ぎない限りは、過料にはなっていないようです。(なお、過料になった場合の金額については、自分のイメージでは1年懈怠するごとに数万円ずつ加算されていくような感じです。)

 

ただ、あくまでも上記は現在の実務にすぎず、変更されてしまう可能性もあります。

また、近年コンプライアンスのチェックが厳しい場面が増えており、過料は課せられなかったにしても、2週間を過ぎて登記をしてしまったため、補助金の申請の際に、補助金を出す機関から不利益に取り扱われたりしたというケースも起きています。

 

現実問題として、2週間以内の登記を必ずやるというのは難しい部分もありますが、ここ最近うちでも登記の法定期間をあらためて考え直させられる事件も増えており、できる限り2週間以内に登記を行うことを、おすすめいたします!

 

2017-08-24 08:35:00

平成19年以前に会社設立された方へ(役員重任)

平成19年以前に設立された会社をもっておられる方。役員の重任登記(同じ役員が、任期を更新する登記)はおすみですか?

 

平成18年の会社法改正以降、役員の重任登記は、定款を変更すれば10年間やらなくてよくなりましたが、もう10年が経過しています。

役員が同じまま役員を続ける場合でも、必要ですので、今一度御社の登記簿謄本をチェックしてみて下さい!

 

なお、もしも重任登記をしなかったら、次に新しい役員を入れたり、本店を移転したり、何か登記をする際に問題となります。(新しい登記をする瞬間に遡って「登記懈怠」を問題にされるのであって、事前に「登記懈怠」にならないように更新の時期に法務局から丁寧に案内が届く制度があるわけではありません。)

その際には、場合によっては罰金を払わないといけなくなりますので、ご注意下さい。

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