おしらせ

2017-09-03 11:03:00

親の面倒をみてきた人と、そうでない人との間で、相続分は平等でいいのか?

例えば、ご長男一家が長年にわたり、父親の面倒をみてきた一方、次男はまったく関与してこなかった。それでも、父親の相続の際に、長男と次男は相続では全く平等になるのでしょうか?

 

この点、法律の構造では、例えそういった事情があったとしても、原則として平等です。

 

ただ、この場合の事情を全く考慮しないかというとそうでもなく、「寄与分」(民法904条の2)という制度があります。

これは、

1:共同相続人による寄与行為であること

2:寄与行為が特別の寄与であること

3:被相続人の財産の維持または増加があり、寄与行為との間に因果関係があること

という3つの条件を満たせば、「寄与」をした相続人に、特別に多く財産を分配してあげよう。という制度です。

 

しかし、残念なことに、この「寄与分」というのは、実務の運用の中で、あまり簡単に認められるものではありません。(よっぽど腕利きの弁護士に頼まないと、なかなか獲得できないと思います。)

というのも、上記2の条件にあるとおり、寄与分というのは単なる「寄与」があっただけでは認められません。「特別の」寄与というものが必要なのです。そして、「特別の」寄与というからには、世の中の平均的な家庭で行われている程度の両親の介護やお世話ではなかなか難しく、例えば「無償」で「専属的」に介護し続けたとか、「普通の家族ではそこまではやらないよね」くらいまでいかないと裁判所で「特別の」寄与として認めてもらえないからです。しかも、その金銭的評価も、介護系の「寄与」では、裁判所で認定された介護の日数×ヘルパーさんの日当相当分くらいなので、何千万という金額が動くことがある相続の場面では、えてして「ほんのちょっとにしかならなかった。」というイメージで終わってしまうこともたくさんあります。

 

この点については、色々な意見があるかと思います。家族が家族の面倒を見るのが当たり前だという価値観で考えれば、今の裁判所の態度もうなずけなくもありません。

ただ、本当に今の社会の中で、その裁判所の価値観が、社会一般の「常識」なのか。。。

実際には、やっぱり家族とはいえ、しっかりと面倒みた人には、その分きちんと多く分配するような制度にした方が、かえって相続がうまくいくのではないか。。。

そんな気がしてならない今日この頃です。