大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2020-04-28 22:29:00

dive14

「・・・・・・大丈夫か?・・・まかせるけど・・・」

昨日の干物の鯖を焼いた残り、サラダの残りのレタスと茹でたブロッコリー、ついでにかまぼこの切れ端を入れてまとめに少しオイスターソースを入れてジャジャジャジャーンってな感じで作ってみた。残りめしで超大盛にしてやった。こわごわ食べたジミーは

「なんだこれ、チョーうめーじゃん。お前いつからこんな技持ってたの。店レベルだって、これ」

「あのさー、俺勉強することにしたから。そんで日本工科大行くから。」

「え、おいおい、いきなり何言ってんだよ。おめーが遊ぶ計画たてるからこいって言っといて、きたら勉強って何言ってんだよ。大体日工大ってトップクラスだぜ。俺でも難しいのにおまえじゃぁ。」

「だからお前も一緒に行こう。ということで俺に勉強教えてくれ。よし決まり。日工大行くぞー。」

「まじかよ、でもお前言い出したら聞かねーしなー。まあ、それも面白そうだからそういう遊びってことで、いいか。俺もどこ行くか決めてなかったけど、あそこだったら目標にするだけでもいいかもな。でもなんで日工大なんだ。」

「あそこだったら研究費もいっぱい出るらしいし、いっぱい実験させてもらえそうだしな。」

「じゃあ早速計画でも立てるか。」

結局ジミーまで巻き込んでしまったが、こいつの頭の良さはおりがみ付きだから、塾に行くより毎日一緒にいるから俺の弱点もわかるだろう。そんな話をしていたらさくらが帰ってきた。

「さくらちゃん、ほんとによくなったんだね。びっくりしたよ。もう大丈夫なの.。」

「おかげさまで、道場にも行ってきたの。久しぶりですっきりした。」

「へー、あっそうそう、藍、どうしちゃったの?急に勉強して日工大行くって言ってるよ。まあ俺も道ずれにする気でいるらしいけど。」

「勉強?でもお兄ちゃん一人じゃダメそうだけどジミーが一緒なら案外いけるんじゃない。ジミーお願いね。」

「さくらちゃんに頼まれたんじゃ断れないな。じゃあがんばるね。じゃあ帰って日工大のことしらべてみるわ。じゃあね」

二学期が始まるとチョーガリベン君になった俺を見て先生もびっくりしていた。学年上位のジミーに教えてもらっていることもあってじわじわと学力も上がっていった。そして家に帰ると体術と気の訓練。毎日へとへとになるまでやった。ありがたいことに黄さんと紅美が町内に中華料理店を開きちょくちょく差し入れをしてくれるので、ご飯を作る時間が節約でき、腹も満たされ訓練と勉強に集中できた。

こうして毎日を過ごし、ぎりぎりだったが日工大に入りそこに研究依頼していた企業黒石化学に入社することになり、大学の研究を引き続き会社ですることになった。火災が起きた時や寒冷地、はたまた水の中に消防士やレンジャーが温度変化また物理的衝撃に耐えられるスーツを作りたいということで研究費を出してくれていた。なんともありがたいことに俺の研究にピッタリの申し出。俺の研究とはあるチューブ状の炭化ケイ素連続繊維で密に織り込んだ生地を作り、炭素繊維のチューブの中を液状のナノマシーンを流し込み、そのナノマシーンを電気信号で操り温度を管理するシステム。簡単に言うと床暖房の原理をスーツの生地に、中を流れるお湯をナノマシーンにしてどんな温度にも対応して中の人を守るという画期的なシステム。生地になる炭素繊維は衝撃に強い硬さと、しなやかさを兼ね備えた特殊なもので、中を流れるナノマシーンは形状を電気信号で変えられ、生地のチューブから出していろいろな道具にも変形させられる。ターミネーター2に出てきた液体金属でできたT-1000がチューブの中を通っているとイメージするとわかりやすいかな?まあ、あそこまで万能じゃないけどね。これを制御するための人工知能を作っているのが俺の相棒ジミー。こいつが入った会社は黒石化学の系列会社黒石サイバネティクス、人工知能で義肢を制御しようというシステムを開発している。そのAIをナノマシーン制御に利用できないかと相談したところ秘密裏にやってくれることになった。なぜ秘密にしたかというとこれが悪用されたらえらいことになると二人が思ったからだ。これを兵士が着用したら、無敵に近いからだ。だから会社には表向きのナノマシーン温度制御プログラムを作ってくれるということにして、変形などのプログラムは二人で会社が終わってから開発していた。俺はもしものことを考え会社にはジミーとはここにきて初めて会ったということにしていた。それは紅美のアドバイスによるものだった。何かあってジミーまで巻き込まれないようにという配慮によるものだ。その頃になると紅美による俺の修行もだいぶ進んでいた。呼吸法による力の制御、体術のほうも紅美を時折追い詰めるようになった。霊力を使う術も少し教わったがどうやら最終的には俺が小さくなるらしい。コナン君みたいにじゃなく、最小身長5ミリぐらいまでだっていうんだから、昔あったミクロマンかピコタンな感じ。それでラーメンの中に飛び込むらしい。んなわけないと思っていたが紅美がやって見せてくれた。でも彼女でも30センチが精いっぱいだった。不思議なことに身に着けているものも一緒に小さくなる。俺はスケベ心でこれは服だけ残して小さくなるのではと期待していたのだが見事に裏切られた。二つの理由でびっくりしている俺を見

「私は霊力が弱いから今はこれくらいまでしかできない。でも選ばれたあなたならきっとできるようになるわ。」

と、まじめに言うからあんまりふざけたことを言えなくなる。教えてもらうとこれは術というよりは自分を取り巻くものをギュッと圧縮することをイメージして手を合わせ体の中の駆け巡る力を一気に発するとできるというまさに念力みたいなもの。何かで言ってたっけ、魔法使はは血で飛ぶって。あれとおんなじ感じ。LEE先生もいってたな『Don`think .Feel!』。感じがつかめるまで何度もやってみるがどうもよくわからない。紅美も何かのきっかけでできるようになるっていうだけでこれだけはどうにもならないと言っていた。練習を続けていると紅美が心配そうな顔をして

「昨日久しぶりにおじいちゃんに電話したんだけどつながらなかったのよね。なんかあったのかなぁ。ちょっと前に黄が報告がてら村に行くっていうから伝言頼んでおいたのに何の返事もなくて・・・」

「黄さんもいろいろよるところがあるって言ってたから、2,3日かかるんじゃない。」

「そうかなぁ、なんかあったんじゃないかな。心配だなー」

dive15に続く・・・・

2020-04-25 12:37:38

dive13

「そういう大事なことは最初に言ってほしいよね。ってことはあの石を守ればいいってこと。でもそれなら日本にいる俺なんか関係なさそうだけど。」

「今はね。でもこれから新しくあなたにやってもらうことになる『ダイブ』を体得したらそういうわけにはいかなくなるの。それを危惧したおじいちゃんに頼まれてわたしがきてるってわけ。」

「つまり・・・・その・・・・深刻ってこと。」

心配そうに小さくうなずく紅美に覚悟を決めて言った。

「わかった。つまりこういうことだ。俺が頑張らないと、さくらも村長や村の人も・・・紅美も大変なことになるってことだな。よし、そういうことならやってやろうじゃない。でもらーめんに『ダイブ』するってどうやって潜るの。」

ちょっと安心した顔になった彼女はまた先生の顔に戻り

「それはまず基礎を体得してから、それにはもう一つクリアーしなければならない課題があるの、『ダイブ』のための装備が必要なの。どうしてかはわからないけど体を小さくして『ダイブ』すると体感温度が数倍に上がるの。一族の中でも何人も失敗して命を落としたの。だからそれを克服するための装備を開発しないといけないの。」

「ちょっと待って、それってそのための耐熱スーツを作るってこと?それって材料工学だぜ。俺の好きな化学が役に立つってことじゃない。でもまだ高校生でそんな高度なことは・・・でもその関係の学部のある大学にいって関連企業に入ればあるいは・・・・・霊的パワーと科学の力の融合って俺じゃなきゃできそうもないかも。それで御先祖も俺に力を貸してくれてるのかな。今からほかの勉強もしないと間に合いそうにないな。これはどえらいことになってきたぞ。もー、もっと早くいってくれよー。そんなこと言ってもしょうがないか。紅美始めようか。」

(ふふ、おじいちゃんやご先祖様たちもあながち間違ってなかったのかな。でも油断は禁物ね。目を離さないようにしなくっちゃ。)

まずは基礎練習なんだけど覚えることいっぱいだし、霊力を融合して動くとこれが結構体力を消耗するんだよね。なんていうのかどんどん垂れ流しちゃうような感じで、すぐ空っぽになっちゃう感じ。この蛇口全開状態を絞ったり開けたりするのが難しいんだよ。集中してないとすぐ漏れちゃうんだよね。しかも少しだけ開けてそれを手だけに集中させるとか。要するに力を思うようにコントロールする修行。これが基礎練習で手のひらに集中させると訓練次第であの有名なかめはめ波みたいないわゆる発頸(ハッケイ)を打つことができるらしい。手に集中させるだけで一苦労でちょっと動いただけで意識がそっちに行って失敗。これの繰り返しなんだけどこれだけですんげ―腹減るんだよね。漫画と違って無限に力が湧いて出てくるわけじゃないからそうなるのが当然だけどね。だから中国に行ってからものすげー食べる量が増えた。食べるばかりじゃ悪いので調理の手伝いをしていたら見よう見まねで中華料理を作れるようになり、意外にもみんなに大うけだった。紅美は12歳の時からこの修行をしている大先輩だ。大先輩の教えは厳しく、解らないだろうとやっているふりをするとすぐ叱られる。紅美曰く『やっているうちに力の動きが見えるようになる』らしい。だからさぼるとすぐばれる。そしてどうやらこの一連の動きは太極拳の源流の一つで相手の気を読めるようになるらしい。練習をしいてる俺の手に触れるだけで体調から思考などがある程度分かるらしい。体術だけは小さいころからやっているらしいんだけど気の訓練は12になるまで止められていたという。子供には危険な技なのだろう。気の練習も一段落して今度は体術、紅美の動きの型と同じことをするのだけど、呼吸まであわせるのでこれが大変。しかも呼吸のイメージまで。息を吸うときに太陽の力を吸い込むように、そしてその力が体中をめぐるようイメージして。全身をめぐったその力をへその下、いわゆる丹田に収め息を吐くと同時に力を外に出す。それを繰り返す。とその時、玄関の扉が開き

「藍、何やってんだ、おまえ。その人だれだよ。」

ジミーだった。もうそんな時間かと思いながら紅美と顔を見合わせる。なんて説明したらいいのか戸惑っていると紅美が、

「ニーハオ、私、隣に越してきた紅美と言います。あいさつ代わりのに私の国の太極拳を教えていたんです。あなたは?」

「あ、はじめまして俺は、ジミー・ブラウン。藍の幼馴染で高校の同級生です。藍よりは頭は良いです。」

「いらねーこと言ってんなよ、地味―な茶色君。早かったな。もう3時か。あがれよ。」

「じゃあ、私はこれで失礼します。」

と言いながら俺に近寄り小声で

「さぼるんじゃないわよ、明日も来るからね。」

とにらみを利かせて帰っていった。やっと解放されたと思ったら急に腹が減ってきた。そういえば朝はパンだけだった。

「ジミー腹減ってない?なんか食うか。俺作るけど。」

「おー、食う食う。なにつくるの。」

「炒飯でいいか。残り物ぶっこんだ奴だけど。」

2020-04-19 18:15:01

dive12

「そろそろ帰るね。おじさん、また来るね。」

さくらが先に玄関を出るとおじさんが、急に真面目な顔をして

「ああ、藍(あおい)、さくらのことたのんだよ。」

「うん。わかってるよ、おじさん、おばさんもありがとうね」

 「藍ちゃんよく頑張ったね、あんたのおかげだよ。おばさんはあんたたちが大好き。」

 そういってまた抱きしめられた。

 「おばさん、恥ずかしいよ、ありがとね。」

そう言って逃げるように親戚の家をでた。待っていたさくらが顔を赤くしている俺を茶化してきたが嫌な気はしなかった。親代わりとはいえ母親にあまりあまえたことのない俺達には本当にお母さんのような存在だった。

「さくら、よかったな、また剣道できるようになって。たまには俺も顔出そうかな。」

「そうしなよ。私が稽古をつけてあげるから。先生と呼びたまえ。」

(うわっ、その言葉、ちょっと前に紅美にも言われたっけな。そういや修行さぼってるな俺。黄さんもそのうち来るって言ってたらしいけど、いつ来るんだろうな。でも怒った紅美もかわいいよなー)

「お兄ちゃん?どうしたの?ほら帰ろ。」

家に着くころには薄暗くなっていた。あの黒塗りの車はなかったが、家の中に明かりがついていた。もう普通に暮らし始めているようだ。キッチンの換気扇からいい匂いがしてくる。何のにおいかわからないけどおいしそうな匂いだ。前にいた老夫婦の時には焼き魚のにおいがしていたのをよく覚えている。匂いから今度の隣人の料理を作る姿が目に浮かぶ。きっときれいな人だろうと思って鼻を効かせていると突然、ニンニクと辛いにおいがしてきた。八角の香りも漂ってきてアジアな食卓を感じさせる。作っている人のイメージがぐしゃぐしゃになって、どんな人なのか明日こそ確かめてやろうと思いながら家に入った。

2日経ってさくらが道場へ行っている間のことだった。高2の夏をこのまま終わらせるのはつまらないと幼馴染のジミーに連絡を取り、お昼2時ぐらいにうちに来ることになった。10時頃に遅めの朝食をとりぼーっとテレビを見ていると、ピンポーンとチャイムの音が。ジミーが来るにはまだ早いし、またなんか宗教かなと、インターホンで答えると、

 「あの、隣に越してきたものですけども。」

 返事をして、一昨日の想像を思い出しながら慌てて身なりを整えドアを開けた。

 「あなた、修行さぼってんじゃないでしょうね。」

 そこには久しぶりに見る鬼教官の顔があった。

「えっ?紅美?何してんの?さぼってないよ。ちゃんとやってるって。」

「はい、不動の印。」

「えっ!はいっ!えーっとあれこうやって・・・・」

「やっぱりやってない。ちょっと中にはいるわよ。」

そういうとずかずかと上がり込んできた。赤い服のきれいな人というのはその通りだけど気が強いというおまけがつくだけでこんなに招かれざる客になるとは想像すらしてなかった。

「へぇー、日本の暮らしってこんな風なのね。黄から聞いていたけどやっぱり来てみないとわからないものね。で、学校はいつから、妹さんの具合はどう?」

「さくらのことはありがとう。おかげさまで今は剣道の練習に行ってるよ。学校は来週からだけど。」

「あっそう。じゃあ今日から特訓再開ね。あなたまだ基礎すら体得できてないんだから、そんなんじゃすぐにやられちゃうわよ。」

「やられちゃうっていったい誰に?来たばっかりなんだからこの辺案内でもしようか?」

「あなたには言ってなかったけどあの宝石を狙っている組織がいるのよ。そしてうちの一族の知ってる秘密もね。それを守るためにあなたには戦ってもらわないといけないの。今はまだあなたの存在も知られていないからいいけど、備えておかないと。」

「誰と戦うんだよ?何で狙ってるわけ。病気を治す薬ならみんなに分けてやればいいんじゃない。」

「あの宝石には秘密があるの。実は薬にもなるけど使い方によっては毒にも兵器にもなるの。だからほしがる奴はいくらでもいるの。それを守ってるのが私の一族。いろいろ研究もしたわ。そのおかげでいろいろわかったの。妹さんが倒れたのもあの石に関係があるのよ。」

2020-04-16 19:46:37

dive11

(やっぱり黄さんもあの一族の一人だったんだ。最初から分かっていて俺にあの村に行かせたんだな。まったくあの一族は恐ろしいな。でもまぁさくらが治ってよかった。今度は俺がエライことになっちゃったけど。)

「で、黄さんは?」

「なんか急用があるみたいでさっき帰っていったよ。『もうすぐお兄ちゃんが帰ってくるから待っていなさい』って言ってお薬おいて出てったよ。」

そうしゃべっている妹を見ていたらなんだか急にほっとして力が抜け泣いていた。そりゃもう号泣レベルで

「さくら、よかったな。ほんとによかった。うんうん・・・ほんとによかった・・・・」

「うん、ありがとね。お兄ちゃんが黄さんに頼みに行ってくれたから・・・わざわざ中国まで行ったんだって。黄さんが教えてくれたよ。お兄ちゃんの必死さと熱意を感じて中国から来たって。」

(ん?ちょっと違う、いやだいぶ違うけど、治ったばかりのさくらに心配かけるし黙っておこう。にしても黄さん、お礼ぐらい言いたかったのになぁ。)

「あ、でも黄さん、またすぐ会えるって言ってたよ。」

「まぁ黄さんのことは置いといて、さくら、お前中華料理好きだったよな。」

「うん。」

「治ったお祝いにお兄ちゃんが本場で教えてもらった料理を作ってやるよ。おいしすぎてびっくりしちゃうぞ.。」

「えー、大丈夫、私また病院行くの嫌だよ?」

「なめんなよ。向こうじゃみんな『ハオチー』っていってくれていたんだぜ。本場の人もびっくりって。」・・・・・・・・・

こうしてさくらはうちに帰ってきた。ご飯を食べ早めに休ませた。寝顔を見ているとほんとにちょっと前まで寝たきりだったのが信じられないくらいだった。短かった夏休みももうすぐ終わる。二学期からまたさくらも学校に行けるだろう。これですべて終わった気でいた。しかし、この話はそんなに簡単ではなかった。

翌朝、隣の引っ越しがまだだいぶかかっているのか、外がにぎやかだった。中国での毎日と違い朝はゆっくりしようと思っていたがそうもさせてくれないようだ。うちは俺たちが小さいうちに両親が離婚し母子家庭だった。しかし4年前母が交通事故で亡くなり兄弟二人となった。幸い近所の親戚がいろいろ世話をしてくれることと、親父からの仕送り、事故の保険金などで暮らしていけている。その親戚にもさくらを合わせたかったので、朝二人で報告に行こうと家を出たところ隣の家の前に高級車が止まっているのを見かけた。

「あの古ぼけた家に引っ越してくるにしてはずいぶん高そうな車だな。車の名前はよく知らないけど黒塗りのスモークバリバリの車なんてこの町に合わないなー。なんだか物好きなセレブがいるんだなー。」

「でもお兄ちゃん、朝ちょっと見かけたけど、きれいな女の人だったよ、お兄ちゃんよりちょっと上くらいかなー。きれいな赤い服を着ていたから覚えてるよ。」

(へぇー、どんな人かなー『お友達からよろしくお願いします』なんてなー、お姉さんか~)

「早くいくよ。」

親戚の家に行くとおじさんもおばさんも俺と同じでぐしゃぐしゃに泣きながらさくらを抱きしめていた。それを見て俺もまたうれしくなって4人でわんわん泣いた。そのうち泣き笑いになり、そのあとはなんだかわからないけどげらげら笑った。おじさんの知り合いの道場に通っていたさくらは、また道場に行きたとおじさんに告げるとすぐにおじさんが師範に電話をしてくれた。学校にも連絡をしてくれて二学期から行けるように手配をしてくれた。

「さくらちゃん、師範も先生もすごく喜んでいたよ。なんたってさくらは成績優秀、剣道の腕は全国クラスだからな。また、試合の応援に行かなくっちゃな。今度は旗作ってやるからな。」

「ヤダ、おじさん恥ずかしいよ。」

「何言ってんだ、おじさん桜色のハッピ作ったんだからな。もう後には引けんぞ。」

ちょっとさくらがかわいそうな気もしたが、俺は一緒に通っていたがそんなに強くなく成績もいいのは化学と英語ぐらいであとはぱっとしないからな。俺の分までよろしくってことで。しかも俺の英語がいいのは幼馴染のジミー・ブラウンっていうやつがハーフで家に行くとアメリカ生まれのお母さんと英語でしゃべってるから俺も一緒にしゃべってたらなんとなくなれただけなんだけどね。だから一番好きなのは化学なんだ。大学も理科系に行くつもりでいる。何しろ実験とか研究とか大好きで、一日中やってていいっていうならそんな仕事に就きたいと思ってるぐらいだから。そんなあまい会社はないだろうけどね。おじさんもそんな俺のことをわかってくれているようで本はいくらでも買ってくれた。

dive12に続く・・・

2020-04-14 19:08:46

dive10

実際豚の血を固めた豆腐のようなものとか、カエルとか蛇なんかも出てきたがバクバク食べている俺を見て向こうが驚くくらいだった。きっとこれも此処のご先祖のご加護のせいかな。飛行機に乗ると今までの緊張のせいか疲れが雪崩のように押し寄せ、日本につく直前、アテンダントに起こされるまで眠ってしまった。空港で荷物をまっていると本当に今まで夢を見ていたのかと思うほどだったが、両手の十字傷を見て現実であることに引き戻される。荷物をレーンから引きずり下ろすと任せておけと言われた妹のことが気になり急いでバスに乗った。バスの中で日本語を聞くとなぜだか違和感を覚え旅行に来ている気分になった。いったん家に帰り荷物を置いてから妹がいる病院に向かうことにして急いでいると、隣の家に引っ越し業者が来ていた。隣には老夫婦が住んでいたが近々息子さんのところへ引っ越すと言っていたのでそのためだろう。挨拶ぐらいしておこうかなと思い覗いてみるとおかしなことに引っ越し業者の人が荷物を家の中に運びこんでいた。不思議に思い表に出ていた近所の人に聞いてみると老夫婦は家が売れたので一週間前に引っ越して行き、新しい人が越してくるということらしい。知らないうちにそんなことになっているとは本当に浦島太郎状態だ。どんな人が来るのか楽しみだけどそんなことよりも妹のところへ急がなきゃと荷物を引っ張った。久々にカギを取り出し開けようとしたがなぜか空いていた。閉め忘れることは多々あったが旅行の前には確かにカギをかけた覚えがある.。恐る恐るドアを開けると人の気配がする。

(おいおい、いきなりアクシデント発生、なんだか知らないけどご先祖様たちおねがいしますよ。)

おかしなことにテレビの音がする。どこかで聞いた笑い声だ。身構えながら中をのぞく。音をたてないようにそっと上がり息を殺して少しずつ動いてやっと30センチ。もう一歩反対の足を上げて踏み出そうとした瞬間、

「お兄ちゃん?お帰り。何してんの?」

「え?さくら?何でここにいるんだよ。っていうかお前体は?なんだよ?どうなってんだよ。」

「え?あれ黄(ウォン)さんから聞いてないの。おかしいなー。黄さんお兄ちゃんから頼まれたって言ってたのに。」

「黄ってあの黄さん。俺に中国に行けって言ったあの。っていうかなんでお前が黄さん知ってんだよ。」

「え?だって黄さんがお薬を毎日持ってきてくれたのよ。ケロッとよくなってお医者さんがびっくりしてたわよ。なんか黄さん中国で偉いお医者さんだったらしくて、先生慌てていたわ。」

dive11に続く・・・

Today's Schedule
2026.10.30 Friday