大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive11
(やっぱり黄さんもあの一族の一人だったんだ。最初から分かっていて俺にあの村に行かせたんだな。まったくあの一族は恐ろしいな。でもまぁさくらが治ってよかった。今度は俺がエライことになっちゃったけど。)
「で、黄さんは?」
「なんか急用があるみたいでさっき帰っていったよ。『もうすぐお兄ちゃんが帰ってくるから待っていなさい』って言ってお薬おいて出てったよ。」
そうしゃべっている妹を見ていたらなんだか急にほっとして力が抜け泣いていた。そりゃもう号泣レベルで
「さくら、よかったな。ほんとによかった。うんうん・・・ほんとによかった・・・・」
「うん、ありがとね。お兄ちゃんが黄さんに頼みに行ってくれたから・・・わざわざ中国まで行ったんだって。黄さんが教えてくれたよ。お兄ちゃんの必死さと熱意を感じて中国から来たって。」
(ん?ちょっと違う、いやだいぶ違うけど、治ったばかりのさくらに心配かけるし黙っておこう。にしても黄さん、お礼ぐらい言いたかったのになぁ。)
「あ、でも黄さん、またすぐ会えるって言ってたよ。」
「まぁ黄さんのことは置いといて、さくら、お前中華料理好きだったよな。」
「うん。」
「治ったお祝いにお兄ちゃんが本場で教えてもらった料理を作ってやるよ。おいしすぎてびっくりしちゃうぞ.。」
「えー、大丈夫、私また病院行くの嫌だよ?」
「なめんなよ。向こうじゃみんな『ハオチー』っていってくれていたんだぜ。本場の人もびっくりって。」・・・・・・・・・
こうしてさくらはうちに帰ってきた。ご飯を食べ早めに休ませた。寝顔を見ているとほんとにちょっと前まで寝たきりだったのが信じられないくらいだった。短かった夏休みももうすぐ終わる。二学期からまたさくらも学校に行けるだろう。これですべて終わった気でいた。しかし、この話はそんなに簡単ではなかった。
翌朝、隣の引っ越しがまだだいぶかかっているのか、外がにぎやかだった。中国での毎日と違い朝はゆっくりしようと思っていたがそうもさせてくれないようだ。うちは俺たちが小さいうちに両親が離婚し母子家庭だった。しかし4年前母が交通事故で亡くなり兄弟二人となった。幸い近所の親戚がいろいろ世話をしてくれることと、親父からの仕送り、事故の保険金などで暮らしていけている。その親戚にもさくらを合わせたかったので、朝二人で報告に行こうと家を出たところ隣の家の前に高級車が止まっているのを見かけた。
「あの古ぼけた家に引っ越してくるにしてはずいぶん高そうな車だな。車の名前はよく知らないけど黒塗りのスモークバリバリの車なんてこの町に合わないなー。なんだか物好きなセレブがいるんだなー。」
「でもお兄ちゃん、朝ちょっと見かけたけど、きれいな女の人だったよ、お兄ちゃんよりちょっと上くらいかなー。きれいな赤い服を着ていたから覚えてるよ。」
(へぇー、どんな人かなー『お友達からよろしくお願いします』なんてなー、お姉さんか~)
「早くいくよ。」
親戚の家に行くとおじさんもおばさんも俺と同じでぐしゃぐしゃに泣きながらさくらを抱きしめていた。それを見て俺もまたうれしくなって4人でわんわん泣いた。そのうち泣き笑いになり、そのあとはなんだかわからないけどげらげら笑った。おじさんの知り合いの道場に通っていたさくらは、また道場に行きたとおじさんに告げるとすぐにおじさんが師範に電話をしてくれた。学校にも連絡をしてくれて二学期から行けるように手配をしてくれた。
「さくらちゃん、師範も先生もすごく喜んでいたよ。なんたってさくらは成績優秀、剣道の腕は全国クラスだからな。また、試合の応援に行かなくっちゃな。今度は旗作ってやるからな。」
「ヤダ、おじさん恥ずかしいよ。」
「何言ってんだ、おじさん桜色のハッピ作ったんだからな。もう後には引けんぞ。」
ちょっとさくらがかわいそうな気もしたが、俺は一緒に通っていたがそんなに強くなく成績もいいのは化学と英語ぐらいであとはぱっとしないからな。俺の分までよろしくってことで。しかも俺の英語がいいのは幼馴染のジミー・ブラウンっていうやつがハーフで家に行くとアメリカ生まれのお母さんと英語でしゃべってるから俺も一緒にしゃべってたらなんとなくなれただけなんだけどね。だから一番好きなのは化学なんだ。大学も理科系に行くつもりでいる。何しろ実験とか研究とか大好きで、一日中やってていいっていうならそんな仕事に就きたいと思ってるぐらいだから。そんなあまい会社はないだろうけどね。おじさんもそんな俺のことをわかってくれているようで本はいくらでも買ってくれた。
dive12に続く・・・

